◆「市民の声の可視化」市民からの問い合わせ&要望への対応と公開◆
私が今回の一般質問で「市民からの問い合わせや要望等の記録と対応について」を取り上げたのか? それは以下に紹介する先進自治体の取り組みをご覧になっていただければ、一目でわかっていただけると思います。
知多市は市役所に限らず行政に対する要望・苦情・提案を公開しておらず、かつ、問い合わせの受付方法もバラバラで、市民の声に真摯に耳を傾けて市政に反映させる体制がとられていません。
市民からの問い合わせや要望を単なる意見聴取と捉えるのではなく、市民の声を市政に反映してこそ市民と協働した市民本位の市政運営が実現し、市政に対する市民の信頼も得ることができると考えます。そのために個々の市民の声を体系的に捉え、分析すること、また、寄せられた市民の声とそれに対する回答を市民と情報共有することで、市の考え方について理解を深めていただき、市民への説明責任を果たすことが重要であると考えます。
そこで、市民からの問い合わせや要望等の記録と対応について、市民からの意見や要望を積極的に伺う体制を確立し、応対履歴を適切に管理するとともに、公開することで市民満足度のさらなる向上を目指すべきであるという問題意識に基づき、一般質問を実施し、改善提案を実施いたしました。
西尾市の「市民の声制度」(http://www.city.nishio.aichi.jp/index.cfm/10,21394,122,624,html)
項目ごとに整理して公開している自治体としては、埼玉県の吉川市が大変参考になります。項目毎に時系列で回答をツリー化していく取り組みは大変にわかりやすく、親切な情報公開であると考えます。
吉川市の「市民の声で寄せられたご意見と市の回答」(https://www.city.yoshikawa.saitama.jp/index.cfm/27,0,180,923,html)
「市民からの問い合わせや要望等の記録と対応について」
1.主な受付方法及び所管部署について
2.記録の保存について
3.29年度の件数及び主な項目について
4.各部署への問い合わせ用に専用フォームを設置する考えについて
5.記録を公開する考えについて
市民からの問い合わせや要望等の記録と対応について伺います。
地方自治体の役割は、住民の皆様の意見、要望を伺い、地域の課題に対して具体的な解決策を提示していくこと、そして、より充実したサービスを提供していくことであると考えております。そのためには市民の意見や要望に真摯に耳を傾ける姿勢と体制、仕組みづくりが肝要ではないでしょうか。昨今、公文書の記録や管理が国会でも話題となっておりますが、本市の市民からの問い合わせや要望に対する体制について幾つかの課題と改善できることがあると考えております。まず現状を整理したいと思います。
多くの自治体で市民からの問い合わせを受けたら、それを記録し、対応した内容を公開する体制がとられています。幾つかの自治体の取り組みを紹介します。
横浜市では市政に関する御提案、御意見等を気軽に出していただく事業として、「市民からの提案」を受け付けています。提案、意見等は投稿フォーム、Eメール、郵送、ファクスで受け付け、原則として受付日の翌日から起算して14日以内に回答し、回答したものについて市ホームページで要旨と回答を掲載しています。
大阪市では要望等記録制度を設け、市民からの意見等は要旨について個人が特定できる情報などを除いた上で、市ホームページ等で原則公表しています。
県内では長久手市が市民からの御意見、お問い合わせを「市政ご意見箱」として受け付け、回答した案件について個別相談事項、依頼、団体からの要望等、公表にそぐわない性質のものは除き、御提案、御意見の要旨と、それに対する市の回答を毎月公表しています。
ただ今紹介した取り組みは一部の自治体の事例ですが、市民からのお問い合わせや要望を積極的にヒアリングして、それに答えていく体制を整えている自治体が多くございます。
一方、本市では問い合わせ、要望を受け付ける手段は複数用意されていますが、公開されておりません。受け付けの方法は、市民が直接来庁して口頭で伺う以外に7つの手段があると考えています。1つに市代表電話、1つに市代表ファクス、1つに市代表メール、1つに市長への手紙、1つに所管部署電話、これは各課直通になっています。1つに所管部署メール、こちらも各課直通です。1つにお問い合わせ専用フォーム。このように複数の手段が提供されていることは望ましいことでありますが、様々な問い合わせ手段から寄せられる市民からの問い合わせや要望についてどのように記録、管理、対応しているのか、本市では情報公開や情報発信が不十分であると考えております。
