★“おすすめマンガ”&“おすすめアニメ” 感想で綴るおすすめ漫画★

おすすめマンガ , おすすめアニメ

 

≪おすすめのマンガとおすすめのアニメを感想を交えて紹介 ≫

 

これまでに読んだ何百冊のタイトルの中で、特におすすめな作品を備忘録を兼ねて綴ります。基本的には上から順番におすすめです。なお、メジャータイトルは記載しません。だって、みんなが知っているマンガを勧めても価値がないでしょう? 本記事をキッカケに素敵な作品に出会えることがあれば幸いです。※不定期更新

 


 

◆「スキエンティア」戸田誠二の作品はいつも心と琴線に触れる◆

 

 

●短編漫画と人生の葛藤を描かせたら、戸田誠二の右に出るものはいないと断言したい●

 

彼の書く作品は実にいい。もう直感的に好きだ。忘れもしない2007年の12月に「ビッグコミックスピリッツ」に掲載されていた「スキエンティア-Scientia-」を仕事帰りの深夜に立ち読みして、涙が溢れてきた。コンビニで泣いたのも、短編漫画で泣いたのも、立ち読みで泣いたのも全部初めてだった。心の奥の一番柔らかい部分の琴線にそっと触れ、自身の抱え込んでいる葛藤や、抑えていた気持ちをそっと慰めてくれるかのような、心を揺さぶる体験。
 
そんな衝撃的な出会いに歓喜しつつも、残念ながら彼の作品は実に少なく、後ほどすべての作品を購入し読破したが、本作「スキエンティア」が最高傑作であった。過去の作品も実に魅力的ではあるが、お世辞にも絵が美味いとは言えないし、ストーリーも斬新なわけではない。それでも、心の奥底から震える感動と葛藤を呼び起こさせる巧みな描写。
 
現実は基本的には平坦である。ドラマチックな人生などといったものは、ごく一部の選ばれた人間が幸運な人間にしか存在しない。それでも、それぞれの人生に喜怒哀楽があり、重要な決断の瞬間がある。だからこそ儚いではないか。描かれるのは「淡々とした日常」である。それでも、人生は選択の連続であり、ちょっとした運や不運、躊躇によるミスチョイスで簡単に転落してしまう。そして、一度転落するとリカバリーはほとんど不可能であったり、実に困難な場合が多い。絶望的な状況で抗うことがなんと難しいことか。
 
「人間は簡単には変われない」それでも変わろうと意識し努力することに価値はある」戸田誠二はそんな人生の瞬間を切り取り描く。これほどまでに秀逸な作品をリリースしながら、知名度はいたって低いし、商業的に決して成功はしてはいないだろう。「スポーツかバトルか恋愛でなければ、世間受けしないのであろうか?」読後になにも残らない読み捨ての漫画が売れ、本作のような自分に向き合うことを促す作品は陽の目を見ない。
 
時間をどぶに捨てる「ソーシャル・ゲーム」がこれだけ流行っている世界で、そんな愚痴を漏らすのはマイノリティだろうか。感傷的になりたいあなたに是非読んでいただきたい。

 


 

◆「ちはやふる」 末次由紀が描く最強の青春漫画! 感動したいならこのマンガ◆

 

 

●努力することの価値と一生懸命になることの素晴らしさを圧倒的に訴えかけてくる●

 

競技かるたクイーンを目指す主人公「千早」と、個性的な登場人物が織り成すスポ根、友情、恋愛を描いた青春漫画。第2回マンガ大賞2009受賞。宝島社「このマンガがすごい!」2010年オンナ編1位。2011年第35回講談社漫画賞少女部門受賞。

 

「寝食を忘れる程に夢中になれる対象があっただろうか?」
「目標に向かって一生懸命に努力したことがあるだろうか?」

 

夢も目標もなく、漠然と無駄に青春時代の時を過ごしてしまった人間にとって、あまりにも眩しすぎる作品である。現在一番熱い漫画ではなかろうか。本作品以上に「友情・努力・勝利」を描いた作品はない。約280万部売れている少年漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」よりも、その20分の1以下の発行部数しかない女性漫画雑誌「BE・LOVE」に、最もホットな漫画が掲載されている。なんとも皮肉な話ではなかろうか。人気雑誌は作品の選定を再考すべきであろう。漫画家の発掘や編集者の役割もね。

 

