★NTTを退職してGOOGLEに転職した若者の退職エントリについて思ふこと★

 

●NTT退職エントリが僕たちに教えてくれることと考えさせられること

 

若手のNTT研究者がGOOGLEに転職した記事(→6年勤めたNTTを退職しました)が大変に面白くて,バズって話題になっていますね.遅ぇーよ,って感じですかそうですか.私も新卒でNTT(グループ会社)でお世話になっていたので,同窓の方の新たなチャレンジを応援したい気持ちでいっぱいです.

 

高知の某ブロガーさんのように自分の金儲けのためにサラリーマンをディスり,無責任に転職を促したり,それに影響されて公務員を辞めて元職場を馬鹿にする残念な退職エントリに辟易していたので,このような前向きな退職ネタは読んでいてほっこりしますし,前職に感謝と示しつつ,なぜ転職したのかを端的に説明して,やんわりと問題提起する.優しさと頭の良さが滲み出ている内容であり,炎上ネタばかりが流行る中,素敵なブログだと思います.

 

一方で,この退職エントリが爆発的に人気を集めたのは,日経新聞が報じた「NTT、対GAFAへ処遇改革」の直後というタイミングであり,流石ステップアップの転職をする人は時流に乗るのも上手いなと感心した次第です. 

 

本当にNTT退職エントリは面白かったんですよ.でも,そこからおかしなコメントがつくまでが恒例で,一連の様式なのかな?とも思うのですが,付随するコメントが結構酷くて見ていて嫌な気持ちになったので(どうして他人の投稿のツリーにお邪魔して自己主張するんですかね?),誰かや何かをディスったりネガティブになるよりも,情報を活かして行こうぜ!と便乗してポジティブに少しだけ綴りたいと思います.

 

※自分の場合はこうでしたと,個別ケースを綴っても面白いものが書ける気が微塵もしないのと,他人の思い出なんて興味もありませんし,基本的には退職エントリって文句を垂れるか自慢に帰結するものばかりなので,以下は経験談ではなく感想文です.

 

 

 

①NTTを退職する若者の転職先はGAFAばかりなのか?

 

そんなはずないですよね.そもそも,この認識が間違っているんですよ.SNS界隈では「文字は分かるが文は読めない人」が溢れており,新井紀子 国立情報学研究所教授が「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」でも問題提起をしているわけですが,NTT持ち株会社の澤田純社長は日本経済新聞のインタビューで以下のように答えているわけです.

 

「(NTT持ち株会社の研究開発の人材は)35歳になるまでに3割がGAFAなどに引き抜かれてしまう。19年度から、AIなどの研究者の賃金を引き上げたい」

 

GAFAなどに引き抜かれてしまう.「などに」と付いてますよね.NTTの若手(35歳程度まで)の退職者が皆GAFAに転職しているわけじゃあない.みんながみんなGOOGLEやAPPLEやFacebookやAMAZONに転職するのではなく,若手の3割くらいが35歳までに辞めて(おそらくその中でも優秀層が)GAFAに引き抜かれている.ライバルは強い相手じゃあないとカッコがつかないから,最上位の企業を人材流出先として挙げているに過ぎない.この事実関係を前提条件というか共通認識として持たないと議論がまるでかみ合わなくなってしまいます.

 

私はNTTのグループ会社に勤めていて,34歳で転職? して辞めたわけですけれども,確かに同期の3割~4割くらいは転職していて,その中でもGOOGLEやAPPLEなどのIT系TOP企業に転職した者(APPLEに転職した後,水が合いませんでしたと同じNTTグループに戻ってきた友人もいます)だけでなく,総合商社,民放キー局,メガバンク,証券会社,総合電機,航空会社,コーヒー会社(ス〇バ),通販会社(楽〇),ITベンチャーなど,転職先は様々で,完全にステップアップの華麗なる転職を遂げた者もいれば,転職を繰り返して失敗な感がある人まで様々なわけです.

 

だから,NTTの若手社員の転職先がみんながみんなGAFAじゃあないからね!というのは現実の事実として押さえておきましょう.そんなのわかってるよ!とほとんどの人の誤解はないと思いますが,誤認している方も少なくなさそうですのでわかりきったことを述べさせていただきました.

 

 

 

②NTT退職エントリはNTTの名を上げる結果になったのでは?

