★議員・業者・職員OB等からの自治体(地方行政)への働きかけ及び要求行為の記録と対応について★

 

◆自治体への業者の働きかけ&議員の口利きの記録と対応◆

 




 

●「問題意識」知多市では議員の職員に対する要求行為、業者の市長に対する働きかけ等が記録&公開されていない。

 

毎年、全国の自治体で首長、議員、業者が関係する不正事件が起きています。

 

  • 山梨市において、元市長が市幹部に不正に職員採用を働きかけたとして、受託収賄罪で起訴。
  • 徳島市がごみ収集に関する行政処分について、市議の不適正な働き掛けを認める報告書を作成。
  • 埼玉県上尾市において、元市長と元議長が入札情報を業者に漏えいしたとして、公契約関係競売入札妨害などの罪で起訴。
  • 近隣では、常滑市において、元市職員の市議が、業者に便宜を図ったとして収賄及び詐欺容疑により起訴、業者は贈賄容疑で起訴。

 

不正事件は首長、議員、業者の密室でのやり取りがトリガーになっているケースがほとんどであり、知多市でも議員から私的な要望や、特定の事業者への利益誘導を促しているような働きかけなどを目にしたり、耳にする機会があります。しかし、それらは記録されておりません。なぜなら本市は、不当要求行為等に対する規定はあるものの、記録制度については制定されていないためです。

 

多くの自治体が、一定の地位を有する者からの働きかけや要求行為を記録する取り組みを実施しております。それは、現場で違法・不当の判断をさせることは職員の負担になりかねず、働きかけを受けた職員が受ける精神的な圧力を考慮した場合、不当・違法な働きかけと判断できるものであっても、あえてこれを記録しない、という事態が生じる可能性は大いに考えられるためです。そして、どの法人(事業者)が市長に会って情報提供や提案をしているのかも、公開されておりません。市政の意思決定過程が不透明であるとこは問題であると考えます。

 

そこで、職員の公正かつ公平な職務の執行を確保し、透明性の高い市政の推進、ひいては、不公正な働きかけや要求から職員を守るために、記録制度が必要であると考えて問題点を洗い出し、改善に向けての提案を実施しました。

 

全国市民オンブズマン連絡会議「口利き記録制度」調査https://www.ombudsman.jp/taikai/kuchi160924.pdf

 

奈良市:職員の職務に関する要望等の記録と公表に関する制度http://www.city.nara.lg.jp/www/contents/1308211537415/files/syokuinanketo240508.pdf

 

 

「市や職員に対して一定の地位を有する者からの働きかけ及び要求行為の記録と対応について」

 

1.対応方針及び記録の保存について

2.過去の不当要求行為の対応件数について

3.記録及び公開の考えについて

 

 市や職員に対して一定の地位を有する者からの働きかけ及び要求行為の記録と対応について質問いたします。

 

 行政機関の諸活動においては、正確性の確保や責任の明確化等の観点から、記録として文書を作成することが重要であり、行政の適切かつ効率的な運営にとって必要であると内閣府の行政文書の管理に関する手引にも記載されております。最終的な意思決定のみならず、経緯、過程を後付け、検証できるように、また事務及び事業の実績を合理的に後付け検証できるように文書を作成することが肝要であります。

 

 しかしながら、2016年にNHKと市民オンブズマンが主な地方自治体に対する働きかけ全般の記録制度の有無、内容、働きかけの記録の開示制度の有無、前年度に記録された働きかけの件数をアンケート調査の形式で行ったところ、制度を導入している自治体は全体の約半数にとどまっていたことがわかりました。

 

 そして、毎年自治体と事業者が関係する不正が起きています。一例を挙げれば、山梨市において、元市長が市幹部に不正に職員採用を働きかけたとして、受託収賄罪で起訴。徳島市がごみ収集に関する行政処分について、市議の不適正な働きかけを認める報告書を作成。埼玉県上尾市において、元市長と元議長が入札情報を業者に漏えいしたとして公契約関係競売入札妨害などの罪で起訴。近隣では常滑市において、元市職員の市議が業者に便宜を図ったとして収賄及び詐欺容疑により起訴、業者は贈賄容疑で起訴など様々な事件が起きています。

