★「学校へのエアコン設置」小中学校にエアコンがなぜ導入されないのか? 教育現場への空調導入(私案)★

小中学校へのエアコン導入

 

うだるような暑さである.信じがたいことに小中学校にエアコンが設置されていないケースが多い(愛知県内ではエアコンが導入されている小中学校はは3割程度).わが市では来年度以降のエアコン導入が予定されているけれども,もっと早くに導入するべきであった.そして目下の懸念は,オーバースペックで非常に高価な設備の導入になりそうなことである.小中学生に快適な学習環境を提供することと同時に,費用対効果の高い設備を導入することのチェックと提言が私の仕事であり役割であると考えている.だから,導入事例を調査し理想的な導入形態を研究している.

 

 

そんな中,豊田市で小学校1年生児童が熱中症で死亡したとのいたたまれない報道があった.実にやるせない事故であり心よりお悔やみを申し上げる.あってはならないことで,猛暑どころか35度以上という酷暑,炎暑と言っても差し支えないような暑さの中,学校という子どもが自宅以外で一番長く時間を過ごし,学習する環境でエアコンが設置されていないという異常な現実.税の分配機能やインフラの優先順位がめちゃくちゃな日本の政治行政の怠慢と不作為が不幸な事故として露呈した結果だ.なるべく早くエアコンを設置して快適な学習環境を整備すべきである.

 

 

にしても,近年のこの暑さは経験してきたことであり,予測されてきたことだ.それにもかかわらず,エアコン設置はあまり進んでこなかった.そして今回の事故が起きたから,導入するという(→豊田市が小学校のエアコン設置前倒し).メディア・マスコミが騒がなければ問題が露呈せず,その瞬間だけ湯沸かし器のように盛り上がり,問題に対して合理的な対策が取られないのは日本の悪いところだと思う.大阪北部地震のブロック塀の倒壊事故もそうだ.ブロック塀なんてものを許容していたこと自体が理解に苦しむ(フェンスを導入すべきだったのに構造欠陥のあるものを導入してきた).

 

 

そして事故が起きたから慌てて導入する.費用対効果も経済合理性もあったものではない.繰り返すが,小中学校にエアコンは当然導入すべきだ.同時にその学校のエアコン設置は,コストパフォーマンスを追求すべきであり,できるだけ安く良い製品であることが望ましい.これは別問題ではなく一つの命題だ.全国の自治体で1教室当たり(1台当たり)300万円以上のエアコンが導入されてきた.度し難い金額である.費用対効果の意識が欠片もないから無駄遣いする.

 

 

日本は野党やマスコミを筆頭に,問題分析や課題解決を志向するのではなく,否定と批判をすることが目的でそれを生業としている連中が多すぎる.だから,本稿で小中学校のエアコン導入に向けたの個人的な提案を交えて考察することとしたい.生産性がなく付加価値を生まない仕事をする人々が評価される社会の歪みが顕在化している残念な日本の現実に対し正論で挑みたい.人口減少で市場が縮小し,需給が縮減する日本には無駄遣いをしている余裕などないのだから.

 

 

誤解なきように要点を箇条書き風にまとめる.わかりやすい文章を書く能力に欠けているのを自覚しており,後日もう少し丁寧にまとめるが,エアコン導入の際の議論の叩き台としていただければ幸いである.

