★市内小中学校におけるICT機器の調達及び運用について(GIGAスクール 知多市)★

 

令和5年(2023年)9月議会(第5回定例会)一般質問

 

知多市議会議員 川脇裕之

 

「市内小中学校におけるICT機器の調達及び運用について」

 

(1) 教育用タブレット端末について

① 導入機種及び台数について

② 調達の契約先、契約額及び履行内容について

③ 保守の契約先、契約額及び履行内容について

④ 端末の資産管理、所有権及び運用について

⑤ 端末の貸与に当たり学校と保護者が取り交わす同意書等の内容について

⑥ 故障時の対応について

⑦ 故障台数について

⑧ 今後の端末更新計画について

 

(2) 電子黒板について

① 導入機種及び台数について

② 調達の契約先、契約額及び履行内容について

③ 保守の契約先、契約額及び履行内容について

④ 授業での活用状況について


 

◆質問

 

皆様、こんにちは。先の通告に基づきまして「市内小中学校におけるICT機器の調達及び運用について」質問いたします。

 

令和元年12月に『安心と成長の未来を拓く総合経済対策』(※1)が閣議決定され、「Society 5.0時代を担う人材投資、子育てしやすい生活環境の整備」を目指すとして、(Global and Innovation Gateway for ALL)、いわゆるGIGAスクール構想が進められてきました。

 

これは、初等中等教育において、Society 5.0という新たな時代を担う人材の教育や、特別な支援を必要とするなどの多様な子供たちを誰一人取り残すことのない一人一人に応じた個別最適化学習にふさわしい環境を速やかに整備するという構想です。その実現のため、学校における高速大容量のネットワーク環境の整備を推進するとともに、特に、義務教育段階において、令和5年度までに、全学年の児童生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち、十分に活用できる環境の実現を目指すこととしています。そして、事業を実施する地方公共団体に対し、国として継続的に財源を確保し、必要な支援を講ずることも明記されています。

 

このGIGAスクール構想を実現するべく、全国の自治体で、1人1台端末及び高速大容量の通信ネットワークの一体的な整備が進められてきました。本市でも、市内全小学校10校と、全中学校5校の 合計15校に、情報通信ネットワーク設備、 充電保管庫、電源設備、タブレット端末、電子黒板等の整備を実施しました。

 

本日は、このGIGAスクール構想実現に向けた本市の環境整備の取組や、運用状況を確認することで、物品や役務等の適切な調達手続の執行、及び、教育活動におけるICTの効果的な活用を求め、「市内小中学校におけるICT機器の調達及び運用について」伺います。

 

(1) 点目は、「教育用タブレット端末について」です。

本市では、令和2年9月第4回定例会に提出された「議案第46号:財産の取得について」の可決を経て、市内小中学校に導入するための教育用タブレット端末の購入契約を締結し、小中学校での運用を開始しております。本契約を随意契約で実施したことについての問題点は、本議案への反対討論でも述べましたが、改めて教育用タブレット端末の調達の実態と運用状況を確認いたしたく、

 

①つ目、導入機種及び台数について

②つ目、調達の契約先、契約額及び履行内容について

③つ目、保守の契約先、契約額及び履行内容について

④つ目、端末の資産管理、所有権及び運用について

⑤つ目、端末の貸与に当たり学校と保護者が取り交わす同意書等の内容について

⑥つ目、故障時の対応について

⑦つ目、故障台数について

⑧つ目、今後の端末更新計画について

伺います。

 

次に(2) 点目は、「電子黒板について」です。

本市では、令和2年9月からの市内10小学校への導入をはじめとして、電子黒板のリースや購入を実施してきました。改めて電子黒板の調達の実態と運用状況を確認いたしたく、

 

①つ目、導入機種及び台数について

②つ目、調達の契約先、契約額及び履行内容について

③つ目、保守の契約先、契約額及び履行内容について

④つ目、授業での活用状況について

伺います。

 

契約は契約1件ごと、台数は年度ごとに回答をお願いします。

以上、壇上からの質問といたします。答弁、よろしくお願いいたします。

◆答弁

 

◎市長

御質問の1番目、市内小中学校におけるICT機器の調達及び運用についてでございますが、本市では、令和3年1月からタブレット端末の利用を開始し、児童・生徒一人ひとりに合った創造性を育む学びを提供しています。

令和5年度は、文部科学省が推進するリーディングⅮⅩ事業を受託し、ICT活用の実践例を情報発信し、教育ⅮⅩに取り組んでいるところであります。

御質問の1点目及び2点目につきましては、教育部長から答弁させますのでよろしくお願いいたします。

 