 

 これらは基本的に全て市や職員に対して一定の地位を有する者からの働きかけ及び要求行為が起点となっています。一定の地位を有する者として、法人及び業界団体、政治団体その他の団体等の関係者、現職議員及び議員であった者、議員の秘書、親族等の関係者、行政機関の職員等及び職員であった者等の関係者、この3者を働きかけ要求行為主体となる者の範囲として定めているケースが多く見られます。

 

 働きかけや要求はその場で不当であるかどうかを判断することが難しいことから、現場の職員に判断の負担を強いることがないよう、記録制度を導入した自治体が多くあります。例えば名古屋市では、要望等記録制度を定め、個人、事業者団体等、一定の公職にある者等に対し、対象を絞ることなく要望等を原則として全て記録し、要望等記録兼報告書により取りまとめ、件数と不当要望等及び行政対象暴力の場合は概要を報告しています。大阪市では、要望等記録制度指針を平成26年に改正し、例外規定をなくし、厳格化を図りました。これは公職者、団体の意見、苦情、情報提供は内容にかかわらず記録、公開する制度としたものです。奈良市では、国会議員、地方公共団体の議会の議員及び他の地方公共団体の長を公職者と定め、要望、要請、提言、提案、相談、意見、苦情、依頼その他これらに類する行為等を受けたときには、口頭、文書にかかわらず、記録表を作成するものとするとしています。福島県いわき市では、市職員に対する働きかけ及び不当要求行為等への対応に関する要綱において、働きかけの主体者の範囲を定め、働きかけと思料される要望等を受けた時は、直ちに当該要望等の内容その他必要な事項を働きかけ対応記録表に記録し、所属長に報告しなければならないとしています。これらは一例ですが、多くの自治体が一定の地位を有する者からの働きかけや要求行為を記録する取り組みを実施しております。

 

 しかし、本市は不当要求行為等に対する規定はあるものの、記録制度については制定されておりません。そこで、職員の公正かつ公平な職務の執行を確保し、透明性の高い市政の推進、ひいては不公正な働きかけや要求から職員を守るために記録制度が必要であると考え、市や職員に対して一定の地位を有する者からの働きかけ及び要求行為の記録と対応について3点質問いたします。

 1点目、対応方針及び記録の保存について、2点目、過去の不当要求行為の対応件数について、3点目、記録及び公開の考えについて、以上よろしくお願いいたします。

 

~答弁中略(※PDF参照)~

 

 それぞれの答弁ありがとうございます。 それでは、答弁いただいた内容を踏まえ、要望を申し上げます。

 

 不当要求については、記録、対応する仕組みが整えられ、体制がとられていることが確認できました。しかし、本市は働きかけや要求行為については、不正防止に向けた仕組みと体制が不透明かつ不十分であり、改善すべきであると考え、要望いたします。

 

 答弁にて公正な職務の遂行を損なうおそれのある行為として6項目が規定されているとのことでしたが、全ての職員へ要求や働きかけを受けた際に、規定の内容に該当する不当要求であるかどうかを即座に判断することを求めているのでしょうか。これはあまりにも酷であると考えます。記録は職員の公正かつ公平な職務の執行を確保するだけではなく、不公正な働きかけや要求から職員を守るためにも必要であり、経費もほとんどかからず、市政運営の透明性を向上できるため、要求や働きかけを記録することを提案いたします。

 

