★橋下市長退任会見 橋下徹の今後 橋下綜合法律事務所リニューアル★

橋下市長引退会見

 

◆橋下市長の引退会見を生中継しない日本のテレビ局。ニュース専門放送局が絶対に必要だと思う。弁護士法人橋下綜合法律事務所サイトもリニューアル◆

 

2015年12月18日に橋下徹氏が大阪市長を退任するのに伴い、引退会見が行われました。日本のテレビ局は、本会見を中継する価値なしと判断したようで、夕方や夜のNEWS番組で部分的に報道されるのみでした。好き嫌いはもちろん人それぞれですし、政治家橋下徹の功績の是非についてはいろんな意見があるかと思いますが、それでも知事時代を含めて8年にわたり地方行政を担って来た橋下氏の引退会見を中継せずに、他に放送する価値のあるコンテンツがあるのかな? とこの国の放送局にうんざりした気持ちになります。絶対にNEWS専門放送局が必要ですよね。CNNとかNBCのような24時間ニュースだけを流し続ける放送局。さて、メディア批判は止まらなくなるのでこれくらいにして、THE PAGEが中継をYOUTUBEにアップし、産経新聞が会見を記事におこしてくれましたので、紹介したいと思います。

 

 

●橋下徹氏の今後。弁護士法人橋下綜合法律事務所サイトをリニューアル●

 

その前に、橋下徹氏の今後の去就が話題になっていますが、さっそく弁護士活動の一環として「橋下綜合法律事務所サイト」をリニューアルされていらっしゃいます。もしかしたら政界復帰は周りが騒いでいるだけで、本人は弁護士業や芸能活動に注力していくのかもしれませんね。

 

好き嫌いは人それぞれですし、批判する人を否定するわけではないことを、しつこいようですがお断りしておいて、橋下徹氏を否定する人の視点として欠けているのは、橋下氏は政治家をやるよりも、弁護士と芸能活動の方がずっと楽して稼げるということです。

 

大阪市の市長報酬は年間約1,500万円。これを高い安いとコメントしたいのではなく(あれだけの激務で4年しか身分保障もなく激安だと私は思いますが)、橋下氏は億単位で稼げるタレントと能力を持っている。それを大阪府知事&大阪市長の職を選んだのは、大阪を良くしたい、政治を改革したいという公共奉仕の理念であり、自分なら非効率な行政を変えられるという自信であり、そして政治家として大成したいという志(野望や野心と言い換えても良い)でしょう。

 

 

●政治家を職業にしない方がずっと稼げる(儲ける)ことが出来るのが橋下徹●

 

そうでなければ、市長や知事という名誉のためなんかにやるはずがない。敵も多いので我田引水で利益を自身のために誘導することも出来ない(少なくない国会議員が自分や広義の身内のために利益誘導してますよね?)。年収1,500万円なんてゆうのは、取材側のNHKや朝日新聞であれば40歳代で手が届く金額ですよ? 野心や野望だけで続けるには無理な職で、本気で大阪を良くしたいから、既得権益からあれだけの反対をされながらも、頑張っていたのでしょう。

 

と、いくら橋下徹氏の労を褒め称えたところで、彼は引退をしてしまいましたので、もう手遅れです。政界復帰を期待するところではありますが、市長時代よりも労力をかけることなく、時間も拘束されずに、自由に稼ぐ選択が彼の目の前にある以上、難しいかもしれませんね。大阪の政治、いや、日本の政治は大切な人材を失った。とても残念です。というわけで、前置きが長くなりましたが、大阪市 橋下徹市長の退任会見を掲載いたします。内容が濃いので全部ご覧になっていただくことをおすすめしますが、1時間35分頃からの部分を見ていただくだけでもぐっときます。是非どうぞ!

