★これからの“リニア”の話をしよう! リニア新幹線の計画を考察★

リニア新幹線 , 経済効果

 

◆今後の「リニア中央新幹線」の計画 | リニア新幹線の経済効果の検証 | 夢の鉄道「リニアモーターカー」は日本に夢を与えるか? | リニアが実現する東京から大阪の移動手段の考察◆

 

リニア中央新幹線の大阪ルートの早期開通に向けて、国費が投入されるのでは? と噂されておりましたが、最近の新聞報道を見ると、どうやら20兆円規模の2016年度第2次補正予算案において、財投債融資(財政投融資)つまりは国債発行による3兆円程度のJR東海への融資が予定されている模様です。個人的にリニアの経済効果について懐疑的である点と、東海旅客鉄道のような巨大で超優良な企業への融資はいかがなものか? と思っていますので、リニアの今後について考察してみたいと思います。なお、リニアに反対しているわけではないことをあらかじめお断りしておきます。

 

 

●リニア中央新幹線の現行計画 2027年に名古屋開通予定! 京都VS奈良●

 

先ずリニア中央新幹線の概要について簡単に紹介したいと思います(詳細は →Wikipedia)。なお、常識だと思っていることが通じないことがあまりにも多い環境に属してみて、ググれカスという言葉を使える環境は羨ましく感じておりますので、丁寧に説明することに努めます。

 

リニア中央新幹線とは、事業者のJR東海による、2014年12月に着工された、東京(品川駅)-名古屋駅間を最速で40分で結ぶ予定となっている、超電導磁気浮上式リニアモーターカーによる高速鉄道です。東京~名古屋間は2027年頃に開通予定で、最終的には2045年に全線開業、東京-大阪間を最速67分で結ぶと試算されています。最高設計速度は時速505kmと、未来の夢の技術と言われたリニアがあと10年少々で実現することになります。

 

リニアの設置予定駅、つまりは停車する駅は、品川駅、神奈川駅、山梨県駅、長野県駅、岐阜県駅、名古屋駅が予定されており、途中駅はほとんど通過するでしょう(こだまのような停車駅扱いになると思われる)。名古屋~大阪の間の途中駅は奈良県と京都府が誘致合戦を展開しており、そのデッドヒート具合が話題になっていますが、京都ルートは遠回りでロスタイムが大きいので、要求に無理があるのでは? と感じずにはいられません。というか、途中駅は必要ない、という意見は合理的だと思っていたりします(^_^;)。

 

 

●新幹線への不満は? 新幹線に求めるのは料金値下げと混雑緩和●

 

次に、現在の東海道新幹線について考察してみましょう。新幹線の何が不満?と問われてあなたはどう答えますか? 頻繁に利用する方か、めったり新幹線なんて乗らないという方で、着目点は違ってくるかと思いますが、問題提起のために私が考える不満点をいくつか挙げてみたいと思います。なお、最近はめっきり新幹線に乗る機会も減りましたが、前職で新幹線通勤を経験したことがあるくらいに新幹線は身近な乗り物でありましたので(毎日乗ると嫌いになります(苦笑)、ロイヤルティの高いヘビーユーザのご意見としてご覧になってください。

 

まずは多くの人に賛同いただけそうなのが「料金が高い」点であると思います。普通車自由席という一般的に一番安い切符を利用すると、東京駅-名古屋駅 間が10,360円、東京駅-新大阪駅 間が13,620円です。もちろんJR東海は適切な値段設定であると主張するでしょうし、移動距離と時間を考えれば、妥当な料金設定であると言えるかもしれませんが「新幹線は高い!」「新幹線値下げしてくれない?」というのが一定の支持を得る意見であることも間違いないと思います。

 

加えて不満として挙げられるのが「混雑が酷い」(時間帯によっては)という点です。これは盆や正月といった特定の期間のことではなく、平日の朝夕の乗車率は恐らく100%に近いと思われます(普通席)。これは感覚的に述べているのではなくて、NAVITIMEのJR東海道新幹線の混雑状況「電車混雑リポート」をご覧になっていただくと一目瞭然ですが、朝夕は「席はいっぱい」つまり空席がほとんどない状態。新幹線で真ん中のシートに座らざるをえないとストレスが溜まります(^_^;)。

 

その他にも「JR各社の連携が悪い(JR東海とJR東日本の仲の悪さや、JR東海とJR西日本の犬猿具合)」「車内販売の弁当が美味しくない」とか「自販機撤去は勘弁」、「こだま停車しすぎ(のぞみ中心のダイヤの所為)」「ひかりの停車駅がわかりづらい(静岡県民は激怒すべきでは?)」など、東海道新幹線を頻繁に利用すればするほど、改善して欲しいポイントは出てきますが、料金と混雑以外に不満を持つことはほとんどないのではないでしょうか?

