★「リニア新幹線は失敗せずに開業&運行できるのか?」リニアに漂う暗雲と手遅れな警戒感★

リニア中央新幹線の可能性と闇

 

◆「先行き不透明なリニア新幹線の問題点」◆

 

 

日経ビジネスが「リニア新幹線」プロジェクトについて大型特集で報じました.

 

 

今更な指摘で手遅れな感もありますが,精緻かつ詳細にリニア新幹線を考察した素晴らしい記事であると心から敬意を表します.

 

 

安倍政権とJR東海の近すぎる関係や,財政投融資によるグレーな資金調達を赤裸々にし,政権と政策の拙さをイデオロギーではなく論理的かつ科学的に分析&批判する姿勢に記者魂を感じますし,何よりもリニア新幹線批判は日本有数の大企業かつ優良企業であるJR東海への問題提起を意味しており,超巨大スポンサーに正面切って喧嘩を売ることができる報道機関や出版社は他にないでしょう.日経BPのジャーナリズム精神には頭が下がります.

 

 

例えば,事実報道よりも主義主張報道が目立つイデオロギー論争ばかりの新聞(全国紙)や,(適当な)ランキングが大好きな東洋経済,大衆迎合でゴシップ情報ばかりのダイヤモンド紙には,ここまでの取材と分析をした記事が出てくるとは思えず(記者の体制の違い),日経BPの面目躍如といったところでしょう.私の知る限り,リニア新幹線にここまで深く迫った記事は他になく,唯一無二のコンテンツとして必読です.

 

 

ちなみに私は日経ビジネスを15年以上購読していますが,一年に2・3度,ハッとするコンテンツが提供される中で,本リニア新幹線特集はここ数年で指折りに秀逸な記事であり,定期購読していないすべてのビジネスマンに本号だけでも購読をおすすめします.

※ただし,本号の表紙のセンスの悪さは心底がっかり(この表紙はありえない.デザイナーの暴走では?).

※日経ビジネスは最低限の教養として読んでおきましょう(リテラシーが共通認識として合っていないと議論が不毛になるため).

※日経ビジネスはAmazonでばら売りするなど読者減少に歯止めをかける工夫が必要では?

 

 

日経BPが総力をかけてリニア新幹線の問題点を明らかにしました.では,リニアはどうするべきであったのか? リニア新幹線以外にどのような選択があったのか? というアイデアと代替案と考えについて綴りたいと思います.

 

 

0.リニア中央新幹線の可能性と闇.目的が手段を正当化する日本.

  

リニア新幹線のルート

 

先ず,前提条件と立場について.私は現実主義で合理主義なので,JR東海という民間企業が主導するリニア新幹線を止めろなどと言うつもりは毛頭ありません(無責任に誹謗中傷する人々には訴訟を起こすなど言動には責任を負わせるべき).数十年に渡って「夢の乗り物」として磁石の力で浮いて走る超電導磁気浮上式「リニアモーターカー」の実現に向けて尽力されてきた研究者や,技術者をはじめとする方々を尊敬しています.

 

 

だからこそ,知識も教養もない(弱者の味方面した)無責任な野党議員や活動家が,これから記事を読んだだけで本特集を活用して,リニアに対する批判と妨害工作を加速させて,不毛な議論が活性化すると思うと本当にウンザリした気持ちになります.何かや誰かを誹謗中傷して,我田引水しようとする下劣な人間が多すぎて吐き気がしますし,最悪な行為でしょう.私の主張は要約すると以下の通り.

 

 

「リニアは費用対効果が不明瞭なため,計画段階で見直すべきであった(他にもっと良い選択があった).リニア新幹線の成功の可能性は低く,失敗して幅広く損失をもたらすだろう」

 

 

批判や意見は甘んじて受けます.それでも,リニア新幹線は「筋悪プロジェクト」で,負の遺産になる以外の未来が見えません.そして,既に着工して2027年の開業に向けて全力でプロジェクトが進められており,いまさら問題点を声高に指摘したところで奇跡が起きてバラ色の未来に変わることは決してありえないのが悩ましいところです.つまり,プロジェクトが改善に向け進むような提言や議論は意味があるものの,いまさらリニアを中止せよというのは,現実的にはあり得ない選択であり,ひどく無責任な主張で説得力もない.

