★知多市の防災減災対策の充実について★

 

令和4年(2022年)6月議会(第4回定例会)一般質問

 

知多市議会議員 川脇裕之

 

「①防災減災対策の充実について」

 

(1) 災害用備蓄物資について

 ① 本年度を含む過去3年の購入予算及び主な購入物品について

 ② 備蓄食糧の考え方について

 ③ 知多市災害の救援に必要な物資の調達に関する協定について

(2) 指定避難所について

 ① 通信環境について

 ② 停電対策について

 ③ スマートフォン等の通信機器の充給電設備について

 ④ 宿泊時のプライバシー保護対策について

 ⑤ 避難所派遣職員とのコミュニケーション手段について

(3) 災害によるインフラの破損及び不具合への対応について

 ① 体制について

 ② 通報及び受付の手段について

 


 

◆10番(川脇裕之) 

 

 皆様、こんにちは。さきの通告に基づきまして、防災減災対策の充実について質問をいたします。

 

 近年、災害に関するニュースや話題を耳にする機会が増えたと感じている方も多いのではないでしょうか。実際にデータを確認すると、世界で2011年から2020年に起きたマグニチュード6.0以上の地震の回数は1,443回。うち日本では259回と、17.9パーセントを占めています。(※1) 

 

また、気候変動が一因と考えられる豪雨災害の激甚化・頻発化により、2019年の水害被害額は、全国で約2兆1,800億円と、1年間の津波以外の水害被害額が統計開始以来最大となりました。(※2)

 

 震災をはじめとする災害の予測は、最新の科学技術をもってしても困難ではあるものの、防災減災に向けての取組を充実させることで、被害を最小限に抑えることが可能であると考えます。本日は、本市の防災減災対策について現状を確認するとともに、さらなる対策の充実を求めて伺います。

 

 国の定める災害対策基本法に基づいて策定されている知多市地域防災計画では、地域並びに市民の生命、身体及び財産を災害から保護するとともに、市民一人ひとりの自覚及び努力を促すことによって被害を最小限に軽減し、社会秩序の維持と公共の福祉を確保することを目的としております。この知多市地域防災計画は、計画と附属資料を合わせて全5部、計1,000ページを超え、大変に充実した内容です。また令和3年度修正版では、新型コロナウイルス感染症を含む感染症対策等の取組を推進する旨が追記されるなど、適宜更新が図られています。本日は、防災減災対策の中で市民の方に影響する度合いが大きい項目として、次の3点について質問いたします。

 

 1点目、災害用備蓄物資について。

 知多市地域防災計画では、必需物資の備蓄及び調達について記載されており、知多市防災年報では毎年実績報告もされておりますが、直近の物資の調達及び備蓄の状況の推移を確認いたしたく、1つ目、本年度を含む過去3年の購入予算及び主な購入物品について、2つ目、備蓄食糧の考え方について伺います。

 

 次に、本市が市内のスーパーマーケットやホームセンター等と締結している災害の救援に必要な物資の調達に関する協定についてです。本協定では、市が災害時等において物資を要請し、相手方が供給可能な物資について、市または市の指定する者が運搬を行うと規定されておりますが、想定している支援物資の内容とロジスティクスを確認いたしたく、3つ目、知多市災害の救援に必要な物資の調達に関する協定について伺います。

 

 次に2点目は、指定避難所についてです。

 知多市地域防災計画では、小中学校とまちづくりセンター、合わせて20の施設が指定避難所に指定されておりますが、これらの避難所の備えと環境について確認いたしたく、1つ目、通信環境について、2つ目、停電対策について、3つ目、スマートフォン等の通信機器の充給電設備について、4つ目、宿泊時のプライバシー保護対策について、5つ目、避難所派遣職員とのコミュニケーション手段について伺います。

 

 次に3点目は、災害によるインフラの破損及び不具合への対応についてです。

 市内に災害が発生し、または発生するおそれが生じた場合で、市長が必要と認めたとき、災害対策本部が立ち上がります。その際は、自主防災組織に対し、異常現象及び災害危険箇所を発見した場合の通報協力や災害応急対策への協力などをお願いすることになります。また、応急対策活動の中核は災害対策本部が担いますので、市民の方からの問合せや通報への迅速な対応を行わねばなりません。市長を最高責任者とする災害対策本部の下で、総務部、消防本部をはじめとする各部が連携して対策に当たると計画されておりますが、具体的なフローを確認いたしたく、1つ目、体制について、2つ目、通報及び受付の手段について伺います。