 

つまり、新幹線が遅いとか、もっと早くなれば良いのにという要望は聞いたことがありません。もちろんこれは発想が現在の常識にとらわれていますし、携帯電話がスマートホンに取って代わられたように技術のブレークスルーポイントであると言われればその通りなのですが、費用対効果や経済合理性の観点から他の選択肢があるのでは? というのが個人的な意見です。ちなみに、リニアが出来て新幹線が値下げされることを密かに期待しています。

 

 

 

●リニア中央新幹線の必要性と経済効果 東京と大阪の最適な移動●

 

冒頭にも述べましたが、JR東海が一企業としてリニア中央新幹線の建設を予定していることを、他者がとやかく言う権利はないと思っていますし(不満があるなら株主になって意見すれば良い)、数十年に渡って「夢の乗り物」として磁石の力で浮いて走る超電導磁気浮上式「リニアモーターカー」の実現に向けて尽力されてきた研究者や、技術者をはじめとする方々を心から尊敬しています。

 

がしかし、リニア中央新幹線は経済合理性の観点から果たしてベストな選択であるのか? を考えた時に盲目的になっていないか、という思いが2014年の着工時よりふつふつと湧いております。つまりは目的と手段の問題です。東京と大阪を短時間で移動するには、リニアがベストチョイスだろうか? という考えです。便所の落書きだと思って読み流してくださいませ。

 

リニア新幹線ルート

画像出典:日本経済新聞

 

 

●“リニア新幹線”疑問① 東京~名古屋 ルートの短縮の必要性と新大阪駅問題●

 

私がリニア新幹線に懐疑的な一番の理由は、現在の東海道新幹線のその圧倒的な利便性によるものです。東海道新幹線は、東京駅から名古屋駅を最短で94分で繋いでいます。名古屋駅で乗車してから、東京駅のホームに降り立つまで、1時間40分を切る。リニアの発着が予定されている品川駅から名古屋駅であれば、最短87分、つまりは1時間30分足らずで移動することが可能です。

 

この90分という時間が半分になることによる利点や経済効果が謳われておりますが、最短で8分の間隔で発着するという驚異的な過密ダイヤでの運転を実現しており、平均遅延時間は毎年数十秒レベルという世界一の定時運転率を誇るのが東海道新幹線であり、1964年の開業以来48年間、乗車中の旅客の死亡事故ゼロという最高の安全性を新幹線は確保しています。まさに新幹線は日本が誇る最高の技術とサービスであります。

 

90分を短縮することの是非に議論がありまして、私は名古屋~東京間の短縮の価値に懐疑的であります。短縮する効果が大きいのは「東京~大阪」間であると声を大にして言いたい。大阪の方も東京から出張や帰省で大阪に行く方も誰しもが抱えているストレスは「新大阪駅」問題でしょう。つまり、新幹線の大阪の玄関口が新大阪駅であることであり、新幹線が大阪駅に止まらないことです。

 

大阪駅(梅田駅)に行くためには、JRの在来線に乗り換えるか、地下鉄に乗り換える必要があります。新幹線の駅が大阪駅に併設されなかったのは、様々な理由があるようですが、これが物凄く不便でタイムロスを招いていることに異論はないでしょうし、東京駅から新大阪駅の約2時間20分に、乗り換え時間を含めてプラス10分~15分の時間がかかることがロスタイムであり、面倒なことこの上ないわけです。

 

リニアが開通すると、東京~大阪(品川駅-大阪駅)間が67分になり、このインパクトの大きさは理解出来るのですが、開通予定は2045年。そして建設予定費である総投資額は8兆円から10兆円と試算されており、この金額を投資するのであれば、別の手段があり得るのではないか? と考えています。

 

 

 

●“リニア新幹線”疑問② リニアは全額JR東海負担で整備すべきでは? 国費問題●

 