 

 

●大阪市 橋下徹市長の退任会見の記事●

 

産経新聞WESTが退任会見の文字おこしをされていましたので(敬意を評します)、転載いたします。最後までアップされていないので、頑張ってください、産経新聞さん。

 




 

※以下「産経新聞WEST【橋下市長退任会見】」より引用。 

 

橋下氏「退任会見なんですが、メディアに二、三、文句を言いたい。まず、中央労働委員会の命令の報道に不満がある」

 《橋下氏がまず挙げたのは、市役所に職員組合の事務所を置くことを不許可とした橋下氏の処分を不当労働行為と認定した中央労働委員会の命令が出たことに関係した報道についてだった》

 橋下氏「平成24年度分は僕の判断が拙速すぎたということで司法でも違法認定を受けたが、25年度以降は職員基本条例に基づいて適法だと認められ、中労委も不当労働行為と認定していない。記事では、年度を明示してほしい」

 《市長任期中、職員労働組合との“なれ合い”の見直しにも取り組んだ橋下氏。「裁判はいくつか残っているが、基本的にはほぼ解決したと思っている」と自賛した。さらにメディア批判は、各社の橋下氏退任企画記事に絡んでも続く》

 橋下氏「メディアが振り返るのはいいことだが、僕が文化を軽視しているかのような検証になっている。文化を守れなんて誰でも言えるが、じゃあ守るべき文化は何かを誰が決め、いくら出すべきかということが一番の問題意識だった。メディアの検証力の無さだ」

 《そして大阪市が「ふるさと納税」制度を活用して5月に導入した芸術団体への寄付制度「なにわの芸術応援募金」を紹介する》

 橋下氏「僕が挑戦したのは、役所に税金を払うぐらいなら文化に回すという人のために、税金を払うか文化に寄付するかという新しい制度を作ることだった」

 《発言はまだ続く。波紋を呼んだ戦時中の慰安婦をめぐる発言にも、自ら触れた》

 橋下氏「(慰安婦の碑または像の設置を支持する市議会決議案をめぐって)僕が公開書簡を送っていたサンフランシスコ市の市教委が、こんな決議をしている。女性の人権問題を子供に学ばせるにあたり、日本の慰安婦問題だけを取り上げて教材にする、と。ほんとにこれでいいんですか、ということですよ。こういうことを知ってほしい」

 《橋下氏は平成25年5月、慰安婦について「(先の大戦)当時は世界各国の軍が必要としていた」と発言。世界各国が反省すべきだとして「日本だけが批判を受けるのはアンフェア」と主張した》

 橋下氏「各社はあれで僕が失速したというが、朝日新聞はあれをきっかけにその後、『吉田証言』の誤報を認めた。産経新聞もがんばってくれた。問題を矮小化せず、普遍的な人権問題として世界中がきちっと取り組むべきで日本だけの問題ではない、と日本国としても発信していかないといけない。僕は問題提起をしたつもり。歴史戦争になれば、中国の力はすさまじく強いんですから」

《「検証能力がない」。いきなり報道に対する「文句」から始まった橋下徹大阪市長の退任会見。冒頭約15分にわたる報道批判が終わると、記者からの質問が始まった。約8年に及ぶ政治家人生をどう振り返るのか》

 --退任にあたっての率直な感想と市民に対しての言葉は

 橋下氏「市民の皆さんには、住民投票をはじめそのほかの選挙を通じて重要な判断を下してくれたことに非常に感謝しています。僕からの問題提起は、市民に負担や我慢を負ってもらうことが多かった。そういう意味で負担やご迷惑をお掛けしたことは申し訳ないと思うが、僕が考えている大阪の将来像に『橋下は問題あるかもしれないが、それでも前を向いていこうとしている』と支持してくれたことはありがたい」

 《市民に向けて礼を述べた後、橋下氏は「また、不満をひとつ言えば…」と、読売新聞による施策の検証記事に注文をつけ始めた》

 橋下氏「僕がやったことが大阪をバラ色にしたとは思わない。でも、統計学を使って検証するならば、前府政、市政と比べてもらわないと。僕の8年間は、どん底まで下がっていた大阪の数字を何とか下げ止めた。次の松井(一郎・大阪府知事)、(後継の)吉村(洋文氏)体制は、次に進んでくださいよということ。在任中に評価してくれなくていいけど、政治家の評価はもっとロングスパンでしてほしい」