スマホやネットが日常となっている現在でなければ、これほどまでに知られることはなかったかもしれないと考えると恐ろしい。加えて、アニメの素晴らしいクオリティが「ちはやふる」の素晴らしさを圧倒的に証明した。主人公「千早」の強くなっていく様子は、まさに少年漫画の王道のようであり、作画や描写の繊細さは少女漫画の中でもトップクラスである。なによりも、競技かるたと言うマイナーな競技を題材にしながら、読者&視聴者にその魅力を自然に伝え、これほどまでに美しく描き上げ人気作品とした作者の力量には感服の一言。
 
かるた馬鹿の主人公「千早」。「千早」に恋心を抱きつつも、努力を惜しまずひたむきに頑張り続ける「太一」。百人一首の魅力を美しく語る「かなちゃん」。そして本物語のはじまりのきっかけである「あらた」。彼らを中心とする登場人物の想いが紙面と画面を通して全力で伝わってくる。「だって」と「でも」は禁止! など非常に示唆に富むので親子でアニメを見ることもおすすめしたい。最後に作中の名言を紹介してまとめとしたい。

 

「やりたいことを思いっきりやるためには
 やりたくないことも思いっきりやんなきゃいけないんだ」
「先生、俺は、A級になるより…逃げない奴になりたい」
「青春全部賭けたって強くなれない? まつ毛くん、賭けてから言いなさい」
「どんなに苦しい試合でも 焦らないために いま苦しみなさい
 追い込まれた経験がない者は 決して強くはならないわ」
「きついな 一生懸命って… 言い訳がきかねえよ」
「おれは仲間にするなら、かるたの「天才」より、
 畳の上で努力し続けられるやつがいい」

 


 

◆「3月のライオン」羽海野チカの描く切なくて儚くて美しい世界◆

 

 

●優しく柔らかい作画と重苦しくも儚い心理描写の対比が息を呑むほどに美しい●

 

あなたは死に物狂いで目標に向かい努力したことがあるだろうか? なにかを言い訳にして諦めてしまってはいないだろうか? 世界は厳しく残酷であり、夢や成功は幸運か才能か努力なしには手に入らない。世の中は生まれつき不公平につくられており、努力はいつも報われるとは限らない。いや、必死で努力したって叶わないものは叶わない。

 

努力が水泡に帰することを何度か経験すると、頑張ることを諦めてしまう。そちらの方がずっと簡単で楽だからだ。努力の量が大きければ大きいだけ、それが実らなかった時の失望は大きく、救いがない。でも、努力を止めてしまうことは、現実を受け入れることを意味してしまう。座して神に祈るが幸運を期待して待つか。生き方が問われているのだ。

 

もちろん挫折や失敗からは学べることがたくさんある。それでも、立ち上がることができるか?は別問題だ。躓いても転んでも這いつくばってでも努力をすることで、世界は変えられるかもしれないと信じ続けることができるか? 散り逝く結末の可能性の大きさに怯えながらも、努力することの価値と美しさを教えて貰った。

 

そして、「孤独」が丁寧に丹念に描かれていることも絶賛しておきたい。人と触れ合う喜びを過去と現実の厳しさと冷たさを味わいながらも、少しずつ成長していく主人公と登場人物。作者は孤独というどうしようもない絶望感と恐怖を経験して来られたのだろう。作画はどこまでも美しく、全体を通してはほのぼのとして優しい作品であるが、心の葛藤や苦しい心情の吐露、ひたむきに生きることの厳しさと苦しさが描かれている。手が震え、上手くページがめくれない程に素晴らしい。もう最高におすすめである。秋の夜長に自身と向き合ってみてはいかが?

 

「信じれば夢は叶う」
 それは多分 本当だ 但し 一文が抜けている
「信じて 努力を続ければ 夢は叶う」
 -これが 正解だ
 さらに言えば 信じて
「他のどのライバルよりも1時間長く 毎日 努力を続けていれば
 ある程度迄の夢はかなりの確率で」
 叶う-だ
 キャッチコピーというものは 短いほうがいい
 -でも これは あまりにも はしょり過ぎだと思う
 それじゃまるで
「何もしなくても」「ただ信じていれば」
 叶うみたいじゃないか
 この文章を ここまで削ったヤツに 何を思って ここまで削ったのかと 問い質したい

※3月のライオン7巻より

 

 

併せて、羽海野チカの初連載作「ハチミツとクローバー」もおすすめしておこう。一つの恋のはじまりから終わりの切なさを、これ以上に美しく儚く描いた作品を私は他に知らない。「ハチクロ」は後半に向けての疾走感と、アニメのクオリティが最高に素晴らしい。過去に友達のいなかった作者の「こうだったらよかった」という妄想から生まれた作品だというから、もう堪らなく愛しいではないか。

 

