★インスタ映えを語るインスタ蠅が行政や自治体にたかり無駄な投資と微妙なコンテンツを量産させている★

「インスタ映え」と「インスタ蠅」

 

 

週刊誌のネタ報道に反応すること自体が時間の無駄だと思うのだけれども,特定のデフォルメされた情報を盲目的に信じる人々に伝染されると大変に迷惑なので,特定記事がどうこうという話ではなく,おかしな主張を一般化して効果があるかのように発信するのはいかがなものかと苦言を述べたい.批判しながらも取り上げることで微々たるものながらアクセスが流れ,注目されて知名度も上がるだろうから大目に見ていただければ幸いである.なお,筆者や記事を誹謗中傷するものではないことを先にお断りしておきます.

 

 

→日本の地方の深刻な過疎化を「インスタ」が解決できるか

 

 

ソース元は現代ビジネス.あのサイトは一つの記事を複数ページに強引に分割させて,広告を踏ませようという狙いが第一優先のため読みづらく苦手.同じ記事が複数媒体に配信されているので,読むなら他サイトでワンページ化されているものが良いだろう.ちなみに最も苦手なメディア媒体はNewsPicks.他媒体活用を前提としたUI設計ととコメント欄の鬱陶しさを見ると気持ちが悪くなる.まぁ,好みの話です.

 

 

筆者の主張はインスタは使い方次第で魅力的なツールになるよ!というものであり,自主的にインスタを宣伝して活用を促している悪意のない記事である.ねつ造記事やニセ科学記事と違って大した害はない.ただし先にはっきりと結論を述べると,地方の過疎化がインスタで解決できるはずがないのだ.

 

 

このSNS活用等の記事が性質が悪いのは,インスタを上手く活用できるだけのアイデアや最低限のITリテラシーを持った者が,意思と目的を持って活用するのであれば効果が上がるかもしれないけれども,想像力の欠片もなくITが道具であることを理解しておらず,もちろん使いこなすスキルもない残念な方々が,記事の趣旨や意図も理解することなく,SNSやインスタを活用すれば地方の過疎化は救えるのか!と勘違いする者が登場する可能性がある点である.

 

 

これは冗談ではなくて全国各地の様々な場面でめちゃくちゃな悪影響を起こしている.クドイようだけれども,この記事を否定しているのではなく,こういう切り口で腐ったビジネスをする連中を問題に思っている.以下のような実態に対して怒りと吐き気を覚える.

 

 

 

道具の使い方を知らない者には丁寧に教えてあげないと使い方を解さないし,教えても解する能力がない者は活用できない.もちろんわかろうという意思がない者に説いても徒労になる.そして往々にして,道具の使い方も効果も考えずに,カネを積んで不良資産化するのが世の権力者の特徴でもある.世の中は能力がある者が権力を持つのではなく,権力を持って偉くなったと勘違いする無能力者により悲劇が繰り返されるのは歴史が証明してきた通り.8月なのでNHKのインパールやノモンハンでも視聴してください.

 

 

話がそれたけれども,インスタはバズれば何十万人~何百万人もの注目を集めるし,低コストでコンテンツを宣伝することができる稀有なツールであることには間違いない.そして,その凄さはコストパフォーマンスにある.従来型のオールドメディアで宣伝してもらうためには何十万円~何百万円のコストがかかることが往々にしてあり,そのコンテンツはほとんど刹那的で届く人数も実際は大して多くなかった.

 

 

新聞の一面に広告出稿したとして,どれだけのインプレッションとエンゲージメントがあるか? 広告主が計算していないからコストパフォーマンスのないオールドメディアでも生き残れるのだけれども,SNSはコスパが著しく高い広告宣伝ツールである.ただし,運が良いもしくはコンテンツが圧倒的に優れていれば効果が見込めるという条件がつく.おそらく筆者はインスタ活用コンサルティング等でビジネスに繋げて稼ぐつもりだろうけれども,税金が原資であり余裕のない自治体をカモにするのは避けていただければと思う.

 

 

「#新潟グラマー」キャンペーンは素晴らしい取り組みで成功事例かもしれないけれども,一つの成功事例をあたかも万能薬のように語るのは非論理的であり,新潟市はあれだけ素晴らしい都市なのに他地方と同様に経済低迷が激しい実態を知れば,地方優良都市にリソースを投入することもできないような失敗続きの日本の行政政策に行き着くわけで,投稿総数が1万件あってインスタ映えしようがそれが何の効果を生んだのかを明確にしなければバズって良かったね!以外に感想が出てこない.

 

 

企業だろうが自治体だろうが,SNSは自由に活用すれば良いだろう.でも,問い合わせは電話やFAXたまにメール,申請はすべて紙,書類は手書きで実印を押すこと,など,ウンザリするような昭和の慣習を,前例踏襲がすべて正しいと神のように崇められている現場があり,Facebookとかインスタをインストールして写真をアップしただけで喜んでいるような旧石器時代のリテラシーの低い管理職やリーダーが支配する組織の主導で金をかけて「インスタ映え(笑)」みたいなことをしても,成果なんてほとんど生まれない.

 

 

他自治体と比較して定量的に優れているポイントをシティプロモーションとして実施するならともかくとして(シティプロモーションと聞くだけで頭痛がする),優れていないどころか劣っていて残念である現実に対して,自分たちは凄いんだと金かけてプロモーションしているケースがあまりにも多すぎてヤバいなと思う.

 

 

観光が産業化されていない地域において,人が大勢押し寄せても地域交通が混雑するだけでほとんどカネは消費されない(そもそも経済効果の試算すら出来ていないレベル).インスタ映えだかSNSで有名になって,運良く観光客が増えてもその地域の生活者が迷惑を被るだけの結果になる事例で溢れているのに,そのコンテストに投じたカネで地域の公共交通を少しでも改善したり,最低賃金近辺の非正規職員の報酬を少しでも上げる方がずっと地域のためになるのではないだろうか?

 

 

そもそも情報発信に値する資源やコンテンツがあればバズる可能性はあるけれども,素人がつくった微塵も美味しくなさそうな手作り料理みたいな(つまり魅力の欠片もない)コンテンツが発信されたとして,誰が興味を持つのだろう? という話でもある.費用対効果を(概算でも良いので)示せない施策は大抵金をドブに捨てるのに等しい結果になる.

 

 

週刊誌ネタで立腹することが馬鹿らしくなってきたけれども,こういう意識が高い人の無知を騙しかねない情報発信は,不毛な結果になることが多々あるので,自治体関係者の皆さまには上層部がインスタ映えだとか,SNS活用と言い出したら,大体はSNSコンサルタントとかいう寄生虫に毒された結果なので,気をつけていただければと思う.警戒したところでどうすることもできないのだけれども.