★「カルロスゴーン海外脱出事件」考察-大衆の怒りと日本メディアの報道が怖ろしい★

カルロスゴーン会見

 

 

カルロスゴーン氏の海外逃亡事件がメディアやネット、SNSを賑わせている。日本のマスコミの報道のレベルの低さと低俗さ、ネット民&SNS民の怒りと憎しみの深さを示す実に象徴的な事例になっていると思う。日本のマスコミは能力に根本的な欠陥を抱えており、ヤフコメを筆頭にルサンチマンの闇は深い。考えたことを少しだけ綴ることとしたい。

 

 

①カルロスゴーン海外脱出「私はレバノンにいます」本人の声明発表で判明。海外メディアが第一報。

 

本事件は「ゴーン氏が出国を図ろうと画策」などの検察や当局等の発表ではなく、ゴーン氏本人から出国したことを伝えるメッセージが発せられたことがはじまりである。出国(海外逃亡)が本人から告げられるという衝撃的な報道。カルロスゴーン曰く「逃亡したのではなく不公正と政治的迫害から逃れた」のだという。

 

拘束側(逃げられた側)にこれほど恥ずかしい失態はないだろう。そして逃げた側は見事な手腕である。莫大な金を惜しみなく投じてプロジェクトを完遂させた。徹底的なリスク管理と事前準備。カルロスゴーン見事なり。

 

私はゴーン氏を擁護するつもりは欠片もないし肯定するつもりもない。それでも目的のためには手段を選ばないマキャベリズム的プロジェクトを実行して、目的(海外脱出)を達成したことに驚嘆している。

 

PMC(民間軍事会社)を活用する発想(ヨルムンガンドおすすめ)は、日本人富裕層には出てこない選択であろうし、海外出国後に反撃の狼煙を上げる(声明発表)というのも逃亡だけが目的ではなく、戦闘と勝利を目指していることが伝わってくる。ゴーン氏の罪や賛否はさておき、ファイティングスピリットに私は震えた。

 

→【声明全文】ゴーン被告「私はレバノンにいる」渡航禁止も出国

 

"I am now in Lebanon and will no longer be held hostage by a rigged Japanese justice system where guilt is presumed, discrimination is rampant, and basic human rights are denied," Ghosn, 65, said in a brief statement on Tuesday." "I have not fled justice - I have escaped injustice and political persecution. I can now finally communicate freely with the media, and look forward to starting next week."
私はいまレバノンにいます。 もはや私は有罪が前提とされ、差別がまん延し、基本的な人権が無視されている不正な日本の司法制度の人質ではなくなります。 日本の司法制度は、国際法や条約のもとで守らなくてはいけない法的な義務を目に余るほど無視しています。 私は正義から逃げたわけではありません。 不公正と政治的迫害から逃れたのです。 いま私はようやくメディアと自由にコミュニケーションできるようになりました。 来週から始めるのを楽しみにしています。

 

 

②日本国民の怒りの矛先は何か?誰の責任か?検察権力と自分を同一視する風潮に違和感を覚える。

 

特にヤフコメとSNSに顕著であるが「カルロスゴーンは日本(日本人)の敵だ!絶対に許さない!厳しく処分しろ!」という意見が逮捕後に多く見られた。そして同様にゴーン氏逃亡の過失関係者にも敵意が剥き出しにされている。具体的には「カルロスゴーン氏は絶対悪」であり「ゴーン弁護団は共犯者」であり「関西国際空港(出入国在留管理庁)の杜撰な管理はクソ」と否定されている。

 

日本はメディアが先頭を切って「犯行当事者を血祭りにあげる」「謝罪させる」「罰を与える」ことを優先する傾向があり、私はそれに違和感を覚える。ステークホルダー毎に考えてみたい。

 

●カルロスゴーン弁護団の責任?