 《感想について問われると、橋下氏は『感想なんかあまり言ってもしようがない』と語り、重ねて市民への感謝を述べた》

 --8年間お疲れさまでした。これまでいろいろなものと戦ってきた。一番手強かった相手は

 橋下氏「あなたや朝日新聞などメディア。今後、メディア批判を徹底的に言っていくが…。府政、市政の両記者クラブの記者は、勉強していない人もいましたが、多くは勉強していて、その場で議論を通じて自分の考えを改めないと、と感じたこともある」

 《「メディア以外には」と問われると、「けんかしているわけではないので、感情的にはこん畜生とは思っていない」と“敵”の存在をやんわり否定した橋下氏。「行政改革すれば反対する人が出てくるのは当然のこと」と余裕を見せたが、思い出したようテレビのコメンテーター批判を始めた》

 橋下氏「記者クラブの記者は議論できるけど、問題はコメンテーターたちですね。どう評価されてもいいんですよ。でも一番腹立つのは、『何もやっていない8年間』と言われること。あんたのコメンテーター期間の方が無駄だろうと思うし、こんな失礼なことはない。(これまでの施策で)間違いもあったかもしれないが、やってきたという点では間違いない。こうしたコメンテーターを使い続けるメディアには腹が立つ」

 --改めて府市の首長としての評価を振り返ると

 橋下氏「評価は自分でやることじゃない。読売(新聞)の検証記事もアラを探すからああいうことになるんでしょうけど。よく『地に足のついた行政をしろ』と言われるが、自治体の長の仕事は住民サービスでしょ。限られた財源で、どういうのをやめて新規事業をしたか、その検証をしてほしかった。限られた財源でのサービスの転換にずっと挑戦してきた」

《穏やかな表情は変わらない。橋下徹大阪市長は、身ぶり手ぶりを交えつつメディア批判を繰り返しながらも、「政治家として悔いはない」と晴れ晴れとした表情もみせた》

 --やるべきことはやったと思うか

 橋下氏「やりました。これ以上は無理。持てる力は全部出し切った。無駄な8年間とほざくコメンテーターはしょうもない。失礼極まりない」

 --(17日に市議会で)修正、妥協をしていく姿勢が必要と言っていたが

 橋下氏「反発食らうことは僕がやり尽くした。役所の中でも反対が巻き起こりそうな改革プランはやり尽くした。あとは議会にきちっと議論してもらう。維新の会が100%正しいわけではない」

 --話し合いは自身のときには難しかった

 橋下氏「当たり前ですよ。今、副市長とも話していますが、20年くらいかかるようなところを、一つの案件で。それを数年でやる。それを協議してまとめ上げる。どこまで朝日新聞は幻想主義なのか」

 --結果的に地下鉄民営化などは進まなかったが、仕方なかったか

 橋下氏「当たり前です。大体改革プラン考えたときに、4年後に全部無理です。朝日や毎日がいうように、話し合いでやったら、他の改革も進まない。それだったら、進めるところだけ進めていく。最後残る部分は次にきちっと送っていく」

 《話題は、政治家生命をかけて、敗れた大阪都構想の住民投票に移っていく》

 --また都構想は目指す

 橋下氏「それは(後継の)吉村(洋文)さんと松井(一郎・大阪府知事)さんにやってもらう」

 --ご自身でやるというのはない

 「こういうメディアとのやり取りは終わりです」

 《改めて引退の意思を強調し、会見が始まってから一番の笑顔をみせた》

 --未練はないか

 橋下氏「僕がやれるところまではやりました。ここまでできたというのは、普通じゃできないところまでできた。何言われようが、住民投票までできた。大阪都構想の協定書も一応できあがっている。ここから反対の人たちと話しながら、まとめていくのは、吉村新市長の真骨頂。あの人はそういう政治家としての能力は天下一品」