 

 

現行の「リニア新幹線」戦略はミスジャッジであって大いに問題がある.それでも,工事が進んでいる以上は出来るだけ合理的かつ効率的に進めていくしかない.日本は政治家や経営者の意思決定は最悪な場合が多々あるけれども,現場の技術力や人材は有能であり,決まった目的とゴールに向かって全力疾走する力は素晴らしく,主に野党や活動家が実施するような足を引っ張るようなことは勘弁願いたいものです.リニアの先行きは厳しいと考えつつ,リニア新幹線の成功を心から願っています.

 

 

「東海道新幹線が補修で維持できるなら約10兆円投資するリニア新幹線に経済合理性はなく費用対効果もない(ペイしない)」 

 

 

だから,本稿は,リニア新幹線の事業を否定したり駄目出しすることが目的ではなく,目の前の気持ち悪い現実を見て見ぬふりをすることや,政争の具に使われることに我慢がならず,まったく関係のない第三者としての意見として主張しておきたい.同時に,リニアの筋の悪さは以前から気になっていたため,日経BPの記事を契機に,リニア新幹線についてまとめておきたく記す次第です.

 

 

1.リニア中央新幹線をJR東海が手掛けることの妥当性 高速鉄道インフラが1社に集中する独占の弊害(リニアの問題点①)

  

 

“2011年の国土交通省「中央新幹線の整備計画の決定について」の前に望ましい高速鉄道の在り方についてもっと議論して検討&検証すべきであった”

 

リニア新幹線計画

 

そもそも論になりますが,JR東海はなぜリニア中央新幹線を造りたいのでしょう? もちろん,JR東海トップによる経営判断や,東名阪に第二の高速鉄道インフラを整備したいという国の意向,建設業を中心とした利害関係者が望み,リニア新幹線着工というプロジェクトに行き着いたわけです.ただし,表向きの理由や外面だけで動くほど世界は単純ではありませんし,世界がどれだけ汚いかをほんの少しでも知っていれば,そんな理由だけで決まるはずがないことがわかります.

 

 

これは単純に「JR東海がリニア新幹線をやる必要性はあるのか?」という疑問に行き着きます.「東海道新幹線」と「リニア中央新幹線」を一社で提供することのリスクと妥当性に大いに疑問が出てもおかしくない.これがおそらくJR東海がもっとも恐れた議論でしょう.JR東海としては,日本最高のドルインフラである東海道新幹線の安定継続運行を続けるだけで,現在も未来も,企業の存在価値と確かな利益が約束されている.唯一恐れるのは,第二東海道新幹線を他社に手がけられてしまうことなのです.

 

 

つまり,JR東日本とJR西日本が組んで,東京~大阪間に新たな高速新幹線構想を掲げ着工する.これをJR東海は何としても避けなければならなかった.この案は,1社が2つのインフラを独占的に手掛けるより,価格競争やサービス競争も発生しますし,国や利用者にとっても望ましいプランになるでしょう.バイパス論との整合も取れます.別にJR各社ではなくてもファンドや商社が取り纏め役になり,複数企業連合のコンソーシアムを組んで,中央新幹線プロジェクトを進めても良いのです(現実的な接続を考えれば, JR東日本&JR西日本連合が主幹事となる以外には難しそうですが…).

 

 

JR東海とJR東西の犬猿の仲を少しでもご存知の方には,JR東西がJR東海から権益を少しでも奪いたいと考えているのは周知の事実なわけで,JR東西が中央新幹線を手掛けることは可能であり,恐らく虎視眈々とチャンスを狙っていた.それを許してしまうと,JR東海としては東海道新幹線という最強の高速鉄道インフラの価値が下がりますし,自社の存在意義を揺るがすようなライバルの登場は絶対に許せない.

 

 

だから経済学で良く出てくる「囚人のジレンマ」「ナッシュ均衡」の状態になり,JR東海が採る戦略は支配戦略になる.東海道新幹線とカニバリを起こすことがわかっていても,他社に奪われるくらいであれば,JR東海は莫大な投資負担をしてでも自社でリニア中央新幹線は採らなければならない.そしてJR東海にはその企業力と政治力があった.これがJR東海の凄さであり,日経BPには別の可能性を指摘するなどの切り口が欲しかった.

