★「反対討論」平成29年度知多市 一般会計歳入歳出 決算認定★

 

決算認定は予算がどのように使われたか、目的に沿って効果的、効率的に執行されたかなどを審議・審査します。すでに執行されたもののチェックとなりますが、予算が適正かつ妥当に使われたのかを審査し、予算執行の問題点を指摘することで、翌年度の予算編成や将来の財政計画に反映するという重要な役割を担っていると考えます。

 

市長をはじめ執行部の皆さまには、決算認定に反対する理由と主張を受け止めていただき、客観的な視点から政策を見つめ直すキッカケにしていただきたく存じます。

 

「平成29年度知多市 一般会計歳入歳出決算認定」について、予算はおおむね適切に執行されており、職員の皆さまには、限られた予算と人員の中、真摯に職務に取り組まれていることに感謝申し上げます。

 

一方で、(地方自治法2条14項)にある通り、地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければなりません。この経費に対する効果に関して、取り組みに不十分かつ不適切な点があると考え、反対理由を述べます。

 

 

①第一に、職員が責任を持って実施すべき仕事を外注委託している点が問題です。

 

「庁舎機能検討調査」「公共施設再配置計画」「健康増進施設基本構想」「朝倉駅周辺整備基本構想」など、本市の将来に大きく影響する計画がほぼ丸投げで、外注委託されており、妥当ではないと考えます。データ分析や印刷製本などの、一部の業務を委託することの必要性は認めますが、計画や構想は、職員が責任を持って実施すべき業務であり、外注委託は最低限にとどめ内製すべきであったと考えます。

 

 

②第二に、費用対効果の追求に不十分な点があるのが問題です。

 

必要以上の経費支出を予定している事業や、利用者である市民視点の予算執行になっていない事業が多数見られるため、その見直しを求めます。

 

「庁舎機能検討調査」「公共施設再配置計画」「健康増進施設基本構想」「朝倉駅周辺整備基本構想」について、委員会や全員協議会でも報告いただいておりますが、それぞれの調査報告書や計画書、基本構想について、アウトプットが価格に見合うものではないと考えます。

 

特に、「朝倉駅周辺整備基本構想」については、全国の多くの自治体で行政主導の開発事業が、楽観的な見通しと、稚拙なデューデリジェンスにより失敗しており、慎重に進めなければならない中、外注による稚拙な成果物の構想をベースに進めていることには疑問を感じます。

 

財政的に大きな負債を残してしまうと、市民への公共料金の値上げ等のしわ寄せだけでなく、職員の給料や新規雇用の維持に影響を及ぼすのは、夕張市が特殊な事例ではなく、青森市や、千葉県の銚子市、滋賀県大津市、兵庫県三田(さんだ)市 ほかで顕在化している通りです。

 

 

③第三に、入札が可能な事業で随意契約が実施されている点が問題です。

 

国および地方公共団体が行う契約は入札によることが原則であり、「契約の性質又は目的が競争に適さない場合」を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。とされています。

 

一方で「防災ラジオ購入費」「ビデオ広報制作放映委託料」「コミュニティFM広報番組制作放送委託料」「成人式上映ビデオ制作委託料」などで、一社随契による契約が実施されております。例えば、緊急警報放送を感知して起動するラジオは多くのメーカーから発売されており、世の中には様々なラジオ局や放送局があり、特定の事業者を選定する妥当性に欠けます。

 

成人式については、一般質問でも要望申し上げましたが、成人式の主役である新成人が企画の立案や運営に関われていないにも関わらず、ほぼ同じ内容の50万円を超える映像制作委託料が毎年特定事業者に支出されており、一社随契は価格競争が働かず、入札の原則にも反しています。

 

 

④第四に、事業の優先度・重要度を考慮した予算執行となっていない点が問題です。

 

広報事業費は前年度比で5%を超える予算と執行です。本市の宣伝等をすることは結構なことですが、その効果が、住民増や住民満足度向上に結び付いているでしょうか? 他に住民サービスに直結する事業を充実させるべきであると考えます。

 

他市町に比べて高い放課後児童クラブの利用料の値下げや、本市の活発なNPO組織への支援拡大、脆弱で使い勝手の悪い公共交通バスの改善、人材不足に苦慮する市内雇用のマッチング支援、定年退職後に仕事を求める方が増えている中でのシルバー人材センターへの補助拡大、など、住民サービスに直結する事業や住民のクオリティ・オブ・ライフを充実させる事業に、支出することが重要であると考えます。

 

その他の事業についても、少子高齢化による人口減がほぼ確実なものとして予測され、税収増が見込めない中で、社会保障関係コストの増や、社会インフラの維持管理・更新コスト増にも備えながら、公共サービスの維持・改善を目指し、住民満足を追求する予算執行とするために、見直しができる部分が多くあったと考えます。

 

市の財政に対して、自身や家族の財布のような意識で慎重に臨み、さらに費用対効果の高い予算と執行を期待します。

 

 

以上、「認定議案第1号 平成29年度知多市 一般会計歳入歳出決算認定」について、決算認定に反対する理由を申し上げて、反対討論を終わります。