「ありったけの ありったけの幸せを あなたに」
「ずっと考えていたんだ.実らなかった恋に 意味はあるのかなって
 消えてしまったものは 始めから無かったものと 同じなのかなって
 今ならわかる 意味はある あったんだよ ここに 
 はぐちゃん オレは 君を好きになってよかった」
「何もかもが思い出になる日はきっとくる.でも,ボクがいて 君がいて

 みんながいて
 たったひとつのものを探した あの奇跡のような日々は
 いつまでも甘い痛みとともに胸の中の遠い場所でずっとなつかしく

 まわりつづけるんだ」

※ <ハチミツとクローバー最終巻より

 


 

◆「君に届け」椎名軽穂が描く綺麗で素敵な青春 少女漫画至上最高傑作◆

 

 

●風早も龍も理想の男の子であり,君に届けは綺麗過ぎてリアルにはありえない青春だけれども,最高に面白い●

 

妹がいるため「姫ちゃんのリボン」や「天使なんかじゃない」の時代から少女漫画のほとんどすべて目を通してきた.少女漫画の名作は恋や友情の深い描写があり,下手な少年漫画よりもずっと心を揺さぶり面白い作品が多い.

 

おすすめの少女漫画は? と聴かれたら「彼氏彼女の事情」と「矢沢あい」の作品を答えていた.「ハチミツとクローバー」はアニメをすすめたい.(※「のだめ」や「ちはやふる」「夏目友人帳」は別カテゴリだと思っている).しかし「君に届け」の原作を読み,さらにアニメを見て衝撃を受けた.
 
「恋愛漫画に正面から真っ向勝負して圧倒的に勝つ」
一言で表すならば,こんな表現で形容したい.正直やられたと思った.ありえない理想物語を目にして感涙するなんてね.少女漫画の要素は大体同じだ.中学生か高校生の青春における恋愛,友情,家族,夢(進路)との遭遇.だから,幼馴染設定やハーレム設定,境遇設定やイベント設定等で演出することが多い.
 
にもかかわらず,「君に届け」は直球勝負の青春恋愛漫画.まさにラブコメである.高校生のピュアな青春を赤裸々に描く.いまどきというか,バブル世代くらいでもこの純粋無垢さはありえねぇ! と突っ込むだろうくらいのピュアさなのだ.

 

登場人物にはちゃらい奴もいれば,ギャルもいる.それでも,主要キャラの全員が「いい奴」であり,主人公の意中の男の子「風早君」は実際には絶対に存在しないレベルのイケメン.その親友「龍」も一途なスポーツ馬鹿イケメン.もうすべてがあり得ないキャラであり,リアルには絶対に存在しない人物であると断言しよう.
 
そんな設定でありながら,間違いなく読者&視聴者に感動と涙をを与える素晴らしい作品となっている.もしくは,ある者は羨ましさに嫉妬し,発狂さへするかもしれない.それぐらいに心を揺さぶる比類なき傑作だ.女子中高生にも絶大なる人気のようなので,最後にこれだけは言っておこう.

 

風早君も龍も理想を描いた偶像であり,現実には存在しない.男は往々にしてイケメンであればあるほどに不誠実であり,イケメンを除いても不純な輩が多い.ちなみに私は中学生の頃に読まなくて良かったとしみじみ思っている.こんな綺麗な世界を見てしまうと,理想と現実のギャップに耐えられなくなってしまっただろう.

 

だから,あまり理想を膨らませないように.あなたが(相対的に)可愛いか運が良ければ,そこそこのイケメン(好みのタイプ)で,それなりに誠実(人格的にまとも)で,ぼちぼち一途(浮気を是としない)な相手は見つかるだろうから.
 
ということで,あまりの青春の美しさに自身のそれと比べて絶望的な気持ちになる恐れはあるが,それでもこんな素敵な青春があったら素敵だな と微笑ましい心模様になれること間違いなしなので,是非ご覧いただきたい.なお,原作のクオリティの秀逸さをアニメがさらに昇華させているので,アニメを絶賛オススメしておく.