私は個人的にはヘリコプターマネー肯定派です(インフレわっしょい(笑)。補正予算による経済対策や、財政投融資も国債発行も、極論を言えば、必要に応じて財政を使って資金をばら撒くことも歓迎なのですが、お金の使い道は吟味すべきであるし、合理性や効率性は厳しく精査すべきだと思っています(無駄遣いは減らすべき)。だからこそ、JR東海に低金利で融資することの正当性が腑に落ちません。

 

JR東海が資本主義の論理で企業の投資戦略として、価値があり、競争力の優位性が認められると考えたから、JR東海は全額自己資金で実現する計画を立てたわけであり、リニア中央新幹線の6つの中間駅についても6000億円弱と想定される費用の全額を自己負担する方針を示し、スピードを重視した経営判断と、自治体の要求に左右されたくないという挑戦的な姿勢には恐れ入ります。

 

それがここに来ての延伸工事の早期着工を目指した国費負担による低金利融資の検討です。何度も繰り返しますが、経済対策として低金利で民間に融資することを批判しているわけではありません。無知で無教養な人間に限って、この低金利融資つまりは貸付を、返さなくて良い交付金と混同して、税金の無駄遣いだ!などと叫ぶ方々がいるので念のため。にしても、ガセネタを煽り流布する人間や組織には罰を与えた方が良いと思います。

 

2045年のリニア大阪開通では遅すぎるとのことで、工期を早めて開通を前倒しするための政策ですが、最も早い場合でも、大阪開通は2037年度の予定です。これは、金があればすぐに開通できるという話ではないため(莫大な費用と合わせて人工がかかる)、建設業界の人手不足は深刻であり、この人的リソースをいかに解決するかこそ、議論して改善すべき課題ではないでしょうか?

 

そもそも、東海旅客鉄道(JR東海)は日本でも屈指の超優良企業であり、2015年度の営業収益(売上)は約1.6兆円、営業利益は5,000億円という超高収益企業です。そのため、超低金利で銀行や市場から資金調達をすることが可能であり(2016年4月に発行された社債(20年債)は年0.421%の利率)、国が低利融資を融通してあげなくても、自力でなんとでも出来ます。だから財政投融資による国費投入に疑問を感じます。

 

ソフトバンクなんて、約12兆円の有利子負債があっても、売上高1,500億円弱(営業利益600億円弱)の企業を3.3兆円で買っちゃうんですよ(´・ω・`)ドヤッ。銀行から融資を取り付けてくるわけです(みずほ銀行が買収資金として最大1兆円を貸し出すそうですが大丈夫かな)。鉄道というインフラを投資銀行やファンドのようなソフトバンクと同列で議論するつもりはありませんが、JR東海が採算が取れると計画するならば、銀行からの融資や社債で資金調達すれば良いでしょう。ベンチャー投資とか中小企業とか、もっと国費で低利融資するべき対象があると考えるのです。そもそも銀行が国債買って住宅ローン売る以外の仕事を…(自主規制)。

 

 

 

●御提案① 東京と大阪の空を小型飛行機で繋ぐ 東京~大阪 間の最速アクセスへ●

 

私は21世紀後半は、近距離における空の移動が爆発的に普及する世紀になると考えています。小型旅客機の開発競争が激化しておりますが、三菱リージョナルジェット(以下MRJ)が羽田空港~伊丹空港をフライトして、オペレーションと技術の改善で乗降をより簡易にすることで便数を爆増させる。1時間に10本ずつくらい24時間体制で飛ばせば、それなりの人員輸送を可能に出来るのではないでしょうか? これこそ発想の転換と技術的ブレークスルーで実現出来ると考えています。

 

東京と大阪を空のラインで所要時間40分&料金1万円に設定して24時間のスケジュールを組む。規制なんてとっぱらってしまいます。後ほど言及する羽田空港および伊丹空港のアクセスを改善すれば、登場率90%以上は堅いでしょう。半分妄想に近いプランではありますが、飛行機のシステム&オペレーションの改善はまだまだ可能であると考えておりまして、空の移動人員は爆発的に増やせると考えています。

 

おそらくどこかの企業が参入するでしょうが、小型のビジネスジェット機のピストン運転も儲かりそうです。ホンダジェット(HondaJet)を超頻度で飛ばします。東京から大阪のチケット料金を3万円程度に設定することが出来れば、企業の幹部職の移動のニーズを完璧に捉えることが出来るのではないでしょうか?

