★“2016参院選”選挙結果の分析と考察★

2016参院選の開票結果

 

◆参院選で与党は議席を伸ばすも自民党の完全勝利とはならず | 主要紙の改憲勢力という言葉の使い方には違和感 | 日本の政治と選挙への考察 | 選挙は組織力なのかな、兄貴?◆

 

2016年7月10日投開票の「第24回参議院議員通常選挙」の投開票が終わり、すべての結果が出そろいました。立候補されたすべての候補者の方に敬意を表します。信念や主義主張、出馬の理由はそれぞれかと思いますが、大多数の候補者にとってみれば、選挙は人生の懸かった挑戦であり、死力を投じての選挙戦に心から畏敬の念を覚えます。さて、鉄は熱いうちに打てということで、2016参院選の考察を述べたいと思います。※画像出典:NHK選挙情報

 

 

●2016参院選の結果を主要紙はどのように報じたか?●

 

今朝(7月11日)の主要紙の新聞一面の選挙報道を拾ってみました。どの新聞も改憲勢力という言葉がお好きなようです。争点の単純化はいかがなものかと考えますが、皆さまはどう思いますか?

「朝日新聞」改憲4党 3分の2に迫る 自公、改選過半数 民進11減、共産伸び悩む 法相・沖縄相が落選

 

「毎日新聞」改憲勢力3分の2超す 自公 改選過半数 衆参で発議可能 1人区 野党11勝21敗 2閣僚落選

 

「読売新聞」与党大勝 改選過半数 改憲派2/3超す 民進振るわず 1人区 自民21勝11敗 岩城法相・島尻沖縄相落選 投票率54%前後

 

「日経新聞」改憲勢力3分の2 参院選 与党で改選過半数 民進苦戦、共闘及ばず アベノミクスを継続

 

「産経新聞」改憲3分の2 発議可能に 参院選 自民 1人区21勝11敗 来月に内閣改造▽首相、総裁「3期目」も視野

 

「東京新聞」改憲勢3分の2、4党に無所属など加え 参院選 福島と沖縄 閣僚落選 投票率推計54.7%

いくつかの新聞を読ませていただきましたが、新聞の機能というか強みは鮮度であり、深堀りという意味では満足できるものがありませんでした。印刷までの時間を考えれば仕方がありませんので、是非、日経ビジネスやダイヤモンド、東洋経済などの雑誌で、詳細な分析を実施した特集を組んでいただきたいものです。以降、個人的な見解を含む考察となりますことをお断りして綴ります。なお、ご意見はメールで承ります。

 

 

●2016参院選の投票結果 | 誰が勝ったの? どの党が勝利したの?●

 

獲得議席数

※画像出典:読売新聞「参院選2016」より一部修正(自民当選者に追加公認分を反映)

 

選挙結果が一目でわかる表を見つけられなかったので、簡単にまとめてみました。深夜(27時)まで開票立会をしていたため、朝はゆっくり寝ていたのですが「どの党が勝ったの? 誰の勝ち?」という友だちの早朝の電話で起こされまして、この記事を整理しようと思った次第です。にしても男性を中心に、勝ち負けをつけたがる方が多いですね(笑)。まぁ、わかりやすい答えを大衆は望む傾向があるのは昔からですが、少年ジャンプ的なノリは大人になってからは苦手です(^_^;)。結論から言えば「勝者不在!」と述べたいと思います。

 

もちろん与党で過半数を確保し、与党勝利というのが端的な事実でしょう。個人的にも安定した政権運営がなされることを期待しています。本日の日経平均もこの選挙結果を好感し、終値で600円以上の上昇を記録しております。市場は与党勝利を評価している。それでも、冷静に見てみると、自民党は6議席しか増えておらず、与党大勝とは言えないのも現実であると思います。自民党だけで単独過半数を取ることが、おそらく自民党幹部の方々の希望(目標)であったはずであり、たぶん勝利を喜べる状況などではないのではないか? と思っています。

 

一方で民進党は議席を13減らしておりますが、壊滅的な敗北という程でもなく、岡田代表が「残念ながら3分の2許してしまったのは事実だが、3年前に比べるとかなり回復途上にある」などと、しれっと述べてしまうあたりが“勝てなかったけれども負けたと思ってないもん!”という心の中(勝手な想像ですみませんm(__)m)を表しているように思います。民主党政権時のあれだけの失策や、民主党から民進党になる際のドタバタがあった割には、議席の消失(敗北)は13議席で済んでおり、岡田代表は前海江田代表とは違い、選挙に強い(弱くない)政治家だと感心した次第です。(注)誉めてないです。