◎教育部長

①ご質問の1番目、「市内小中学校におけるICT機器の調達及び運用について」の1点目、「教育用タブレット端末について」の1つ目、「導入機種及び台数について」でございますが、

令和2年度は、教育用端末の新規整備分で、機種はiPad第7世代32GB、台数は7,540台、4年度は、指導者用端末の追加整備分で、機種はiPad第9世代64GB、台数は66台です。

 

②次に2つ目、「調達の契約先、契約額及び履行内容について」でございますが、

2年度契約の、契約先は教育産業株式会社、契約額は4億973万2,246円、履行内容は、キッティング及び各学校への納入です。

4年度契約の、契約先及び履行内容は2年度と同様で、契約額は519万8,160円です。

 

③次に3つ目、「保守の契約先、契約額及び履行内容について」でございますが、

3年1月から7年12月までの長期継続契約で、契約先は教育産業株式会社、契約額は1億9千905万6,000円、履行内容は、ヘルプデスクを設置して端末の操作支援や支障対応を行う業務、アプリケーションの配信や、年度更新処理等の業務です。

 

④次に4つ目、「端末の資産管理、所有権及び運用について」でございますが、

端末は市所有の備品として管理し、所属施設を各学校としています。

運用については、児童生徒数に応じて各学校に配付する端末台数を毎年度調整し、児童生徒1人に1台ずつ端末を貸与しています。

同じ学校に通学している間は、進級しても同じ端末を継続して使用し、卒業時に端末を初期化して各学校に返却します。

新1年生は、卒業生が返却した端末を使用します。

 

⑤次に5つ目、「端末の貸与に当たり学校と保護者が取り交わす同意書等の内容について」でございますが、

端末を児童生徒に貸与する際、保護者に学校及び教育委員会宛に同意書の提出を依頼しています。

内容は、家庭での適切な保管、目的外使用の禁止、他者貸与の禁止、設定変更の禁止、問題発生時に操作ログを確認することの承認等についてです。

また、故意または重大な過失により故障した場合、保護者負担を求める内容についても同意いただき、個別の事案に対応するため、「タブレット端末等に関するQ&A」を作成して配付するとともに、市ホームページでも公開しています。

⑥次に6つ目、「故障時の対応について」でございますが、

児童生徒から端末故障の申し出があった場合、学校が、対象の児童生徒や保護者から故障時の状況等について聞き取りを行い、原因確認を行います。学校から教育委員会に対して端末故障の報告が入り、教育委員会から保守事業者に対して修理依頼を行います。修理期間中は、学校に配置の予備端末を児童生徒に貸与します。

 

⑦次に7つ目、「故障台数について」でございますが、

保証期間内であって修理費が発生しないものも含めた故障台数については、

2年度は0台、

3年度は39台、

4年度は121台、

5年度は1学期末時点で70台、

合計で230台です。

 

⑧次に8つ目、「今後の端末更新計画について」でございますが、

本年度から、バッテリーの更新を計画しています。使用頻度が高く、バッテリーが劣化したものから順に対応していく予定です。

端末本体の更新については、7年度末までに次期端末を導入し、8年度から新たな端末が使用できるように更新する計画です。

 

①次に2点目、「電子黒板について」の1つ目、「導入機種及び台数について」でございますが、

令和2年度は、普通教室への整備分で、機種は、エルモ社のxSync Boad、65インチ、液晶タッチディスプレイ、台数は271台、3年度は、特別教室への整備分で、機種は2年度と同様で、台数は41台です。

4年度は、特別教室用追加整備分を仕様発注し、導入機種はPhilips、65インチ、液晶ディスプレイ、台数は40台です。

 

②次に2つ目、「調達の契約先、契約額及び履行内容について」でございますが、

2年度は3件の契約があり、1件目、93台リース分について、契約先は株式会社JECC、契約額は5千458万2,000円、履行内容はキッティング、機器の搬入及び組付です。

2件目、177台購入分について、契約先は教育産業株式会社、契約額は9千964万7,460円、履行内容はキッティング、機器の搬入及び組付です。

3件目、1台追加購入分について、契約先は教育産業株式会社、契約額は56万2,980円、履行内容はキッティング、機器の搬入及び組付です。

3年度契約について、契約先は教育産業株式会社、契約額は2千435万4,000円、履行内容はキッティング、機器の搬入及び組付です。

4年度契約について、契約先は教育産業株式会社、契約額は1千398万7,600円、履行内容はキッティング、機器の搬入及び組付です。

 