 第1に、要求・働きかけの記録は、要求等が関係者以外の目に触れず、市民が知り得ない方法や場所等で秘密裏になされることを防止する効果が期待できます。先ほど述べた埼玉県上尾市の事件では、元市長、元市議会議長、業者の3者による癒着の構図があったと指摘されておりますが、不正事件は首長、議員、業者の密室でのやりとりがトリガーになっているケースが多く見られます。このような事態を防ぐためにも不正防止に向けて記録が有用であると考えます。

 

 第2に、要求・働きかけの記録は、要求等が公共の利益を代弁しているのか、個別の業者や個人の利益につながるものではないか、要求等の中身を明らかにする効果が期待できます。先に挙げたNHKと市民オンブズマンが実施した調査では、市が公募した保育園の選定で特定の事業者を採択するよう求めたり、学校の臨時職員に特定の個人の採用を求めたりするなど、議員から私的な要望や企業への利益誘導など、不当な口ききだと受け取られかねないものも確認されたとのことです。口ききを受けた自治体は応じなかった上で、記録制度に従って記録を残すことで透明性が高まり、不正を防ぐことができたとしています。要求の不当か否かの判別と不当な要求の未然防止に記録が有用であると考えます。

 

 第3に、要求・働きかけの記録は自治体と職員を不当な圧力から守る効果が期待できます。先に述べた徳島市の市議の不適正な働きかけによるごみ収集に関する行政処分については、防止策に関する調査報告書に次のように記載されています。働きかけに対し、担当者や担当部局の孤立を防ぐことが重要、不当な働きかけは密室で行われる場合に最も弊害をもたらす可能性が高い。そのため、働きかけについて担当者や担当部局以外の目にとまる機会を確保するため、適時かつ適切に記録される必要がある。職員は働きかけを受けたときは、公正な職務の遂行を確保するため、速やかにその内容を働きかけ記録表に記録し、上司に報告することにより組織的に対応する。

 

 また、奈良市の報告書も参考になります。奈良市の職員の職務に関する要望等の記録と公表に関する制度についての職員アンケートでは、相談と称した要望らしき話を要望ととられないように持ってこられたり、幾つかの話題でどれが要望で、どれが事実確認か一線を引くのが難しいなどの行為を受けることがある。そして、公開されることにより、不当な要望は言いにくい等の抑止効果、無茶な要望はできない、私的な要望ができなくなるなどの公職者等からの不当な要求の排除に関する効果があると記載されています。現場で違法、不当の判断をさせることは職員の負担になりかねず、働きかけを受けた職員が受ける精神的な圧力を考慮した場合、不当な働きかけと判断できるものであっても、あえてこれを記録しないという事態が生じる可能性は大いに考えられます。

 

 このように働きかけ及び要求行為の記録について、積極的に取り組んでいる自治体も多くございますので、近隣市の状況だけを注視するのではなく、先進事例から学ぶ姿勢を持っていただきたく紹介いたしました。

 

 最後に、記録に残すことは行政の情報公開と説明責任を果たすための重要な取り組みであり、不当要求に限らず要求等は全て記録するべきであると重ねて申し上げます。働きかけや要求行為が公共の利益や市政の改善に資するものであれば、課題として取り組むべきでありますし、適正な業務の範囲を逸脱する要求に対しては、対応しかねる旨を毅然として伝えるべきです。いずれにせよ、記録をとらなければ検証できませんし、記録を公開することが公正に事業や市政運営が進められていることの証明になると考えます。

 

 以上、不公正な要求や働きかけから職員を守り、透明性の高い市政を推進するために要望、提案申し上げたことを検討いただくことをお願いして、市や職員に対して一定の地位を有する者からの働きかけ及び要求行為の記録と対応についての質問を終わります。

 



 

◆知多市長の公務及び市職員への要求行為の記録について◆

 

 

令和2年(2020年)6月議会(第2回定例会)一般質問

 

知多市議会議員 川脇裕之

 

②「市長の公務及び職員への要求行為の記録について」

 

