★一般会計予算 反対討論★

 

◆平成30年度 知多市 一般会計予算 反対討論◆

 

 

議案第25号「平成30年度知多市一般会計予算」について、反対の立場から討論いたしました。

 

●一般会計予算に反対する理由と根拠

 

まず討論にあたり、予算に対する基本的立場を述べておきます。

 

市は様々な施策や事業を行っていますが、市が議案として示すひとつひとつの案件については、その都度、市民の利益に資するものかを判断基準として賛否を決めています。そのため、市民利益に叶う多くの議案には賛成し、市民の利益に反すると考えるものには反対しています。

 

一方予算は、これら様々な施策や事業の裏付けとなるものであり、市民から託された貴重な税金を、どこに重点をおいて配分するかを決めるものです。市がどういう考えで予算を編成しているのか、必要な施策に十分な財源が充てられているのか、市民の目線で不要不急と思われる施策はないのか、などを総合的に判断して、予算への態度を慎重に判断します。

 

個々の施策で賛成しているものがあるからといって、必ずしも予算全体に賛成するとは限りませんし、逆に、予算全体に反対しているからといって、市が行う施策すべてに反対だというわけではありません。これは、論理的な考え方だと認識しています。

 

市長をはじめ執行部の皆さまには、予算に反対する理由と主張を受け止めていただき、客観的な視点から政策を見つめ直すキッカケにしていただきたく存じます。

 

「平成30年度知多市一般会計予算」について、義務的経費の改善が図られていることを評価いたします。そして、限られた予算の中で、災害用トイレの備蓄や、中高生へのインフルエンザ予防接種費用助成、産後ケア事業など、新規の取り組みが図られていることを評価いたします。また、職員の皆さまには限られた予算とリソースの中、真摯に職務に取り組まれていることに敬意を表します。

 

しかしながら、本市の平成30年度予算の経常収支比率は101.2%と100%を超えており、地方債の発行が14億円を超える状況です。この市債の発行額は昨年度比19%増の金額です。

 

つまり、本市に財政的余裕はなく、市債を発行しなければ市政運営が難しい状況であり、経費の削減や、効果的な財政配分の取り組みが欠かせません。将来世代に過度な負担を先送りしない財政運営を進めていく必要があります。

 

少子高齢化による人口減がほぼ確実なものとして予測され、税収増が見込めない中で、社会保障関係コストの増や、社会インフラの維持管理・更新コスト増にも備えながら、公共サービスの維持・改善を目指し、住民満足を追求する予算とするために、見直しができる部分が多くあると考えます。よって、予算が適性であると承認することはできません。

 

 

予算に反対する理由の

第一は、議会で審議・承認されていない施策に多額の予算が計上されていること

第二は、職員が責任を持って実施すべき仕事を外注委託していること

第三は、事業の優先度・重要度を考慮した予算編成となっていないこと

第四は、費用対効果の追求に不十分な点があること

以上の4点です。順番に申し上げます。

 

 

① 議会で審議・承認されていない施策に多額の予算が計上されている

 

「朝倉駅周辺整備費について」朝倉駅の周辺整備の目的と必要性については認めますが、朝倉駅周辺整備基本構想は、構想の内容や費用の検証が不十分であると考えます。そもそも、本案は全員協議会で報告がなされただけであり、議案に上がっておらず、議会で審議ができておりません。

 

本構想はコンセプトが知多市の玄関口にふさわしい顔づくりであったり、にぎわいの創出が必要である。というあいまいな部分が多く、定量的な分析が不十分であり、費用対効果を含む科学的かつ多角的な検証が必要であると考えます。

 

今後、約85億円の事業費が想定されており、本構想案をベースに進めることを前提に整備費を承認することは、適正であると判断することができません。そして、事業化検討は職員自らが責任を持って実施すべき段階と内容であり、委託するべきではないと考えます。職員の知恵を集結し、自信を持って進められる計画をご提示いただき、議会で審議した後に、予算化するべきであると考えます。

 

全国の多くの自治体で行政主導の開発事業が、楽観的な見通しと、稚拙なデューデリジェンスにより失敗しており、慎重に進めなければなりません。財政的に大きな負債を残してしまうと、市民への公共料金の値上げ等へのしわ寄せだけでなく、職員の給料や新規雇用の維持に影響を及ぼすのは、夕張市が特殊な事例ではなく、青森市や、千葉県の銚子市、滋賀県大津市、兵庫県三田市 ほかで顕在化している通りです。

 

 

② 職員が責任を持って実施すべき仕事を外注委託している

 

新庁舎基本計画策定等委託料、公共施設再配置計画策定委託料、第6次総合計画策定支援委託料、など、本市の将来に大きく影響する計画が外注委託されており、妥当ではないと考えます。

 