 

まず、ゴーン弁護団はゴーン氏のビジネスパートナー(利害関係者)でしかない。弁護団の一人「高野隆」氏がブログで裏切られた心境を赤裸々に綴っている。日本のメディアは一次情報を加工編集して自社都合解釈して報道する傾向があるので、マスコミを通じた情報は疑いの目を向けて接した方が良い。全てを疑えと言っているのではなく100%信じるなということである。日本のマスコミは自然に嘘を吐く。

 

→彼が見たもの(刑事裁判を考える:高野隆@ブログ) 

 

大晦日の朝、私はニュースで彼がレバノンに向けて密出国したことを知った。まず激しい怒りの感情がこみ上げた。裏切られたという思いである。しかし、彼がこの国の司法によって扱われてきたことを思い返すと、怒りの感情は別の方向へ向かった。実際のところ、私の中ではまだ何一つ整理できていない。が、一つだけ言えるのは、彼がこの1年あまりの間に見てきた日本の司法とそれを取り巻く環境を考えると、この密出国を「暴挙」「裏切り」「犯罪」と言って全否定することはできないということである。彼と同じことをできる被告人はほとんどいないだろう。しかし、彼と同じ財力、人脈そして行動力がある人が同じ経験をしたなら、同じことをしようとする、少なくともそれを考えるだろうことは想像に難くない。

 

 

金と権力と欲がなければこんな大規模プロジェクトは実行できない。だから、これは一般的な事件ではなくレアケースなのだ。弁護士がゴーン氏の24時間監視を義務付けられていたのであれば、その不履行を咎められて仕方がないだろう。しかし考えて欲しい。カルロスゴーン氏本人の出国の便り「私はレバノンにいます(まるで旅行記…)」があるまで誰も気づかなかったのだ。

 

ゴーン氏弁護団を責めるのは酷ではないだろうか。そして責めるのであれば、何がどう問題であったのか(弁護士の責任がどこまでなのか)を明確にすべきだろう。記者がうじゃうじゃ押しかけて5W1Hの欠落した感情論の責任論を問うている光景を見ると背筋が凍る。日本のマスコミは自分たちが正義であると考えており私刑を下すことを是とする傾向がある。そして誰もそれを咎められない。リンチは誰得なのか?

 

 

●関西国際空港(出入国在留管理庁)の責任?

 

同様に責任を追及されているのが関空と出国管理者(法務省)。今回、ゴーン氏はプライベートジェットで巨大荷物ケースに荷物として入り込み出国を果たしたのだという。つまり不法出国を実行したわけだ。

 

「X線によるスキャンができない大きな荷物はセキュリティー担当職員が確認することになっていたが、テロのリスクが低いと考えられるプライベートジェットの旅行者には必ずしも行われていなかった」

「セキュリティーチェックの責任を政府が担う米国と異なり、日本では航空会社が責任を持ち民間企業を起用している」

 

なるほど、セキュリティチェック運用はケースバイケース(ケースだけに…)で行われていたのだろう。これを大きな問題として捉えるならば、仕組みや制度の改善や運用の見直しが必要であろうが、現時点で重要なことは空港関係者や出入国在留管理庁関係者に協力者は皆無であること。これに尽きる。

 

私は権力の暴走や汚職が一番恐ろしいので(公正さを何よりも尊ぶ)特定組織や権力が手を貸したのではなく(買収等、味方の裏切りではなく)、セキュリティホールを相手に突かれて突破されただけだ。であれば、改善すれば良い話である。そもそも全てを厳格にチェックすることが現実的だろうか? レジス・アルノー (フランス・ジャポン・エコー編集長/仏フィガロ東京特派員)氏の記事は腑に落ちる。

 

→ゴーン逃亡に沈黙し続ける日本政府の「無責任」

 

「空港の荷物検査は武器や爆発装置を検知するために実施されている。プライベートジェットの場合、顧客が自らを噴き飛ばしたいはずはないから、彼らの荷物はほとんど検査されない。まったく確認しない場合もある」

 

 

プライベートジェット渡航者のセキュリティチェックが甘かった。出国者の荷物は場合によってはチェックしなかった。それは狂ったように責められなければならないことだろうか? 