 


 

◆「ヒストリエ」岩明均 寄生獣作者の壮大な歴史作は圧巻◆

 

 

●岩明均のおそらく最後の作品であろうエウメネスが活躍する「ヒストリエ」が最高に面白い!●

 

ご存じ「寄生獣」に続く岩明均の大型連載作品。残酷性と極限状況の表情描写を書かせたら彼の右に出るものはいないだろう。本作品「ヒストリエ」では、実在したエウメネスの成長と語りにより、作者が創造したフィクションがまるで史実や伝記のように錯覚させる作品となっている。

 

自身がその場に立たされているかのように感じさせる巧緻な描写は健在、いや、かつての「寄生獣」で磨かれ一段と際立っている。読者はいつの間にか作品に引き込まれていくことだろう。視点は主観的でありながら、姿勢はあくまで客観的。大胆なコマ割から表現される表情描写、心理描写は圧巻であり、まさに匠の技と言えるだろう。

 

作画がグロいという意見もあるが、人を殺し殺されるというのは現実に生々しく残酷なものである。過剰演出のスプラッターに対しては個人的にも批判的であるが、本作品で淡々と記される人の生き死にや殺戮は、世界は綺麗ごとなどほとんどないことを痛切に語ってくれている。

背景にあるのはギリシア時代の侵略戦争と奴隷制度。他国、他部族の侵攻に負ければ殺されるか奴隷となる世界。生き抜くには力や知恵が不可欠であり、幼少期のエウメネスの強く生きる姿勢や、マケドニアの学校ミモザには、この厳しい競争社会の現代を生きる上での示唆にも富んでいるように思う。

 

寄生獣で表現されたのは「地球を汚すのは人間である」ということ。ヒストリエで表現されているのはいつの時代も「人間社会は弱肉強食」であり、「人は学び鍛錬することで成長する」ということではなかろうか。加えて「本を読め」、「教育重要」というメッセージも込められているように感じた。

 

戦も重火器が登場する前なので、戦略や将の優劣が如実に表れるため、実に面白い。休載が多く、出版されるペースが遅いのはなんともじれったいが、娯楽性ばかりを志向する作品が多い中、漫画でありながら教示に富み、学び得られる本作品、自信を持っておすすめしたい。

 


 

◆「西尾維新」物語シリーズ&戯言には舌を巻く 恐らくいま一番稼いでいる作家◆

 


●デビュー前からの読者として、才能の開花していく様を見られるのはこの上ない喜びである●

 

彼とのはじめての出会いは実物(リアル)であった。同じ大学の同じ学年で同じ学部の同じ語学のクラス。はじめて見た印象は「変わった人」である。風貌もファッションもちょっと特異であったのだ。目(視線)がどこを向いているのかわからない、寡黙でどもったかのような小さな声でしゃべる。カッターナイフの刃を出してペン回しをする…。少し危ないタイプの人間と言っても差支えないだろう。西尾維新の顔写真が出てこないのは、彼の描く自分自身のイメージと、自身の容貌がマッチしていないためだと思われる。が…少なくとも見た目やリアルに接した印象は、どこにでもいるちょっと変わった青年くらいの雰囲気の人物であり、特に目立たない存在であったといえる。
 
しかし、掲示板の中の彼はまるで違った。1999年当時、大学ではインターネットを活用して、講義の情報やディベートのテーマ・宿題など、学部のネット掲示板(2chの学部版みたいなもの)が活用され始めており、そこでディスカッション等も繰り広げられていた。その中で西尾維新(当時よりこのペンネームといーちゃんというネームを使っていた)は、時事問題からポエム、超短編小説まで、掲示板のテーマに関わらず自由に投稿(書き込み)をしていたのだ。

その文章のクオリティと魅力は、当時20歳前にして圧倒的であり、私は彼の文章を掲示板で見つけ衝撃を受けた。まさに彼の文章に対し度々形容される 「言葉遊び」が掲示板の中で見事に表現されており、次はいつ書き込みがされるのだろう? と心待ちにしていたものである。当時の限られた世界(数百人程度が覗ける掲示板)においても、彼の書き込みは話題を呼んだが、それがそもそもの目的(講義に関する議論をする場)に相応しくないとのことで、彼は注意を受け、投稿は削除されたことで、彼の連載の場は幕を閉じた。
 
その後、2002年に「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」で第23回メフィスト賞を受賞しデビューしたのは皆の知るところであろう。「書けば書くほど、さらに書きたいことが増える。どこ でやめればいいのかという問題になる」そうだ。当時より文章量も凄まじかったが、10年以上経った現在のその才能とパフォーマンスは健在のようで、実にその能力と成功が羨ましい限りである。未だライトノベルを読んだことがない方は「刀語」と「物語シリーズ」がアニメ化されているので、そこからご覧になって いただくことをおすすめしたい。最後にお気に入りのフレーズをピックアップして感想を仕舞おう

 

