★生活困窮者に対する支援について(知多市)★

 

令和3年(2021年)9月議会(第5回定例会)一般質問

 

知多市議会議員 川脇裕之

 

「生活困窮者に対する支援について」

 

(1) 知多市社会福祉協議会について

① 市からの支援及び連携について

② 事務局の体制及び職員数について

(2) 緊急小口資金について

① 過去2年度及び本年度の相談件数について

② 過去2年度及び本年度の申請件数について

③ 過去2年度及び本年度の貸付決定件数及び貸付不承認件数並びに貸付合計金額について

(3) 総合支援資金について

① 過去2年度及び本年度の相談件数について

② 過去2年度及び本年度の申請件数について

③ 過去2年度及び本年度の貸付決定件数及び貸付不承認件数並びに貸付合計金額について

(4) 住居確保給付金について

① 給付内容について

② 過去2年度及び本年度の給付件数について

(5) 新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金について

① 支援内容について

② 対象者数及び申請件数について

 


 

◆9番(川脇裕之) 

 皆様、こんにちは。初めに、新型コロナウイルス感染症の対応に尽力されている全ての皆様に心から敬意を表するとともに深く感謝申し上げます。感染予防やワクチン接種支援など緊張感のある日々が続きますが、引き続き健康に御留意いただき、医療・福祉分野をはじめ、各分野で連携して取組に当たっていただきたくお願いいたします。

 

 それでは、さきの通告に基づきまして、生活困窮者に対する支援について質問いたします。新型コロナウイルスに関するこれまでの経緯を簡単に振り返りますと、2020年1月15日に、国内で最初の感染者が確認されて以降、2020年4月に第1回の緊急事態宣言が発出されました。その後、感染拡大と小康状態を繰り返しながら、2021年9月1日現在も、2021年7月に発出された第4回の緊急事態宣言の延長期間の渦中にあり、愛知県も8月27日から緊急事態宣言の対象地域に追加され、これまでで最も深刻な状況にあります。

 

 第1回の緊急事態宣言以降、感染拡大防止のため、経済社会活動の多くを止める措置が取られたことで、経済や雇用、人々の生活に大きな影響が生じています。2020年の国内総生産、GDPは、前年比マイナス4.7パーセントと2020年4月-6月期の実質GDP成長率が年率換算マイナス28.6パーセントと大きな落ち込みになったインパクトに比べると、やや落ち着いた数字となっておりますが、新型コロナウイルス感染拡大前と比べ、完全失業率は高い水準で、有効求人倍率は低下しており、一部の好業績業種以外は、GDPの数値以上に厳しい状況が続いていると実感しております。

 

 日本には、世界的に見ても充実した健康保険制度があり、健康で文化的な最低限度の生活を保障する生活保護等の公的扶助制度は整っているものの、2018年の相対的貧困率は15.4パーセントと人口の6人に1人が貧困線に満たない世帯に属する中、経済弱者の社会生活は厳しいの一言に尽きます。

 

 定量的かつ詳細な情報は、2021年7月30日発行された令和3年版厚生労働白書に詳しく記載されておりますので御承知の方も多いかと存じますが、共通認識として情報を共有いたしたく、第1部新型コロナウイルス感染症と社会保障から、新型コロナウイルス感染症が国民生活に与えた影響と対応及び社会的危機と社会保障の記載内容を紹介します。

 

 雇用者数の減少は、女性の非正規雇用で、また宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業等の特定の業種の非正規雇用で大きくなっている。雇用が維持されている一般労働者、パートタイム労働者とも所定外給与が大きく落ち込み、現金給与総額が減少。このように、経済的・社会的弱者の生活が危機に直面していることが分かります。

 

 これに対し、国は、雇用調整助成金等により、かつてない規模の支援を継続中です。雇用調整助成金は、2020年3月24日から2021年3月31日までの間の累計支給決定件数が296万件を超え、本期間の累計支給決定額は3兆1,555億円です。これは2008年の金融危機、いわゆるリーマンショック時の累計支給額が2008年12月からの1年4か月で約6,600億円であったのに対して、コロナ禍においては約1年で3兆円を超え、直近の厚生労働省発表のデータを確認すると、2021年7月末に4兆円を超えております。

 

 雇用調整助成金については、雇用保険の被保険者以外のパートタイム労働者も対象者に追加、助成額の1人1日当たりの上限について、通常時の8,370円を1万5,000円に引上げ、助成率について解雇等を行わない場合は最大10分の10に引上げ等の支給要件に関する特例措置が設けられたことにより、対象となる労働者の雇用と給与収入は維持され、完全失業率はリーマンショック後の2009年7月に5.5パーセントに達した状況と比較すると、コロナ禍では最大でも2020年10月の3.1パーセントに抑えられ、2021年度は3.0パーセント以下で推移しています。世界的に見ても、失業給付の取組を強化した国では、失業率が上昇した一方、我が国のように雇用維持の取組を強化した国では失業率の上昇が抑えられたと厚生労働白書でも分析されており、雇用維持政策が果たした役割は非常に大きなものであると言えます。