 《今は批判の対象としているコメンテーターから政治家に転身した橋下氏。実際に政治家になって、考えが変わったのか》

 -政治家になってみて、政治家をどうとらえているか

 橋下氏「社会には絶対必要。政治家なくして民主主義はない。ただ、思った以上に、想像を絶するくらい実行するしんどさがあった。言うのは簡単。法人税減税、規制緩和、みんな言うが、政治の場で自分の考えを実行するのは、とてつもなくしんどい。民主党政権のときに、みんな言っていたができるわけない。財務省も党内にも反対がある。(軽減税率を)押し切ってやったのは、首相官邸の政治だから。政務活動費も、政治家になる前から問題と分かっていたが、改めていくのはどれだけしんどいか。物事を実行するしんどさは想像を超えていた」

 --支えられたご家族への思いは

 「家族に一番負担をかけていますよ。まじめに本気で政治をやろうというのは、家族を持ったらできない。この8年、家族には迷惑かけた」

 《もともと、メディアの世界の人間だった橋下氏。政界引退とともに、対立してきたメディアとの関係はどうなるのか。橋下氏が批判の的としてきた毎日放送の記者から質問が出たが、橋下氏は笑顔で“雪解け宣言”をした》

 --都構想のときには、だいぶ批判されたが、(MBS=毎日放送=のテレビ番組の)「ちちんぷいぷい」の番組関係者は今後、関係修復してもらえるか心配している

 橋下氏「政治家の立場とメディアの立場がある。権力チェックするのがメディアの仕事。個人的な恨みはない。人間として侮辱するなら許せないが、見解の相違を引きずることはない。だからといって、すぐに出るわけではないですよ」

 《質問は再び都構想に。橋下氏は「都構想は『必要十分条件』ではない」と熱弁をふるう》

 -都構想は統治機構改革だった

 橋下氏「都構想で経済成長ができるわけではない。成長戦略は全部あるが、(都構想ができていないので)実行する段階にない。都構想やったら、経済成長につながる必要十分条件と思っているが、都構想は必要条件だ」

 《自身が学力向上のため、導入してきた学校給食を例えに出し、さらに都構想の意義を強調する》

 橋下氏「学校給食もそう。給食食べたら、成績よくなるかといったら、よくなるわけはない。飯食うだけなら、太るだけ。都構想だけでは成長できない」

《報道陣の問いに、舌鋒鋭く変わらない“橋下節”で応戦する橋下徹大阪市長。退任会見らしい寂寥感のようなものはみじんも感じられない》

 --人気と批判、両方あったが、政治家として自らをどう評価する

 橋下氏「自分で評価してどうするんですか。人気ではなく、政策について支持する、しないがあるのは当たり前。住民サービスの転換をやったのだから批判が出るのも当たり前。『税金の使い方を転換します』と言えば、賛成・反対が必ず出る。これからの時代の政治家はみんな、賛成・反対を背負った政治家でないと。万人から好かれては政治はできない」

 --『私のような政治家が長くやるのは危険』と言っていたが

 橋下氏「僕みたいな『転換』『転換』ばかり言っている政治家は良くないですよ。賛成・反対を問うのはワンポイントでいいわけ。個別の政策について選挙で問うわけじゃないですから。ワンイシューじゃだめだといつも言っているじゃないですか。じゃないとこの政策は向こうの政治家がいいが、こちらは合わないとなる」

 「僕は転換点を迎えたなと。8年前から転換をやってきたわけです。朝日が報じたが、財政問題もそう。重大な転換ですよ。放置していたら大阪府はもう5千万円、穴を空けていた。20~25年後にも。借金の問題を先送りしていた。使っちゃいけないお金を使うのはバチッとやめて、借金の返済、減債基金の積み立ては先送りをやめて、毎年均一に積み立てるルールを作った。僕の役割は方向性を変えること。補助金、税金の使い方、子育て・教育に回すお金が少なかったその方向性を変えた」

 《途切れることなく手が上がる報道陣。橋下氏は言葉に詰まることもなく、早口で発言を重ねていく》

 --子供が笑う大阪と言っていたが、どうなった

 橋下氏「うちの子供は笑っていないですよ。全体を見て判断して下さい。私学に行けない子が通うことができた。もともとは区長からの話だったんですが、残念ながら病で命を絶たれた高校生がいました。それがきっかけで院内学級を作ったり…。選挙の仕組み上、仕方ないんですけど、これまで過剰に高齢者にお金を回していた。政治家から見れば、投票率が低く、票にならない若い世代に金を回して、そこを評価してくれる子育て世帯も非常に多いんじゃないかと思いますね」

