★犯罪抑止に向けた取り組みについて(知多市の防犯カメラ)★

◆「知多市の犯罪情勢と対策について」「知多市の防犯カメラについて」◆

 

●質問の背景

 

 

愛知県警察では、不審者等の情報を「パトネットあいち」として配信したり、本市でも、第5次知多市総合計画に基づき、地域安全対策設備整備事業の推進や、知多警察署と連携して、安全で安心なまちづくりに努力されているが、犯罪を防ぎ切れていない現状がある。

 

<知多警察署管轄防犯情報>

  • 2016年7月上旬:にしの台地内において、空き巣被害があり、多額の貴金属類が盗まれた。
  • 2016年9月上旬日:夜中、家の窓ガラスをこじ開けて侵入する泥棒が朝倉町を中心に連続3件発生。
  • 2016年10月下旬:八幡、寺本新町1丁目、つつじが丘1丁目、清水が丘2丁目地内で車上ねらいが5件連続発生。
  • 2016年11月下旬:にしの台、つつじが丘、新知台、新知東町地内で車上ねらいや、車上ねらいと疑われる被害が19件連続発生。

狡猾な犯罪をすべて防ぎ切るのは難しいかもしれないが、より安全で治安の良い知多市になることを目指して「犯罪情勢と対策について」及び「防犯カメラについて」を質問する。

 

 

●知多市の防犯対策と防犯カメラについての問題意識

  • 「市が自ら防犯カメラを設置して、1台当たり約28万円の設置費+維持費をかけているのは、費用対効果が悪い」

  • 「市民への防犯カメラ設置補助は、費用対効果が大きく、犯罪抑止効果も期待できることから、検討をお願いしたい」

 

 

Q1.知多市内の過去3年間の侵入盗の発生件数と内容について

 

  • 平成26年の刑法犯総認知件数は520件、月平均43件で、刑法犯総認知件数の内、侵入盗は50件発生し、内容別では空き巣29件、忍込み11件、居空き4件、事務所荒し3件、出店荒し1件、その他は2件。
  • 平成27年の刑法犯総認知件数は423件、月平均35件で、侵入盗は54件発生し、内容別では空き巣20件、忍込み11件、居空き1件、事務所荒し2件、出店荒し3件、その他は17件。
  • 平成28年の10月までの刑法犯総認知件数は397件、月平均40件で、侵入盗は56件発生し、内容別では空き巣21件、忍込み19件、居空き1件、事務所荒し2件、出店荒し1件、その他12件。

 

Q2.侵入盗防止に向けた取り組みについて

 

  • 市内全域でのチラシの回覧、侵入盗が連続発生した地域でのチラシの新聞折込、補助錠の有効性を実体験する防犯教室や防犯診断などを知多警察署と連携し、取り組んでいる。
  • 青色防犯パトロール車を使っての防犯パトロールや、ちたまる安全安心メルマガを活用した注意喚起などを行っている。

 

Q3.知多市の防犯カメラの設置状況及び今後の設置計画について

 

  • 知多市では街頭防犯カメラを 主要な駅前市営自転車駐車場周辺に17基設置した。また、主要交差点においては、長曽橋西交差点に1基設置をしている。
  • 今後の設置計画は、市内への出入り口となる国県道などの主要交差点を中心に、順次設置を進めて行く予定。

 

Q4.防犯カメラの個人及び団体への設置支援について

 

  • 県内の一部の市が、個人世帯への補助を行っているが、知多半島近隣4市では、防犯カメラの設置支援を行っている自治体はない。
  • 知多市では、現在、主要交差点への設置計画を進めていることから、現段階では個人やマンションの管理組合を始め自治会や町内会が設置する防犯カメラへの補助制度を設ける予定はない。

 

●知多市の防犯対策と防犯カメラについての要望と提案

  • 防犯カメラの「個人及び団体への設置支援について」検討をお願いしたい。防犯カメラは市が直接投資するものに対して、個人や団体への設置を支援することは、市の予算や職員の稼働面からも費用対効果が大きいと考える。
  • 本市では、本年度予算で自転車駐車場への防犯カメラ購入費が2台で25万3千円、4台の設置委託料65万4千円を計上しているが、市が自ら実施すると1台当たり約28万円の設置費+維持費がかかる(民間と比べて割高である)。
  • 防犯カメラは犯罪の抑止や摘発などに大きな効果があるため、市としても取り組みを実施していただきたい。市民や団体に地域防犯力の向上を担っていただくことや、そのインセンティブを提供することは、犯罪抑止に向けた効果的な施策になると考える。
  • 補助に積極的な自治体の事例を申し上げると、愛知県の小牧市では「小牧市防犯対策補助金」を設け、犯罪を未然に防ぎ、安全で安心なまちづくりを推進するための補助金制度を設けている。これは「住居等に防犯カメラ又はセンサーライトを取り付けること」などの防犯対策実施に対して、申請が可能な制度。補助金額は上限を1万円として、防犯対策機器の購入・設置費用の2分の1の額を補助。
  • 例えば、100万円の予算を計上していただけば、100個の防犯カメラの市内への設置が期待できる。市が自ら設置するとなると、単純計算で2800万円の試算となるが、市民の協力を仰ぐことにより、28分の1の予算で実現可能である。
  • 知多半島では事例はないとのことだが、他市に先んじて犯罪抑止に向けた取り組みを実施することは、治安の良い知多市の実現に向けて効果的であり、前向きな検討をお願い申し上げる。