「西尾維新の名言と迷言」

「枯れない花はないが,咲かない花はある.世の中は決定的に不公平だ 」
「努力は必ず実を結ぶ.それが結果に繋がるとは限らないけれど」
「人生がゲームではないのはリセットボタンがないからではなく,
  そこにゲームオーバーがないからだ」
「ゴキブリ並みの生命力? 丸めた新聞で叩いたら死ぬってことか?」
「顔見てコイツのガキを産みてーなーって思ったら,
 それが好きってことなんじゃねーの?」
「無知は罪だけれど,馬鹿は罪じゃないものね.馬鹿は罪じゃなくて,罰だもの」
「同性の幼馴染?なにそれ,なんか意味あるの?そいつ,朝起こしに来てくれるの?」
「ずっと一人でいると,自分が特別なんじゃないかって思っちゃうわよね.一人でいると
 確かに,その他大勢にはならないもの.でも,それはなれないだけ.笑っちゃうわ」
「無理だったかもしれない.無茶だったかもしれない. でも無駄じゃなかった」
「やればできるなんて,聞こえのいい言葉に酔っていてはいけませんよ.
 その言葉を言うのはやらない人だけです」
「人生はプラスマイナスゼロだって言うやつは,決まってプラスのやつなんだ」
「本当にすきだったよ.初めて会ったときからずっと.初めて会ったときよりずっと」
「世界は平凡か? 未来は退屈か? 現実は適当か?
 安心しろ,それでも生きることは劇的だ!」

 

◆「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」アニメで号泣してみませんか?◆

 

 

●何度も泣かされた。最終回は号泣した。それでも毎回心が震え、温かい気持ちになれる●

 

20歳も半ばを過ぎた成人男性が、アニメを見て号泣するなど、端から見れば見ればなんと恥ずかしく、情けない姿であろうか? それでも、「あの花」は通しで3回見て、最終回を涙なしで見終わることは最後まで出来なかった。それぐらい純粋に心を揺さぶり訴えかけてくる演出とメッセージがこのアニメには込められている。

 

・好きな女の子(めんま)に意地悪をした思い出
・その幼馴染(めんま)の不慮の死
・幼馴染の仲間たち(超平和バスターズ)との仲違い
・それぞれの想いは成就せず成長する
・昔の人気者の主人公(じんたん)はひきこもりに
・死んだはずのめんまがリアルな幽霊として復活
・そして高校生になった僕らは再び出会う
・かつての気の小さな男の子は優等生でちょいメンヘル
・それぞれに抱えていた想いがいま解き放たれる

 

わざとらしいとも言えるほどにガチでベタベタな構成。にも関わらず、少しも人工的(意図的?)な嫌らしさはないから不思議で素敵だ。初恋の思い出や、淡い恋心、罪の意識、挫折と将来への不安と思春期に誰もが感じたであろう悩みや葛藤が、登場人物の巧みな心理描写をベースに描かれていく。そして個性的な登場人物たち。ガキ大将であった「じんたん」の挫折と駄目人間ぶり。「ゆきあつ」という突っ込みどころ満載の爆弾。「あなる」の純粋さとツンデレ。天真爛漫な「めんま」の可愛らしさ。もう最初から最後までニヤニヤが止まらない。

 

作中の舞台となる秩父の街も美しく描かれており、実際に訪れるとギャップに激しく落胆してしまいそうな程の綺麗な背景。登場人物を大切にしていることが伝わってくる丁寧な演出。ラブコメアニメ? 馬鹿言っちゃいけないよ、これは過ぎてしまった青春の大切な思い出の一ページをフラッシュバックさせてくれる最高のファンタジーだ!ZONEの「SecretBase」のカバーがまた懐かし過ぎて痺れる。少し昔までは素敵なポップミュージックが歌われていたのにね。

 

本作を見ると記憶が美化されるか、それともこんな青春を送りたかったと鬱になるかもしれないけれどもw、温かい気持ちになれる最高にハートフルな作品である。全11話が濃密に作られ心地良い疾走感。青春時代のあの気持ちを思い出したいあなた、最近泣いていないあなた、冷めているけど熱くなりたいあなたに是非ともおすすめしたい。

 


 

◆「ブラックラグーン」広江礼威 名言とあわせておすすめしよう おすすめアクションマンガ◆

 

 

●内戦や紛争の地獄をエンタメで知る。双子編はトラウマレベル●

 

ドンパチだけが売りのチープなアクション漫画とは違い、社会の裏側や醜い部分、人間関係&自己葛藤など、登場人物の背景や心理描写が巧みに描かれており、ぐんぐん引き込まれていく。話のテンポは軽快でありながら、丁寧な作画にはぞくぞくする。ちまたでは、戦闘シーンをプッシュする意見も多いが、それは本作品の特徴の一つでしかないだろう。銃弾が主要キャラに当たらないのはご愛嬌。

 