③次に3つ目、「保守の契約先、契約額及び履行内容について」でございますが、

3年2月から8年1月までの長期継続契約で、契約先は教育産業株式会社、契約額は384万7,800円、履行内容はヘルプデスクを設置して電子黒板の操作支援や支障対応を行う業務、デジタル教科書のアップデート作業等の業務です。

 

④次に4つ目、「授業での活用状況について」でございますが、

デジタル教科書や児童生徒の発表資料の提示のほか、教員の手元を書画カメラで撮影し、作業等の説明をするなど、授業の中で高い頻度で利用しています。

授業以外においても、朝会などの全校集会を体育館に集合せず各教室でオンライン開催したり、教員向けの研修会の際にも活用しておりますので、よろしくお願いいたします。

 

◆再質問

 

答弁ありがとうございます。ただ今お答えいただいた内容について再質問いたします。

 

(1) 点目の教育用タブレット端末についてです。

 

●再質問①

再質問の①点目、iPadキッティングの具体的な内容、及びキーボードカバーを合わせて購入しているものかと思いますが、その製品詳細(型番)について伺います。

 

◎教育部長

キッティングは、機器の搬入・設定調整費として、開梱し、液晶保護フィルムや管理番号シールの貼付、キーボードカバーの取付、最新OSへのアップデート、端末管理ツールの登録、設定ファイル及び指定するアプリの配信等を行いました。キーボードカバーは、ロジクールのRugged Combo 3 教育用、型番は、iK1054BBです。

 

●再質問②

教育用タブレット端末iPadは、国の「GIGAスクール構想の実現」に向けた児童生徒1人1台端末の整備事業に関する補助金等を活用して調達を実施したものと認識しておりますが、

再質問の②点目、教育用タブレット端末iPad導入における国庫補助の詳細について伺います。

 

◎教育部長

令和2年度に活用した補助金は、公立学校情報機器整備費補助金の「公立学校情報機器購入事業」です。

児童生徒3人に2台分、1台当たり4万5千円が補助対象で、国庫補助額は、4,846台分、2億1千807万円です。

4年度に活用した補助金は、公立学校情報機器整備費補助金の「学校のICTを活用した授業環境高度化推進事業」です。

普通教室の数を超えて整備する指導者用端末が補助対象で、学校数に応じた上限額があり、補助率は対象経費の1/2、国庫補助額は、256万4千円です。

 

●再質問③

次に、令和2年度の教育産業株式会社を相手方とした教育用タブレット端末iPad:7540台の調達では、競争入札や公募型プロポーザルを実施することなく、随意契約にて契約を締結しました。

地方公共団体の契約は一般競争入札によることが原則とされており、随意契約を締結することは、例外的な取り扱いとされています(※2)。そこで、

再質問の③点目、教育用タブレット端末iPad の調達を随意契約とした経緯とその詳細について伺います。

 

◎教育部長

教育用端末の整備は、国が示す標準仕様書に沿った整備であり、高度又は専門的な技術及び知識による提案を公募する公募型プロポーザル方式ではなく、価格競争が適当として、端末購入と5年間の保守業務の総額で、見積徴収を行いました。

教育用端末の納入時の設定と保守業務には密接な関連があり、端末の納期が不安定である中、期日までに設定、納入、保守を円滑に行うため、教育用端末の購入と保守委託を一体的な事業とするため、6者を指名して見積徴収を行い、最低価格であった事業者と、随意契約を行ったものです。

 

●再質問④

次に、6社を指名して見積徴収を実施したとのことですが、

再質問の④点目、教育用タブレット端末iPad調達の見積徴収の相手方及び見積徴収の詳細について伺います。

 

◎教育部長

ご質問の件につきましては、

端末購入費と5年間の保守費用の総額での見積徴収を行い、内訳が分かる見積明細書を提出させました。

見積徴収の相手方は、株式会社 内田洋行 営業本部 教育ICT事業部、株式会社 岡田電業社、教育産業 株式会社、知多メディアスネットワーク 株式会社、西日本電信電話 株式会社 名古屋支店、株式会社 フューチャーインの6者で、2者が辞退しています。

最低価格であった、教育産業 株式会社と1者による随意契約を行っていますので、よろしくお願いいたします。

 

●再質問⑤

次に、先に申し上げた通り、地方公共団体の契約は一般競争入札によることが原則とされており、地方自治法施行令(第167条の2)(※3)では、次の要件に該当する場合に限り、随意契約を締結することが可能とされています。

 