 

 

結果,東海道新幹線もリニア新幹線もJR東海という民間企業1社がすべてをコントロールできるポジションになってしまいました.東京~大阪間の大動脈の高速鉄道を一手に担うことで,価格弾力性が働かなくなり切符はJR東海が利益を出せる水準のままになる.損をするのは消費者という結論が簡単に予想でき,それを国が支援するのかという話です.まったくもって酷いストーリーと言えるのではないでしょうか.※JR東西は逆転の機会を逃した,人材難だろうか?

 

 

“JR東海が東海道新幹線と併せて中央新幹線を運行することは,独占や競争の面で妥当であると言えるだろうか? 国民利益と利用者便益を追求すべきであった”

 

 

2.東海道新幹線の絶対的な信頼性と圧倒的な利便性にリニア新幹線は勝てそうにない(リニアの問題点②)

  

東京~名古屋の移動の最適解

 

次にリニア中央新幹線は経済合理性の観点から果たしてベストな選択であるのか? を考えたいと思います.夢の乗り物リニアモーターカーへの憧れで盲目的に肯定することへの疑問です.つまりは目的と手段の問題です.2014年の着工時よりふつふつと湧いており,東京と大阪を短時間で移動するには,リニア以外の選択肢はいくらでもあったと考えます.

 

 

私がリニア新幹線に懐疑的な一番の理由は,現在の東海道新幹線のその圧倒的な利便性によるものです.リニアは東海道新幹線の上位互換になりえない.これがすべてです.東海道新幹線は,東京駅から名古屋駅を最短で94分で繋いでいます.名古屋駅で乗車してから,東京駅のホームに降り立つまで,1時間40分を切る.リニアの発着が予定されている品川駅から名古屋駅であれば,現行最短87分,つまりは1時間30分足らずで移動することが可能です.

 

 

この東海道新幹線の90分という時間に対して,リニア中央新幹線では約半分の40分になることによる利点や経済効果が謳われておりますが,東海道新幹線は,最短で8分の間隔で発着するという驚異的な過密ダイヤでの運転を実現しており,平均遅延時間は毎年数十秒レベルという世界一の定時運転率を誇っています.1964年の開業以来50年以上,乗車中の旅客の死亡事故ゼロという最高の安全性を新幹線は確保しています.まさに新幹線は日本が誇る最高の技術とサービスであります.

 

 

東海道新幹線以上の利便性と,同等の安定性をリニア中央新幹線が提供できるでしょうか? 90分を短縮することの是非に議論がありまして,名古屋~東京間の短縮の価値に懐疑的です.短縮する効果が大きいのは「東京~大阪」間であると声を大にして言いたい.大阪の方も東京から出張や帰省で大阪に行く方も誰しもが抱えているストレスは「新大阪駅」問題でしょう.つまり,新幹線の大阪の玄関口が新大阪駅であることであり,新幹線が大阪駅に止まらないことです.

 

 

大阪駅(梅田駅)に行くためには,JRの在来線に乗り換えるか,地下鉄に乗り換える必要があります.新幹線の駅が大阪駅に併設されなかったのは,様々な理由があるようですが,これが物凄く不便でタイムロスを招いていることに異論はないでしょう.東京駅から新大阪駅の約2時間20分に,乗り換え時間を含めてプラス10分~15分の時間がかかることがロスタイムであり,多くの人が改善して欲しいと願っている.

 

 

リニアが大阪駅に開通するとするならば,東京~大阪(品川駅-大阪駅)間が67分になり,約150分が半分以下になるインパクトの大きさは理解出来るのですが,開通予定は2045年.そして建設予定費である総投資額は8兆円~10兆円と試算されており,この金額を投資するのであれば,別の手段があり得るのではないか? と考えています.

 

 

利用者側に立てば,東京駅から品川駅に乗車して乗り換え.品川駅の地下深くまで歩いてリニア新幹線に乗車.名古屋でリニア名古屋駅~新幹線名古屋駅に歩いて移動.名古屋駅からのぞみに乗り換えて新大阪で在来線にまた乗り換えて大阪駅まで移動.この面倒くささと煩わしさを考えると,乗車時間で40分程度,短縮時間が実質30分程度のリニアに競争力があるとはとても思えません.