 

出入国管理者(彼ら)の最優先ミッションはテロやハイジャックの防止であり、日本国内への銃火器等武器や違法薬物、ひいては化学兵器生物兵器等の持ち込み防止にある。日本で多額の金を消費するプライベートジェット旅行者の出国荷物を細かく調べることが日本の安全保障に関わることだろうか? 私はそうではないと考える。

 

厳しくしたいならすれば良い(プライベートジェット旅客が減らないといいね)が、そもそも、国益の観点で言えば、ゴーン氏が荷物に化けたことよりも安全保障情報や機密事項の漏洩の方がリスクもダメージも大きいと考えるので、やるならば何を目的とするのかを明確にして実施すべきだ。

 

というのも、事件の分析や反省を丁寧に行なう必要があるだろう現時点において「出国手続き厳格化」という対策が出てきたからだ。(→森法相、出国手続き厳格化指示 ゴーン元会長逃亡巡り

 

日本は何か事件が起きると、制度や仕組みの間違いを認めて改善する方向にコトが進まず、往々にして間違いをなかったことにしたり狂気的な対策を取る。ガソリン販売規制や給食のカレーを取りやめる等、枚挙にいとまがない。責任回避社会なのだ。

 

 

●テクノロジーや技術を活用出来ず旧来の非合理的な手法に固執する周回遅れ日本

 

一部の人権弁護士等が主張されている日本の司法制度による身柄拘束における問題点「人質司法」についてはよくわからない。堀江貴文(ホリエモン)氏が指摘する「日本の腐った司法システム」は彼の経験談として興味深く拝見している傍観者なので(ホリエモンが怒っているのはもっともだと思う。金商法の運用は恣意的だよね)、法律の問題に意見を述べるつもりはない。

 

ただ権力の暴走は本当に怖い。村木厚労省元局長を「犯罪者」に仕立て上げた件やら、Winny事件等、無罪判決が下った案件だけでなく、仮想通貨マイニング逮捕事件等、権力が正義であるなんてことはおとぎ話だ。それを検察が正義でカルロスゴーンは悪だと決定事項のように報道するのは問題ではないか。ゴーン氏や弘中弁護士の主張に耳を傾ければ、ゴーン氏はグレーゾーンを航海するプロフェッショナル船頭であった可能性も大いにある。

 

単純にゴーン氏に逃亡されたのは、日本がデジタル技術&テクノロジーを使いこなせていない周回遅れの国だからではないか? 危機意識を持って改善した方が良いという立場である。以下記事にざっくりと記されているけれども、GPSタグ着用を義務付ければ良いだけの話なのだ。

 

→ゴーン氏がまた露呈させた日本の弱点

 

ゴーン氏は19年1月、自らの保釈条件として、GPS(全地球測位システム)などで居場所を常に確認できる装置の装着を受け入れることを表明していた。この手法は、カナダ当局が拘束した華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)の保釈条件となるなど、海外で導入されている。
しかし、裁判所はそこまでする必要がないとの判断からこの案を採用しなかったもようだ。そして、玄関にカメラを備えるという原始的な監視方法を選び「ゴーン氏が外出する時は尾行がついていた」(関係者)。結果的に「24時間監視」という手法は効力を発揮しなかった。

 

 

セキュリティに留意してプライバシー保護を徹底するとしても単純なシステムで容易に構築できる。個別の監視カメラや尾行をつけるなどの前近代的なシステム運用がまかり通っていることが問題であると思う。労働力が安価に見積もられる日本のお家芸(テクノロジーに疎い方々が権力の中枢にいることは幸か不幸かはわからない。優秀なテクノラートが権力を持つと中国みたいな監視社会になるかもしれないから。それでも無能力な人々が権力の座に就けるのは気持ち悪い)。

 

それでもチェックをすべき対象(保釈案件)の監視手段として、人力に頼ると言うのは他国に10年遅れどころではない。あらゆる分野で日本のテクノロジー導入が遅れている場面を目にするので、イデオロギーの議論ばかりしていないで、人権等に留意しながら、可能な限りテクノロジー導入して省力化すべきであると考える。

 

 

●カルロスゴーンへの怒りの気持ちはわからないでもない。でも原因を作ったのは労組貴族や無能な方々だったのでは…。

 

