★議案第18号:令和8年度知多市一般会計予算_反対討論(2026/03)★

 

 

 

 

●議案第18号:令和8年度知多市一般会計予算(反対討論)

 

 

知多市議会議員 川脇裕之

 

 

 私は、議案第18号 令和8年度知多市一般会計予算について、反対の立場から討論いたします。   討論に当たり、まず予算に対する基本的な考えを申し上げます。

 

 市は様々な施策や事業を実施していますが、市が議案として示す一つひとつの案件については、市民の利益に資するものかどうかを判断基準として賛否を決しています。そのため、市民の利益の最適に適う多くの議案には賛成し、市民の利益にならないと考えるものには反対しています。

 

 一方で、予算は施策や事業の裏付けとなるものであり、市民から託された貴重な税金等のリソースを適切に配分することが求められます。市がどのような考えで予算を編成しているのか、必要な施策に十分な財源が投じられているか、不要不急の施策を推進していないか、コスト削減の努力を怠り過剰な予算を投じて税金の無駄遣いをしていないか等を総合的に判断し、予算への賛否を決定しています。

 

 今回、一般会計予算に反対するからといって、市が行う事業のすべてに反対するものではありません。これは論理的な判断であると認識しております。市長をはじめ執行部の皆様には、本討論で申し上げる反対理由と主張に耳を傾けていただき、今後の政策見直しの材料としていただきたく存じます。

 

 令和8年度知多市一般会計予算について、全体としては、限られた予算とリソースの中で職員の皆様が真摯に職務に取り組まれていることに敬意を表します。具体的には、

 

・コミュニティ交通負担金によるコミュニティ交通あいあいバスへの新車両導入(P65)

・コミュニティ施設等整備費によるつつじが丘コミュニティセンターの改修工事(P67)

・公民館整備費によるふれあいプラザの改修工事(P183)

・予防事業費による、RSウィルスワクチン接種の定期化等(P121) 

・公園等整備費による知多墓園合葬式墓地整備工事(P161) 

 

 など、地域交通の利便性向上に資する施策が実施されること、公共施設の維持管理対策が図られること、医療サービスの充実に向けた取組が進められること等について評価いたします。

 

 一方で、本市の財政状況は極めて厳しく、ホームページにも掲載されている知多市の家計簿によれば、

「知多市では、赤字市債である臨時財政対策債の発行と基金の取崩しを行わなければ歳出予算を編成することができず、慢性的な財源不足は解消されていない状況です。」とされています。

 

 令和8年度の予算概要書には財政状況への懸念の指摘が、令和7年度の予算概要書よりもやや少なくなっていると認識しておりますが、本市の一般会計における地方債現在高は令和6年度(2024年度)末残高が147億円(※1)を超えており、公共施設等整備基金残高も令和8年度(2026年度)末には約20億円にまで減少する見込みです。(※2)

 

 一方、歳入については、市税収入が前年度比1.6%の増と見込まれているものの、データを子細に確認すると、市税総額は平成9年(1997年)の約170億円(17,038百万円)をピークに横ばいで推移しており、固定資産税は平成11年(1999年)の約100億円(9,992百万円)をピークに20%近く減少しています。(※3)

 

 その結果、歳入構成における自主財源比率は、令和7年度(2025年度)予算の56.9%から令和8年度(2026年度)予算は53.7%へと低下する見込みであり(※4)、前年度比12.2%増の過去最大規模となる約410億円の新年度予算は、財政基盤の脆弱性を内包していると言わざるを得ません

 

 本市に限らず、少子高齢化の進行に伴う人口減少により、今後、安定的な税収確保は一層困難になることが見込まれます。一方で、社会保障費の増加や社会インフラの維持更新に係る経費の増大が想定されます。このような状況下においては、限られた財源の中で公共サービスの質を維持・向上させ、住民満足の最大化を図る予算編成が強く求められます。しかしながら、本予算は、継続的な経費節減や効果的な財源配分、さらには将来世代に過度な負担を先送りしない財政運営という観点において十分であるとは言えず、適正であると承認することはできません。以下、反対理由を順に申し上げます。

 

●「特別職給与費」について(P53(2-1-1))

 副市長の2名体制の継続に反対です。本市は知多市副市長の定数を定める条例を改正し、2019年4月1日から施行しました。副市長を増員し、2名体制とすることの問題点は「平成31年3月定例会の議案第2号:知多市副市長の定数を定める条例の一部改正について」の反対討論他で述べた通りです。また、現職愛知県職員を任命し、2年ごとに入れ替える人事運用についても大いに疑問があります。次に、