 

 以上、壇上からの質問といたします。答弁よろしくお願いいたします。

 

 

◎市長(宮島壽男) 

 10番 川脇裕之議員の御質問にお答えいたします。

 御質問の1番目、防災減災対策の充実についてでございますが、いつ発生してもおかしくないと言われる南海トラフ地震や、年々激甚化している台風などの風水害に備えるため、防災減災対策の充実が求められています。本市では、食糧や資機材の備蓄の充実に取り組むとともに、新型コロナウイルス感染症対策をはじめとした避難所の環境整備を進め、災害の発生に備えております。

 御質問の1点目から3点目までにつきましては、総務部長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。

 

 

◎総務部長(森下剛) 

 御質問の1番目、防災減災対策の充実についての1点目、災害用備蓄物資についての1つ目、本年度を含む過去3年の購入予算及び主な購入物品についてでございますが、令和4年度の購入予算額は1,109万9,000円で、主な購入物品は、アルファ化米9,900食、乾パン1万1,160食など、更新時期を迎えた備蓄食糧や職員用備蓄食糧、薬等の生活用品です。3年度の購入予算額は783万9,000円で、主な購入物品は、アルファ化米8,200食、乾パン9,120食などの備蓄食糧、薬等の生活用品です。2年度の購入予算額は1,185万5,000円で、主な購入物品は、アルファ化米8,200食、乾パン9,120食などの備蓄食糧、災害用トイレ用品です。

 

 次に2つ目、備蓄食糧の考え方についてでございますが、備蓄食糧につきましては、アルファ化米、乾パンといった主食を中心に、大地震等の大規模災害発生時に想定される避難者の約3日分の量を備蓄しています。4日目以降につきましては、国、県への支援要請や事業者、自治体等との協定に基づく物資の支援により調達してまいります。

 

 次に3つ目、知多市災害の救援に必要な物資の調達に関する協定についてでございますが、食糧をはじめとした生活に必要な物資の調達に関する協定は、スーパーマーケットやホームセンターなどと8件締結しています。災害発生時には、必要に応じて協定締結先に要請し、物資の供給を受けることとしています。

 

 次に2点目、指定避難所についての1つ目、通信環境についてでございますが、小中学校の体育館、普通教室や、東部、岡田、旭の各まちづくりセンターにWi-Fi環境が整備済みですので、避難所の開設時にも活用してまいります。

 

 次に2つ目、停電対策についてでございますが、これまでもガソリン式やカセットガス式の発電機を避難所や備蓄倉庫に配備していましたが、令和3年度に定格出力1.8キロボルトアンペアのガソリン式発電機42台を追加購入するとともに、蓄電容量2,000ワットアワーの蓄電池21台を新たに購入し、避難所等に配備しました。

 

 次に3つ目、スマートフォン等の通信機器の充給電設備についてでございますが、スマートフォンや携帯電話の充電に対応するため、令和3年度に充電器42台を新たに購入し、避難所等に配備しました。

 

 次に4つ目、宿泊時のプライバシー保護対策についてでございますが、避難所は体育館などで多くの人が寝泊まりすることから、段ボールベッド、間仕切り用テント、段ボール製の間仕切りなどを備蓄し、プライバシー保護に努めています。

 

 次に5つ目、避難所派遣職員とのコミュニケーション手段についてでございますが、災害発生時の連絡は、職員安否情報システムにより事前に登録してある職員個人のメールアドレスに情報を配信するとともに、そのほかにも、MCAデジタル無線機、防災行政無線の双方向通信機能、特設公衆電話などにより、災害対策本部と複数の通信手段を確保しています。

 

 次に3点目、災害によるインフラ破損及び不具合への対応についての1つ目、体制についてでございますが、災害発生時には災害対策本部を立ち上げ、各所管の本来業務に沿った部や班により、道路や水道管といったインフラの破損や不具合に対応しています。また、インフラ事業者や建設事業者等と、早期復旧のため、人的・物的な支援等の協定を締結するなどの取組を進めています。