 --民営化に関して積み残しは

 橋下氏「民営化反対と言っていた役所のなかで、民営化プランをまとめるのがどれだけ大変か、いっぺん会社でやってみて下さい。社内で反対と言われていること、変えてみて下さい。朝日は慰安婦発言の取り消しにどれだけかかりましたか。民営化のプランを立てるところまでは僕の役割だったのかなと思う」

 --市役所解体を訴えてきた

 橋下氏「解体というのは、職員全員がクビになるということではない。意思決定のあり方を変えるということ。大阪府内に関西テレビの営業本部が2つあって、許す社長がいますか。それぞれの部長が違う意思決定をして。そんなわけないでしょ。大阪に営業本部長は1人でいい。都構想というのは組織論であって分かりにくいです。企業、大組織のトップに立つ人は限られている。意思決定をどうするかがいかに大切か」

 「意思決定のあり方、大阪全体の行政を見たら(府庁・市役所と)2つあるのは大問題。最大は議会です。まとまらない。これが大阪の大不幸です。大阪都構想というのは、僕は市長の立場だから府庁・市役所の組織論を言ってきましたが、府議会と市議会を一から作り直して、一から議会を作ろうというのが本質なんです。大阪における行政の意思決定のあり方を一ら作り直さないといけないと痛切に感じました」

 《ヒートアップしていく橋下氏。議論は大阪行政を超えて基地問題、憲法改正にまで発展する》

 橋下氏「説明しろとメディアに言われるけど、『都構想でいくらのお金が流れる』とかしょうもないこと言っててね。住民投票を通じて分かりやすい財政効果論からやってきた。それで一定、議論してもらった。次のステップは真正面から大阪における行政の意思決定を問いかけていく。住民も受け止められるレベルになっている。あそこまで住民投票をやる過程で、メディアに腹立つこともあったが、役所のあり方にものすごい関心度高まってますから」

 「今後、意思決定について議論してくれると僕は思う。ひいては国全体で。辺野古の問題もそう。メディアが騒ごうが、デモしようが、政府が進めていく。現実、僕は執行するその世界で生きていたから分かる。騒いでも仕方ない。日本の行政の意思決定機構を変えないといけない」

 「民主主義のプロセスを作らないといけない。それがひいては憲法論になる。憲法改正論というのは9条はちょっと置いておいていいと思う。なんでもかんでもやったら国民もパンクしますから。大事なのは行政機構の意思決定です。基地問題は本気で解決したいなら、意思決定論。ここにしぼった憲法改正をしないといけない。大阪市民なら、都構想を経験したからそうした議論も受け入れると思う」

《橋下徹大阪市長による退任会見開始から約1時間。内容は、橋下氏が政治生命を賭けて臨んだ5月の大阪都構想の住民投票、そして政治理念に移っていく》

 --5月17日の記者会見。これだけ世論が割れている中で住民投票に持っていくべきではないとの考えだったが

 橋下氏「住民投票に持っていくべきとかじゃなくて、あのタイミングでは負けるところで僕が設定したってのは、僕の政治判断のミスですねと言った。負けた全責任は僕にある。任期中にやろうと言っていたので、それを避けるつもりはない。そりゃ、自分で十何年かけて全部このペースでずっとやり続けられるかっていうのは、できるわけがない。のんべんだらりと毎日、無駄な8年間と言われるようなそんな生活を送ってきたわけじゃない。本気で政治をやろうと思ったらそれだけのエネルギーが必要で、次々次々引き継いで、次またエネルギーのある人に引き継いでもらうしか無理。まあお飾りの首長だったら20年、30年でもやれますけど」

