★知多市の「ごみ処理経費」について(9月議会一般質問)★

 

●質問の背景/経緯/論旨●


家庭系収集ごみ有料化の計画に基づき、本9月議会で、ごみ袋手数料の設定(ごみ袋有料化)の条例が提出されました。議案に関する質問は実施しないというのが慣例とのことで、経費の観点から知多市のごみ処理の問題と課題を明確にするべく、一般質問を実施いたしました。

 

結論として、

 

知多市のごみ処理経費は1kg当たり63.9円の処理費用がかかっており、この費用は、

「半田市:24.6円」の2.5倍以上、

「常滑市:31.3円」「大府市:30.3円」の2倍以上、

「東海市:38.4円」の1.6倍以上

の金額であることが明らかになりました。

 

つまり、1キロのゴミを処理するのに、常滑市民や半田市民は約30円の負担で済むけれども、知多市民は約64円の負担を強いられています。高い経費を基準にごみ手数料価格を設定することは不適切であると考えますし、今回の一般質問を踏まえた手数料価格の妥当性についての私の考えは↓の通りです。

 

★知多市ごみ袋有料化の問題点(ゴミ袋料金の妥当性)★

 

理解に苦しむほどの酷い状況に唖然としており、少しでも費用面や負担面で改善がなされるように尽力していきますが、なぜこんなことになっているのか? 現状を正確に把握することが問題解決の第一歩ですので、知多市のゴミ処理の現実について先ずは報告いたします。

 

 

●知多市のごみ処理の現状と経費削減に向けた取り組みについて●

 

本市では「家庭系収集ごみ有料化」と、平成35年度完成を目指した「新しいごみ処理施設」の検討が進められておりますが、ごみ処理は上下水道と同じく、市民生活に欠かすことの出来ない行政サービス、つまりは、社会インフラの1つであり、適切な予算配分や収支の効率化を検討、検証することが欠かせないと考えます。

 

ごみ処理については、住民の排出者責任や、受益と負担の関係を踏まえての市民負担のあり方、ごみの減量・リサイクルの一層の推進、公平性の確保、近隣市町との均衡など、様々な視点を総合的に勘案し、循環型社会の実現に向けた「適切な」手数料の設定を行うことが必要ですが、同時に、ごみ処理事業における収支の透明化や経費削減、運用施策の継続的な改善検証が重要であると考えます。そこで本日は、費用の観点から、本市のごみ処理の現状と経費削減に向けた取り組みについて質問。以下論旨です。

 

 

●質問1.知多市のごみ処理の現状と経費内訳について●

 

Q.ごみ処理は収集運搬や、破砕/焼却等を実施する中間処理、埋め立て等を実施する最終処分などの業務と段階があるが、質問の1点目として「現状と経費内訳」について伺いたい。

 

A.平成26年度の実績は、ごみと資源を合わせた総排出量は約2万6,900トン。これを処理するのに総額で約17億2,000万円かかっている。処理経費の内訳として、収集運搬費が約2億5,000万円で、全体経費の15パーセント。中間処理費が約12億4,000万円で、72パーセント。最終処分費が約8,000万円で、5パーセント。資源化にかかる費用が約1億5,000万円で、8パーセントである。

 

 

●質問2.知多市の1キログラム当たりのごみ処理費用について●

 

Q.ごみ処理の効率と費用対効果を確認いたしたく、質問の2点目として「1キログラム当たりの処理費用について」伺いたい。

 

A.平成26年度の資源を含むごみ総排出量1キログラム当たりの処理費用は、63.9円。

 

再Q.知多半島他市の1キログラム当たりのごみ処理費用について伺いたい。

 

再A.環境省の平成26年度一般廃棄物処理実態調査によれば、資源を含むごみ総排出量1キログラム当たりの処理費用は、半田市が24.6円、常滑市が31.3円、東海市が38.4円、大府市が30.3円である。

 

再Q.本市は1キログラム当たりのごみ処理費用が、半田市の2.5倍以上、常滑市と大府市の2倍以上、東海市と比べても1.6倍以上の処理費用がかかっていることがわかるが、再質問として「知多市のごみ処理経費が他市よりも割高である要因について」伺いたい。