①予定価格が少額の場合

②性質又は目的が競争入札に適しない場合

③障害者支援施設等から物品等の購入等を行う場合

④新商品として生産される物品を買い入れる場合又は新役務の提供を受ける場合

⑤緊急の必要により競争入札に付することができない場合

⑥競争入札に付することが不利と認める場合

⑦時価に比し著しく有利な価格で契約締結できる場合

⑧競争入札に付し入札がないとき、又は再度の入札に付し落札者がない場合

⑨落札者が契約を締結しない場合 

以上の9点です。そこで、

再質問の⑤点目、令和2年度の小中学校用教育用タブレット端末iPad:7540台の購入契約は、地方自治法施行令(第167条の2)のどの要件に該当すると考えて、競争入札を実施せずに随意契約を締結したのか伺います。

 

◎教育部長

端末購入と5年間の保守業務の総額で価格競争を行い、最低価格であった事業者を特定した後に、端末購入契約及び保守業務の契約をそれぞれ行うために随意契約を行ったもので、地方自治法施行令第167条の2 第1項 第2号、「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」の要件に該当します。

 

●再質問⑥

令和2年度に調達した7540台のiPad(第7世代,32GB,Wi-Fiモデル,10.2インチ)の定価は34,800円(税込)ですが、本市は1セット当たり約54,340円で契約しており、これは定価より約2万円高い金額です。

また、令和4年度に調達した66台のiPad(第9世代,64GB,Wi-Fiモデル,10.2インチ)の定価は39,800円(税込)ですが、本市は1セット当たり78,760円で契約しており、これは定価より約39,000円高く、定価の2倍近くにも上る金額です。

そこで、再質問の⑥点目、第7世代iPad 7540台が端末定価より約2万円、第9世代iPad66台が端末定価より約39,000円高い金額となっている理由について伺います。

 

◎教育部長

端末本体に加え、キーボードカバー、液晶保護フィルム、端末管理ソフトウェアライセンス、端末設定及び搬入費用が含まれています。

 

●再質問⑦

各種費用が含まれているためとのことですが、

再質問の⑦点目、iPadの付属品や役務について、それぞれの項目ごとの単価、及び全体としての価格の妥当性をどのように評価・検証したのか伺います。

 

◎教育部長

メーカーが示す端末の価格やキーボードカバーの価格等を調査したうえで、予算計上し、見積価格が予定価格の範囲内であり、仕様に沿った納入が可能であることを確認しています。

 

●再質問⑧

続いて、保守の契約について、令和2年度調達の第7世代iPad 7540台の、1端末当たりの保守金額は5年間で26,400円、1年あたりに換算すると5,280円と認識していますが、

再質問⑧点目、教育用タブレット端末iPadの保守契約金額の根拠、及び随意契約時の相手方に対する査定、チェックの内容について伺います。

 

◎教育部長

保守契約には障害発生時や運用での問い合わせを一律で行うヘルプデスク業務及び現地対応や端末引き取り等の対応が含まれています。

端末購入と5年間の保守業務の総額で価格競争を行い、最低価格であった事業者を特定して随意契約しており、見積価格が予定価格の範囲内であり、仕様に沿った保守業務が可能であることを確認し、事業者決定をしました。

 

●再質問⑨

引き続き、保守契約について、

再質問の⑨点目、iPadの保守契約にはAppleCare+サービスのような、過失や事故による損傷に対する修理などは含まれているのか伺います。

 

◎教育部長

過失や事故による損傷に対する修理などは含まれていません。

 

●再質問⑩ ※故障台数は230台(128台は修理件数)

続いて、iPadの故障について、故障台数が導入時から令和5年1学期末までで有償無償込みで合計230台とのことですが、

再質問の⑩点目、iPadの有償修理件数及びそれに要した金額を伺います。

 

◎教育部長

令和2年度は、0件、

3年度は18件、71万2,800円、

4年度は77件、359万1,500円、

5年度1学期末時点では、33件、161万5,350円、

合計128件、591万9,650円です。

 

●再質問⑪

引き続き、有償修理につきまして、小中学校では、iPad貸与の際、「学習用情報機器等の貸与に係る同意書」の提出を保護者に求めております。

最新の同意書には、機器に故意または重大な過失により故障を生じさせた際は、賠償責任を負うと記載されており、有償修理故障の発生時には児童生徒や保護者に故障発生状況を確認すると認識しております。そこで、

再質問の⑪点目、教育用タブレット端末iPadの有償修理128件の内、児童生徒や保護者に故障発生状況の聞き取り調査を実施した件数について伺います。

 