 

 次に2つ目、通報及び受付の手段についてでございますが、災害発生時に限定した通報や受付方法は特に設けておらず、市民からの通報は、電話やメール等で受けることを想定しています。寄せられた情報は災害対策本部に集約して被害状況を把握し、迅速に対応してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 

 

◆10番(川脇裕之) 

 答弁ありがとうございます。ただ今お答えいただいた内容について再質問いたします。

 

 1点目の災害用備蓄物資について、本市ではアルファ化米や乾パンといった主食を中心に、避難者1人につき約3日分の備蓄を準備しております。ただ、アルファ化米、乾パンともに、保存とカロリーには優れるものの、前者は食する際に水またはお湯が別途必要になりますし、後者はビタミンやたんぱく質等がほとんど含まれておりません。避難時に一時的に摂取する想定とはいえ、避難時こそ健康的で簡易に飲食可能な食糧があるのが望ましいのではないでしょうか。昨今、長期保存が可能な栄養機能食品や保存用野菜飲料が市販されており、非常時に摂取するのに有用な食糧の選択肢になり得ると考えます。そこで、再質問の1つ目、災害用備蓄の食糧に栄養機能食品や保存用野菜飲料を加える考えについて伺います。

 

◎総務部長(森下剛) 

 御質問の件につきましては、栄養機能食品や保存用野菜飲料といった栄養食の備蓄は必要な栄養素を確保するために重要なことではありますが、消費期限や保管場所等の問題もあり、今後の検討課題と考えていますので、よろしくお願いいたします。

 

◆10番(川脇裕之) 

 次に、同じく災害用備蓄物資について、本市では令和4年度から液体ミルクを調達しておりますが、液体ミルクはライフラインが断絶した場合でも、水、燃料等を使わずに授乳することができます。そのため、2016年に発生した熊本地震の際にその有用性が注目されたとの報道があったと記憶しております。その後、国内食品メーカーも研究開発に積極的になり、賞味期限が18か月の商品も登場しております。また、粉ミルクは消毒済みの哺乳瓶が必要になりますが、液体ミルクは缶や紙パックに直接装着可能なアタッチメントも発売されており、赤ちゃんが直接飲むことができるなど、利便性に優れております。

 

 そこで、再質問の2つ目、乳幼児用食糧として、粉ミルクから液体ミルクへの移行をさらに進める考え及び直接装着可能な液体ミルク用アタッチメントを調達する考えについて伺います。

 

◎総務部長(森下剛) 

 御質問の件につきましては、液体ミルクは消費期限が1年から1年半に延びたことから、今年度からこれまでの粉ミルクの半数を液体ミルクに置き換えて購入します。現在はアタッチメントの購入予定はありませんが、今後、必要性等を検討してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 

◆10番(川脇裕之) 

 次に2点目の、指定避難所となっている小中学校における通信環境については、避難所開設時には学校管理のWi-Fiを避難者用に活用するとのことですが、この点について具体的な手順等を確認いたしたく存じます。普段小中学校のWi-Fiは、教師及び生徒のみのアクセスを許可するクローズドなネットワークになっておりますが、再質問の3つ目、避難所開設時に誰がどのような手順で避難所利用者が使用可能なオープンネットワークに切り替えるのか伺います。

 

◎総務部長(森下剛) 

 御質問の件につきましては、小中学校に設置されているWi-Fiを避難所利用者が使用できるようにするには、切替操作が必要になっています。大規模地震発生時には、学校の教職員を避難所派遣職員に指定していますので、その教職員に切替操作をしていただいています。風水害時は、台風の接近などで事前に避難所開設が予測される場合には、教職員が全員退勤する前に市から切替操作を依頼しますので、よろしくお願いいたします。

 

◆10番(川脇裕之) 

 今の答弁につきまして、再質問の4つ目、今後の知多市総合防災訓練等において、小中学校の避難所開設時におけるWi-Fi切替操作を訓練項目として組み込む考えについて伺います。

 

◎総務部長(森下剛) 

 御質問の件につきましては、総合防災訓練に限定せず、連絡方法など、避難所派遣職員研修等の機会を捉えて周知してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 