市の主な広報手段である広報ちたや、市ホームページにも掲載されておらず、改善できることが多くあると感じています。例えば受付手段で言えば、知多半島5市では、半田市と常滑市が所管部署への問い合わせを専用フォーム化しています。メールはフリーフォーマットのため、誰が何をどうしてほしいのかという基本情報が記載されない場合もありますし、添付ファイルで送信されるとセキュリティチェックや処理が大変であるなど課題が多くあり、各部署への問い合わせも専用フォームを設置して対応することが望ましいと考えます。
また、市民からの問い合わせや要望を単なる意見聴取と捉えるのではなく、市民の声を市政に反映してこそ市民と協働した市民本位の市政運営が実現し、市政に対する市民の信頼も得ることができると考えます。そのために個々の市民の声を体系的に捉え、分析すること、また、寄せられた市民の声とそれに対する回答を市民と情報共有することで、市の考え方について理解を深めていただき、市民への説明責任を果たすことが重要であると考えます。
そこで、市民からの問い合わせや要望等の記録と対応について、市民からの意見や要望を積極的に伺う体制を確立し、応対履歴を適切に管理するとともに、公開することで市民満足度のさらなる向上を目指すべきであるという問題意識に基づき、5点質問いたします。
1点目、主な受付方法及び所管部署について、2点目、記録の保存について、3点目、29年度の件数及び主な項目について、4点目、各部署への問い合わせ用に専用フォームを設置する考えについて、5点目、記録を公開する考えについて、以上をお伺いして、壇上からの質問といたします。答弁よろしくお願いいたします。
~答弁中略(※PDF参照)~
それでは、答弁いただいた内容を踏まえ、要望を申し上げます。
各部署への問い合わせ専用フォームを設置することに関しまして検討していただけるとのことで、迅速な対応をお願いいたします。
現行の問い合わせフォームはシンプルで使い勝手のよい仕様になっているように思いますが、性別や年齢など入力の必要性に見直しの余地がある項目もございますので、さらに改善して、よいものとしていただきたく、フォームの項目について提案申し上げます。
1、氏名、2、メールアドレスまたはその他連絡先、3、公開意思の有無、4、回答、返信の希望、5、要望、苦情、質問等の問い合わせの種類、この5点を必須項目として入力いただき、件名と内容を自由に記載していただく形が送る市民の皆様にとっても、受け取る職員の側にとってもわかりやすく、整理がしやすい仕様であると感じます。市民の方からの問い合わせや要望を適切に収集できる親切なユーザーインターフェースを検討いただき、導入していただきたくお願い申し上げます。
次に、市民からの問い合わせや要望を公開する考えがないとのこと、非常に残念に思います。本質問で提案したように、担当部署への問い合わせに専用フォームを導入して、市民の皆様からの問い合わせを受け付けしやすい仕組みを構築したとしても、市民と情報共有すること、市民への説明責任を果たすことが欠けていては不十分ではないでしょうか。問い合わせや要望の内容、要旨を公開する自治体が多数ある中で、本市が実施していないのは不誠実で不透明であると考えます。
そこで、市民の声の見える化が必要であると考え、要望や問い合わせを公開することを検討いただきたく要望申し上げます。
先ほどの答弁では、問い合わせや要望の公開について、個人を特定できる情報が含まれる場合が多く、公開できるもの、公開できないものを取捨選択する基準を設定することが難しいとのことですが、ルール、ポリシーを定めることで解決できるのではないでしょうか。具体的には匿名や偽名によるもの、公表を希望しないもの、公序良俗に反するもの、特定の個人や団体を誹謗中傷するもの、営業利益または活動案内などを目的としているもの、政治、宗教、思想にかかわるもの、事実と相違し、または事実と確認できないもの、趣旨が不明なもの、市の業務にかかわりのないもの、以上については公開しないと運用ルール、ポリシーを定めて、問い合わせや要望を受け入れ、公開している自治体が多数ございます。経費もほとんどかからず、少しの稼働で実現できると考えますが、なぜ導入しないのでしょう。
多くの自治体で市民からの問い合わせや要望を広聴の大切な機能と位置付け、公開しています。ルールに従って適切に記録をし、組織としてしっかりと受け止め、要望等に対しても責任を持って回答するべきであると考えます。そして、公開することで対応状況も明らかなりますし、市政の公正性や透明性等を確保することにつながると考えます。
以上、市民の声を積極的に収集して市民ニーズを施策、事業に反映させること、そして、情報共有することで市民の声の見える化をすることの検討をお願い申し上げ、市民からの問い合わせや要望等の記録と対応についての質問を終わります。
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