私が経営者としてのゴーン氏の手腕は凄かったと考えている(少なくないビジネスマンがゴーン氏の語る経営や手法を称賛していた)ことを別にしても、皆どうしてこんなにゴーン氏に怒っているのだろう? 不正に対する怒り? おそらくそれだけではない。搾取されたという被害心理が多数に共有されているのではなかろうか。その気持ちは以下のツイートに要約されているように思う。

 

 

ゴーン氏が不正蓄財したかもしれない。脱税したかもしれない。大規模なリストラをしたことは事実だ。それでも日産はルノーに身売りしなければならないくらいに厳しい状況だった。そしてルノーから送り込まれたゴーン氏は日産の業績を劇的に改善させた。

 

その手法に賛否があり違法性が問われているわけだけれども、日産を倒産寸前まで追い込んだのは、労組貴族を筆頭にした日本の無能力な方々であったし、ゴーン氏が日産を復活させていなければ倒産してもっと多くの人が路頭に迷っていたかもしれない。

 

日産社員の給料は増加した。幹部の高給は有名である。実力主義の戦闘力の高い企業に成長させたことはゴーン氏の紛れもない実績である。リストラされた方が恨むのはわかるし、真面目に働く日産社員が怒るのもわかる。株主が企業価値を損なったと責めるのも正当だ。日産車ユーザがブランド棄損で中古売却価格が下がったと憤るのもわかる。

 

しかし日産の関係者以外、本件はあまり関係のない事件だ。ゴーン氏が横領していた金を返したところで関係のない者が得するわけでもない。そして世の中にはゴーン氏以上の悪人は数えきれないほどいる。不正や違法行為をしても捕まらないケースもあり、摘発は権力側の匙加減な部分も多い。個人的にはグレーゾーンで税金を浪費して私腹を肥やしている連中のほうが害悪度は高いと思う。

 

ゴーン氏が巨悪の象徴のように報道され、ヤフコメやTWITTERは断罪や吊し上げが目立つけれども、本事件に怒りや憎しみを向けるより、糾弾すべき対象は世の中に溢れているのではないだろうか。世の中白黒つけられることは一部で、複雑系な社会においてグレーゾーンで非道な行為を働く連中はうじゃうじゃいる。

 

単純化されたわかりやすい小さな悪(ゴーン氏が問われているのは金商法と業務上横領でしょ?)を叩いて溜飲を下げてあなたが得したり世間が良くなることは欠片でもあるのか? 考える機会であると思う。価値観の違いなだけかもしれないけれども。

 

なお、TWITTERは情報のるつぼで99%は読む価値がない情報だけれども、唸るネタも散見される。自分がハッとしたツイートを以下にいくつか紹介しておく。

 





 

③朝から晩まで「伝聞」「解釈」「憶測」「意見表明」を垂れ流す日本のワイドショー的なテレビ放送(地上波放送)

 

普段WBS以外にテレビを見ることは殆どないが年末年始にながら視聴して気づいた。カルロスゴーン氏の事件について、日本のテレビ放送(地上波民放)を見ていると、ゴーン氏が楽器に紛れたことの演劇や、逃亡許せないと叫ぶだけの文字で確認すれば1分もかからない事実情報を、見るだけ聞くだけで頭が悪くなりそうなワイドショーに編集加工脚色して製作して、数十分~1時間数十分放送してゴミ情報としてお茶の間に届けている。

 

例えば、ゴーン氏海外逃亡案件において、情報量の濃い(質と量で秀でている)記事をいくつか紹介したい。

 

●ゴーン氏の国外脱出手口については以下の記事が詳しい。

→ゴーン逃亡、「自家用機」出国がザルすぎた理由(保安検査なしが常識、関空は大型荷物をスルー)

 

●ゴーン氏が国外脱出を図った目的と理由を冷静に考察する立花聡氏の記事は流石。WEDGEの記事はどれも質が高い。

→カルロス・ゴーンが大統領になる日、「逃げ」の損得勘定と本質

 

●社会問題に厳しく切り込むノンフィクションライター窪田順生氏が日本のダブルスタンダードを暴く記事も秀逸。

→「ほら、日本ってめちゃくちゃでしょ」 ゴーン氏の逆襲をナメてはいけない

 