 

熊樹さんのNTT退職エントリが何よりも素晴らしいのは,優しさに満ちている点だと思います.NTTはとても良い企業だったけれども,研究環境や報酬は彼の求めるモノには足らず,転職でステップアップを目指すことになったとの前向きな門出なわけです.あれが駄目とか,これが嫌とか,どれだけその企業が酷いかの晒してうっ憤を晴らすのが目的かのような退職エントリが多い中,NTT最高じゃん!と捉えて志望する学生も増えるんじゃあないかな?と思いました.

 

熊樹さんの働き方がちょっと特例であったのかもしれないけれども,成果を細かく求められるでもなく自由に研究ができて(アウトプットの裁量があるのは素晴らしいコト),勤務はフレックスであったとのこと.1日の平均労働時間が7.5時間を下回っていたのにOKというのは,すべての人に当てはまるとは思えないけれども,朝から馬鹿みたいに同じ時間に通勤することの辛さを憂うほとんどの人にとって,眉唾な条件でしょう.

 

フレックスタイム制(コアタイム制)は願って止まない制度であり,成果の有り無しでバッサリと雇用契約が切られてしまう外資に比べて,裁量労働制で身分が保証されており,給料が日本企業の中ではそれなりに高額な部類というのは,羨ましく感じる方も沢山いるでしょうし,外資の過酷な競争環境に身を置くよりも安定した企業や環境を求めるニーズも相当にあるでしょう.

 

なによりもGOOGLEに転職したぜ!という報告は,NTTからのステップアップ転職の一端を実証して見せてくれたことでありまして,大学院を卒業してNTTに就職して,FAANGへの転職を目指すというキャリアプランが魅力的に映るのは間違いなく,NTTに就職したい!と考える学生が増えるのではないでしょうか? 新卒でGOOGLEやAMAZONなどの外資系IT会社に就職できる人数はごくごく僅かであり,新卒最初の就職先としてNTTを選ぶのは良い選択肢だと考えます.

 

 

 

③NTTの何が問題なのか?→日本企業の年功序列の賃金体系が諸悪の根源

 

私はNTTは素晴らしいホワイト企業であり,学生に自信を持ってオススメしたい就職先の一つです.それでも,大企業に勤めている人のほとんどに共感いただけると思うのですが,どの職場で働くのか,どの業務につくのか,誰と働くかで,その企業の評価はまったく違ってくるわけです.面白くない仕事や,残念な上司の元に配属された際は,嫌だな辛いなと思っていました.

 

それでもスルガ銀行のように地獄のようなノルマや酷い労働環境(良い大学出て人気の銀行に就職して最悪の職場で不幸以外の何物でもないですよね)があるわけでもなく,手を抜けば評価は下がるけれども,別にだからと言って解雇されたりすることは決してないわけで,大企業を一つの側面で見たり評価することは出来ないよね,定量評価で判断できるコト以外はあまり信じない方が良いというのが持論です.

 

ちなみに,労働組合は癌だと思います.何も付加価値を生み出していないのに,毎月5000円以上をほぼ全社員に課しており,NTTに限った話ではありませんが,労組は本来の目的を失い,既得権益化して非生産的な行為をしていると疑問に思っています.

 

そういえば,NTTの職場のパソコンのスペックが酷いという点で盛大に盛り上がっているのを見たのが面白かったのですが,経費の削り方がおかしい企業というのはいっぱいあるかと思いまして,研究環境や仕事環境は充実させないとやる気が失せてしまいます.そのクセ,オフィスレイアウトとかおかしなカネの使い方をされたりするから不満もたまりますよね.

 

さて,まとまりのない文章でNTT退職エントリに便乗させていただきましたが,日本企業の雇用の問題は「年功序列制度」が諸悪の根源にあると思っています.終身雇用制度は素晴らしいけれども,同一労働同一賃金を導入すべきですよね.もちろん,完全な同一労働同一賃金は現実的ではないにしても,年齢による賃金加算はできるだけ少なくするべきであり,初任給が「大卒21万5060円」「修士課程修了23万7870円」というのと,日本の上位大学の修士卒の入社7年目(31歳?)の優秀な人材の年収が「653万円」というのは夢がないし,これじゃあ優秀な人材は引き止められない,という元も子もない意見に帰結してしまいます.