 

 

これは以前に堺屋太一氏が「リニアの東京―名古屋だけの開業では大赤字は確実」と指摘した通りであり,リニアは東京-大阪でなければペイせず,大阪-名古屋を同時開業する資金が厳しく,社会の建設稼働の余裕はなく,堂々巡りになります.テスラみたいに自己資金と投資でやらせるなら勝手ですけれども,財投で支援するのはいかがなものでしょう.

 

 

“リニア新幹線の需要は東京-大阪の移動にあるが,名古屋-大阪の開通は最速でも2037年と当分先であり,リニア品川駅-リニア名古屋駅では厳しい運営が予期される.資金と建設稼働の観点から解決は難しい.そもそも約10兆円のリニア投資に対する費用対効果が大いに疑問

 

 

3.リニア新幹線はバイパスとして機能するのか? 東京~大阪をつなぐ鉄道輸送の選択肢(リニアの問題点③)

 

リニアよりも北陸新幹線の延伸が必要

 

リニア新幹線の大義名分は東海道新幹線のバイパス論であり,有事の際や東海道新幹線の補修限界に対して,新しい高速鉄道が必要だ.というのが論拠になっています.この論拠が性質が悪いのは,必要性については疑問はないわけです.東海道新幹線による輸送が止まってしまったら日本経済は甚大なる被害を受ける.だから,新幹線の二重化としてリニアが必要である.そう言われれば,バイパスなんて不要だと主張する側が無責任のように見えてしまう.

 

 

でも,そうじゃない.東海道新幹線のバイパスの機能は必要かもしれないが,それがリニア中央新幹線であることの正当性をまるでこの主張は説明していない.このバイパス論が馬鹿らしいのは,日本は首都機能が東京に一極集中しているから,地方に機能移転せよと主張するのと同様で,リスクの説明はある程度説得力があるものの,対策案の根拠が薄く,現実性や費用対効果を考えると愚策だね!と一蹴してもおかしくない理論であることです.

 

 

リニア反対派が突くべきはまさにこの論理破たんであるにも関わらず,環境ガー!とか人口減少ガー!とか(リテラシーが低い人材に限って)WEB会議等のIT技術の進歩で移動(出張)が減るとか,とんちんかんな主張をするわけです.日本の失われた20年の没落は,与党の政権運営の拙さだけではなく,政策を非難する野党が救いがたい程に無能であったことは間違いないでしょう.

 

 

と政治の話は別にして,東海道新幹線は50年以上,安定運行が図られている.世界に誇る最高の交通インフラです.だからこれからも安心だというのではなく,新幹線が運行危機に陥るような状況において,地下深くを走り大部分がトンネルであるリニア新幹線が,東海道新幹線以上に安定したインフラとして稼働するなんて,とても信じられないし,説得力に欠けるのでは?ということです.

 

 

震災? 津波? テロ? 東海道新幹線に起き得るリスクはリニア中央新幹線にも起こり得る.だから一つがやられた際にバックアップを造るってことでしょう.とするならば,東海道新幹線のバックアップはリスクヘッジされたルートであることが望ましいと考えます.地方振興のためになどと言う理由ではなく(地方創生は取捨選択しなければ無理),循環していない新幹線ルートは交通流の停滞を起こしているため,バイパスを重視するのであれば,金沢駅と大阪駅を新幹線で繋いで,東京から北陸新幹線経由を完成させることが必要ではないでしょうか.

 

 

“東海道新幹線のバイパスの必要を唱えるのであれば,金沢止まりの北陸新幹線を先行して延伸する選択があったのではないか?

 

 

4.リニア新幹線を建設するためにJR東海に財政投融資という国費支援した件(リニアの問題点④)

 

超高速新幹線「ALFAX」

 

これまで述べてきた通り,リニア新幹線の需給が不透明で,プロジェクトの結末は悲惨な結果になりかねないと考えているのですが,日経が指摘した通り,その採算危ういプロジェクトに財政投融資でJR東海を超優遇するのもいかがなものかと思います.JR北海道やJR四国を救うとかは別の案件(JR東海を責めてもどうしようもない)として,超優良企業のJR東海は自社でリニア新幹線を遂行する力が十分にある.そこに低利融資はないでしょう.財政投融資が得られないにしても,リニア新幹線の失敗のリスクをなるべく減らし成功させるための事業計画として,例えば,以下の戦略が考えられます.