 

 

1.前提条件(小中学校エアコン設置の共通認識として共有したいこと)

 

学校のエアコン
  • 小中学校にエアコンは導入すべき.30度を超える環境でどうして子どもをエアコンなしの環境で学ばせるのか?日本は教育環境に投資をぜずに利回りがマイナスで住民サービスの向上に寄与しない箱モノばかり作ってきた.インフラ投資の優先順位がおかしい.
  • 公立小中学校は管轄が自治体であるため,基本的には市長村が環境整備を担う.学校にエアコンを設置する際には,いくつかの条件を満たすと,国から3分の1の補助金が出るが(学校施設環境改善交付金),残りは自治体が負担する.
  • 学校や子どもにエアコンなんて贅沢だと考えている人(主に高齢者)は一定数いる.だがそれを老害だ!などと指摘しても何の意味もない.自身の時代に手に入れなかったベネフィットを,後の世代や他社が得ることに抵抗感を示すのは仕方がないことではある.だから丁寧な説明とコストパフォーマンスが重要であると考える.
  • 大多数の日本人(中流階級)の所得が増えない現実を前に,将来に希望を描くこともできず,日々の家計が苦しい中で,他者が税金で得をすることに嫌悪感を抱くのだろう(日本人の所得が20年減り続けるという絶望的な構造欠陥なので本稿では指摘しない).
  • 職員室にエアコンがあることをヒステリックに否定的に叫ぶ人々がいるけれども,学校の先生はエアコンのない教室で授業をしている時間が長いわけで,教員の勤務環境が劣悪であるという現実は共通認識として持つべき.つまり,職員室にエアコンがついているので,先生だけ涼しい環境にあるというのは完全な勘違い.中学校の部活が問題になっているが,不要不急な報告書やアンケートの対応など,教師の労働環境は劣悪.だから志望者も激減している.
  • 決められた業務(ルーチンワーク)をきっちりこなすことに関しては行政や公務員は優秀であるが,経済合理性や費用対効果の視点や意識は皆無である.だから,良い製品やサービスを導入しようというインセンティブは働き難い.
  • 公務員や学校の先生のひとりひとりは基本的には真面目であるが,合成の誤謬で組織になると絶望的なほどに無能力になる.なぜか? 公務員組織は基本的に完全年功序列制であり,モチベーションとインセンティブの設計が機能不全を起こしている.働いても働かなくても報酬(待遇)は変わらない中では,楽をすることばかり考える.外注することが仕事になり,知識もノウハウもストックされない.成果を出しても評価されない世界で頑張るのは難しい.この国の行政機構は旧ソ連の社会主義の失敗からあまり学んでいない.
  • 個人の無能力という意味では議員や首長の方が遥かにかつ致命的にヤバいケースが多いが,それは別の問題なので別途まとめることとしたい.

 

 

以上の前提条件を元に公立の小中学校にエアコンを導入する計画を立てるとどうなるのか? 事例も交えて紹介したい.なお前述したように行政(自治体)は,制度が機能不全を起こしているため,特定の自治体が悪いのではなく,良いアウトプットが出てこないの構造的欠陥に陥っている.自分の家のエアコン調達であれば,性能や値段を吟味するのに,税金で使う金に対しては非常に無頓着になる.いま世の中で起きている無責任な税金の使い方は制度&構造欠陥が根本的理由なので解決は本当に難しい.

 

 

2.小中学校エアコン設置の課題(学校にエアコンを導入する際に起きている問題)

 

教育現場へのエアコン導入
  • 行政は苦情(クレーム)に対して敏感であり,公正性を重視しない割には公平性や平等を重んじる傾向があるため,公立小中学校にエアコンを導入する際には市内全校に一斉に導入するのが一般的である.10万人弱の自治体で中学校で5校前後,小学校で10校前後の大規模工事となる.規模と納期の要求による工費増を考慮することはない.
  • どれくらい行政や自治体にスピード感がないのか?公立学校にエアコン(空調)を導入するためには一般的に2年~3年かかり,次の進行となる.エアコンを導入するのに調査や設置の手法の検討が必要らしい.仕様を確認したり,メーカーや業者に最適な設計を提案させればわかることをカネと時間をかけて調査する.生産性の観点がないのだ.