 

ここで検討の余地に値するのは、HondaJetの価格です。1機450万ドルですので約5億円。1000機導入しても5000億円です。500機が東京と大阪の空を行き交う。2500人/時を東京と大阪から搭乗させることも理論的には可能でございまして、空港整備や新規のオペレーションシステムなど、解決すべき課題も多いですが、検討&検証してみる価値があるアイディアであると考えております。これだけのボリュームで実現できれば、機材のディスカウントと、チケット料金を現行と同等の1.5万円に設定することも夢ではありません。

 

 

 

●御提案② リニア化すべきは“東京駅から羽田空港”と“大阪駅から伊丹空港”●

 

先ほど申し上げた「空の近距離移動革命」も、空港が便利なアクセス先であることが欠かせません。日本一の空港は個人的に福岡空港であると思っていますが、場所を動かせないのであれば、そこへのアクセスを短縮してしまえば良いわけで、私が御提案したいのは、東京駅と羽田空港をリニアモーターカーで接続するプランです。直線距離はたったの15Km。

 

上海トランスラピッド(以降 上海リニア)は約30Kmの距離を7分半でつないでおりますので、理論的には5分以内で東京駅から羽田空港へのアクセスが可能になる。同様に大阪駅から伊丹空港の直線距離は約11Kmですから、リニアで接続すれば3分少々のアクセスも可能である(距離が近すぎて最高速度前に減速が必要になりそうですが(^_^;))。

 

ちょっと突飛なアイディアになりますが、これらの空港へのリニア鉄道を整備することで、東京駅から羽田空港へ5分、空港での搭乗手続きに10分、羽田空港から大阪空港へフライト時間40分、空港での降車手続きに5分、大阪空港から大阪駅へ5分、計65分で東京駅から大阪駅への移動が可能になる!なんて夢のあるアイディアでしょうか(^O^)/

 

私がお伝えしたいのは、最大10兆円にも膨らむ投資(ほとんどが建設投資でしょう)に見合うだけのリターンがリニア新幹線から得られるかが非常に疑問であり、JR東海が一企業の経営判断として実施することに異論はないけれども、国が財政投融資で低利貸付したとして、その確実な回収が担保されない以上は、1社に莫大な融資をすべきではないのではない。ということです。みずほ銀行がソフトバンクと心中することを選んだように、どこかのメガバンクが引き受ければ良いでしょうに。

 

 

 

●そもそもリニアは必要か? 東海道新幹線の更なる高速化と新幹線大阪駅へ●

 

東北新幹線 はやぶさの最高速度が320km/hであること、新幹線開業当初の最高時速の210KMから技術改良と改善を経て、現在の最高時速285KMを実現していること、また →新幹線はどこまでスピードアップできるか を考察した素敵な記事を読んだりしていると、既存の東海道新幹線のスピードアップはまだまだ可能なのではないか? と素人目には考えられるのです(勝手を申して恐れ入りますm(_ _)m)。

 

というのも、JR東日本は新幹線の技術開発を進めており、車体の軽量化&騒音も防いで、最高時速を320Kmから400Kmに引き上げる計画を立てており、2020年代の商業運転を目指しています。もしこの技術が実現し、東海道新幹線でも応用することが出来れば、東京から大阪が1時間30分少々でアクセス可能になることを意味します。新たなバックアップインフラの建設の意義はもちろんわかりますが、既存インフラ活性化の可能性の模索もありではないでしょうか。

 

また一番解決すべき現状の課題は不便極まりない「新大阪駅問題」でしょう。大阪駅の梅田北ヤードも綺麗になったことですし、東海道新幹線を延伸して大阪駅に発着するようにしていただけると、260万人を超える大阪市民だけではなく、観光客も大喜びいたします。この2つは少しばかり突飛なアイディアかもしれませんが、少子高齢化による日本経済のシュリンクを想定した際に、まったく非現実的な話でもないと考えています。リニア新幹線も結構ですが、日本の発展と経済成長のために、合理性と最適解を常に検証していただきたいと申し上げ、締めたいと思います。読んでいただいてありがとうございました。ではでは(^o^)/