◆10番(川脇裕之) 

 次に2点目の指定避難所の小中学校避難所の通信環境について、停電対策に発電機と蓄電池を配備したとのことですが、一般的にWi-Fiは停電時には使用不可能となります。

 そこで、再質問の5つ目、指定避難所の停電時の通信環境について伺います。

 

◎総務部長(森下剛) 

 御質問の件につきましては、停電時には携帯電話やWi-Fiなどは使用できなくなることも想定されます。電気の復旧までは、MCAデジタル無線機、防災行政無線の親局と子局との双方向通信機能、特設公衆電話の活用を考えていますので、よろしくお願いいたします。

 

◆10番(川脇裕之) 

 各携帯電話基地局には、緊急時に備えてバッテリーが用意されており、停電時でも通信ネットワークを維持するための対策が取られております。そのため、停電時には各携帯電話基地局へのアクセスを実現するモバイルWi-Fiルーターが有効であると考えますが、再質問の6つ目、モバイルWi-Fiルーターを調達して、停電時に指定避難所に配備する考えについて伺います。

 

◎総務部長(森下剛) 

 御質問の件につきましては、ほとんどの避難所にWi-Fi環境があることから、現在のところ、モバイルWi-Fiルーターを導入する考えがありませんので、よろしくお願いいたします。

 

◆10番(川脇裕之) 

 次に、同じく2点目の指定避難所の宿泊時のプライバシー保護環境については、妊婦や乳幼児がいる世帯等では、避難所生活の困難が想定されます。本市には、それなりの規模を有するホテルがないため、災害時における宿泊施設の使用に関する協定は締結しておりませんが、乳幼児がいる世帯の避難には、ホテルを借り上げて一時的に利用できるようにすることが望ましいと考えます。

 

 そこで、再質問の7つ目、災害時における宿泊施設の広域的な使用に関する協定の近隣自治体との締結を検討する考えについて伺います。

 

◎総務部長(森下剛) 

 御質問の件につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、避難所が密状態になることが懸念されますが、現在、市内には避難所に適したホテル・旅館等の施設がないことから、協定は締結していません。避難スペースの拡大等により、指定避難所で想定される避難者を全て受け入れることが可能なことから、近隣自治体と広域で宿泊施設の使用に関する協定の締結は検討していませんので、よろしくお願いいたします。

 

◆10番(川脇裕之) 

 次に、同じく2点目の避難所担当職員とのコミュニケーション手段については、避難所派遣職員へのスマートフォン貸与はなく、個人端末へのメール通知と職員安否情報システムへの登録等を実施する運用です。しかしながら、避難所の運営や対応という公的な職務が属人的となり、かつその遂行に用いられる端末が個人所有のものであるというのは望ましい状態ではないと考えます。

 避難所開設時には、派遣職員が災害本部との連絡を密にする必要があるだけでなく、現場の情報集約を一手に担うことが想定されます。そのため、災害本部への報告や情報共有をするために用いる機器やシステムを防災対策として具備することが望ましいと考えます。

 そこで、再質問の8つ目、避難所派遣職員の職務遂行のために、スマートフォンと回線契約を調達する考えについて伺います。

 

◎総務部長(森下剛) 

 御質問の件につきましては、MCAデジタル無線機、防災行政無線の親局と拡声子局との双方向通信機能、特設公衆電話により、複数の通信手段を確保していることから、現在のところ、新たにスマートフォンを調達する考えがありませんので、よろしくお願いいたします。

 

◆10番(川脇裕之) 

 次に3点目の、災害によるインフラ破損及び不具合への対応について、先進自治体では、地方公共団体によるLINE公式アカウントを災害対策に有効活用しています。本市も知多市LINE公式アカウントを登録認証済みですが、その仕組みをうまく活用し切れていないように思います。

 

 例えば、福岡市では、災害情報ではないものの、道路、河川、公園の不具合などの通報を受け付けるといった活用をしております。チャットボット機能により文字の入力の必要を最小限にするなど、住民の負担を軽減しながら、通報による情報収集、通報内容の整理、通報内容の担当部署への仕分けといった窓口業務の軽減にも役立てているとのことです。神戸市や三重県伊勢市でも、職員や消防団員が災害時に活用し、その効果が実証されたとのことです。(※3)