もちろん設定はデフォルメされてはいるが、金と利権を求め暴力&殺しが特別ではない環境は、かつての「ソマリア内戦(Black Hawk Downでも描かれた)」や「コロンビアの麻薬戦争(メデジン・カルテル)」など、紛争地域では似たような状況であったのではなかろうか? 我々はこの日本で平和が約束され、明日を予想して生き、未来を描くことができるが、世界の貧困や暴力の最前線では、救いのない絶望を生きている人間もいる。ただ、僕たちは運が良かっただけなのかもしれない。少なくとも60億人以上の地球において、下から数えるよりも上から数える方が近いところにいるのだから。貧富と環境の観点においては。

 

人身売買で性奴隷にされることもなければ、紛争地域で子どもの頃からゲリラ戦闘員に育てられることもないし。だから、平和ではあるけれども退屈で退屈で日々にウンザリしているあなたにおすすめである。なお、原作コミックに加え、アニメの出来が素晴らしいので、是非そちらも見ていただきたい。特に双子編は必見。 最後に、本作品の最大の特徴は会話(言葉のキャッチボール)と、社会の不公平さ&理不尽さを、ユーモラスに描いているところだと思っている。以下に作中の科白を引用する。非日常でありながら心に刺さるフレーズに痺れていただきたい。

 

「俺には道徳やら正義ってものは,肌に合わん.
 その手の言葉と尻から出るヤツは,びっくりする程似てやがる.
 そのガキ共に同情するのは,ミサイル売って平和を訴えてるど阿呆共と

 どっこいだ」
 
「神は留守だよ,休暇取ってベガスに行ってる」
 
「ああいうものを,真っすぐ見るな.ここはそういう場所で…それが一番だ」
 
「いろんなものを憎み過ぎて自分が何を憎んでるのかわからなくなっちまっている」
 
「魂にも脂肪がつくものだ,我々の魂にもな」
 
「もしかのお話は時間の無駄だ,起きたことしか起きねェのさ,人生は」
 
「命を乞うときのコツは二つ.一つは命を握る者を楽しませる事
 もう一つはその人間を納得させる理由を述べる事だ.
 お前はまだ,どちらも満たしていない.さあ,踊れ」
 
「他の子が,私たちの前に連れてこられて,泣いているその子を,
 バットで繰り返したたいたその時にね,大人たち笑ってた.私と兄様も笑った.
 笑いながら思ったの.これは仕組みなんだって.
 そう,だれかを殺すことで,世界が回り続けているのなら…,
 私たちがここにいる理由も,またそれだけなの.
 殺し,殺され,また殺して,そうやって世界はリングを紡ぐのよ.」
 
「世界はほんとは,君を幸せにするためにあるんだよ.いいかい,血と臓物なんか,
 世界のほんのかけらでしかないんだ.すべてなんかじゃないんだ」
 
「僕は,死なない,死なないんだ.
 だって,こんなにも人を殺してきたんだ.
 いっぱい,いっぱい,いっぱい,いっぱい,殺してきてる.
 僕らはそれだけ生きることが,できるのよ.命を,命を増やせるの.」
 
「誰かが,ほんの少し優しければ,あの子たちは学校に通い,友達を作って,
 幸せに暮らしただろう.でも,そうはならなかった.ならなかったんだよ,

 ロック.だからこの話はここでお終いなんだ」
 
「あたしがくそがきの時分に地べたを這いずり回ってたあのくそ溜めじゃ,
 どういうワケか神だの愛だのはいつも品切れでね.
 物のわからねェ時分にゃ,神様に泣いて縋ったりもしたものさ.
 まぁ…そいつを信じられたのも無実の罪でおまわり共に半殺しにされた夜までだ.
 貧乏地帯に住んでるってだけの理由だったのさ.
 力もなえ神もいねえ中国人のメスガキに頼れるものはいったいなんだ?
 そいつは金だ.そして銃だ.この二つがありゃ天下太平だ」


 

◆「もやしもん」石川雅之 菌が見えるって素晴らしい ためになるマンガ◆

 

 

●食に興味がある方は必見! 面白いだけではなくすこぶる勉強になる!●

 

舞台は農大。主人公は肉眼で「菌」を見ることができるという特殊な体質。菌や登場人物のデザインが可愛く、その世界観が実に魅力的。しかも菌はそれぞれに人格(菌の自我)を持ち、その個性と台詞ににやにやしてしまう。菌を題材にするという超斬新な視点からキワモノ系かと思いきや、その解説(説明)の詳しさには感服せずにはいられない。

私たちの身の回りは菌で満ちており、菌が様々な働きをすることで食生活は成り立っている。例えば、日常的に口にする次の食品。「納豆」「酢」「みりん」「醤油」「ヨーグルト」「チーズ」等の発酵食品。「ビール」「ワイン」「日本酒」等のアルコール飲料は菌や発酵なくして作り得ない。
 