 

●「庁舎整備費」について(P57(2-1-4))

 新庁舎において市民が利用できる公衆無線LAN環境を構築することの必要性は認めますが、新庁舎公衆無線LAN設置委託料は、10GBの1回線、アクセスポイント数7台、同時接続数210台の仕様に対して1,900万円を超える委託料は高額であり、妥当な価格水準ではないと評価します。次に、

 

●「新庁舎整備事業費」について(P59(2-1-8))

 新庁舎用備品購入費に約2.9億円(289,660千円)が計上されていますが、減額を求めます。現行の什器を一部継続利用する方針は示されているものの、ロッカー等の収納庫や議会関係備品には引き続き使用可能なものが多く存在します。特に議会関係の机等の備品については、現在利用されているものは極めて状態が良いものが多くあります。調達内容を見直し、既存備品の活用を拡大することで費用抑制が可能であると考えます。次に、

 

●「広報事業費」について(P71(2-3-3))

 「ビデオ広報制作放映委託料」及び「コミュニティFM広報番組制作放送委託料」に計約1650万円を投じることに反対です。これらの事業は随意契約により継続発注されており、私はこれまでも広報事業費について疑義を呈してきましたが、費用対効果の検証が不十分です。住民満足度向上や人口増加への寄与が明確でない以上、縮小を検討すべきです。次に、

 

●「資源回収選別費」について(P135(4-3-2))

 プラスチック類処理委託料については、令和4年9月議会の一般質問「循環型社会に向けた資源回収の取組について」においても申し上げましたが、本市では61地区において地域回収が実施されており、加えて店頭回収も着実に回収量を伸ばしてきた実績があります。そのような中、多大な経費と労力を投じて、ごみ収集場所においてプラスチック類を毎週回収する方式については、環境負荷低減や経済性の観点から、その妥当性を裏付ける十分な根拠が示されているとは言えず、地域回収のさらなる推進や支援の充実といった方向性も含め、事業手法の再検討を求めます。次に、

 

●「観光振興事業費」について(P145(7-1-3))

 令和8年度予算では、前年度比5%増の約5870万円が計上されており、毎年予算が膨らんでおります。本3月議会の一般質問「都市公園における桜の現状及び老朽化対策について」でも取り上げましたが、梅まつりの開催期間中には周辺の生活道路で渋滞が発生し、住民の方から負担を感じているとの声を多数伺っております。特に本市は観光収入が市税収入に直結する産業構造になっておらず、住民生活への負荷という「負の側面」に対して、費用対効果は疑問であり、観光費の支出を増加させることは妥当ではないと考えて見直しが必要であると考えます。次に、

 

●「朝倉駅周辺整備事業費」について(P155(8-4-2))

 「北街区整備公募資料詳細検討委託料」には、令和7年度の900万円の予算と合わせて令和8年度に730万円の計1630万円を支出する計画です。本来、将来のまちづくりに関わる基本的な構想や方針の整理は、行政自らが責任を持って担うべき業務です。

事業計画の策定を外部委託することの問題点は、

・平成30年度:朝倉駅周辺整備事業化検討委託料4734万円

・令和元年度:朝倉駅周辺整備事業者公募支援委託料1632万円

・令和2年度:朝倉駅周辺整備公募支援委託料748万円

の計7114万円、朝倉駅周辺整備基本構想策定委託料を合わせれば1億円を超える委託を実施して、朝倉駅周辺整備が基本構想とはまるで異なる形になり、多額の税金と時間が失われたことからもリスクが高すぎると言えます。まちづくりの基本構想に関わる業務を外部委託に依存することには反対であり、北街区整備が持続可能な事業であると判断するのであれば、職員自らが将来展望を描き、主体的に検討を進めるべきです。

 

 次に、同事業の「朝倉駅前駐車場整備工事費」に関しては、過去の全員協議会で議題となった「朝倉駅周辺整備事業の今後の進め方について」及び「朝倉駅周辺整備事業における新庁舎整備の進め方について」において、「当地における民間の独立採算による立体駐車場の整備および運営は困難」とされているものです。駅前立体駐車場は事業による便益と費用を比較して、事業の実施の可否を評価するB/C(ビーバイシー)などが実施された形跡もなく、データも示されず、議論を欠いたまま、公募型プロポーザルにおいて、最低落価格を提示した事業者とは異なる事業者との契約締結となりました。

 