 

 

①オフバランス化でリニア新幹線を推進(日立の英国原発方式)

 

英国の原発で日立製作所が検討している手法を採る.原発の是非はさておき(引くに引けない状況に陥っていることもさておき),オフバランス化手法は素晴らしい戦略です.東芝が原発子会社で吹き飛んだのは記憶に新しいところですが(金融オプションでのクラッシュを経験者は笑えない),日立はかなり慎重にリスクヘッジをしながら英国原発事業を進めています.子会社化して持ち分比率を減らして失敗した時の本社へのダメージを減らすように努めている.子会社化やプロジェクトファイナンスの方式で(SPCなども含め)実施することも出来たのでは? と思わずにはいられません.もちろん,リニア新幹線はJR東海の本業であり,JR東海は社運のすべてをかけたプロジェクトの位置付けで,リニアと共に心中する覚悟の責任感で進められているのは承知ですが,東海道新幹線の利益を使ってリニアを走らせて,今後東海道新幹線の減価償却が終わっても新幹線料金が下がらないのは勘弁いただきたく,フェアではないでしょう.国鉄時代に税金を投じて建設した新幹線の利益を得ながら,高い料金を維持するというのはいかがなものかと思うのです.これには新幹線は高すぎという問題意識が背景にあります.

 

 

②プロジェクトファイナンス化でリニア新幹線を推進(ソフトバンク孫正義ファンド方式)

 

ソフトバンクのファイナンスは凄すぎて理解が追いついてはいないものの,ファイナンスが世界一上手い企業であることに異論はないでしょう.リニア新幹線もペイできて収益を生むと説明できるのであれば,ソフトバンクファンドと同様の方式で資金を集めれば良い.ファイナンスを財政投融資に頼るというのは資金の出し手が他にいなかったと言っているに等しく(そもそもズルい),夢のリニアモーターカーは夢と希望を乗せられても,銀行や投資家の賛同を得る収支計画では走れないのではないでしょうか? 責任の所在が不明確である点がリニア新幹線の最も懸念すべきポイントであり,カネの出し手に責任を担ってもらい,その分利益配分もするというのがまっとうな資本主義であると考えます.

 

 

③リニア新幹線切符を担保に資金調達する(リニア新幹線チケット証券化方式)

 

サブプライムが我々に教えてくれたことは,証券化商品の無限の可能性です.世の中のすべての権利(権益)は証券化できる(考えついた人も金融商品化した人も天才過ぎる).現代社会において,この人類の英知でもある金融手法を活用しない手はないと考えます.不動産や自動車のような形ある資産の証券化はもちろんのこと,CO2排出権や再生可能エネルギーだって証券になる.であるならば,リニア新幹線チケットを金融商品化するなんて基本レベルでしょう.将来価値をキャッシュに変える.なにもCDSなどの高度な金融オプションを活用せよと述べているのではなく,リニア新幹線の切符(権利)を証券化して,低利で資金調達すれば良い.証券に東京~名古屋のチケットの価値を担保すれば,国債以下の金利で調達することも可能であると考えます(5ベーシスポイントも夢ではない).企業を主な顧客として,個人にも販売できる.1000万円×10万枚(チケット)で1兆円.ほぼ確実に完売します.国が一企業のプロジェクトにカネを投資するのには疑問で,リニア新幹線チケットの金融商品化は利用者便益も兼ねる一手になり得るでしょう.

 

 

以上,素人のブレストアイデアレベルであり,現実の資金調達は思いつきでできるものではありませんが,それでも,財政投融資を出した国の選択は実に無責任で(経済に政治が絡むとろくなことがない),国がJR東海という民間企業に有利な支援をすることは妥当性に欠ける.だから,リニア新幹線は自己責任でやるべしという議論をきちんとすべきであったと考えます.責任の所在を不明確にしてぼかすのは日本の悪癖であり実に気持ち悪い.

