令和3年(2021年)3月議会(第1回定例会)一般質問
知多市議会議員 川脇裕之
「保育士及び幼稚園教諭の職員採用について」
1.平成30年度から令和2年度までの採用実績について
①年齢区分30歳以下の受験者数、合格者数及び採用者数について
②実務経験5年以上の受験者数、合格者数及び採用者数について
◆9番(川脇裕之)
続きまして、2番目、保育士及び幼稚園教諭の職員採用について質問いたします。本市は、市内の幼稚園、保育園の適正な管理並びに多様化する保育ニーズ及び将来人口の動態を見据えた安定的で効率的な運営を目指すため、民間活力を積極的に取り入れることを踏まえた知多市保育所等再整備計画2020を2020年8月に策定しました。
市が運営する公立の保育園11園、幼稚園2園のうち、保育園6園、幼稚園1園を民営化する計画です。再整備は2040年までの長期的スケジュールとなっておりますが、2030年までに東部幼稚園、寺本保育園、日長保育園、佐布里保育園の4園を民営化する計画ですので、市職員として採用した保育士及び幼稚園教諭の方々の最適配置を図ると同時に、新卒採用数を縮小していかざるを得ないと考えます。私は幼保施設の民営化には反対ではありませんが、市職員の新規採用を減らしていく予定があるのであれば、公務員保育士及び公務員幼稚園教諭の道は狭まるという情報を、これから保育士を志す若者や生徒児童に見通しとして示していくことが必要であると考えます。
そこで、保育士及び幼稚園教諭の職員採用について質問いたします。平成30年度から令和2年度までの採用実績についての1つ目、年齢区分30歳以下の受験者数、合格者数及び採用者数について、2つ目、実務経験5年以上の受験者数、合格者数及び採用者数について伺います。答弁よろしくお願いします。
◎市長(宮島壽男)
御質問の2番目、保育士及び幼稚園教諭の職員採用についてでございますが、保育士及び幼稚園教諭につきましては、結婚や育児等を理由に早期退職をする職員がおり、毎年一定数の採用が必要になっております。そのため、市主催の採用説明会だけでなく、保育士養成学校の就職説明会にも積極的に出向き、人材確保に努めているところでありますが、将来的には民営化のスケジュールに合わせ、計画的な採用を行っていく必要があると考えております。御質問の1点目につきましては、企画部長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。
◎企画部長(岩田光寿)
御質問の2番目、保育士及び幼稚園教諭の職員採用についての1点目、平成30年度から令和2年度までの採用実績についての1つ目、年齢区分30歳以下の受験者数、合格者数及び採用者数についてでございますが、平成30年度は、受験者数17人、合格者数11人、採用者数11人です。令和元年度は、受験者数18人、合格者数13人、採用者数13人です。2年度は、受験者数21人、合格者数10人、採用者数8人です。
次に、2つ目、実務経験5年以上の受験者数、合格者数及び採用者数についてでございますが、平成30年度は、受験者数6人、合格者数4人、採用者数3人です。令和元年度は実務経験3年以上で募集しており、受験者数4人、合格者数2人、採用者数1人です。2年度は実務経験5年以上で募集しましたが、応募者はありませんでしたので、よろしくお願いいたします。
◆9番(川脇裕之)
答弁ありがとうございます。ただ今お答えいただいた内容について、再質問をいたします。
再質問の1点目、2020年12月末時点の保育士及び幼稚園教諭の人数についてお伺いします。
◎企画部長(岩田光寿)
御質問の件につきましては、正職171人、会計年度任用職員277人ですので、よろしくお願いいたします。
◆9番(川脇裕之)
次に、中長期的に公立の保育園・幼稚園を縮小する計画を踏まえ、再質問の2点目、年齢区分30歳以下対象、いわゆる新卒対象の市職員、保育士・幼稚園教諭の採用の展望についてお伺いします。
◎企画部長(岩田光寿)
御質問の件につきましては、知多市保育所等再整備計画2020を踏まえ、年度ごとの退職者数を想定しながら公立園の民営化スケジュールに合わせて採用人数を調整するとともに、子育て支援・相談業務等への人員配置も考えながら新卒者の採用の平準化を図りたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
◆9番(川脇裕之)