  ・n年度: 現況の調査、設置手法の検討 
  ・n+1年度:設置手法の決定、事業計画の策定 等
  ・n+2年度:施工者決定、設計
  ・n+3年度:施工・完了

  • 行政には経済合理性や費用対効果の視点や意識はない.だから,自治体が学校にエアコンを導入すると1台200万~300万円以上になる.信じられないことに1教室(1台当たり)300万円以上もの費用をかけてエアコンを導入している.オーバースペックで必要以上の大規模工事を実施して,結果ランニング費用も膨らむ.
  • 他人の財布で他人のためにカネを使うときに人はもっとも無責任になる.これは構造的欠陥なので別の機会に記すこととして,学校へのエアコン導入に限らず行政が事業を実施する際に考えることは,手間やトラブルを避けることである.前例踏襲(他の導入事例に倣う)ことを何よりも優先し,面倒なことは避けたいという意識が根強い.
  • コストパフォーマンスの視点は欠片もなく,業者に楽に発注することを考える.丸投げ外注できてトラブルがなければ価格が高くても関係ないのだ.そして業者側も官公庁(公共機関)の仕事は稼げる,儲けられる,つまり利益率の高い製品や必要以上の稼働費用を請求できることを知っていて味を占めているため,安値の提案(利益率の低い受注)をすることはない(時に談合や癒着が起きる).
  • 建築年数が30年以上の小中学校では,そもそも教室の断熱や空調効率が悪いので,エアコン導入時には遮熱対策を実施するのが合理的であるが,合理性の観点はないため,エアコン工事だけ導入して,冷気を外に垂れ流す事態となり,結果,光熱費(ガス代・電気代)が過剰になる.全体を見てどうすれば省エネで運用できるかを考えることもない.なぜなら自分の家の光熱費ではなく税金で払われるカネだから節約するインセンティブが働かないのだ.

 

 

3.小中学校にエアコンを導入するためにすべきこと(私案)

 

学校の空調環境
  • 小中学校のエアコン設置に基本設計など必要ない(空調設備工事設計委託は無駄である).工業製品を各教室に導入するのに基本設計が必要か? 電源の問題は別途電線を引くことで解決できると考える.
  • 一刻も早いエアコン導入のために各学校・各教室ごとに導入計画を立てるべき.日本の悪しき平等文化.
  • 簡易な仕様書を各社に提示して,公募型プロポーザルを併用した競争入札を導入するのが望ましい.つまりXX室の教室(例えば100台)導入するから提案をして欲しいと依頼する.仕様を満たして一番安い価格で入札した事業者と契約する.その際に提案稼働(提案費用)を払う,提案契約と施行契約を分ける,これを怠ると癒着や割高な契約が発生する温床になる.
  • 仕様書を複雑にして,指名競争入札するのは最低の選定方式.にもかかわらず,ほとんどの自治体が形だけの指名競争入札をする.仕様書に入れ知恵するのも業者だから質が悪い.競争入札するなら一般競争入札とすべき.繰り返すがエアコン導入に複雑な仕様書は百害あって一利なし.仕様書を書いた業者が指名競争入札に参加するってプロレスか? 見せかけの公平性のためにいらぬ稼働をかけて実際は意中の業者と契約するのは本当に汚い手法だと思う.設計と施工は必ずしも分ける必要はないが,一括りが前提条件になってはならない.
  • 物品(エアコン本体)調達と,施工(エアコン設置工事)を分けるのもありだろう.各社が自社製品のエアコンの良さをPRできる.工事業者もどれだけ効率的に施工できるか腕の見せ所であろう.
  • Panasonicや日立,三菱電機,ダイキン,富士通ゼネラルなど大手メーカーだけでなく,ハイアールなども価格競争力があるので声をかける.
  • 導入工事は地元業者を下請けに活用することを要望しつつ,ヤマダ電機やヨドバシカメラなどの家電量販店も活用できるのではないか?
  • 完成検査(施主検査)を分けるのも一考.施工業者に完成図書を提出させる必要性は必ずしもないし,第三者の視点でチェックするのが有用ではないか? そもそも公務員にチェックを任せるのは難しい.
  • 個人的には学校のエアコンは,天井埋め込み型のエアコンやセパレート型のエアコンではなく,ウィンドウ型エアコン(室外機と一体型エアコン)が合理的ではないか? と考える.教室は窓に面している場合がほとんどであり,費用対効果が高い.PanasonicのCUBEのような製品 は費用対効果が高いのではないか?
  • 2018年補正予算を計上して,2018年年度の冬休みや春休みに順次導入すべき.行政のスピード感のなさと危機意識のなさは絶望的.
  • 地方債をもっと柔軟に発行できると良い.学校環境整備債権を発行して利回り1%にすれば購入者に困らないのではないか? 富裕層のカネはタブついているんだから.年利1%でも買い手はつく.地方債の引き受け手がなくなった時点でその自治体は破たんしているに等しいから,指標にもなる.必要な公共事業は国債(地方債)でやるべき.
  • ゼロかイチかの議論は本当に無駄で,イチに近づくように限られた予算の中で最大のアウトプットを目指すべきなのに,自治体の現場では生産性のある議論はほとんどない.意思決定過程ばかりを指摘して,政策形成を良きものにする議論ができないのは日本の教育の欠陥なのか,組織的欠陥なのか.学級委員会よりも酷いレベルの民主主義で日本の行政の現場はまわっている.