 --政治家として、国と地方の関係見直しに取り組んできた。8年間やってきて、できた部分とできなかった部分は

 橋下氏「僕がやってきたことなんてしょうもないことですわ。全体で見たら鼻くそみたいなこと。憲法改正で国の意思決定のあり方を変えていかないと無理。個別政策で言えば、関空だって僕の権限ではないが、慰安婦発言と同じように、やっぱり政治家ってのはある意味火を付けていく役割がある。地元自治体の大阪府が伊丹空港廃止を掲げながらいろんなことをやってきたが、最後は伊丹と関空が経営統合をして、コンセッションでオリックスグループが買ってくれた。あれで関空の長年の懸案だった金利負担部分の話がなくなった。そういうのを言い出したらいろんなことをやってきたっていうのはあるが、自分で自慢できるものはない」

 --この間、2度の政権交代があった。地方分権は進んだか

 橋下氏「進まない。大阪都構想を見てもらっても分かる通り。何で大阪市議会議員があんなに反対するのかというと、大阪市議会議員は、全国の地方議会の中でも最高ステータス。役所がどれだけの権限を持っているかというと、大学も地下鉄も病院もある。そこに乗っかってる議員も自分の力と思ってしまう。国会議員も同じ。地方分権なんかやって、国が持っている権限が地方に移るのは国会議員としては耐えられない。普通のサラリーマンはなるべく仕事を少なくしようとするが、政治家の場合は汗かかずに役人にやらせるわけ。権限と財源を持っていることはプライドや気持ちいいものがある」

 「つくづく思ったが、地方分権、国の行政の形を変えようと思ったら、そういうことを本気で思っているメンバーが憲法改正をやるしかない。憲法は統治機構を定める骨格。本当に地方分権をやろうと考えれば、憲法を地方分権型の憲法にしていくのが最大のポイント。それをやっていく政治グループとして、既存政党じゃなくて国政政党おおさか維新。そういう第3のグループが出てきてもいいじゃないですか」

 --市長と国政政党の代表を兼ねる取り組み。得られた成果は

 橋下氏「めちゃくちゃある。政治なんか最後は政治力。松井(一郎)知事と菅官房長官は、信頼関係はある。国政政党をつくるかどうかじゃなくて、人間的にものすごく波長があって信頼関係がある。その関係を核にしたとしても、国政政党があるのとないのでは政治をやる上で全然違う」

 「僕のやり方っていうのは、目標を定めたらありとあらゆる方策を立てる。振り返れば、コメンテーターや評論家が『ジグザグにしている』というのは簡単だが、目標を定めてそこに進もうと思ったらまっすぐにできるわけがない。右に行くことがあれば左に行くこともある。僕の目標は大阪都構想。それに向かって何をすべきかは全部分かっていた。国政政党がなくてもできるかって言ったらできません。最後の住民投票が成立したのは、最終局面での衆院選があったからできた。国政政党がなければここまでは来られなかった」

《橋下徹大阪市長の退任会見。報道陣は「引退後」について質問していく》

 --改めて今後どうするのか

 橋下氏「僕は私人になるんですから(笑)」

 --しかし、国政政党おおさか維新の会の法律政策顧問には就くと

 橋下氏「うん、そういうふうに(おおさか維新代表の松井一郎)知事から言われました。今、契約書を作っています。別に、(他の)弁護士は政策について意見を言っているわけでね。肩書は法律顧問でも、政策顧問でも…。顧問として、法律事務所として契約はきちっと結びます」

 --具体的にどんなことをしていくのか。松井代表は、法案を作る際のアドバイスを求めたいとしているが

 橋下氏「守秘義務の範囲です。受任者たる弁護士は一切言えません」

 《これまで政治について饒舌(じょうぜつ)に語っていたが、にわかに弁護士の顔になった橋下氏。ビジネスマンのようなスマイルでノーコメントとする橋下氏の“豹変(ひょうへん)ぶり”に、記者から思わず笑いが漏れる》