 

 一方で、社会生活の危機に瀕しているのは、雇用保障の枠組みに入っていない人々です。雇用調整助成金や休業支援金の対象になっていない方、助成金や支援金の対象であるにもかかわらず、何らかの事情で申請や支給をされていない方、失業者等、経済弱者は苦境に陥っています。資産もしくは収入がなければ、生活福祉資金貸付制度や住居確保給付金、生活困窮者自立支援金等を活用して、経済的自立を目指すことになります。緊急雇用助成金は、財源と運用を国と企業が担うのに対して、生活福祉資金貸付制度、住居確保給付金、生活困窮者自立支援金は財源と運用を国と地方公共団体と社会福祉協議会が担っております。生活福祉資金貸付制度については、緊急かつ一時的な生計維持のための生活費を貸し付ける緊急小口資金や、日常生活の立て直しまでの一定期間、生活費を貸し付ける総合支援資金について、貸付対象者の範囲や貸付上限額などの特例措置が設けられるとともに、手続を簡素化することにより、休業や失業等により収入が減少し、生活が困窮した世帯の支援が行われています。

 

 2020年4月1日から2021年3月31日まで2020年度には、緊急小口資金の累計支給決定件数は110万6,735件、累計支給決定金額は2,051.6億円、総合支援資金の累計支給決定件数は65万1,517件、累計支給決定金額は4,940.7億円となっています。総合支援資金は再貸付けも実施され、緊急小口資金と総合支援資金の累計支給決定件数は、直近の厚生労働省発表のデータでは、2021年7月末に1.1兆円を超えています。雇用調整助成金と同様に、生活福祉資金貸付も過去最大の未曾有の金額となっており、新型コロナウイルスのワクチン接種の予約をめぐり、保健所や役所を直接訪れる方がいたり、問合せが殺到したりしたのと同様の混乱が緊急小口資金と総合支援資金の申請と受付の現場でも一部生じていると耳にしております。

 

 総合支援資金については、貸付業務を担当する愛知県社会福祉協議会が審査基準の緩和を求めた国の通知に従わず、従来どおりの基準で審査し、約3,300人の申請を減額したり、却下していたりしたことが明らかになりました。愛知県は福祉的な配慮に欠けるとして改善を指導し、愛知県社会福祉協議会は、追加の貸付けなどの救済措置を講じる事態になりました。

 

 社会福祉協議会は、市町村、政令指定都市の区、都道府県、そして全国の段階的に組織されている独立した民間団体ですが、社会福祉法に地域福祉の推進を図ることを目的とする団体として位置付けられており、地域福祉を推進する中核的な団体です。地域住民及び福祉組織、関係者の協働により地域生活課題の解決に取り組み、誰もが支え合いながら安心して暮らすことができる、共に生きる豊かな地域社会づくりを推進するために、国や都道府県からだけではなく、市からも毎年補助金と委託金を支出して、福祉を担っていただいております。

 

 このように、社会福祉は、国・地方公共団体、民間団体など様々な組織が関係して役割を担っており、地域福祉に関する事業は社会福祉協議会と適切な連携、協力の下で遂行せねばなりません。

 

 そこで、支援の実施状況の確認と適切な支援の実施をお願いいたしたく、生活困窮者に対する支援について質問いたします。

 1点目、知多市社会福祉協議会についての

 1つ目、市からの支援及び連携について。

 2つ目、事務局の体制及び職員数について。

 

 2点目、緊急小口資金についての

 1つ目、過去2年度及び本年度の相談件数について。

 2つ目、過去2年度及び本年度の申請件数について。

 3つ目、過去2年度及び本年度の貸付決定件数及び貸付不承認件数並びに貸付合計金額について。

 

 3点目、総合支援資金についての

 1つ目、過去2年度及び本年度の相談件数について。

 2つ目、過去2年度及び本年度の申請件数について。

 3つ目、過去2年度及び本年度の貸付決定件数及び貸付不承認件数並びに貸付合計金額について。

 

 4点目、住居確保給付金についての

 1つ目、給付内容について。

 2つ目、過去2年度及び本年度の給付件数について。

 

 5点目、新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金についての

 1つ目、支援内容について。

 2つ目、対象者数及び申請件数について。

 以上をお伺いし、壇上からの質問といたします。答弁よろしくお願いします。

 

◎市長(宮島壽男) 

 9番 川脇裕之議員の御質問にお答えいたします。

 御質問の1番目、生活困窮者に対する支援についてでございますが、新型コロナウイルス感染症拡大による日常生活への影響は長期化しており、失業等により生活にお困りの方が増えている状況でございます。本市におきましては、生活保護に至る前の生活困窮にある方が困窮状態からの早期自立を目指すため、生活困窮者自立支援法に基づき、様々な支援を行ってきておるところでございます。