◎教育部長

端末の修理が必要となったケースについては全件聞き取りを行っているため、128件です。

 

●再質問⑫

再質問の⑫点目、教育用タブレット端末iPadの有償修理の負担において、保護者と意見相違があった件数、及びその際の保護者負担の扱いについて伺います。

 

◎教育部長

保護者と意見相違があった件数は3件で、市が修理費を負担しました。

 

●再質問⑬

再質問の⑬点目、教育用タブレット端末iPadの有償修理で、公費負担ではなく保護者負担となった事例の件数、及び各事例における状況の詳細と金額について伺います。

 

◎教育部長

保護者負担となったのは3件で、端末を投げてしまい画面割れが発生したケース、

階段手摺の上を滑らせて遊び落下させて画面割れが発生したケース、

キーボードカバーを子どもが勝手に外し、本体損傷を生じさせたケースです。

3件とも小学校で起こったもので、保護者負担は1台39,600円です。

 

●再質問⑭

再質問の⑭点目、教育用タブレット端末iPadのバッテリー更新費用の詳細について伺います。

 

◎教育部長

バッテリー交換は1台あたり16,500円、小中学校共に各400台、合計800台、1,320万円を予定しています。中学校の方が持ち帰りも多く使用頻度が高いため、バッテリー交換割合を多く計画しています。

 

次に(2) 点目の市内小中学校の電子黒板についてです。

 

●再質問①

令和2年度の9月からの導入を目指して調達を実施した市内10小学校の電子黒板(93台)については、リース(借上)契約を株式会社JECCと実施しましたが、同年11月から翌年1月末までに整備した電子黒板(177台)は、購入契約を教育産業株式会社と締結しております。

質問の2点目の①点目、電子黒板の調達方法を当初のリースから購入に変更した理由について伺います。

 

◎教育部長

当初、GIGAスクール構想の事業スケジュールは、段階的な端末整備が予定されていたため、電子黒板整備についても段階的にリース整備する計画としていました。

新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、端末整備が前倒しされ、全ての普通教室への電子黒板整備が必要となり、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用するため、備品購入により整備しました。

 

●再質問②

次に、電子黒板の整備は同時期に各自治体が実施しておりますが、近隣の自治体の状況を確認いたしますと、大府市が本市と同じく教育産業株式会社から調達を実施しております。近隣自治体がどのように整備したのかは、事業の評価や検証をする上で大変参考になる情報であると考えます。そこで、

再質問の②点目、大府市の2020年度の電子黒板等の調達における導入機種、台数、及び契約金額について伺います。

 

◎教育部長

導入機種は、シャープ BIG PAD Campus 65インチ 液晶タッチディスプレイ、台数は8台、契約金額は528万1,760円です。

 

●再質問③

次に、大府市の入札結果詳細情報を確認すると、7者による指名競争入札を実施して調達しておりますが、本市の令和2年度の電子黒板(177台)の整備は、3者による指名競争入札となっております。そこで、

再質問の③点目、県内に多数の電子黒板の販売代理店が存在する中、本市が電子黒板の購入に係る入札において、より多くの企業を指名しなかった理由、及び3者に限定して指名した理由について伺います。

 

◎教育部長

知多市契約規則第23条の規定により3者以上の入札者を指名する必要があり、学校へのICT機器納入設定、調整等において過去に実績のある事業者3者を選定しました。

 

●再質問④

次に、2022年度(令和4年度)の電子黒板の購入(40台)について、入札結果詳細情報を確認すると、3者による指名競争入札であり、内2者は辞退しています。

そこで、再質問の④点目、県内に多数の電子黒板の販売代理店が存在する中、本市が電子黒板の購入に係る入札において、3者に指名を限定した理由、及び2者が辞退した理由、並びに、より多くの企業を指名しなかった理由について伺います。

 

◎教育部長

先に、知多市及び近隣自治体で実績のある5者で入札を行った結果不調となり、入札の無かった4者を除いて2者を追加し、3者で再入札を実施したものです。

2者辞退の理由としては、契約から納期までが短期間であったため、納期までの納入が出来ないという理由です。

同じ案件で入札会を2回開催し、合計7者を指名しているため、多くの企業に入札を求めた結果の契約であると考えています。

 

●再質問⑤

次に、2022年度(令和4年度)の電子黒板の購入(40台)では、前年度までに導入したものとは異なる仕様のディスプレイ製品を導入しております。そこで、

再質問の⑤点目、2022年度(令和4年度)の電子黒板の購入(40台)における要求仕様の詳細について伺います。

 