 

再A.本市のごみ処理施設は、ダイオキシン類を安全に分解でき、焼却残渣が焼却灰の2分の1程度の容積となる、ガス化溶融方式を採用している。この方式による焼却施設は、他市で採用する方式に比べ、複雑な構造であるため、修繕費を始めとする維持管理費に経費がかかっていることが、主な要因と考えている。

 

 

●質問3.知多市のごみ処理の課題について●

 

Q.本市のごみ処理について、解決しなければならない問題を明確にいたしたく、質問の3点目として「課題について」伺いたい。

 

A.現在の清掃センターは稼働してから13年が経過し、施設の老朽化による維持管理や修繕費用が増加傾向にある。平成36年度には、東海市と共同運営により、新規にごみ処理施設を稼働する計画であるため、その間において、日常及び定期のメンテナンスに努め、施設の安全管理と効果的な修繕を行うことで、維持管理の費用を最小限にとどめることが課題。また、焼却施設の負荷を軽減するために、焼却ごみの量を削減していくことが必要であり、家庭系ごみの排出をどれだけ抑制できるのかが、課題である。

 

 

●質問4.知多市のごみ処理経費削減に向けた今後の考えについて●

 

Q.ごみ処理の合理化をどのように進めていくのかを明らかにいたしたく、質問の4点目として「経費削減に向けた今後の考えについて」伺いたい。

 

A.清掃センターのごみ処理施設については、新施設に移行するまでの残期間を見据えて、施設修繕等の運営管理に係る経費を抑制することが必要。このため、今年度から4年間の債務負担行為に基づく包括的な委託契約を締結した。この契約は、市と委託業者が協議し、中長期的な修繕計画を定め、施設のメンテナンスを業者が責任を持って行うことにより、効果的、効率的な管理運営を実現するもので、この包括的委託によって、毎年度5,000万円程度の経費削減を見込むことができた。

 

また、今後の清掃センターの維持管理費用において、ごみ排出量の増減が大きく影響することから、家庭系収集ごみの排出抑制を促す施策など、一層のごみ減量と資源化の推進に取り組んでいく。さらに、新施設では効率的で、より良い処理方式及び事業方式を検討・採用することにより、将来的にも、ごみ処理費用が削減できるよう努めていく。

 

 

●要望(改善要望&政策提案)●

 

要望の1点目として、対策課のページに、取り組みと課題と経費を掲載するなど、ごみに対する意識の向上と、ごみの減量化、資源化推進のために、さらにわかりやすい形での情報発信をお願いしたい。

 

要望の2点目として、清掃センターの建設及び運営の検証と、平成35年度完成予定の「新しいごみ処理施設」への反映をお願いしたい。本市のごみ処理費用が割高であるのは、この要因が清掃センターの運転管理や、施設の維持修繕に係る「中間処理費」にあることは明確である。つまり、ごみ処理施設の運営と維持修繕に多大な費用がかかるために、この負担が財政に重くのしかかってきている。

 

そして、ごみ処理場は巨大な装置産業でもあるため、建設費と運営費、維持管理費の低減を最重要課題として捉え、新しいごみ処理場の建設計画と、その仕様に反映する仕組みづくりを検討いただきたい。ごみ焼却炉に関わらず、大きな設備投資で大切なことは、投資効果を最大化することである。将来性を見据えた、徹底的な検討と検証を実施することで、市が主体的に選択し、責任を持って進めていただきたい。

 

要望の3点目として、現在のごみ処理経費の削減施策の更なる検討と推進を実施いただきたい。清掃センターが特殊な構造で、運営経費がかさむとはいえ、1キログラム当たり63.9円という他市に比べ割高な処理費用を、今後10年弱負担し続けることは財政にとって好ましくない。一層のごみ減量と資源化の推進も大切であるが、ごみ処理単価がごみ処理経費を圧迫している一番大きな要因である。

 

昨今の円高や原油/天然ガス価格の下落で、焼却コストは低減されている可能性があり、運営や維持管理は改善の余地が大きな分野でもある。今後のごみ処理について、市がコスト削減を目標として捉え、粘り強く取り組んでいただきたい。