「かもすぞー」
 
菌のかわいらしさ、個性的な登場人物、農大のイベント等、菌を題材にしながらも、学生の青春を描いていることから万人におすすめであるが、文章を読むのに慣れていない方や、食や発酵にまったく興味がない場合は読み進めていくのは辛いかもしれない。というのも、巻が進む程に作者のマニアックなこだわりが発揮されていくからだ。菌に対する知識やウンチクが山のように綴られており、まるで漫画の形にした辞書と表現しても良いくらいの詳しさで実にに勉強になる。私はこの本以上に文字数が多い漫画を他に知らない。
 
「発酵」に興味のある方はもちろんのこと、「食」に対して意識の高い方は必見の漫画である。なお、何度も繰り返すが、実に文字(解説と説明)が多いので、文章が読むのが苦手な方はアニメをおすすめしたい。


 

◆「げんしけん」木尾士目 こんなに楽しいオタクの学生生活はありえない(笑)◆

 

 

●オタクの理想の大学生活ここに描かれし●

 

2013秋の時点にて「月間アフタヌーン」で一番人気の作品ではなかろうか? 2013年夏クールの「げんしけん 二代目」のアニメ放送も盛り上がりを見せ、毎回の放送を心待ちにしている方も多いだろう。ひまわり動画のコメントも毎回半端ない数だw。2002年の連載開始時には、オタクやサブカルを愛好する一部のマニアにて盛り上がっている作品であったように記憶している。それが連載を重ねるごとにファンの数&層ともに広がり、アニメで一気にブレイクし、人気漫画の仲間入りを果たした。2013年6月時点でシリーズ単行本累計発行部数は400万部突破とのこと。


本作品を形容する際に、オタク漫画やオタクアニメと称されることもあるが、いやいや、全然違う、それは一面しか見ていない者の意見だと言いたい。「げんしけん」は学生時代のモラトリアムや青春の葛藤を赤裸々に描いたドキュメンタリー漫画だ。ドキドキ・ハラハラするイベントが次々に起こり、もう、毎回ニヤニヤが止まらないだだろう。それは、大小はあれども誰しもが学生時代に経験したことを思い出させてくれるからだと思う。彼らが羨ましく学生時代に戻りたくなること必至の作品だ。ちなみに、Ⅰ期&Ⅱ期とⅢ期(二代目)では、コンセプトが幾分異なるように感じるので、ネタバレしない程度に個人的見解を述べたい。


Ⅰ期&Ⅱ期の主人公は笹原。大学でのオタクデビューを契機に彼の視点を中心に大学入学から卒業までを描く。いわゆるオタク趣味を持つ一般人が、オタク世界に足を踏み入れ成長していく物語。サークルで趣味を同じくする仲間をつくり、3年生時には会長となり「同人誌」を作成してコミフェス出展という目標を達成する。就職活動ではあまたの苦労を経験するも、ハードルを乗り越え、無事に目標とした仕事(編集プロダクション)の内定を果たし、最後には彼女(荻上)をゲットする、まさかのサクセスストーリーだ(笑)。オタクの生態や個性的なキャラクターのサブストーリーも秀逸で、青春の葛藤には胸が痛くなる。


Ⅲ期(二代目)の主人公は明確にはされていないが、斑目であることに異論を唱えるものはいないだろう。Ⅰ期&Ⅱ期から影の主役と言われていた彼と、彼に好意を寄せるロリ外人美女、巨乳外人美女、男の娘(女装男子)などの登場人物とのやりとりや、学生時代からの一途な片思いの終わりを描く。この男の娘(波戸)の腐女子世界への踏み込みや心境変化など、よりオタクや腐女子に萌えられそうな展開ではあるが、心理描写やキャラ描写が秀逸であるため、一般人が見ても心擽られること間違いなしである。特に、ヘタレな斑目が学生時代から一途に想い続けてきた咲への告白をついに果たすところはたまらなく切ないワンシーンだ。


つまり、Ⅰ期&Ⅱ期は学生生活における入学から卒業までのイベントを青春をオタクの日常を通して疑似体験でき、Ⅲ期(二代目)は登場人物個人の想いや葛藤を、まるで登場人物になったかのような視点でドキドキできる。ごちゃごちゃ記したが、とにもかくにも実に面白い作品なので、自信を持っておすすめしたい。学生時代の淡い思い出をもう一度味わいたいあなたも、大学生活に憧れる中高生のあなたも、ニヤニヤしながら見られること間違いなしである。深夜に引きこもって是非見ていただきたい(笑)。