(1) 市長の面会者及び打合せ相手の記録について

(2) 一定の地位にある者からの職員に対する働きかけ及び要求行為の記録の状況について

(3) 市内小中学校の式典及び教育委員会への要求行為について

 

◆質問

 

続きまして2番目、市長の公務及び職員への要求行為の記録について質問いたします。

 

2009年に公文書等の管理に関する法律が施行され、内閣府の行政文書の管理に関する手引きにて、行政事務の遂行に当たっては、記録として文書を作成することが必須になりました。文書記録を残すことは、行政機関の諸活動における正確性の確保、責任の明確化等の観点から重要であり、行政の適正かつ効率的な運営に欠かせません。しかし、昨今、国の公文書や記録をめぐって不適切な取扱いにより、行政文書が短い期間で捨てられる、あるはずだったという記録が見つからない等の様々な問題が発覚しており、本市でも記録体制が懸念される状況にあると考え、伺います。

 

 最初に、市長の公務記録についてです。本市では、市長の動きとして日時、内容、場所をホームページで公開しておりますが、内容の記載事項は、来客、庁内打合せ、庁外打合せ等となっており、誰と何を実施したのかの記録がございません。行政文書の管理に関する手引きでは、意思決定に関する文書として、最終的な意思決定のみならず経緯・過程を跡付け、検証できるよう文書を作成、事務及び事業の実績に関する文書として、事務及び事業の実績を合理的に跡付け、検証できるよう文書を作成と定められております。しかし、本市の市長の動きの記録内容では、いずれの要件も満たしていないと考えます。ほかの自治体では面会相手、打合せ趣旨を市長公務として記録し、公開している事例が多くあり、本市でも記録と公開を適切に実施すべきであると考えます。そこで、質問の1点目、市長の面会者及び打合せ相手の記録について伺います。

 

 次に、私は平成30年6月の第2回定例会において、市や職員に対して一定の地位を有する者からの働きかけ及び要求行為の記録と対応について一般質問を実施し、本市の文書の記録体制の問題点を明らかにするとともに、改善すべきであると指摘しました。知多市文書取扱規程では、電話または応答による伝言等で重要なものは、その要領を電話口頭受理票に記入して収受し、処理しなければならないとされております。

 

 さきの一般質問で確認したところ、電話口頭受理票に記入して収受し、処理する、打合せや会議の記録用に標準書式がグループウエアに格納されており、各課が活用しているとの答弁であり、要求行為を今後記録する考えについては、電話口頭受理票や会議等記録用紙による記録、保存に努めるとともに、記録の取扱い等について近隣市の状況を調査研究するとの答弁でした。

 

 そこで質問の2点目、一定の地位にある者からの職員に対する働きかけ及び要求行為の記録の状況について伺います。令和元年度及び令和2年5月までの件数と内容をお答え願います。

 

 次に3点目、市内小中学校の式典及び教育委員会への要求行為について伺います。令和元年度及び令和2年5月までの件数と内容をお答え願います。

 

 以上、答弁よろしくお願いします。

 

◆答弁

 

◎市長(宮島壽男) 

 御質問の2番目、市長の公務及び職員への要求行為の記録についてでございますが、公正で民主的な市政への運営を図り、市民の皆様への説明責任を果たしていくためには、市政運営の透明性の確保と個人等の権利利益の保護等との調和を適切に図っていく必要がございます。

 御質問の1点目につきましては企画部長から、2点目につきましては総務部長から、3点目につきましては教育部長から答弁させますので、よろしくお願いします。

 

◎企画部長(岩田光寿) 

 御質問の2番目、市長の公務及び職員への要求行為の記録についての1点目、市長の面会者及び打合せ相手の記録についてでございますが、市長への面会者または打合せの相手等は、市長の日程依頼票で受け付け、記録しています。

 

◎総務部長(矢野明彦) 

