2020年10月1日より「GoToイートキャンペーン」の第一弾「オンライン飲食予約の利用によるポイント付与」が始まります。
詳しくは
及びオンライン飲食予約サイトをご覧下さい。
「ぐるなび」「食べログ」「Yahoo!ロコ」「ホットペッパー」
結論は「キャンペーンを活用したい方は急いで予約をしましょう!」の一言です。その理由をつらつらと述べます(雑な分析と解釈をする記事なので情報価値はありません)。お得に外食を楽しみたい方は予約サイトへLet's Go。
さて「Go To イート」は2つのキャンペーンが同時並行で走ります。
「Go To Eatキャンペーン事業」について(農林水産省)
- ①食事券(給付金767億円):登録飲食店で使えるプレミアム付食事券(購入額の25%分を上乗せ)
- ②オンライン飲食予約(給付金767億円):オンライン飲食予約サイト経由で、期間中に飲食店を予約・来店した消費者に対し、次回以降に飲食店で使用できるポイントを付与
①のGoToイート食事券(物理的な紙クーポン券発行)は、無駄が多く非効率な仕組みのため個人的に肯定的ではありませんが、従来型のプレミアム付食事券制度であり、非生産的な稼働が大量発生するものの、大したトラブルはなく進むことでしょう。
(※11月5日追記)
GoToイート食事券の売り切れと発券トラブルが発生している模様です。
「Go To イート」食事券、ファミマで用紙切れ…各地で発券できずhttps://t.co/NAB9gbmlmz
— 産経ニュース (@Sankei_news) November 5, 2020
「週末に使おうと楽しみにしていたのに、計画が狂った」と不満を口にする女性会社員。洋食店の女性は「早く復旧してもらわないと困る」と話す。
本稿は主に②の「オンライン飲食予約の利用によるポイント付与」についての考察です。
本キャンペーンは、利用者がオンライン飲食予約サイトに登録(契約)されている飲食店をサイト経由で予約すると「昼食:500円×人数」「夕食:1000円×人数」の「GoToEatキャンペーンポイント」が得られるという仕組みです。
※昼食時間帯は500円分、夕食時間帯(15:00~)は1,000円分のポイントを付与
※ポイント付与の上限は、1回の予約当たり10人分(最大10,000円分のポイント)
※ポイント付与は2021年1月末まで、利用は2021年3月末まで
利用者ごとの上限規制の記載がありません。初めて見た際に目を疑いました。そんなまさか。詳細を調べてみると、条件を設定しているオンライン飲食予約サイトもあります。
Q:GoToEatキャンペーン何回でもポイントを獲得できますか?
A:キャンペーン期間中は何回でも獲得できます(同一店舗で複数回予約した場合、その店舗の予約においてはひと月あたり20,000ptまでの付与ポイント上限を設けています)。
Q:GoToEat(GoTo イート)キャンペーンの利用回数に制限はありますか?
A:キャンペーン期間中は何度もキャンペーン対象です。ただし1日2回までとなっており、同一店舗への来店は1日1回までです。
このように予約サイト毎に条件があるものの、利用者は各サービスを組み合わせて活用すれば上限なく利用できる可能性がある大盤振る舞いのキャンペーンです。コスパ厨の消費者の立場からすれば、フル活用したいとワクワクドキドキします。一方で制度設計やサービサーのことを考えると「大丈夫なのかな?」と心配になります。懸念は以下の通り。
- 767億円の予算は1ヶ月持たないのでは?(10月分の予約でおそらく予算が枯渇する。下手したら10日で予算上限に達する)
- →700万人が毎日晩飯予約をすると1日70億円になる(電子決済サービス登録ユーザの4分の1相当が利用と想定)。
- 財布(予算)が1つの事業を複数事業社の予約システムでどう管理するのか?
- →先着順の仕組みは特典航空券のように共通基盤のシステムやアルゴリズムがなければ複数社では運用できない。予算上限を突破した予約をどう捌くのだろう?