 --あくまで、私人として。それでも、政界引退ということですか

 橋下氏「ハッハッハ。引退じゃないですか」

 --ご自身が立ち上げた政党に、引き続き関わっていくと

 橋下氏「じゃあ自民党には、顧問弁護士いないんですか。あの人たちは、みんな政治家なんですか」

 --法律上のアドバイスをもらう弁護士は自民にもいると思うが、それと同じ形なのか、違うのか。よく分からない

 橋下氏「受任する業務は、守秘義務の範囲です。弁護士法で。記者のみなさんの取材源の秘匿とおんなじです」

 《納得がいかず質問を重ねる記者側と、「守秘義務」でかわす橋下氏との攻防は続く》

 --政治家としてではなく、一私人として関わる

 橋下氏「弁護士として関わります」

 --12日に行われた大阪維新の会の懇親会で、橋下氏は「来夏の参院選で自民、公明、おおさか維新で3分の2を目指す」と発言したと聞いている。この意図は

 橋下氏「ああ、あれは…。僕が言うことじゃないですよ。これはもう、松井代表の範疇(はんちゅう)。新聞がわざとニュアンスをね、おおさか維新は与党だということを示したくて…。僕は“したい”んじゃなくて“そういうふうになるだろう”と。そういうところが勝負になる、ということで言った。『一緒に組んでやろう』ということじゃないですよ」

 《おおさか維新の今後の立ち位置を見据え、慎重に発言をしているようだ》

 橋下氏「3分の2が(衆参両院で)必要だということで。僕は憲法改正が絶対必要だと思っているから。憲法はすぐ9条の問題とするが、僕は、統治機構を定める根本規範だと思っている。もちろん人権保障や安全保障もだが、何でもかんでも一緒に変えるのは無理。外交・安保は、安倍政権に賛否両論あるが一定、進めている。沖縄基地問題もそうだが、行政機構の意思決定が今の時代についてきていないと思っている。その部分は重要。衆院では、選挙をやったとしても(自公で)3分の2を取れるだろうと言われているので、参院で3分の2を確保することが大事だ」

 「でも、憲法改正を自己目的化したらいけない。手段なんだから。国民が安全に暮らし、地方自治体が活気を持っていく国にするためにも、憲法は大事だ。これまで、こういう憲法論はなかった。すぐに憲法変えたら戦争に巻き込まれる、とか。行政のやり方、意思決定の仕組みにひずみがある。これを正していくべきだ」

 《憲法と、自らがこだわる大阪都構想を重ね合わせる発言も続いた》

 橋下氏「都構想と同じ。バカなコメンテーターは、すぐに『都構想と経済発展は関係ない』と言うが、行政機構の意思決定のやり方を変えることで、実行力が変わってくる。都構想と憲法改正は一緒だと思っている。地方を活性化させるための憲法改正。その最大のチャンスが参院選です」

 --来夏の参院選で、憲法改正を掲げていくのか

 橋下氏「もっと日本を、地方を活力ある社会にする手段としての憲法改正、住民意思をもっと政治に反映させる手段としての憲法改正だ」

 --その動きに、どう関わっていくのか

 「僕は弁護士だって(笑)」

 《憲法問題から、再びメディア批判も》

 橋下氏「メディアに聞きたいのは、あれだけ9条の解釈の時に解釈の変更はダメだと大騒ぎしたけど、今回の(選択的夫婦別姓の)最高裁の憲法解釈はいいと。なんで内閣の憲法解釈はダメなのか。理屈が立っていないですよ。最高裁の憲法解釈を誰も批判していないじゃないですか」

 「憲法解釈は変えるのは当たり前なんですよ。解釈がこれでいいのか、と判断するのは、今は最高裁しかない。しかし最高裁では判断できないから内閣に委ねる、というのが統治機構改革。学者の言うことで違憲だと言ったら、世の中ぐちゃぐちゃになる」

 《橋下氏は、質問を続ける記者に「全然メモとってないよね(笑)」とツッコむ余裕もみせる》

 --憲法改正を語っていたが、本当に引退か

 橋下氏「弁護士だって、こういう話してるじゃないですか(笑)。大阪弁護士会の、何とか委員会に入ろうかなと思ってる」

 --本当に政治家を引退するのか

 橋下氏「何を言いたいの(笑)。政治家とはもう違うじゃないですか」