◎教育部長

65型モニター、実物投影機、制御用ノートパソコン、ミラーリング用のAppleTVをモニタースタンドにセットし納入するよう発注しています。

 

●再質問⑥

御答弁の通り、2021年度(令和3年度)までに導入した電子黒板312台と、2022年度(令和4年度)に導入したディスプレイ40台と、具備する機能が異なる機器を運用していますが、再質問の⑥点目、異なる機能を持つ電子黒板の運用状況の詳細を伺います。

 

◎教育部長

4年度購入分は、不足する特別教室用として追加購入したものであり、主に子どもたちが操作しない、教材等の提示を目的としています。

タッチ操作に慣れた一部の教職員からは、デジタル教科書のページ送りの操作等で不便を感じていると聞いていますが、概ね円滑に運用できています。

 

◆要望

 

答弁ありがとうございました。それでは、答弁いただいた内容を踏まえ要望を申し上げます。

最初に、教育用タブレット端末iPadの調達についてです。

 

答弁では、

端末購入と5年間の保守業務の総額で価格競争を行い、最低価格であった事業者を特定した後に、端末購入契約及び保守業務の契約をそれぞれ随意契約で行ったもので、地方自治法施行令第167条の2 第1項 第2号、「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」の要件に該当。

とのことですが、

 

本件は、地方自治法施行令(第167条の2)の「一般競争入札原則」に倣っておらず、「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」の例外要件にも該当しないと考え、本調達が不適切なスキームによる執行であったと問題提起し、再発防止を求めます。

 

実際に、教育用端末の整備は、国が示す標準仕様書に沿ったものであり、本市と同じ時期に全国の自治体で一斉に行われました。大多数の自治体では、「競争入札」もしくは「公募型プロポーザル方式」を実施しており、当然踏むべきこれらの手続きを本市が踏まなかったことは、問題であると考えます。

 

具体的には、知多半島5市においては、同時期に半田市が本市と同一のiPad第7世代32GBの端末を6,530台調達しており、こちらは税込単価が44,220円です。半田市は7者による競争入札を実施しました。競争入札ですので、あいち電子調達共同システムに記録されております(※4)。

 

県外の同等規模の自治体における同一端末の調達事例では、宮城県名取市は、令和2年第6回臨時会の議案第68号で財産の取得について議決し、10者による競争入札を実施し本市と同一のiPad第7世代32GB端末7700台を、3億4472万9千円にて購入する契約を締結。1台当たりの単価は約45,160円です。 (※5)。

 

教育用端末の整備は、同時期に全国の都道府県で実施されておりますので、安く調達した事例をいくつも確認することができます。そもそも見積徴収は予算規模を確認する行為であり、市場価格や最低価格を担保できる行為ではありません。

 

契約主体に最も有利な条件を提供した者との間に契約を締結するために、競争入札原則があります。入札がかえって契約主体に不利な価格での契約につながるケースを回避するために、随意契約を特例要件として定めているのであり、見積徴収で最低価格を確認したから競争入札を実施しないというのは、競争入札原則に反します。そのため、要望の

①件目、地方自治法施行令(第167条の2)の「一般競争入札原則」の遵守(じゅんしゅ)の徹底を求めます。

 

民間企業のように厳しい競争環境がなく、価格と品質を追求する意思や機能を行政が担保できない以上、「一般競争入札原則」の遵守は適正価格を最低限担保するために必須の手順と考えます。

 

次に、物品調達と役務調達を一括で行なうことについての問題です。教育用端末の購入と保守委託を一体的な事業として実施したことで、iPadの付属品や役務について、それぞれの価格の妥当性を精査できておりません。本件に限った話ではなく、私はこれまでの予算や決算においても、物品調達と役務調達を分けるべきと主張してきました。

 

のちの要望で、教育用タブレット端末iPadの修理費用が本体価格の定価を超えて発生していることについて改善を求めますが、教育用タブレット端末の更新については、令和7年度末までに次期端末を導入し、令和8年度から新たな端末が使用できるように更新する計画とのことです。そこで、要望の

②件目、一般的な工業製品を調達する際は、物品調達と役務調達を分けて実施することを求めます。

 

また、AppleCare+ for Schoolsに加入すると、iPad、Apple Pencil、Apple製キーボードの保証とサポートがAppleCare+ for Schoolsの購入日から最大4年間に延長されます(※6)。 教育機関向け正規販売店を通じ、iPadとApple製ケースまたは指定する他社製iPad保護ケース、キーボードを同時購入する場合に限り、2年4180円、3年7480円、4年1万1880円で加入が可能とのことです。本市ではiPadのバッテリー交換に1台あたり16,500円を見込んでいるとのことですが、修理費用等に鑑みてiPad購入時に保証とサポートに加入することも有効な選択となるのではないかと考えます。そこで、要望の