 


 

◆「キノの旅」時雨沢恵一「世界は美しくなんかない そしてそれ故に 美しい」◆

 

 

●旅することを描いているだけではない。生きることを描いているんだ●

 

最終話-優しい国-を見て、ちょっぴり放心。アニメは13話と漫画の一部カットなのだけれども、すごく上手く編成してあるし、声優も上手。なによりもこの-優しい国-を最終話にもってきたのが良い。旅人キノとその相棒の二輪車エルメスの旅を描くファンタジー小説を題材にしたアニメ。示唆やメッセージ性に富んでいて、非常に心地良く鑑賞できる秀逸な作品。

 

私は長期の放浪を志すことはないのだけれども、この作品の中ほどユニークでバラエティに溢れた国が世界各地にあるのだとすれば、旅を続けるのも素敵なことに思えてくる。知らないことがいっぱいあって、いろんなことを知りたいと思うし、五感で触れてみたいとも思う。でもそれが、果たして本当に幸せなことなのかな?って躊躇してしまうのは、私はあまりにも臆病で失うことに慣れてしまったからだろうか?

 

作品の世界観と淡々と流れる時間軸など好きな点はいくつかあるんだけど、なによりも素晴らしいと思ったのは、強くなければ生きていけないということを明確に現していること。  人との出会いによる感動やストレス、いろんなシーンを表現しながらも、旅で一番大切なことは、「命を無くさないこと」だと言う。  強くなければすぐに命を落としてしまいかねない世界で旅する少女の「私はまだ死にたくない」という強い意志。生きることにあまり意味を見出せない自分にとっては、激しく心揺さぶるテーゼであった。是非この独自の世界観を味わっていただきたい。

 


 

◆「海月姫」東村アキコ オタク腐女子のシンデレラストーリー◆

 

 

●内気な少女と真面目な男の純粋なラブストーリーにリア充が嫉妬という夢みたいな物語●

 

主人公(月海)が暮らすアパートは、男子禁制・オタク女子オンリーの天水館。そんな主人公はクラゲ好きで内気で処女なヲタ女子。きっと作者の脳内妄想が形になったのだろう。マーケティング戦略で出てくる発想とはとても思えない。だがしかし、そんな主人公は普段の外見はオタ女子そのもので、映えないルックスでありながら、メガネを外し化粧を施すと美しいヒロインに変身する。そんな主人公が恋し成長し夢を実現していく「シンデレラストーリー」。

 

その主人公の恋する相手は国会議員の長男でありながら真面目で女性経験なしの堅物(修)。たぶん、主人公以上に存在し得ない理想的な男性だ。そして、三角関係を形成するのが、国会議員と愛人との息子(蔵之介)であり、長男とは異母兄弟にあたるリア充全開の美少年の男の子。古典的ラブコメでもここまでのヒーローを持ってきた作品はないだろう。
 
にも関わらず、実に魅せるのだ。世間的には決して光が当たることのない、リア充の対極にある主人公が、成長していく姿や恋の切なさ。リア充でありながらそのオタ女子に恋し、初めての挫折を味わう蔵之介。嫌な人間が出てこないのも実に良い。主人公やストーリーを引き立てるための、嫌味のある人間が出てこない。みんな素直で一生懸命で、絶対にありえない設定なのだけれども、それでもこんな微笑ましい話があってもいいのではないか? と思わせ応援したくなる。特にオタク女子とオシャレな人々との交流を描く姿は、腐女子に夢を描かせるに十分である。

 

そこに加えて主人公の周りのオタク女子(鉄道オタク、三国志オタク、日本人形オタクなど)の生態が実に活き活きと描かれている姿も面白い。彼女ら(尼~ず)のテンションの高さは実にリアルなように感じる。ビックサイトのコミックフェスティバルはその祭典で、イメージではそれなりに華やかに見えるも、オタク達の実態は実はこんな感じなのではないかと。
 
「白馬の王子様」「夢見る少女のサクセスストーリー」古典的ともいえる構成でありながら、自然かつ面白いストーリー展開で読者を知らぬ間に引き込み虜にすることでしょう。ドロドロした恋愛漫画や、現実の厳しさを描く漫画は刺激的でメッセージ性があるかもしれないが、夢見る少女が傷つきながらも綺麗なままでハッピーエンドに向かう話は実に心温まる。子どもに読ませても安心な作品である(笑)。アニメは中途半端なところで終わってしまいもったいないが、娯楽作品として、癒しとして実に秀逸な出来となっているので、疲れた時に是非見ていただきたい。