 

一方で、共産党も議席が3つ増えたものの、大きな変化ではないでしょう(※議席を増やしたことが勝利といえばその通りですが)。その中で、公明党とおおさか維新はともに+5議席と、改選前の議席数を考えれば躍進しており、この2つは党として勝利したと言えるのではないでしょうか(おそらくそれぞれの代表はガッツポーズをしているかと)。特に関西圏では民進党を全滅させて、おおさか維新が議席を複数確保しており、橋下徹氏が政界引退をされた後も、勢力を維持されていることに期待の大きさを感じさせます。

 

 

●公明党の圧倒的な組織力と集票力と計算力●

 

先ず公明党を肯定するわけでも否定するわけでもないことをお断りして、今回の選挙からケーススタディとして感じた(学べる)ことを綴らせていただきます。今回の選挙で改めて驚かされたのは、公明党の組織力と集票力と票計算の、それぞれのスキルと精度です。公明党が今回の選挙で成し遂げたことを、事実ベースで分析していきましょう。

 

 

「公明党は選挙区で候補を擁立した7選挙区すべてで勝利」

 

外資系投資銀行のクオンツも驚愕の精度の高さと結果と言えるでしょう。アメリカにはプロの選挙コンサルタントという職業の方がいらっしゃいますが、彼らに教えてあげたら、That’s impossible! とか You’ve gotta be kidding! とか I can’t believe my eyes! と言って驚くこと間違いなしだと思います(妄想)。それぐらいちょっと信じがたい数字です。

 

各都道府県選挙区ですべての候補者が当選。これが意味することはつまり、勝てる(当選可能)人数をリサーチし、当選が確実と思われる人数のみ候補者を擁立する。誰もが求める理想的な選挙です。それを実際に計画して、遂行して、結果を残す。こんなことは世界中を見渡してみても、公明党にしか出来ないことだと思います。優良企業もびっくりのリサーチ力&マーケティング力&実行力だと思います。(注)誉めてないです。

 

 

「公明党の比例代表の得票数約370万票に対し、死票は約4万票」

 

全国比例代表の公明党に投じられた370万票のうち、死票は約4万票と、死票率はたったの1.08パーセントです。こちらも驚異的な数字です。落選候補に投じられた票のことを「死票」と言いますが、公明党にはこの死票が(ほぼ)発生しない。なんという組織の統率力でしょうか! 前回(2014)の衆議院議員選挙でも、「死票」は全国で2500万票以上発生し、小選挙区得票の48%を占めるなどの、選挙制度の問題にもなっていますが、公明党は投票先のコントロールを可能としているので、票を1票たりとも無駄にしないことは各党にとって脅威でしょう。

 

ちなみに民進党は比例代表得票数約875万票に対して獲得議席は11、日本共産党は比例代表得票数約560万票に対して獲得議席は5であり、数字の観点から分析すると新たな景色が見えてきますね(※民主党は団体がバックにたくさんいるので仕方がありませんが、共産党は数学(計算)が出来る人材がいないのか、党内権力闘争(内部抗争)が激しいのかどちらなのでしょうか?)。 この是非は置いておいて、もしも戦略的な選挙(票の割り振りができるなら…)と選挙関係者は公明党を羨んでいること間違いなしだと思います。

 

「戦いは数だよ兄貴!」と機動戦士ガンダムのドズル・ザビが残した有名な台詞がありますが(すべての戦の真理をここまで的確かつシンプルに述べた言葉を私は他に知らない)、公明党はこの戦は数に加えて組織力が絶大な力を持つことを我々に示唆しており、いろいろ考えさせられます。

 

 

●自民党は西高東低&都会優勢 | 注目選挙区の結果分析●

 

話が逸れてしまいました。それでは注目選挙区の結果を分析していきたいと思います。※以降の画像出典:NHK選挙情報

 

 

●北海道は民主王国の強さを誇示 | 労働組合の影響力は健在●

 

参院選の激戦区の結果

 

連合や労組の底力をまじまじと見せつけた選挙区であったと思います。今回新たに自民党が推薦を出した新人の方は経歴を見ると、コテコテの政治関係の方でありまして、自民VS民進の組織選挙の場であったと言えるでしょう。個人的に疑問なのは、自民党は2016年4月の衆議院議員選挙北海道5区で、早稲田大学卒業後に三菱商事に勤務されていたトップエリートを候補者に擁立した一方で、今回の参院選はそうでもなくて、組織の都合を見せられると無党派層は白けてしまうのかもしれません。一方で民進党の当選された方が68歳の新人というのも、民進党組織の意思決定の闇を見せられたようで、道産子の皆さまのお気持ちをお察しいたします。