 


 

 

●知多市の家庭用防犯カメラ設置事業補助金について

 

 

知多市の防犯カメラ設置事業補助金について、市民への補助については賛成です。市が設置すると、28万円/台 という民間市場価格とはかけ離れた割高な調達になり、コストパフォーマンスが悪いからです。

 

家庭用防犯カメラ設置補助は合理的であり、犯罪抑止効果も高まると考えます。しかし、撮影範囲や運用の「補助要件」について問題があり、「先着受付」については適切ではない(抽選にすべき)と考え、本会議で問うと共に、討論で改善するように申し上げました。

 

  • 2018年8月28日:家庭用防犯カメラの設置に対して補助(記者発表資料)

 

<知多市防犯カメラの補助要件>※発表時(見直し前)

 

1 補助対象経費:

・防犯カメラや記録装置などの機器購入費

・設置に係る工事費(既存設備の撤去費用は除きます。)

・「防犯カメラ作動中」などの表示板

 

2 補助金額:

対象経費の1/2以内で上限は 50,000 円(1 世帯当たり 1 回を限度)

 

3 対象となる防犯カメラ:

・設置場所 自ら居住する住宅(事務所や店舗等は対象外)

・撮影範囲 自己の住宅などに加え、公道などの公共空間を撮影範囲に含めるもの

・設置時期 補助金交付決定後に着手し、各補助期間内に設置工事を完了できるもの

・その他 24 時間絶えず撮影し、記録装置を有するもの

 

4 受付:

10 月 22 日(月)から市民協働課(先着順)

 

この防犯カメラの設置について「公共空間を撮影範囲に含めること」及び「捜査機関への協力」について、問題があるとの指摘があり、要件が変更されました。

  

 

  • 2018年9月12日:家庭用防犯カメラ設置事業補助金の要件の見直しについて(記者発表資料)

※出典(両資料):知多市記者発表

 

 

<変更点>(補助要件見直し)

  • プライバシー保護の観点から「公共空間を撮影範囲に含める」は不要。
  • 防犯力向上の目的外となる懸念から「捜査機関への協力」は不要。

 

 

●家庭用防犯カメラ設置事業補助金の他自治体導入事例からの検証と提案

  • 「補助金の申請及び交付については不公平感がない運用が必要であり、知多市の先着順は適切ではない(抽選とすべき)」

 

 

家庭用防犯カメラ設置事業補助金は、犯罪抑止の観点や地域防犯力の向上の観点から効果が期待でき、これまでの実績から、市が防犯カメラを設置すると1台当たり何十万という、民間市場価格より割高な調達となるため、市民への直接補助は費用対効果の点からも合理的であると考えます。

 

一方で、本事業は、進め方や内容について、特段の配意、配慮が必要であると考えます。

 

第一に、進め方について。8月28日に記者発表した内容を、9月12日に「公共空間を撮影範囲に含めること」及び「捜査機関への協力」など、交付要件について見直しを実施すると訂正した件、防犯カメラというセンシティブな事業に補助金を出すことについて、問題が多く指摘される要件を発表してしまった点、及び、議会の議決を経ていない予算や事業を決定事項として報道機関やプレスリリースとして発信することの是非や、詳細や進め方について子細に議論・検証するなど、今後の慎重な対応を求めます。

 

第二に、要件について。見直しをした交付要件には「防犯カメラの設置及び運用に関するガイドライン」や関係法令に従った適切な運用を補助対象者に求める。としておりますが、本ガイドラインの設置・運用要領を確認すると、「画像の漏えい、滅失、き損、改ざん防止など画像の安全管理にかかる媒体の保管方法、保管期間、消去方法」や「苦情等への対応」などを求める厳しい条件です。犯罪を未然に防ぎ、安全で安心なまちづくりを推進するために重要なのは、使い勝手が良く、申請が簡便で、効果が期待できる補助金であると考え、適切な補助金要綱を定めるなど、市民が申請しやすい様式とすることを求めます。

 

第三に、補助金の申請及び交付が先着順が適切な手順であるのか熟慮いただき、申し込み多数の場合は抽選により決定するなど、受付等について公平な対応を求めます。

 

問題が指摘されたことに対し、防犯カメラの要件変更の対応をしたことは評価できますが、防犯カメラというセンシティブな対象に補助金を出すことの詳細内容、進め方について、しっかりと議論や検証をするのでもなく発表&実施しようとした体制は問題があります。

 

また、他の自治体が導入している事例を少し変えただけで、県内初の取り組み(小牧市などで同様の事例がある)とアピールするために、プレスリリースを利用すべきではないでしょう。リサーチをせず、情報を右から左に垂れ流す新聞社のファクトチェックの姿勢にも疑問です。

 

本件は、住民監査請求が出されております。私は防犯カメラは地域防犯力向上のために有効であると考えますが、これまで記した通り、進め方の稚拙さや先着受付について(補助金の使い方として先着受付は不公平であり抽選受付すべき)は、大いに問題があると考えており、市政の進め方や補助金の適切な運用に向けて、引き続き、厳しくチェックして改善を促して参ります。

 

→住民監査請求3(監視カメラ)契機は新聞報道(平成30年8月29日朝刊)