少し考えただけでもGoToEatキャンペーンのオンライン飲食予約はヤバイな(大変だ)と気づきます。
例えば「PayPay」のようなスマホ決済アプリのようにID管理を厳格に実施しているサービスでは、利用者(ID)管理が容易です。実際に「あなたのまちを応援プロジェクト」はこれに該当します。決済に紐づく仕組みはスマートでコントロールが可能(←超重要)です。
しかし「GoToEatキャンペーン」は複数社が顧客獲得競争を実施しています。各社個別サービスを提供しており共通基盤がありません。誰がどれだけ予約したかカウント同期するシステムになっていないように見受けられます。
先行して実施されたGoToTravel(GoToトラベル)とは前提条件となる基盤が根本的に異なります。GoToトラベルはOTA(オンライン・トラベル・エージェント)の最先端ITシステムが元々あるからコントロール可能なのです。
このまま各社が同時にGoToEatキャンペーンを開始すればクラッシュしてしまいかねません。このクラッシュとは各予約サイトのサーバダウンといった物理的(機能的)なものではなく、予算上限を超える予約が殺到するリスクという意味です。
GoToEatキャンペーンが開始予定2日前(9月29日12時時点)に予約受付していないということは、制度のバグに気づいて対応策を検討(対処)しているのかもしれません。運用でカバーするのは非効率で大変ですから、トラブル承知で開始するのか、もしくは10月1日のスタートを遅らせるかの選択になるでしょう。いずれも混乱は必至の情勢です。(※10月1日上限規制なしでスタートしました)
予約サイト連携はおそらく無理なので、落としどころとしては、利用者ID(サービス)ごとの予約上限回数(金額)を設定することが現実的でしょうか。仕様追加の場合、システム(運用)側からすればデスマーチ発生は間違いなく、想像しただけで胸が苦しくなります。ああしろ!こうしろ!というのは、言うは易しですが、安定稼働するシステムとして運用するのは本当に大変です。
電子決済サービス登録ユーザの1/4程度の利用を想定すると700万人×晩御飯予約(1000円)で1日70億円。予約サイトではなく飲食店側が捌ききれないという状況になりかねません。その場合、予約者と予約サイトと飲食店で揉めそうです。混乱に対して地上波放送局や野党を筆頭に不平不満と文句を垂れ流す絵が容易に浮かびます。
義務教育の算数程度しか出来ない自分が雑に見積もった計算を、頭の良い方々が試算していないはずがないので、もしかしたら私の懸念が過ぎるのかもしれません。もしくは、声が届かないのか投げやりになっているのかでしょうか。
「馬鹿不平多」な社会は良くない傾向だと思っていますので、解決策を提案して結びます。
- 「予算を10倍の7000億円に増額して100日間続けましょう!」
冗談ではなく需要が消失した分を考えれば相殺でしょう(たった767億円の予算がそもそも少ない)。
「GoToトラベル」の予算が1兆3,500億円であることを考えれば「GoToEatキャンペーン」を10倍増の7000億円にするのは無理筋な要求でもないように思います。GoToEatはやり方に疑問はあるものの、政策自体はとても良いものですから。
これからはじまるのは、運用を考慮しない勢い任せの政策を実行すると現場が混乱するといふ日本でよく見られる辛い光景ですので、これを機に日本社会に蔓延する、残念な設計に運用が合わせるという嫌な慣習が改善されることを切に願っています。
みなさまにおかれましては、お得に外食をして経済を活性化させられる貴重な機会ですので「GoToEat」を有効活用していただければ幸いです。
ではでは!
(※10月1日追記)(※11月8日訂正)
10月1日に「GoToEatオンライン飲食予約」が開始されました。GoToEat
キャンペーン対象店は全国で2万店~3万店程度(10月1日現在)と超スモールスタートです。よって60億円が1日の最大付与ポイントとして開始でしょう(3万店×20人=60万件×1000ポイント→60億円/日)。よって3万店×20人=60万件×1000ポイント→6億円/日程度がポイント付与の最大値として開始(予算消化)します。
※計算を間違えておりました。60万×1000=6憶です。 1日の予約消化は6億円。お詫びして訂正いたします(Og様ご指摘ありがとうございました)。
767億円の現予算では年内消化ペースであり「GoToEatオンライン飲食予約」の2021年1月末までの継続(予約ポイント取得)は不可能であると思われますので、早い目の予約をオススメいたします。
(※10月23日追記)
GoToイートオンライン予約の予算が767億円から616億円に変更されていました。
【おすすめ記事】「Go Toイート」の予算配分を、農水省が突然変えた理由 https://t.co/oXLVSp9IZs
— ダイヤモンド・オンライン (@dol_editors) October 8, 2020
(※10月23日追記)
「GoToイート」のポイント付与事業は、10月1日から16日までで延べ約1092万人の予約があり、ポイント付与額は98億円分になるとのことです。
GoToイート予約1092万人 - 開始16日間で98億円分https://t.co/qX5Oaa9tff
— 共同通信公式 (@kyodo_official) October 23, 2020
単純計算で6億円/日の消費です。
※蓋を開けてみたら飲食店側も消費者側もGoToイートのオンライン予約を使いこなせないという日本のIT途上国ぶりが露呈しました。都道府県発行のプレミアム付食事券に人々が殺到したのを事実として捉え、短期的にはプレミアム付食事券を追加発行する、中長期的にはIT化を推進する等の政策を期待します。