 

 

●自民党は東北地方&上信越地方の一人選挙区で惨敗●

 

参院選選挙結果
参院選選挙結果

参院選選挙結果
参院選選挙結果

参院選選挙結果
参院選選挙結果

 

上の図を並べてご覧になっていただくとわかりやすいかと思いますが、東北&上信越(青森、岩手、宮城、福島、山梨、長野、山形)の選挙区で自民党が惜敗しております。この一人区での落選が多数出てしまったことが、自民党が単独過半数を確保出来なかった要因でしょう。北関東以北と上信越地域は、どうして自民党が弱いのか(野党が強いのか)、理由がわかる方は是非教えて下さい。いずれにせよ、東北&上信越地方の意向が、与党圧勝を阻んだと言っても差し支えなく、地方性が顕著に出たことや、国政に影響を与えることは、イギリスのEU離脱とも共通する傾向であると言えるかもしれません。

 

 

●新潟&大分 激戦区の惜敗率は示唆に富む●

 

2016参院選分析
2016参院選考察

 

新潟県と大分県の選挙結果を見て、胸が苦しくなりました。なんですかこの惜敗率。99%超えてますよね? 選挙は当選するか落選するかどちらかしかなくて、圧勝だろうが惜敗だろうが結果は一緒なのですが、それでも、この両県の破れた候補者の気持ちを察すると、辛くて胸がはちきれんばかりです。人はギリギリのところで負ける方がダメージを受けるというか、ストレスが大きいことに異論はないと思います。

 

就職活動で最終面接で落ちるとか、試験であと1点足らなくて落第とか想像してみてください。それを遥かに超える一歩手前での脱落。涙が出てきませんか? 本人は悔しくて吐きそうだと思います。人生って最後はというか、本当に重要なところでは運が左右するような気がしてなりません。それにしても、幸▲実現党が少数票ながらそれなりの影響を与えている(自民党への悪意あるボディブロー)とも言えて、なんとも言えない後味の悪さを感じます。

 

 

●日本の二大政党制は機能不全 | 小さな政府か大きな政府かの議論を●

 

他にも沖縄など、要注目な選挙区や比例代表の分析もしたいところですが、批評家にはなりたくないので、やめておきます(^_^;)。十分ぐだぐだ述べておりますが…。

 

最後に、そもそも論として、日本における参議院不要論や、二大政党制が機能不全であることから議論をする必要があると考えておりますが、今回のマスメディアの論調や争点が、与野党の立場と改憲勢力か否かであったことに違和感を感じずにはいられません。国政選挙の争点は、主なものでも「憲法」「安全保障」「社会保障」「経済政策」と大きなテーマがあるとともに、「小さな政府」と「大きな政府」のどちらが良いのか? という考え方というか方針を選ぶものであって欲しいと考えております。

 

「憲法」や「安全保障」は国益の観点から考えれば、考え方が衝突すること自体が不可解であり(野党が戦争法案などと形容すること自体が理解に苦しむ)、争点自体がミスリードされているように思います。日本人による日本のための政治は、平和で安定的な政治を意味しており(ナショナリズムと同義ではない)、国益をどう保護&拡大していくかが選挙の争点であるべきではないでしょうか。

 

イギリスのEU離脱も、根本的な問題はEUの権力と組織の肥大と腐敗であり、ジョン・アクトンが述べている通り「権力は腐敗する、絶対的権力は徹底的に腐敗する」可能性があります。某政党が叫んでいるような「低負担高福祉」は理論的にありえないことであるにも関わらず、受益者負担の建設的な議論がなされません。


加えて、医療費も福祉費もそろそろ限界です。教育機関への支出も日本は世界的に低い水準。受益者負担と日本の将来についての建設的な議論と、具体的な政策が聴きたいのに、争点は改憲勢力がどうこうとか、一時的な経済政策の可否だそうです。マスメディア(マスコミ)がおかしいと思いますが、こんなところで批判しても便所の落書きですね。なお、私は合理的なことを愛しておりまして、資本主義は正義だと思っています。

 

何が正しい情報で、何が正しくない情報なのか。それを判断するのはあなた自身であり、ひとりひとりが自分のアタマで考えて、責任を持って行動したり投票(立候補)出来るような社会になることを期待して、参院選の考察を締めたいと思います。供託金も高すぎですよね…。長々と読んでいただいてありがとうございましたm(_ _)m