 次に2点目、一定の地位にある者からの職員に対する働きかけ及び要求行為の記録の状況についてでございますが、知多市文書取扱規程では、電話または口頭により受けた伝言等で重要なものは、各所管において電話口頭受理票に記入の上、収受し処理しなければならない旨を規定しております。一定の地位にある者から職員に対して働きかけや要求行為があった場合についても、その内容が重要なものであれば、各所管において同様の取扱いとなります。電話口頭受理票は、各所管においてそれぞれの業務の種類ごとにフォルダー別に保管しているため、全体の件数については把握しておりません。

 

◎教育部長(加藤由裕) 

 次に3点目、市内小中学校の式典及び教育委員会の要求行為についてでございますが、市内15の小中学校では、式典として、令和元年度は各学校において入学式と卒業式が行われています。2年度は、各学校において入学式が行われています。式典及び教育委員会に対する要求行為については、調査した限り確認できませんでしたので、よろしくお願いいたします。

 失礼しました。先ほど各小学校と申しましたが、各学校においてということです。よろしくお願いします。

 

◆再質問

【再質問①】

◆9番(川脇裕之) 

 答弁ありがとうございます。ただ今お答えいただいた内容について、再質問をいたします。

 質問の1点目に関して、市長の日程依頼票で記録しているとのことですが、再質問の1件目、市長の面会者及び打合せ相手の記録を公開する考えについて伺います。

 

◎企画部長(岩田光寿) 

 御質問の件につきましては、現在、市長の公務の記録としてホームページ上の市長の動きのページで、出席した公務の会議名称等を公開しています。庁内打合せと記載があるのは各部課の職員との打合せであり、内容等の公開の必要はないものと考えております。

 また、来客については、個人情報保護の観点からも情報としての提供は制限が生じるものがあるため、情報開示請求があった場合には情報公開条例に基づき個別に審査されるものとし、現状では氏名等の公開は考えておりませんので、よろしくお願いいたします。

 

【再質問②】

◆9番(川脇裕之) 

 次に、質問の2点目に関して、職員に対する働きかけ及び要求行為について全庁的に記録を取りまとめていないどころか、各所管の件数も把握していないことが分かりました。知多市文書取扱規程で記入、収受、処理しなければならないとされているにもかかわらず記録を取っているのかどうかも分からない、その件数を把握していないというのは問題です。そもそも公的記録を残さないのは、あってはならない行為であり、記録、管理、処理の改善が必要であると考えます。

 そこで再質問の2件目、記録状況の把握に向けた知多市文書取扱規程の第39条の運用見直しの考えについて伺います。

 

◎総務部長(矢野明彦) 

 御質問の件につきましては、記録状況の把握に向けた運用見直しにつきまして、他自治体の取組について情報収集し、調査研究をしてまいりますので、よろしくお願いいたします。

 

【再質問③】

◆9番(川脇裕之) 

 次に、質問の3点目に関して伺います。

 2020年3月の小中学校卒業式は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により式典と参加者の縮小が図られました。一生に一度の貴重な卒業式を通常開催できなかった卒業生や保護者、在校生の無念を思うと胸が痛みます。その中、御対応に当たられた教職員をはじめ関係者の皆様に御礼申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症拡大防止の対応としては、記録が確認できます。2月25日に文部科学省より学校の卒業式・入学式等の開催に関する考え方についての事務連絡、2月28日に小中学校卒業式に来賓、保護者の出席がないことを報道発表、この日に学校からも連絡を頂きました。

 

 私が伺いたいのは、2月17日の週に学校から卒業式プログラムの変更案内があった件です。新型コロナウイルス感染症拡大防止策が求められる中で、卒業式という児童生徒の大切な式典を少しでもよいものにしようと臨時市校長会議の開催等、学校教員や関係各所が尽力している中、議員から教育長に対して卒業式のプログラム変更の要求があったとの話を耳にしました。複数の方に確認したところ、2月17日の週に案内があった卒業式プログラムの変更は、学校からの申出ではないと伺っております。さきに申し上げた2月25日以降は記録がたどれるわけですが、教育委員会の議事録を確認すると、2月14日の第2回知多市教育委員会定例会会議録には、小中学校卒業式に関する記録がありません。学校式典について、議員が要求行為をすることの妥当性は別にして、要求行為があれば記録を取らねばなりませんし、記録を残していない要求行為で意思決定がゆがめられることは、あってはならないことです。

