★令和6年度 知多市一般会計歳入歳出決算認定 反対討論(2025/09)★

 

 認定議案第1号「令和6年度知多市一般会計歳入歳出決算認定」について、反対の立場から討論いたします。

 

 まず、討論に当たり、決算に対する基本的姿勢を述べておきます。決算認定は、予算がどのように使われたか、目的に沿って効果的・効率的に執行されたかを審査するものです。既に執行されたお金を事後的にチェックする手続きではありますが、その使われ方を検証し、問題点を明らかにすることで、翌年度以降の予算編成や将来の財政計画に活かすという、非常に重要な役割を担っています。市長をはじめ執行部の皆さまには、反対する理由を真摯に受け止めて、今後の政策立案に生かしていただきたいと存じます。

 

 令和6年度決算について、予算はおおむね適切に執行されており、限られた予算と人員の中で、多くの職員の皆さまが真摯に職務に取り組まれたことに、敬意を表します。一方で、本市の財政状況は極めて厳しく、自主財源比率は58.1%と前年度から5.6ポイント減と悪化しました。地方債残高も2024年度末で147億円を超えています。一般会計予算の審議でも申し上げましたが、2028年度には財政調整基金をすべて取り崩してもなお予算編成が困難になると見込まれています。そのため、継続的な経費の節減や効果的な財源配分の取り組みは欠かせず、将来世代に過度な負担を先送りしない財政運営が求められます。

 

 地方自治法第2条第14項にあるとおり、地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を上げるようにしなければなりません。しかし本決算には、この点で看過できない課題があり、反対いたします。認定に反対する理由は主に次の3点です。

 

①第一に、外部委託の多用と事業の進め方に問題があることです。

新庁舎オフィス環境整備支援委託や、西平井駐車場設計委託、広域交流拠点調査委託、北街区事業化検討委託など、本市の将来に大きく影響する計画や事業に関する根幹の業務を市職員が実施せず外注委託されている現状は妥当とは言えません。

 

 新庁舎の什器選定や、保存すべき文書の判別といった業務は、他自治体の事例等を研究しながら、職員が責任を持って取り組むべきものです。また緑園都市を掲げながら、新庁舎の職員駐車場の立地や規模を議会や市民に示すことなく、西平井ちびっこ広場を含む緑地を駐車場として整備する設計を実施したことは不適切であると考えます。

 

 さらに、広域交流拠点調査や北街区事業化検討を外部に委ねるリスクも軽視すべきではありません。そもそも朝倉駅周辺整備基本構想は、PFI事業と民間収益事業を組み合わせて新庁舎や新図書館を整備するという複雑かつ非効率な公民連携手法を採用しようとした結果、予算や内容が現実と乖離し、

公募に関心を示した民間企業からも契約等の問題点を指摘されて、中止に至った経緯があります。この失敗を教訓とせず、再び同じ構造の外注委託を繰り返すことは、非常に危ういと言わざるを得ません。

 

 貴重な時間と稼働を浪費した結果、当初約45億円とされていた朝倉駅周辺整備事業は、今や新庁舎建設工事費だけで84億1500万円に膨張しました。さらに新庁舎整備事業コンストラクション・マネジメント委託と新庁舎等設計委託で3.4億円、契約を予定する立体駐車場建設に約9億円が計上され、改修済みの朝倉駅前ロータリー整備費用と合わせると、総額は100億円を超える見込みです。しかも、この金額には職員駐車場整備費は含まれておらず、本市の財政への深刻なダメージが懸念されます。

 

 このように、アウトプットの価値や効果を十分に検証せず予算を投じていることは、極めて問題です。将来的に財政負担が膨らめば、市民サービスの削減や公共料金の値上げといった形で、市民生活へのしわ寄せが避けられません。実際、夕張市の財政破綻は特殊な例ではなく、全国各地で財政危機が顕在化しています。いま本市で行われているような「費用対効果を無視した事業の推進」は、こうした事態を招きかねないと強く危惧しています。

 

②第二に、随意契約及び物品調達、工事関係の契約の進め方に問題があることです。

本来、国や自治体の契約は「入札によることが原則」です。ところが本市では、入札が可能と思われる事業で、随意契約が実施されているものが散見されます。特に広報事業などで随意契約が繰り返されていますが、随意契約は、価格競争が働かず、入札の原則にも反しています。

 

 さらに、入札で決まった案件でも、予定価格の妥当性に疑問があるケースがあり、改善が可能であると考えます。予定価格は、適用経費率、市場価格情報、過去の積算時の実績データ、企業から提供される会社見積などを基礎として、試算し決定すべきです。特定企業からの見積徴収のみに基づいて、市場価格より割高な予定価格を設定して調達するようなことは、民間企業の調達では見られません。指名競争入札を前提とするのではなく、一般競争入札を行い、価格と品質を追求することを目指すべきです。

 

 特に空調設備工事などでは、物品調達と役務調達を分けるのが望ましいケースが散見されます。工業製品として製品情報、型番がある物品については、市場価格が明らかであり、物品と役務を一括にせず、分離調達することで、市場価格を基準にした透明な契約が可能になります。この点は、これまでの決算認定議案の審査、審議時にも指摘してきました。予定価格の不当なつり上げ、情報漏れ、談合を防ぐ対策を徹底しなければなりません。市民の便益を最優先とするため、入札の原則を徹底し、予定価格の精査と過剰な予算計上の改善を求めます。

 

③第三に、事業の優先度、重要度を考慮した予算執行となっていない問題があることです。

不要不急の事業に予算が割かれ、逆に住民サービスに直結する事業が後回しになっています。本来行政は、住民サービスの充実を最優先にすべきです。他市町より高額な放課後児童クラブの育成料を下げること、市内で活発なNPO活動をさらに支援すること、不便な公共交通の改善、市内雇用のマッチング支援、シルバー人材センターへの補助拡充、困窮者への生活支援など、直接的に住民の生活を支える事業にこそ予算を優先投入するべきです。

 

 少子高齢化による人口減は避けられず、税収増も見込めません。社会保障関係コストの増や社会インフラの維持管理、更新コスト増にも備えながら、公共サービスの維持・改善を目指し、住民満足を追求する予算執行とするために、見直しができる部分が多くあったと考えます。市の財政に対して、自身や家族の財布のような意識で慎重に臨み、「費用対効果の高い予算執行」を求めます。

 

 以上、認定議案第1号 令和6年度知多市一般会計歳入歳出決算認定について、反対する理由を申し上げて討論とします。

 

【参考資料】

https://researchmap.jp/read0152569