 

 

4.その他(参考になる情報やネット界隈で起きていることの考察)

 

  • 学校への空調はガス空調が主流であり安いとされているが大いに疑問を持っている.オフィスビルでガス空調はあまり聞かない.実際に動力源がガスの空調機(GHP)20%に対して,電気の空調機(EHP)は80%.民間が主にコスト面でお得であると考えて電気空調を入れているのに,公共施設になるとガス空調が安くなるのか? 非科学的で度し難い.
  • 永江一石氏の指摘に異論はないが,エビデンスを背景にした圧力のかけ方を指南しており,小中学校へのエアコン導入は急務で絶対に実施すべき事項であるものの,インテリなロビイングのようなやり口は少々懸念を覚える(長年の読者でファンだけれども政治行政や禁煙に関しては過激すぎるw).
  • 自治体の消費は民間事業者の受注でもあるので,安ければ安いほど良いというわけではない(下請け叩きのようなことはあってはならない).それでもコストパフォーマンスは愚直に追求せねばならない.税金の無駄遣いは許しがたい.例えば学校エアコン導入に2億円かかる想定を,賢く適切にコストリダクションして,20%抑えて差額の4000万円を放課後子ども教室や児童クラブなどの別の事業の原資として活用すべき.
  • 必要性やニーズに疑問のある公共施設は税金を湯水のように投じるのに,小中学校の教室という教育現場にエアコンを設置することも財政が厳しくて実現できないと多くの自治体は言う.日本は税金の使い方(投資配分)が根本的に間違っている.少子高齢社会で市場と需給が縮小する中で従来のやり方では破たんの一途をたどるのではないだろうか.既得権益が強すぎるのと,既得権益が賢くないので救いがない.文句を言うだけではなく自分にできることから取り組みたいと思う.

 

 

5.小中学校へのエアコン設置を迅速かつリーズナブルに実施するための検証と考察(追記)

 

 

 

長崎県の諫早市の教育委員会のコメントが掲載されている.必要性は認識しているが全小中学校に設置するには約8億円かかるため,財政負担が大きいから設置が進まないという.予算の優先順位が根本的におかしいのはこれまで指摘した通りだが,どうして8億円もかかるのかという点にも疑問を持った方が良いだろう.

 

 

立派なエアコン(クーラー)を入れるのが目的になっており,小中学校の児童&生徒に安全で快適な学習環境を提供するという目的から逸れてしまう.手段と目的を履き違え,課題が整理されず,解決に向けての有益な議論はほとんどない.教室を冷やして涼しく学べる環境を整える.そのために,できるだけ早くリーズナブルにエアコンを設置するという簡単なことが出来ない.