 本市が保有する公共施設の延床面積を2017(H29)年度から 2046(H58)年度までの 30年間で 20%以上縮減することを目標に設定しているにも関わらず、約9億円に及ぶ公費を投入して整備する事業として、上位計画との整合性や費用対効果の観点からも、十分な説明が尽くされているとは言えません。

 

 本事業における問題の詳細は、令和7年9月議会(第5回定例会)の一般質問「朝倉駅前駐車場の整備について」において指摘した通りですが、現在の旧保健センター跡地の駐車場は、2023年度の定期駐車1623台、普通駐車15,636台と、月稼働にならすと178台と最大駐車台数201台の範囲で問題なく稼働しております。公開情報を確認すると、朝倉駅の1日平均乗降人員は、2014年の7,700人程度から2022年は6000人程度へと減っており、駅の東側には民間事業者が運営する駐車場も増えました。本駐車場整備には「想定利用者数の妥当性」「料金設定および収支見通し」「駐車場規模の適正」といった点に大きな懸念があり抜本的な見直しを求めます。次に、

 

●「新学校給食センター整備費」について(P179(10-4-1))

 学校給食センターの役割や機能の重要性については認めるものの、本事業は、他市町との協業や民間施設の活用、自校方式の導入といった多様な選択肢について十分な検討が行われないまま、新たな施設建設を前提とした基本計画の策定を進める点に問題があると考えます。

 

 特に、人口減少が進行する中にあっては、将来的な需要の変化や施設の維持管理コストも見据えた慎重な判断が不可欠です。他自治体における最新事例の調査・分析を十分に行い、広域連携や既存資源の活用可能性を含めた比較検討を行うことが求められます。

 

 しかしながら、現状では、こうした調査・検討が十分に尽くされているとは言えません。給食センターは建築基準法上「工場」に分類されるため、建設場所は原則として「工業地域」「準工業地域」「工業専用地域」に限定されます。市有地での建設が困難な場合には、土地取得の検討も必要となり、財政負担の観点からも慎重に進める必要があります。

 

 したがって、本事業については、まず他自治体の事例や多様な手法について十分な調査を実施した上で、職員自らが主体的に検討を行い、責任を持って事業の方向性を判断すべきであると考えます。現段階で新施設建設ありきの基本計画策定を委託することは拙速であると考えます。

 

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 その他の事業についても、特に空調設備整備に顕著ですが、民間企業と比べ予算査定が甘い事業が散見されます。工業製品として製品情報、型番がある物品については市場価格が明らかであり、市場価格を基準とした物品調達を実施して、役務と分けるべきです。この考え方は、平成30年度決算認定議案の審査・審議時から繰り返し指摘している通りであり、調達や工事を分ける、分離発注に関する取組みについては、陳情書が出されているものと認識しております。

 

 以上、個別項目について、一般会計予算に反対する理由を申し上げましたが、地方自治法で「地方公共団体はその事務を処理するに当たっては住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」とされています。しかし、本予算はその原則が十分に徹底されているとは言えません。

 

 本市の人口は 2015 年から減少しており、市税収入も見通しは厳しい状況です。主要な税収である個人市民税と固定資産税が継続して増収する見込みはなく、さらに厳しい財政運営となることは明らかです。 

そのため、不要不急の事業に多額の税金を投じることや、賢い支出の議論を欠いたままに事業を推進することは、市民の行政への信頼を損ない、そして職員の労働意欲を壊しかねないと考えます。

 

 市の財政に対して、職員一人ひとりが自身の財布や家族の財布のような意識で慎重に臨み、最大の効果を上げることを追求すべきです。そうすれば、他市町に比べて高い放課後児童クラブの利用料の値下げや、本市の活発なNPO組織への支援拡大、脆弱で使い勝手の悪い公共交通バスの改善、人材不足に苦慮する事業者への市内雇用マッチング支援、定年退職後に仕事を求める方が増えている中でのシルバー人材センターへの補助拡大など、住民サービス向上に直結する事業や、住民の生活満足度を高められる分野へ重点的に財源配分を行うべきです。

 

 以上、議案第18号:令和8年度知多市一般会計予算について、適正であると承認できず、予算の見直しを提案申し上げまして反対討論といたします。

 

 

 

◆参考資料

 

(※1) 借金と貯金

https://www.city.chita.lg.jp/docs/2014010600059/

 

(※2 議案18号 歳入質問答弁

 

(※3) 市税の推移

https://www.city.chita.lg.jp/docs/2014010600042/

・市税総額:平成9年(1997年):約170億円(17,038百万円)

・固定資産税:平成11年(1999年):約100億円(9,992百万円)

 

(※4) 普通会計年度別歳入状況(予算概要P58)