それぞれの答弁、ありがとうございました。それでは、答弁いただいた内容を踏まえ、要望を申し上げます。
近年、都市部を中心に保育士不足の問題が国会やメディアでも取り上げられました。平成29年度末における保育士数は約7.4万人不足との調査結果が出ていることから、厚生労働省は29年4月発表の「保育人材確保のための魅力ある職場づくりに向けて」では29年度末までに国全体として新たに確保が必要となる保育人材数約9万人の確保を目指す方針を示しました。令和2年12月に厚生労働省が発表した「新子育て安心プラン」でも令和3年度から6年度末までの4年間で約14万人分の保育の受皿を整備するとの目標が設定され、保育サービスの利用者にとっては2019年10月に開始された幼児教育・保育の無償化に続き、利用環境は改善しております。
一方で、保育士不足が問題となる背景には民間保育士の待遇の悪さがあると指摘されています。保育士職への就業を希望しない理由で、働く職場の環境改善に関する項目としては「賃金が希望と合わない」が最も多く、休暇が少ない、休暇が取りにくいことなどが挙げられています。
実際に、内閣府において実施した令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査によると、職種別職員1人当たりの給与月額は、私立の幼稚園教諭が約28.7万円、公立の幼稚園教諭が37.8万円と年間で100万円以上の差、私立の主任保育士が約42.3万円、公立の主任保育士が56.2万円と年間で160万円以上の差があるとのデータが判明しております。そもそも論として、国が定める保育単価が低過ぎて、民間保育士の給与が低いことや一部の民営保育所が適正な給与を保育士に支払っていないことが問題であり、根本的な処遇改善が欠かせません。
一方で、待遇面で安定雇用が約束されていた公立の幼保施設を減らし、民営化を進め、新職員の採用を縮小するのであれば、公立と私立の格差を是正することが必要であると考えます。保育士を志す学生や生徒児童がいざ就職の段階になって、目指していた公務員保育士及び公務員幼稚園教諭の採用が激減していたというのはあまりに酷であり、市内民営保育所の待遇改善を支援する施策が必要であると考えます。
他の自治体では、茨城県つくば市は市内の私立保育所等に勤務する常勤の保育士等を対象に月額3万円を助成、千葉県松戸市は対象施設から受け取る毎月の給与とは別に、市が勤続11年目までは月額4万5,000円、12年目から21年目までは4万9,800円から7万8,000円までの範囲で手当を支給、兵庫県明石市は私立認可保育施設で採用された保育士に採用後3か月経過で10万円、その後、1年経過ごとに6年経過まで毎年20万円、7年経過すると30万円の支援金を直接支給等の取組事例がございます。
本市も、昨年末時点で270名を超える多くの会計年度任用職員に公立保育施設の運営を担っていただいております。以前、2019年9月議会の一般質問「幼児教育・保育環境の充実について」の要望でも非正規保育士の待遇、処遇について改善を要望いたしましたが、保育という重大な責務を担う人材の待遇見直しを検討いただきたく存じます。
そして、今後、公立の保育園6園、幼稚園1園を民営化する計画を遂行するに当たっては民営施設で働く保育士及び幼稚園教諭が生活に不安なく働ける職場環境の構築を支援することを要望申し上げます。
以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
●参考資料
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000057761.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/11922000/000707805.pdf
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/data/index.html#chousa
https://www.city.tsukuba.lg.jp/kosodate/kosodate/hoikujo/1001121.html
https://www.city.akashi.lg.jp/kodomo/taikijidou/201611_kakujyu.html
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