 

 

観念的な話は感情的な議論や定性的な内容になりがちなので具体的な事例で示す.例えば私の地域の小学校は1学年2クラス~3クラス.小学校全体で15クラス程度である.東京都心部と違って子どもが増えることはない.2クラスを維持できるかの瀬戸際である.10万人程度の地方都市のよくあるケースだ.

 

 

1つの小学校に必要なクーラーの数は15台である.先に述べたが窓型エアコンなど,リーズナブルな機種を選定して,1教室当たり50万円~100万円程度に抑えることも可能である.小学校低学年でもわかる計算をしてみよう.

・50万円×15教室=750万円

・100万円×15教室=1500万円

 

 

つまり,小さな小学校であれば,750万円~1500万円で普通教室にエアコンを設置することができる.ランニング費用は別途計算する必要があるが,イニシャル費用はこの程度.配電盤等の電力設備の改修の話が出てくるが,別系統で電源を新設すれば良いのではないか?(詳しくはないが,送電線新設で対応できないとは思えない).

 

 

※とことん節約することが是であるとは言わないが,コストパフォーマンスを突き詰めることもできる.小学校教室は64平方メートル程度であるから,約36畳となる.家庭用の20畳大型エアコンを2台導入する.1台当たり20万円程度だから×2台=約40万円+10万円(工事費)というのが50万円の根拠である.

 

 

無駄な調査に,無駄な設計,高価な機器調達,過剰な設備工事.こんな無駄なことを検討しているから,子どもの安全と快適な環境を提供する小中学校エアコンが導入されず,必要性の低いハコモノ等に税金を垂れ流している.こういう構造的欠陥を是正していかなければ,学校エアコン設置問題に限らず,社会インフラや公共サービスは維持・修繕できないと考える.節約して賢く投資する思考がない組織や人間が社会を駄目にしているのではないか?

 

 

どれだけ声を大にして言ったところで,相手が聞く耳を持たなければ(既得権益が行政の無駄で稼いでいるのであれば)改善は難しい現実があるが,諦めずに主張し働きかけていきたい.

 

 

●学校エアコン設置に向けて,企業はCSRやCSVを検討してはどうか?(7/24 追記)

 

 

(7/24 追記)↑科学的かつ定量的なエビデンスを示した秀逸な記事であると思う.フットワークの軽い自治体では,2019年夏前の学校へのエアコン設置に向けて,導入が検討されはじめることと思うが,先に述べた通り,自治体に投資対効果の思考はなく,公共事業で大きな利益を稼ごうとする業者が少なくない.

 

 

そのため,製品&サービスとコストパフォーマンスに自信があるメーカーや工事業者の皆さまには,積極的な提案と情報発信をしていただくのが良いのではないか.小中学校にエアコンが必要だ!という機運は高まっているけれども,どのような冷房設備が適切であるのかの議論はなく,コストと性能で競争力のある環境を提案できるのであれば,非常に魅力的な市場になりうる.

 

 

例えばCSR(企業の社会的責任)の一環として学校へのエアコン導入を表明してはどうだろうか? もちろん無料で実施すれば良いとか,利益度外視で実施せよなどと言うつもりはない.利益率を低く抑えて小中学校にエアコンを導入する提案が企業から出てきても良いのではないか?

 

 

CSR活動に熱心な割に内実は広告代理店に儲けさせることばかりにカネを使っている企業が目立つ.CSRからCSV(共通価値の創造)へ真剣に議論すべきではないか.世の中の社会課題に目を向けそれを本業で解決することで自ら事業機会を生み出し,自社の成長と社会的な課題の解決の両立を目指す取り組みが望ましい.

 

 

小中学校への迅速なエアコン設置を期待しつつ,そのエアコン導入が納得のいく内容になることを注視していきたい.