テレビのワイドショーやニュース番組では、上に紹介した記事の10分の1以下の中身のない情報をコメンテーターやテレビ局と懇意な専門家が発信して、百倍~数千倍の視聴者に届く。優れた記者や専門家の何十倍もの収益を超既得権益のが稼ぐ。私は日本がもっとも世界に劣っている部分はテレビ放送(地上波放送)であると考えており、ワイドショーはその筆頭格であると確信している。

 

インテリやイデオロギー論争好きは、大手新聞社の姿勢や報道内容にバッシングをするけれども、新聞を読む人は激減しており、ビジネスパーソンは読むにしても経済紙がメインだ。朝日読売毎日等の全国紙をどれだけの人が読むのか?→テレビ視聴者の「1/100~1/1000」だろう。

 

意識高い系や新興勢力は「テレビ離れ」や「民放なんて誰も見ない」などと主張するが、地上波テレビ放送の影響力は圧倒的であり、テレビが主な情報源である人は大多数いる。ネットやSNSで影響力がアプローチする数よりも圧倒的だ。日本屈指の発信力と影響力を持つテレビ放送が放送利権で守られ競争にさらされることなくワイドショー番組を量産して「伝聞」「解釈」「憶測」「意見表明」を垂れ流す。

 

果たしてこれが健全な社会だろうか? インターネットやSNSは個々人が自己責任の元に自由市場で発信する場だ。フェイクニュースや憎悪を煽る情報を私は嫌悪するけれども、思想信条の自由を無責任情報の発信に繋げている危ない人の問題なわけで、彼らの責任と罪と罰の問題だ。GAFAが批判される風潮があるけれども放送のように電波資源を独占しているわけでもなければ、国の保護と排他規制があるわけでもない。

 

地上波テレビ放送だけが特権的なのだ。そして歪だ。

 

 

④カルロス・ゴーン氏会見@レバノンは目新しい情報はなく全然面白くなかった

 

カルロスゴーン

 

2020年1月8日22時~(日本時間)ゴーン氏が会見を開いた。日本の放送局ではテレビ東京が会見への立ち入りを許可され、急きょリアルタイム中継も実施された。テレ東の報道番組と報道姿勢を私は応援しているので高く評価したい。小学館の記者が厳しい質問をゴーン氏に問うていた。

 

AbemaTVが3か国語の同時通訳を実現し、気合いを入れて中継していたため私はそちらで2時間を超える会見をリアルタイム視聴したのだが「新情報なし」「面白くない」感想はこの2点に尽きる。会見内容はメディアが発信しているので、そちらをご覧になっていただくとして、ゴーン氏から新情報が語られることはなかった。

 

ゴーン氏は日産幹部への恨みつらみ、日本の司法への糾弾、自らの正当性を熱く語ったが、日産等での自身の実績など、ちょくちょく自慢を挟むのだ。聞いている側からすれば本件には関係のない話であり詳しい者からすると既知の情報だ。多言語を操り堂々としたプレゼン、質問に瞬時にアンサーミートするなど、グローバルエリートの凄さは伝わったが、能力をアピールされても困ってしまう。

 

家族愛などは欧米メディアに響くのかもしれないが、おそらく一般的な日本人はカルロス・ゴーン氏への興味を失ったことだろう。スキャンダルを期待していたわけでもないが、中身のない情報に我慢して付き合うほどゴーン氏の事件は世間の注目を浴びていない。横領と国外逃亡にメディアが飛びついたに過ぎないのだ。

 

学びとしては「喜怒哀楽」「新発見」どちらかの刺激がない限り、人々はつまらないモノとして捉えてしまうのだろうとゴーン氏の会見を見て思った。今後、日本メディアがゴーン氏を追うことはないだろう。日産も暴露されて困るような情報は出ず安堵しているに違いない。

 

週に2度しかシャワーを浴びれないような拘留の扱いと、語られなかったが寒さ等の劣悪な拘置所の環境、そういうものは改善して貰いたい。自分がお世話になることは一生ないことを願って。