令和6年(2024年)3月議会(第2回定例会)一般質問
知多市議会議員 川脇裕之
「①災害時における断水への備えについて」
(1) 飲料水の給水について
(2) 生活用水の給水について
◆質問
皆様、こんにちは。先の通告に基づきまして、質問いたします。1番目は「災害時における断水への備えについて」です。
2024年元旦に発生した、能登半島地震により亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方、そのご家族及び関係の皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、消防本部や水道課をはじめ被災地におもむき、復旧復興支援のために尽力されてきた職員の方々に深く敬意を表します。
過去30年を振り返っても、1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震と、大災害が十数年単位で発生し、その度に防災や減災の対策の課題が指摘されて様々な取り組みが図られてきました。その中でも今回の大震災が浮き彫りにしたのは、ライフライン確保の重要性ではないでしょうか。特に重要なインフラである、電気、水道、ガス、通信、物流は、生活の基盤となる要素であり、災害時においても市民生活を維持し、人々の安全を確保する上で必要不可欠です。
電気・ガス・通信・物流は主に民間企業がそのインフラを担っておりますが、水道事業は市が経営主体です。石川県は、能登半島地震で被害が大きかった6市町の水道の復旧について、おおむね3月末に仮復旧するとの見通しを発表しておりますが、一部地域では4月以降になるとされています。地震による断水の長期化という現場の危機を教訓として捉え、そのような厳しい状況が発生しないように、本市も備えを充実させる必要があると考えます。そこで「災害時における断水への備えについて」質問いたします。
本市では知多市新水道ビジョン(令和3年度~令和12年度)」(※1)を策定し、水道施設の耐震化や水道施設の計画的更新、災害対策の強化などの目標を設定して、安全で安心な水を安定供給するために取り組んでおります。計画を着実に実行することで災害に備えるとともに、本市の「保存版 災害時の応急給水」(※2)によると、災害時の給水方法としては、拠点給水、運搬給水、仮設給水があり、災害によりご家庭の水道が出なくなった場合、市内19箇所の給水拠点から、給水車での運搬給水や、給水スタンド等を利用した応急給水を行う。とされております。
そこで、質問の(1) 点目、飲料水の給水容量、給水車の運搬容量等の災害時の体制を確認いたしたく、飲料水の給水について伺います。
次に、能登半島地震でもっとも被害が大きい自治体の一つである石川県珠洲市(すずし)では川から水を浄水場に送る大元の導水管が破損したことで、水道復旧作業が長期化しております。珠洲市(すずし)だけでなく、複数の自治体で、生活用水の入手が困難になり、トイレや洗濯、それに入浴が制限されるなど、被災した地域では現在も厳しい環境での避難生活が続いています。
「知多市地域防災計画」(※3)では、地震・津波災害対策として、先に伺った給水車を巡回させることや、応急給水に必要な資機材が不足する場合は、水道災害相互応援を要請することなどが定められており、飲料水の給水については備えがされていることが分かります。しかし、生活用水については、「応急復旧した水道による生活用水の供給」や「利用可能な井戸水は、災害発生時に洗濯、入浴、トイレ等の生活用水に利用する」等の記載が知多市地域防災計画にあるものの、具体的な給水体制や内容については示されていないと認識しております。そこで、質問の(2) 点目、災害時の体制を確認いたしたく、生活用水の給水について伺います。
以上、壇上からの質問といたします。答弁、よろしくお願いいたします。
◆答弁
◎市長
11番 川脇裕之議員の御質問にお答えいたします。
御質問の1番目、災害時における断水への備えについてでございますが、能登半島地震では長期間の断水が続き、応急給水と復旧に全国の自治体から職員が派遣され、今なお活動しております。本市においても、必ず来ると言われている地震に備え、断水による市民生活への影響を最小限にするために備えなければなりません。御質問の1点目及び2点目につきましては、都市整備部長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。
◎都市整備部長
(1)災害時に供給する水は、水質基準を満たした飲用可能な水となっています。
給水計画では、発災直後は必要最小限の給水をし、復旧が進むにつれて段階的に供給量を増やします。
発災直後から3日目までは、1人1日3リットル、4日目以降は20リットル、11日目以降からは100リットル、4週間目までには被災前と同量の水を供給する計画です。