 

 

5.リニア談合と騒ぐ無能なマスコミとバブルに踊るゼネコンが受発注の力関係を逆転させた件

 

 

リニア新幹線を語る上では日経BPも指摘したように,リニア談合の話題は避けて通れません.民間の受発注契約に公正取引委員会ではなく,検察が主導するという理解に苦しむ事件でした.官公庁契約でもないのに,談合と指摘する検察もマスコミも資本主義市場経済をな難だと思っているのでしょう.日本のダブルスタンダードの酷さを晒した後味の悪い結末.

 

 

目標や仕事のやりがいを与えないと官は暴走するという,歴史の実証を本件は示したように思います.リニア談合と勇んで検察が捜査し,マスゴミが騒いだ本事件は,JR東海のコスト管理の徹底と商習慣の挑戦,そしてスーパーゼネコンの反乱にあるわけです.それを検察が出世欲か官公庁の勢力争いか知りませんが,検察が暴走したことに対し,大成建設と鹿島は徹底抗戦の姿勢を見せています.

 

 

リニア新幹線談合? 少しでも建設費を抑えたいJR東海が,従来通りゼネコンを下請けとしてコントロールしようとしたけれども,業績絶好調なゼネコンが発注主に反旗を翻した.それだけの事件です.スーパーゼネコン以外にリニアの工事はできるはずもない.一方でJR東海としては各社を競わせて出来るだけ安く発注したい.よくある光景.でも,ゼネコンは好況に踊っており,利益が薄く工期不安や事故の危険もあるリニア工事には,リスク費を積んでおきたい.そして商習慣の挑戦の横暴は許さないという権益争い.それに何故か検察がしゃしゃり出てきた.

 

 

公正取引委員会が勧告を出すならわかります.日本が腐っているのは思いつきや気分で権力が見せしめ的に横暴を奮う.リニア工事を手掛けられる技術もプロジェクト管理も,スーパーゼネコンにしかなく,優秀なJR東海社員はもう少し安値発注できるとゼネコンを叩いた.それがタブーに触れて,だったら意中の企業に当初から分割発注しろよとゼネコンが怒っただけなのに,JR東海がリークしたのか,検察が張りきったのか,談合の事件に祭りたてた.

 

 

こういうことをするとグローバル競争から遅れるので,止めていただきたい.受注調整していたのにちゃぶ台をひっくり返す企業と,恣意的操作のある契約に誰が参戦するのか?(やるなら正々堂々と論理武装して突かれないようにすれば良いのに余りにも稚拙).現場を知らず精緻な戦略もない人間が,プロジェクト台無しにするのは関係のない立場から見ても気分が悪いものです.

 

 

(追記)リニア反対論者のリニア新幹線に関する議論が酷く論点整理がめちゃくちゃな件

 

 

JR東海の金子社長へのインタビュー記事が追加されました.雑誌の本特集は素晴らしかったものの,以下リンク先のインタビュー記事は記者の力量不足のためか,検討違いな指摘が目立つイマイチな質問構成になっています.

 

 

 

 

 

東海道新幹線のインフラ価値をわかっていないから,残念な質問をしてしまうのでしょう.リニア中央新幹線が完成したところで,東海道新幹線の存在意義や価値が揺らぐことはない.この最低限の認識がなければ質疑が噛み合うはずもありません.質問者と回答者の知識や能力に違いがありすぎて,上手く情報を引き出すことさえ出来ていない典型的なインタビューになってしまっています.

 

 

その結果,改めてJR東海の凄みを明らかにすることになりました.記者側は根本的な部分を理解していない.「JR東海はリニア着工に向けての最善手を採っている」のです.ここは疑いようがなく,JR東海にはウィークポイントは少ない.国にカネを出させるけれども経営には口出しさせないという断固とした姿勢とそれを達成した巧みさ.凄い企業です.

 

 

それに,安倍案件などと言う言葉は使うべきではないでしょう.印象操作になりかねない.政権側よりもJR東海側の方が一枚も二枚も上手であって,JR東海が描いた筋書通りに進めるのを国が大したチェックもすることなく承認してしまったのです.権力VS反権力の闘争に使われるようなフレーズは使うべきではないのに,日経はどうしてしまったのでしょう?