データ分析や印刷製本などの、ごく一部の業務を委託することの必要性は認めますが、策定方針の検討や市民ワークショップなど、職員が実施すべきこと、職員が実施した方が良いことまでアウトソースされています。計画策定は、職員が責任を持って実施すべき業務であり、本予算金額と委託内容は妥当ではなく、外注委託は最低限にとどめ内製すべきであると考えます。

 

 

③ 事業の優先度・重要度を考慮した予算編成となっていない

 

前年度比で減額予定の予算と増額予定の予算の、優先順位に疑問であり、予算配分の再考を求めます。

 

農業振興費について、昨年度から30%以上と大きく減額している点が問題であると考えます。本市には道の駅などの公営の産直市場がない中で、農業振興費を減額することは、地域農業の担い手不足や、円滑な事業継承等に支障をきたすおそれがあり、大幅に減額することは妥当ではないと考えます。

 

商工費について、昨年度から2000万円以上と、大きく減額している点が問題であると考えます。地域の商工振興は重要であり、地域活性の担い手の一員である地域商工業者を支援・振興する予算を大幅に減額することは妥当ではないと考えます。

 

その他にも、市民活動支援事業費や地域交通事業費も前年度から減額されており、妥当ではないと考えます。

 

一方で秘書広報費は前年度比で5%を超える増額が図られています。平成28年度から平成29年度は10%を超える増額であり、2年続けての増額です。本市の宣伝等をすることに異論はありませんが、その効果が、住民満足度向上に結び付いているでしょうか? 他に住民サービスに直結する事業を充実させるべきではないでしょうか? 毎年予算増を図ることと、費用対効果に疑問です。また、民生費、土木費、教育費における普通建設事業の増は、その必要性は認めますが、個々に価格の精査を追求する必要があると考えます。

 

そして、他市町に比べて高い放課後児童クラブの利用料の値下げや、本市の活発なNPO組織への支援拡大、脆弱で使い勝手の悪い公共交通バスの改善、人材不足に苦慮する市内雇用のマッチング支援、定年退職後に仕事を求める方が増えている中でのシルバー人材センターへの補助拡大、など、住民サービスに直結する事業や住民のクオリティ・オブ・ライフを充実させる事業に、予算を優先的に配分することが重要であると考えます。

 

 

④ 費用対効果の追求が不十分である

 

事業の内容に異論はないものの、割高であったり、オーバースペックであったり、必要以上の経費支出を予定している事業や、利用者である市民視点の予算編成になっていない事業が多数見られるため、その見直しを求めます。

 

ゴミ対策費について、以前わたくしが実施した一般質問でも答弁いただきましたが、本市は1kg当たりのゴミ処理経費が半島5市で一番高い金額であり、県内でもワーストの水準です。ゴミ処理は装置産業の側面もあるため、簡単にコスト削減し難い項目ではありますが、市民の方にゴミ袋の値上げを負担いただいている中、10億円を超える清掃センター管理費が、昨年度と同水準で計上されており、コスト削減できる余地があると考えます。

 

また、資源回収のあり方等検討資料作成委託料を500万円以上計上しておりますが、資源回収のあり方やモデルについては、学会や企業、団体で有益な論文等の情報が多々発信されており、多くの自治体ですでに取り組んでいる事例があります。そのため、先進自治体の成功事例等を学びそれにならうことで、実施できると考えます。その周知については広報ちたへの掲載等の手段であればコストも最小限に抑えられ、検討資料の作成を委託するために500万円を超える予算を計上することは妥当ではないと考えます。

 

防犯カメラ設置工事費について、安全安心な地域づくり促進のため、また地域防犯力向上のため、防犯カメラを設置することは支持いたしますし、積極的に進めるべきだと考えます。しかし、設置に1台40万円以上の経費をかけることには疑問であり、市民や町内会等へ防犯カメラの設置費用の補助をしている自治体も多くあり、費用対効果の高い防犯に向けた取り組みの検討が必要であると考えます。

 

成人式関連事業については、一般質問でも申し上げましたが、成人式の主役である新成人が企画の立案や運営に関われていないにも関わらず、50万円を超える映像制作委託料が毎年支出されており、参加者の視点に立った事業への改善を求めます。

 

歴史民俗博物館については、新たなディスプレイを設置することに異論はありませんが、モニター購入費以上の経費を映像送出機材など周辺機器に支出予定であり、録画映像の再生に必要な機器はコスト削減が可能であると考えます。

 

これまで代表的な事業・施策についての改善指摘を一部したのみですが、申し上げた反対理由の4点について、市の財政に対して、自身や家族の財布のような意識で慎重に臨めば、さらに費用対効果の高い予算編成が可能であると考えます。

 

以上、議案第25号 平成30年度知多市一般会計予算について、適正であると承認できず、予算の見直しをお願い申し上げまして、反対討論といたします。