 

 

 

●小中学校へエアコン在庫150台を無償で提供することを表明する企業が登場(7/27 追記)

 

 

元気でんき株式会社が公立の小中学校に中古エアコンを無償で提供する事業を開始すると発表した.※以下引用.

 

 

現在、エアコン未導入の公立の小中学校においては、様々に企画・調査・見積などが推進されていることとは存じます。あるいは「中古エアコンの寄付」という扱いに前例がなく、戸惑われる向きもあるかとは存じます。しかしかながら、予算の一部でも削減でき、スムーズにエアコン導入が進むのであれば、これに勝ることはなく、何らかのお力添えができれば幸いにございます。
具体的な導入にあたっては、各自治体ごとの仕様があるため、現時点で提供内容を特定しきれない面がございますが、現在、学校で使用可能と判断できるパケージ・エアコンを約150台ほど用意しております。提供内容はエアコン本体(室外機付)であり、この提供に紐付いて私たちで別途有料の取付が必須といった条件も一切ございません。純粋にエアコン本体を無償提供するお申し出でございます。また、中古エアコンとは言え、省エネ対応がなされて以降の本体を提供させていただきますので、電気代については、本体の費用が無償であることも含め十分にメリットがあるお申し出になるかと存じます。

 

 

素晴らしい取り組みである.企業の宣伝にもなるし,自治体にとっては調達価格をゼロにできるメリットもある.先日CSRやCSVの取り組みが望まれると綴ったが,まさにWin-Winのモデルになりうる.問題は,この無償提供に対して手をあげる自治体が登場するかどうかであろう.自宅や事務所に無料でエアコンを提供するという話であれば,多くの人が飛びつくに違いない.それぐらいにありがたい話だ.

 

 

しかし,行政は前例のないことを嫌い,かつ節約意識に欠けるため,手を挙げる自治体は出てこないかもしれない.本件が成功すれば新たな成功モデルになりうるので,ぜひメディアの皆さまには取材をしていただくなりして,コトの推移を伝えていただきたい.ジャーナリズムやニュースバリューというのは報道によって世の中の理不尽や不正を指摘し,少しでもよくなる方向にサジェスチョンすることではないだろうか?

 

 

●学校エアコン設置に向けた断熱対策について(8/1 追記)

 

 

(8/1追記)学校などでは温度管理は我慢や根性の問題ではなく人権問題や環境に対する責任問題であるという主張と同時に,学校の断熱やエアコン設置の課題についてわかりやすく論理的に綴られている.マスコミ報道を元にエアコンガー!と騒ぐだけでカネの使い方を考えられない人々が多い中,実に素晴らしい提言であると敬意を表し紹介することとしたい.※以下引用.

 

 

  • 大半の教室は今のままでは「ものすごく暖まりやすく、冷えやすい」環境。
  • 「電力を使った力尽くでのパワー」で冷やしきる設備を入れるなら、その設備容量は過剰なものになり、予算も無駄に大きく膨らむ。
  • エアコン導入と同様、いやそれよりも大事なのは、建物の躯体の環境性能、すなわち断熱性能を上げること。後から改修するとなると、手間も予算も大きくかかる。
  • 教室の場合、最上階の屋上(屋根)を断熱すべきである。夏の日射は上からやってくる。まず熱の侵入を抑えることが大事。
  • 窓にいかにして熱を入れないかが重要な課題になる。おそらく大体の窓は南側を向いているので、まずは窓をペアガラスや樹脂サッシに改修することが望まれる。最も簡易に済ませるのであれば、断熱ブラインドという手もある。
  • 同時にやる必要はない。まずは一教室ずつ修繕して、「断熱改修をした教室」と「していない教室」を比べ、効果を実感する環境リテラシーを啓発することも教育の1つ。

 

 

このような付加価値のある提案や議論は行政や自治体の現場からはほとんど出てこない.それが先進国最下位レベルの日本の生産性を表しているように思う(人材の問題ではなく組織の問題).断熱対策と同時に教室への冷房導入は不可欠であると考えるので,断熱ブラインドの導入とリーズナブルでコストパフォーマンスの高いエアコンの導入が望ましいと考える.