 

 そこで再質問の3件目、2020年3月開催の小中学校卒業式への議員の要望・要求行為について教育長に伺います。

 

◎教育部長(加藤由裕) 

 御質問の件につきましては、調査した限り確認できませんでしたので、よろしくお願いいたします。

 

◆要望

◆9番(川脇裕之) 

 それぞれの答弁ありがとうございました。それでは、答弁いただいた内容を踏まえ要望を申し上げます。

 

 第1に、市長の公務記録についてです。個人情報の掲載を求めているのではなく、行政文書の管理に関する手引きに基づき意思決定に関する文書と事務及び事業の実績に関する文書を記録すべきであり、市長の動きに最低限の情報を掲載していただきたいとの御提案です。

 

 面会相手の事業者名は個人情報ではありません。ほかの自治体では、伊勢市、鈴鹿市、富田林市等で面会相手の事業者名と役職を記載して公開しております。本市の市長の動きに記載されている来客、庁内打合せ、庁外打合せは、誰と何を実施したのかが分からない記録であり、公務記録として妥当であるとはとても思えません。

 

 平成30年6月の第2回定例会一般質問でも述べましたが、過去の自治体で起きた不正事件は、首長、議員、業者の密室でのやり取りがトリガーになっているケースがほとんどです。このような事態を防ぐためにも、不正防止に向けて記録を適切に取り、情報公開に努めていただきたく存じます。

 

 第2に、一定の地位にある者からの職員に対する働きかけ及び要求行為の記録についてです。記録がないものは確認のしようがありません。公文書等の管理に関する法律の趣旨にのっとり、知多市文書取扱規程の遵守の徹底を求めます。

 

 私は議員になって2期目ですが、議員が恫喝にも似た要求を要望行為として職員に実施している場面を何度も目撃しております。その尻拭いを現場の職員がさせられているケースは見るに堪えません。記録が残らない意思決定はあってはなりません。

 

 ほかの自治体の事例では、名古屋市は要望等記録制度を定め、個人、事業者団体等一定の公職にある者等に対し対象を絞ることなく、要望等を原則として全て記録し、要望等記録兼報告書により取りまとめ、件数と不当要望等及び行政対象暴力の場合は概要を報告しています。大阪市では、要望等記録制度指針を平成24年に改正し、例外規定をなくし厳格化を図りました。これは公職者、団体の意見、苦情、情報提供は内容にかかわらず記録、公開する制度としたものです。奈良市では、国会議員、地方公共団体の議会の議員及びほかの地方公共団体の長を公職者と定め、要望、要請、提言、提案、相談、意見、苦情、依頼、その他これらに類する行為等を受けたときは、口頭、文書にかかわらず記録票を作成するものとするとしています。福島県いわき市では、市職員に対する働きかけ及び不当要求行為等への対応に関する要綱において、働きかけの主体者の範囲を定め、働きかけと思料される要望等を受けたときは、直ちに当該要望等の内容その他必要な事項を働きかけ対応記録表に記録し、所属長に報告しなければならないとしています。これらは一例ですが、多くの自治体が一定の地位を有する者からの働きかけや要求行為を記録する取組を実施しております。

 

 本市でも職員の公正かつ公平な職務の執行を確保し、透明性の高い市政の推進、ひいては不公正な働きかけや要求から職員を守るために、一定の地位にある者からの職員に対する働きかけ及び要求行為を記録することを要望申し上げ、2番目の質問を終わります。

 

 

◆参考文献

https://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2011/20110908/20110908haifu1-1-1-1.pdf