 

総合商社や広告代理店の社員が30歳前後で年収1000万円を突破することを考えれば,日本企業の理系研究者の待遇は改善する余地が大きいし,大学院まで6年通った結果の報酬としては満足度が低く,もっと給料が高い会社に転職する!その転職先は外資系企業しかないというのは残念な現実だと思うのです.日本企業はプロパー社員が正義であり優遇するので,日系の高報酬企業の中途採用はほとんどありません.

 

以上,淡々と一般論を述べても意味がないので,NTTは研究所の立地の魅力に欠けるのと,希望しない者の転勤は止めた方が良いのでは? と退職エントリ定番の元職への問題提起を付け加えておきます.前者の立地(アクセス)については主力の武蔵野といい(住むには良さそうですが若者には刺激が少ないし電車+バスというのは辛い),横須賀,厚木,けいはんなと結構酷い立地なので,大手町の本社(逓信ビル)に拠点を設ければ超魅力的ですし,後者の転勤については日本企業の最大の非効率であり阿呆な風習だと思っていますが,望まない転勤や単身赴任は会社へのロイヤルティを下げるし,経費の無駄以外の何物でもないと考えます.

 

優秀な若者が日系企業を就職先として選択して,多額の報酬を得て,満足度高く働ける環境が実現することを心から願っています.

 

 

 

●ステップアップ転職としてGOOGLEが人気過ぎる件と若者総貧困化の闇

 

にしてもGOOGLEへの転職が人気ですね.知人でもGOOGLEに転職したという方が幾人かいて,元職がリクルートだったり電通だったり,証券会社だったり,多様な企業からステップアップの転職先としてGOOGLEゴールを決めている話を耳にします.GOOGLEに転職したからといって,バラ色の仕事生活が約束されるか? といえばそんなことはわからないわけですが,噂を耳にすると良い待遇に大満足している話しか聞いたことがなくて,ふざけた土地価格と賃料のシリコンバレーやサンフランシスコではGOOGLEの給料でも豊かな生活は遅れないかもしれないけれども,日本(東京)でGOOGLEで1000万円~2000万円の給料を得て,大して忙しくなさそうなのは,超魅力的で,羨ましいし,GOOGLEに転職したい人の潜在需要も溢れていて,素晴らしい好循環ですよね.

 

ところで,GOOGLE日本法人が何の仕事をしているのかいまいちよくわからない.転職した知人が皆優秀だったか? と記憶を辿れば疑わしいわけで(自分よりはずっと優秀ですが),文系大学卒でGOOGLEの営業職やマーケティング職で採用って,GOOGLEさんその人材いるんですかね?と思わなくもないです.

 

日本は給料が20年も上がらず,初任給は平均20万円少々のままで,欧米先進国に比べて大幅に低くなっており(大卒),世界第3位の経済大国でありながら,名目賃金はOECD35か国中で19位(2016年/ドル換算)なのは絶望的な気持ちになります.一方で米西海岸ほどではないにしても,土地価格だけは約10年上がり続けており,東京でドアtoドア:45分以内のそれなりに良い場所に住もうとすると,30坪(66㎡)の3LDKのマンションが7000万円超わけで,上位の大企業に勤めても30歳で600万円~700万円が一般的なことを考えると,みんな苦しくて,デフレが悪なのか日本の政治と経済が残念過ぎるのか,様々な要因があるにしても,しんどい話だと暗い気持ちになります.

 

これは良い大学を出て良い企業に就職しても生活は豊かではないという少しも面白くない話であり,我々ロストジェネレーション世代は就職氷河期と非正規の真ん中で,厳しい現実と微塵も光が見えない未来に,絶望的な気持ちになりますし,有期雇用でいつ転落するのかわからない自分の立場的にも,どうにかして欲しいし,他力本願ではなく,どうにかしたいと考えているけれども,既得権益が権益をガッチリ握り,変化や劇的な改善を望まない社会システムが,若者を貧しいままで強いているし,怒りを覚えます.

 

結局日本社会の駄目な部分というのは,無責任と他人事という言葉に集約できると思っていて,明日は我が身と思えば,真剣に努力しますし,危機感と飢餓感を忘れずに,自分にできることから頑張りたいなと思った次第です.以上.