 

 

6.お問い合わせいただいた件(ご意見)

 

本稿をご覧になっていただいた方からメッセージを頂戴した.個別に返信申し上げようとしたところ,入力いただいていたメールアドレスに誤り(誤記入)があり,返信が叶わなかったこと,また貴重なご指摘であったことから,転載させていただき,御返信に代えさせていただきたい.※併せてコメント欄を設置しました.ご意見や妙案等ございます方はご教示いただければ幸いです.

 

 

エアコンの設置について、大いに賛成なのですが、以前に学校関係の仕事をしていた時に、エアコンの設置に関わった際に、エアコン本体の予算組みはできたのですが、古い学校のため、エアコンの設置に伴い、電源容量が不足してキュービクルや電源経路等の電源工事が必要となり、それだけで何千万の費用が見込まれ頓挫したことがありました。
また、電気の契約の見直しも発生し、ランニングコストもかなり高く見積もられた記憶があります。 また、家庭用の大型エアコンだと配管の長さに制限があり、校舎の多くが日照(明るさ)を考えて窓が南向きに配置されており、その近い位置に室外機を置くと効率が著しく悪くなるという問題があり、これまた頓挫しました。
以上のことで導入できなかったという無念の思いがありました。 設置についてはみんなが前向きでもなかなか実現までは厳しい道があるかと思いますが、頑張ってください。

 

 

貴重なご意見いただき,誠にありがとうございます.

学校エアコン設置の際にはこの電源容量とキュービクルの件が問題となります.

 

現在調査をしていますが,既存施設の電源系統と統合するのではなく,別途電線(電源)を引いて,エアコン電源を新たな電源系統として新設すれば,工事経費を抑えることが出来るのではないか?との仮説を立てております.

 

また,配管の長さや教室の構造の件,非常に参考になりました。ますますウィンドウ型のエアコンが学校のクーラーとして親和性が高いのではないかと考えた次第です.ご教示いただきありがとうございます.

 

子どもの学校環境の改善に向けて,そして出来るだけリーズナブルにエアコンが設置させることを目指して,今後も尽力して参ります.

メッセージありがとうございました.

 



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コメント: 4
  • #1

    匿名 (水曜日, 01 8月 2018 15:47)

    東洋経済オンラインに断熱についての記事がありました。
    https://toyokeizai.net/articles/-/231394

  • #2

    川脇裕之(管理者) (水曜日, 01 8月 2018 16:46)

    >匿名(#1)様
    紹介ありがとうございます.素晴らしい記事であったため,本稿の「5.検証と考察」に追記いたしました.
    貴重な情報をありがとうございました.

  • #3

    (月曜日, 13 8月 2018 02:44)

    窓が南側にある事例が多いのであれば
    日差しに晒されると効率の落ちる室外機一体型の窓付けエアコンは向いてないでしょう
    それに窓付けタイプで教室程の広さをカバーできる冷房能力が有るとは思えません
    また、電源容量不足も新設ではなく改修工事で済むのであれば安く済むことが多いと思います。

  • #4

    川脇裕之(管理者) (月曜日, 13 8月 2018 13:55)

    >あ(#3)様
    ご指摘の通り,大容量のウィンドウエアコンは一般的ではないため,複数台設置することの可能性を考えておりましたが,合理的でないかもしれませんね.
    電源容量不足は,キュービクルの改修で何百万円~千数百万円の経費がかかってしまうのは本末転倒であり,コストパフォーマンスの良い電源確保はどの手段があるのだろう?と考えた次第です.
    貴重なご意見ありがとうございました.