③件目、教育用タブレット端末の更新時には、「AppleCare+ for Schools」等の保証とサポートへの加入を検討することを求めます。

 

次に、教育用タブレット端末iPadの運用についてです。

 

iPadの運用について一般質問を実施した理由のひとつは、市内在住の小学生保護者の方から、教育用タブレット端末iPadの故障について、学校との折衝に苦慮しているとのご相談を受けたのがキッカケです。

 

相談内容の概要は次の通りです。

 

  • 教育用タブレット端末iPadの画面が割れていることを学校教諭が発見して、保護者へ連絡。
  • 保護者は学校からの連絡を受け、iPad画面割れを初めて認識。
  • 学校が児童と保護者に画面割れに至った経緯について聞き取りを実施。
  • 児童は画面の割れを認識していたが、液晶画面が割れた日時や要因については覚えていない。故意による破損はしていないと主張。聞き取りの中で、児童が画面割れの可能性がある行動を取ったことがあり、画面割れについて児童と保護者は謝罪と反省の意を表明。
  • 学校は聞き取りにおいて、児童がタブレット運用ルールに違反する行動を取ったとみなし、故意に故障させたと判断して、修理代として保護者に5万円を請求すると通告。
  • 保護者は故意に故障させていないと主張。同意書には「投げたり水をかけたり故意に故障させた場合保護者負担」とあるため、過失による故障として対応をお願いしたいと依願。
  • 学校と保護者が修理費負担について交渉をしていた2週間程度の期間、児童には代替用iPad端末が貸与されず、クラスで一人だけ教育用タブレット端末iPadがない状況で授業が実施されたとのこと。
  • 保護者-学校-市教育委員会の間での複数度のやり取りを経て、最終的には教育用タブレット端末iPadの修理は公費負担とすることで合意。

以上が、私が伺った内容の要約です。

 

保護者の方からの意見は次の通りです。

  • 故意の故障とみなすとの一方的な判断はおかしいのではないか。
  • いつ画面が割れたのか不明であり、証拠がないのに、どうやって判定するのか。「故意」の捉え方が学校と保護者で異なっているのに、説明があまりにも配慮に欠け、不親切であると感じる。
  • 保護者としては、聞き取り時に詳細を説明し、画面割れについて児童が認識した時点で速やかに報告しなかった点や、画面割れに繋がりかねない行動をとっていた点について、指摘を真摯に受け入れ反省し、謝罪した。
  • 何度も何度も学校からの電話や、呼び出しを受け、心身ともに傷ついた。学校が貸与している機器の故障について、事件捜査のようなことを行なうことが学校や公教育として適切な対応であるのか。
  • iPadの画面割れだけで新品を買うより高い金額を請求されることに納得ができない。提携している業者の関係で金額が決まっていると言われて詳しい理由が分からなかった。なぜその業者を選び、なぜ修理代に5万もかかるのか合理的な説明が欲しい。
  • 修理の話し合いが滞っていることを理由に、修理にも出していない、代替機は貸せないといわれた。2週間程度、息子だけ授業中タブレットなし、タブレットの宿題もなしであった。義務教育にも関わらず、タブレットのあるなしで教育の機会が均等に与えられないなど、あってよいことなのか。

以上が保護者の方からの切実なご意見です。

 

本ケースは、これまでに市内の小中学校で発生した教育用タブレット端末iPadの有償修理128件のうちの1つの事例であり、学校や市教育委員会の対応を個別のケースごとに批判するつもりはありません。保護者や教諭の関係性などはケースごとに異なり、複雑な要因も存在することでしょう。

 

しかし、答弁にあったように、教育用タブレット端末iPad故障の際に、

学校が対象の児童生徒や保護者から故障時の状況等について聞き取りを行い、原因確認を行う。学校から教育委員会に対して端末故障の報告が入れば、教育委員会から保守事業者に対して修理依頼を行う。修理期間中は、学校に配置の予備端末を児童生徒に貸与する。

 

という方針が示されているにもかかわらず、私が伺ったケースでは、2週間程度の期間、児童に代替のiPad端末が貸与されず、クラスで一人だけiPad端末がない状態で授業が実施されたとのことです。これは不適切な対応と運用であったと言わざるを得ません。このような事態が発生していることを問題として捉え、真摯に課題解決と再発防止に当たらねばならないと考えます。