 

 そこで、再質問の9つ目、知多市LINE公式アカウント等(※4)で災害発生時に情報の一元的な集約と共有を検討する考えについて伺います。

 

◎総務部長(森下剛) 

 御質問の件につきましては、LINEにはインフラの破損等の不具合を通報するシステムや、チャットボットによる情報収集などの機能がありますが、偽情報等の問題もあり、現在のところは導入する考えはありませんので、よろしくお願いいたします。

 

◆10番(川脇裕之) 

 答弁ありがとうございました。それでは、答弁いただいた内容を踏まえ、要望を申し上げます。

 

 災害用備蓄物資のうち、食糧については、賞味期限の関係もあり、毎年度調達が必要なものですので、栄養機能食品や保存用野菜飲料といった栄養食の備蓄の検討をお願いいたします。あわせて、粉ミルクから液体ミルクへのリプレースを進めていただき、その際には液体ミルクに直接装着可能なアタッチメントの購入を検討いただきたく存じます。

 

 幸いにも、本市はスーパーマーケット等が充実しており、食糧をはじめとした生活に必要な物資の調達に関する協定を8件締結しております。備蓄で賄い切れない物資のうち、優先的に調達が必要と想定される物資リストを締結先企業と調整して、在庫保有や定期購入の契約など、アプローチを工夫していただきたく存じます。災害用備蓄を使用しなければならない事態が起きないことが理想ですが、緊急時に健康の心配をせずに摂取できる食糧についての検討を引き続きよろしくお願いいたします。

 

 次に、指定避難所の備えと環境については、停電対策として、ガソリン式発電機と蓄電池と充電器を新たに備蓄したとのことで安心いたしました。また、スマートフォン等の通信手段は災害時に欠かせないライフラインになりますので、小中学校の避難所開設時におけるWi-Fiの切替えが速やかに実施できるよう、研修やマニュアル整備の推進をよろしくお願いいたします。

 

 そして、指定避難所は、十分な人数の受入れができる想定でプライバシー保護に努めているとのことですが、妊婦や乳幼児を抱える世帯の避難の現場は厳しい環境となることが想定されます。市内には、避難所に適したホテル・旅館等の施設がないことや、近隣市のホテルは臨海部に立地していることなどから、万全な環境を見つけることは容易ではありません。しかし、妊婦・乳幼児の避難先としてホテルと協定を締結している自治体もございますので、県内自治体との広域連携による避難先の確保を検討していただきたく存じます。

 最後に、避難所担当職員との連絡手段及び災害発生時の情報の集約共有についてです。

 

 災害時には、避難所派遣職員の稼働は逼迫することが予想されますし、事態によっては、災害対策本部との密な連絡が欠かせません。交代、引継ぎも大変でしょう。そのような状態で、個人所有機器の業務への使用を強いるのは望ましい体制ではないと考えます。昨今、端末価格が3万円以下程度のリーズナブルなスマートフォンも多数発売されておりますし、通信費用も月額ゼロ円から3,000円程度のプランが充実しております。職員を避難所に派遣する際に、その避難所にひもづくスマートフォンを持たせる体制を確立しておけば、個人端末を公務で使わざるを得ない状況を防げるだけではなく、人事異動や勤務交代による属人的な情報のひもづけも不要になるのではないでしょうか。

 

 また、災害によるインフラの破損や不具合を発見した際に、住民がどの所管であるのか即時に判別して通報するのは困難です。本市では、災害対策本部が立ち上がっても、市民からの通報は電話やメール等で受け取ることを想定しており、寄せられた情報は災害対策本部に集約して、被害情報を把握せねばなりません。これは非効率であり、時間と労力の無駄を生み、情報の行き違いが発生するリスクもあります。

 

 先ほど事例で紹介したとおり、公式LINEアカウント等を活用するなど、有効な情報収集や情報共有手段は、ほかの自治体でも参考になる事例が多くあります。電話やメールといった利便性の低いツールを基本とするのではなく、住民と職員の双方にとって使い勝手がよく、信頼性の高い手段の方法の検討をお願いいたします。以上で1番目の質問を終わります。