そのため、予想を修正させていただきます。GoToイートオンライン予約の予算は616億円に減額されたため、100億円消費を差し引くと10月16日時点の残予算は約500億円です。GoToイートの利用はややペースが上がっていると指摘されており、直近(10月中旬)では約10億円/日がポイント付与されている模様です。
現行のペースで利用が進むと11月末まで維持できますが、くら寿司の参加(残念ながら近所にない)など、利用が加速度的に進むことが想定されますから、まもなく20億円/日程度の予約になると考えます。予算は残り25日程度といったところでしょう。11月10日前後にはGoToイートオンライン事業の予約ポイント獲得終了となる可能性があります。
というわけで、2021年1月末までの継続(予約ポイント獲得)は不可能との結論は変わりませんが「GoToイートオンライン予約事業は11月中旬頃に予約ポイント付与が終わるだろう」(予算消化するだろう)と予想を修正させていただきます(10月25日→11月中旬)。感染予防に留意してご活用いただき地域の飲食店を応援いただければ嬉しく思います。
(※11月8日追記)
「GoToイートのポイント付与事業は10月1日から29日までの約1カ月間で延べ2479万人の予約実績。実際に利用されれば付与額は222億円」と報道発表がありました。
イート予約、2479万人 - 約1カ月で予算36%消化https://t.co/2sQlMR4A8B
— 共同通信公式 (@kyodo_official) November 6, 2020
一日換算すると約14億円の模様です(10月末時点)。ポイントを得た方がそのポイントを利用して新たに予約(利用)してもポイントが付与されますので、リピーター予約も増えているのでしょう。根本的な制度設計はさておきこの点は経済が循環する良い仕組みだと思います。
10月末残予算約400億円÷14億円≒28日となりますので、予算が増額される等の対策が打たれない限り、11月下旬には「GoToイートポイントがもらえる予約」が停止してしまう可能性が大きいと考えます。
(※10月23日追記)
●GoToEatポイントの獲得予約終了日時
・Yahoo!ロコ:2020年11月14日(土)15:00
・ぐるなび:2020年11月14日(土)17:59
・ホットペッパー:2020年11月15日(日)2:00
・favy:2020年11月16日(月)18時59分
予想通り11月15日前後にGoToEatポイントの獲得予約が終了しました。当たってもこれ程嬉しくないこともありません。
自分も簡単な計算を間違えていたのでお恥ずかしい限りですが、メディアのリテラシーを見たりそれを安易に信じる人の多さを見ると、日本の理数系教育の失敗と義務教育課程知識の欠落が露呈して、それは致命的なレベルなのかもしれないと懸念しております。
途中データを見れば明らかに予測できたことでありますので、世の中のガセネタやデマに惑わされることなく、事実(ファクト)を正確に見定めて自らの頭で考えて行動下さい。
※あとがき
新型コロナウィルス感染症の拡大の懸念や「オンライン飲食予約サイト」経由の予約が面倒くさいとか、中抜き企業への利益誘導ではないか? といった意見が多く見られます。
なぜこのような手間のかかる仕組みにしたのか?については、確かに効率性を考えれば疑問ですが、プレイヤー(関係者)を増やしたかったのだろうと推察されます。その割に予算と参加店が少ないという歪な事業になってしまっています。
新型コロナウィルス感染拡大リスクについては、経済活動を活発化させて人との接触機会が増えれば、その分感染症患者が増えてしまう可能性はあります。それでも、外食産業が瀕死の状況にあり、これを打破するため、ポイント付与による需要喚起(消費拡大)キャンペーンが打たれました。
新型コロナウィルス感染リスクを最低限に抑えるため、新型コロナ感染の防止策を取ってキャンペーンに参加することが飲食店と利用者の双方に求められています。
村上春樹が綴っているように「誰にも迷惑をかけたくないならば、靴箱の中で生きればいい」のです(全然違う文脈での意訳抜粋)。魅力的な飲食店がなくなった街に住みたい、観光したいと思うでしょうか?(価値観の話で同意を求めるものではありません)。
新型コロナウィルス感染リスクが高いと考える方は自己対策を強化して、人が集まるところには近づかない。感染リスクは低いと考える方は感染予防を徹底してGoToイートキャンペーンをご活用いただければと思います。
(中抜き企業への利益誘導との指摘について:執筆中)
オンライン飲食予約サイトを経由してポイントを付与する仕組みよりも、
イギリスが2020年8月に実施したような外食半額補助制度「Eat Out to Help Out(イート・アウト・トゥー・ヘルプ・アウト)」
のようなわかりやすくて利用し易い仕組みを導入しろ!というご指摘について・・・。
「外食50%オフキャンペーン」
・月曜日から水曜日のみ開催
・1回の食事で1人£10 までオフ
・アルコールは対象外
・テイクアウェイは対象外
コメントをお書きください
Og (日曜日, 08 11月 2020 00:57)
60万件×1000ポイント→60億円ではなく6億円です。
あなたの10月1日の予想は当たってます。
川脇ひろゆき (日曜日, 08 11月 2020 19:50)
ご指摘ありがとうございます。簡単な算数を間違えておりお恥ずかしい限りです。
お詫びして訂正いたします。
川脇ひろゆき(メモ) (火曜日, 17 11月 2020 13:37)
●GoToEatポイント獲得予約終了日時
・Yahoo!ロコ:2020年11月14日(土)15:00
・ぐるなび:2020年11月14日(土)17:59
・ホットペッパー:2020年11月15日(日)2:00
・favy:2020年11月16日(月)18時59分