 

これまで本市では、教育用タブレット端末iPadの公費による有償修理128件と、保護者負担修理の3件で聞き取りを実施しております。これらのケースにおいて、過度に厳しい聞き取りを行なっていないか、予備端末を児童生徒に速やかに貸与しているのか、「故障時の対応について」適切な運用を実施していただきたくお願い申し上げます。そこで、要望の

④件目、教育用タブレット端末iPadの故障時には、児童や保護者に配慮をもって、聞き取りを行うこと。

⑤件目、教育用タブレット端末iPadの故障時には、速やかに予備端末を児童生徒に貸与し、授業や宿題に支障が生じない運用をすること。

を求めます。

 

また最新の「タブレット端末等に関するQ&A」では、修理費用の上限額が端末本体で約5万円、キーボードで約2万円と記載されています。先ほどの再質問の⑬点目の答弁より、教育用タブレット端末iPadの有償修理で、保護者負担が1台39,600円であったケースが3件確認できました。児童生徒に貸与している教育用タブレット端末iPadの定価は税込34,800円です。一般的な工業製品の修理費用が、本体価格を超えて発生するというのはありえない事態です。

 

先に指摘した通り、一般競争入札を実施せず随意契約を締結したことも問題ですが、調達と保守を分けなかったことで、市場価格を上回る金額の故障修理負担が、本市の財政や児童生徒の保護者の家計に悪影響を及ぼしています。そして、導入当時新品のiPadを貸与された児童生徒と違って、現在の新入生等には複数年使用したiPad端末が貸与されており、前利用者の使用頻度や使用形態によっては、故障の可能性が大きい端末を割り当てられる事態も容易に想定されます。そこで、要望の

⑥件目、市場価格でのiPad修理を契約相手方に要求すること。もしくは、定価の半値以下で市場に流通している中古端末iPadを調達して故障対応にあてるなど、公費負担と保護者負担を最小化する取り組みを実施すること。

を求めます。

 

学校教育や教諭の現場が疲弊して厳しい状況にあることは重々承知しています。教育用タブレット端末iPad故障時の、保護者への聞き取りや市教育委員会への報告など、業務負担も多大でしょう。だからこそ、現場への負担を最小限に減らし、経費を抑える取り組みを市行政が知恵を働かせて実施すべきであると考えます。

 

最後に「電子黒板について」です。

 

2022年度(令和4年度)の電子黒板の購入(40台)では、タッチ機能を具備しないディスプレイ製品を導入しましたが、概ね円滑に運用できているとの答弁に安心しました。タッチパネルのディスプレイではなくても、画面ミラーリングの機能を活用すれば、同等の機能を有効に活用できることが確認できたのは運用面での有益な学びであると考えます。

 

電子黒板については、複数の児童生徒の保護者の方から、電子黒板の画面が小さくて見づらいとのお声も伺っております。確かに65インチのディスプレイは8畳や10畳のリビングで一般的な家庭用テレビサイズであり、教室後方席からは見えにくいことは明らかであると考えます。そのため要望の

⑦件目、電子黒板の更新の際には、大画面のディスプレイのものを調達すること。

を求めます。

市場では85インチのテレビが市場価格30万円程度から販売さられており、インターネット接続やミラーリング機能も具備されています。ICTの効果的な活用を図るための取組を恒常的に推進し、教育の質を向上させるためには、電子黒板やディスプレイが教室のどの席からでも鮮明に見える環境を整備することが望ましいと考えます。テクノロジーや工業製品は日進月歩の勢いで進化しておりますので、最適な技術や製品の選定を検討いただきたく存じます。

 

以上「市内小中学校におけるICT機器の調達及び運用について」7件の要望を申し上げて、わたくしの一般質問を終わります。ありがとうございました。

 

【参考資料】

 

(※1) 安心と成長の未来を拓く総合経済対策

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/1205/shiryo_06.pdf

 

(※2) 入札・契約制度について(総務省)

https://www.soumu.go.jp/main_content/000025877.pdf

 

(※4) あいち電子調達共同システム

案件番号:2006292320500460882

案件名称:小中学校教育用タブレット機器等購入

 

(※5) 名取市 令和2年議案の概要と審議結果

https://www.city.natori.miyagi.jp/soshiki/gikaijimu/giannogaiyoutosinngikekka/node_65865

 

(※6) 「GIGAスクールiPad基本パッケージ」

https://www.learning-innovation.go.jp/assets/images/giga/lineup/pdf/0318/03181035_Apple_v2.pdf