 

 

攻めるポイントを完全に履き違えているように思います.問題は「リニア中央新幹線に係る交通政策審議会」において出された結論にツッコミどころが満載であり,もう手遅れでいまさらなのですが,ここを攻めるべきであった.責任の所在が不明確で不透明だから,攻めようもなく,何もかもがグレーで進むのが日本らしいと言えばそれまでなのですが.※詳しい資料は「中央新幹線の営業主体及び建設主体の指名並びに整備計画の決定について」 以下簡潔にまとまった資料.

 

 

●走行方式について:超電導リニア方式を採択することが適当 →経済合理性や安定運行の面から超電導リニア方式が妥当であるのか? 新幹線高速化技術に対する優位性は科学的かつ経済的に精緻に議論されたのか?

 

 

●営業主体及び建設主体:事業遂行能力が認められるとともに東海道新幹線との一体的に営業することが望まれることからJR東海が適当 →事業遂行能力はJR東海にしかないのか? 東海道新幹線とリニア新幹線の一体的な営業は一社独占や価格競争が生まれない点からも問題ではないのか?

 

 

だから,JR東海に責任を問うたり,疑義を呈するのは論点がずれるだけです.本質とはかけ離れたルート問題(直通以外にはありえないのに不毛な議論に時間を費やしたのは馬鹿馬鹿しい)等,ある意味巧みな戦略でいつのまにか現行の計画が決定していたことが問題なのです.

 

 

JR東海の社長が明言していますが,東海道新幹線はリニアのライバルではない.東海道新幹線とリニア新幹線を両方を一元的に運営をすることで強力な輸送体系をつくる.この国の重要インフラをJR東海1社に委ねることの是非と,JR東海が望む通りの融資をした国や政治の判断が,国民利益に適ったものであったか? が問題であり,JR東海は超戦略的に計画を進めている.

 

 

そして,JR東海は上場企業で自社利益の追求をすることが目的なので,JR北海道やJR四国など,他社の苦境に口出しする立場にもなければ,支援するなど選択肢にあるはずがない.それを,JR東海が稼いでいるから国鉄地方路線に金を出さないか? とか支援するつもりはないか? と問うのは筋違いでありJR東海に関係ない質問でしかありません.

 

 

日経BPの特集を機にリニア新幹線についての議論が盛り上がっていますが,おかしな論点やイデオロギー論争が目立ち,嫌な方向に進んでいることに違和感を覚えます.経済合理性や科学的観点から議論が進むことを願って締めたいと思います.

 

 

(追記)JR東海副社長インタビュー記事.こちらはインタビュアーの記者が的を得た質問をしており,非常に読みやすい.リニア工事は順調そのもののようです.そして「リニアは単独ではペイしない」.これはある意味衝撃的な発言であり,リニアの投資や赤字は東海道新幹線の運用益から補填されることになるでしょう.移動コストを下げていただくのが国益に資すると考えますが残念です.

※ハイパーリンクよりもインラインフレームの方がずっと見やすいですね….いまさらながらに気づきました.

 

 

 

(追記)タイトルは軽いけれども,硬派な記事が追加されました.理系の大学生は必読です.JR東海のようなカネと技術と研究環境が充実した企業に就職するのをおすすめします.

 

 

リニアの技術や無人運転には疑問はありません.日本の新幹線技術と安定運行は素晴らしい.問題は,やはりカネなんです.リニアが完成したから輸送客数が劇的に増えるということはなく,希望的観測通りに利用客需要を見込んだとしても,現状の東海道新幹線の最大利用数の約50万人/日×120%,東京~大阪の移動は60万人程度がMAX(凄い人数だけれども)となり,増加分の輸送を現行の東海道新幹線の改善や,高速道路を活用した自動運転(渋滞さえ減らせば自動車輸送のポテンシャルは大きい)などに投資するなど,国のインフラと交通に関するビジョンへの効果的な戦略はあったのではと考えます.

 

 

日経が今回のリニア特集で示したのは,JR東海の政治力を含めた企業力の凄さと,国の政策決定の気持ち悪さ,そして,リニア単独で収支は成り立たないという先行きの不透明感ではないでしょうか.JR東海には最高のリニア新幹線を整備&運行いただくとして,外国人観光客の利用を期待するだけでなく,需要を最大化させるために,地方からの東名阪への人口の集約を促すなり,最大限活用されるような未来を期待したいものです.