給水車の運搬容量については、2トントラックで運搬する1.5トンの給水タンク5基を保有しています。
市は運搬用トラックを1台保有しておりますが、不足するトラックについては、災害時の応援協定により知多市水道組合へ要請します。
(2)応急給水では、飲用可能な水の供給量を段階的に増やし、4日目以降から応急復旧した水道による生活用水の供給を開始し、飲用以外の活用もできる計画となっています。
◆再質問
答弁ありがとうございます。ただ今お答えいただいた内容について再質問いたします。
●再質問①(追加)
「4日目以降から応急復旧した水道による生活用水の供給を開始」との答弁ですが、再質問の(1) 点目、水道が復旧できなかった場合、生活用水の供給への備えや対策はどのように考えているのか伺います。
◎都市整備部長
日本水道協会中部地方支部との災害時相互応援に関する協定により、応急給水及び応急復旧の応援要請を行い、支援をして頂くこととなります。
●再質問②
次に、災害時の生活用水の給水については、飲料水とは異なり、特別な備えをしておらず、水道復旧が前提になっています。地域防災計画でも生活用水不足に対する備えが十分できていないのではないでしょうか。シャワーを浴びる、十分に手を洗えることは、被災者の衛生面・精神面において非常に重要であり、生活用水の需要を想定した備えが求められていると考えます。
能登半島地震被災地では、可搬型浄水装置や水の再生・循環利用を可能にするシステムが導入されるなど、様々な緊急的な対策が実施されております。こうした対策のほか、災害時の生活用水の備えとして、昨今、防災用井戸が注目されており、千葉県船橋市や県内では豊橋市等の自治体が、防災用井戸を設置しています(※4)。
コモディティ化できている飲用水は給水の備えもできておりますが、災害時の生活用水の備えが不十分であると考えます。そこで、再質問の(2) 点目、被災現場や避難場所で生活用水を給水するために、小中学校などの避難所に防災井戸を設置することを調査/検討する考えについて伺います。
◎総務部長
ご質問の件につきましては、本市が行う応急給水では、4日目以降からは応急復旧した水道による生活用水の供給を開始し、飲用以外の活用もできる計画としていること、さらには協定等により水を確保できることから、現在のところ防災井戸を設置する計画はありませんが、災害時の生活用水を確保する方策につきましては、他自治体等の事例も参考に、防災井戸の設置に限らず幅広く調査研究してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
◆要望
答弁ありがとうございました。それでは、答弁いただいた内容を踏まえ、要望を申し上げます。
「1日に必要な飲料水は1人あたり3L」行政や官公庁など公的機関の指針を基準にこの飲料水の量の目安が広く共有されておりますが、能登半島地震では生活用水の不足という深刻な事態が発生しました。飲用だけなら1人1日3Lあれば生きながらえることができるものの、手洗いやトイレなどに使う生活用水は、1日につき1人あたり10~20L、シャワーを浴びると一回あたり50L以上が必要になるとされています。断水の状態でその量を給水し続けるのは困難になります。
防災用井戸は、トイレの水や簡単なすすぎ用など,比較的多くの量が必要となる「中水」としての地下水活用が可能となる設備です。船橋市が設置しているような、毎時4~12トンの水をくみ上げる事ができる自家発電装置付きの高スペックの井戸から、手押しポンプや家庭用井戸ポンプといった、毎分10リットル程度の水をくみ上げる事ができる簡易な井戸などその仕様は様々ですが、簡易な井戸であれば一か所当たり数十万円程度で設置可能であり、事例も確認できます。
災害時の生活用水を確保する方策について、他自治体等の事例も参考に、防災井戸の設置に限らず幅広く調査研究をしていくとのことですので、自治体が管理運営を担う水道について、知多市新水道ビジョンの目標を着実に実行いただくとともに、生活用水の確保の一つの手段としての防災井戸の設置に向けた取り組みを提案いたします。
以上、災害時における断水への備えについて要望を申し上げて、1番目の質問を終わります。
【参考資料】
(※1)知多市新水道ビジョン(令和3年度~令和12年度)」
(※2)「保存版 災害時の応急給水」
(※3)「知多市地域防災計画」
(※4)千葉県船橋市や県内では豊橋市等の自治体が、防災用井戸を設置
https://www.city.funabashi.lg.jp/bousai/taisaku/p008929.html
https://www.city.toyohashi.lg.jp/6884.htm
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