 生活困窮者は、失業、疾病、障がいや借金問題など、複合的な課題を抱えている場合が多く、一人ひとりの状況に寄り添った支援が大切です。そのため、本市では、地域福祉の推進を担っている社会福祉協議会と密接に連携し、生活困窮者の支援に取り組んでいます。

 御質問の1点目から5点目までにつきましては福祉課長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。

 

◎福祉課長(花井佳世) 

 御質問の1番目、生活困窮者に対する支援についての1点目、知多市社会福祉協議会についての1つ目、市からの支援及び連携についてでございますが、本市では、社会福祉協議会の育成・強化を図るため、運営費等の経費を対象とし補助金を交付しています。このほか、生活困窮者が困窮状態から早期に脱却することを支援するため、生活困窮者自立支援事業を委託しています。この事業は、社会福祉協議会の知多市自立生活サポートセンターにおいて、生活困窮者の状態に応じた包括的かつ継続的な相談支援等を実施するものです。また、毎月、市、自立生活サポートセンター及び関係機関で、生活困窮者支援調整会議を開催し、情報を共有し、対応を協議しています。

 

 次に、2つ目、事務局の体制及び職員数についてでございますが、体制としては、事務局長、事務局次長の下、総務課、地域福祉課、在宅支援課、包括支援課があります。事務局職員数は、令和3年8月末現在78人で、内訳としましては、正職員32人、再雇用・嘱託職員7人、非常勤職員39人です。このうち、生活困窮者自立支援事業を担う自立生活サポートセンターの職員は正職員3人、非常勤職員6人です。

 

 次に、2点目、緊急小口資金についての1つ目、過去2年度及び本年度の相談件数についてでございますが、緊急小口資金は社会福祉協議会の事業で、次のように聞いております。相談件数は、令和元年度5件、2年度959件、3年度は7月末現在で245件です。

 

 次に、2つ目、過去2年度及び本年度の申請件数についてでございますが、申請件数は令和元年度4件、2年度555件、3年度は7月末現在で68件です。

 

 次に、3つ目、過去2年度及び本年度の貸付決定件数及び貸付不承認件数並びに貸付合計金額についてでございますが、貸付決定件数は令和元年度3件、2年度545件、3年度は7月末現在で65件。貸付不承認件数は元年度1件、2年度10件、3年度は7月末現在で3件。貸付合計金額は、元年度30万円、2年度1億75万円、3年度は7月末現在で1,340万円です。

 

 次に、3点目、総合支援資金についての1つ目、過去2年度及び本年度の相談件数についてでございますが、総合支援資金は社会福祉協議会の事業で、次のように聞いております。相談件数は、令和元年度4件、2年度686件、3年度は7月末現在で244件です。

 

 次に、2つ目、過去2年度及び本年度の申請件数についてでございますが、令和元年度申請なし、2年度198件、3年度は7月末現在で118件です。

 

 次に、3つ目、過去2年度及び本年度の貸付決定件数及び貸付不承認件数並びに貸付合計金額についてでございますが、貸付決定件数は令和元年度なし、2年度191件、3年度は7月末現在で118件。貸付不承認件数は、元年度なし、2年度7件、3年度は7月末現在では貸付不承認なし。貸付合計金額は、元年度なし、2年度7,294万8,000円、3年度は7月末現在で5,824万4,000円です。

 

 次に、4点目、住居確保給付金についての1つ目、給付内容についてでございますが、離職等により住宅を喪失している、またはそのおそれのある方に対して、求職活動を行うことを条件に、家賃相当額を家主に支給するものです。上限は、単身世帯は月3万6,000円、2人世帯は月4万3,000円、3人から5人までの世帯は月4万6,600円、6人世帯は月5万円、7人以上世帯は月5万6,000円で、原則3か月間支給するものです。社会福祉協議会で事前に相談を行い、市に申請します。その後、1か月以内に、市において支給決定するものです。

 

 次に、2つ目、過去2年度及び本年度の給付件数についてでございますが、令和元年度は2件、2年度は50件、3年度は7月末現在で19件です。

 

 次に、5点目、新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金についての1つ目、支給内容についてでございますが、社会福祉協議会が行っている総合支援資金の再貸付けが終了した、または再貸付けについて不承認になったことにより、さらなる貸付けの利用ができない世帯の自立を支援するため、単身世帯は月6万円、2人世帯は月8万円、3人以上世帯は月10万円を3か月間支給するものです。対象者には、社会福祉協議会から制度の案内が送付され、支給を希望する方は市に申請します。その後、1か月以内に市において支給決定し、申請者の口座へ振り込むものです。

 

 次に、2つ目、対象者数と申請件数についてでございますが、令和3年7月末現在の対象者数は15人で、申請件数は6件ですので、よろしくお願いいたします。

 

◆9番(川脇裕之) 

 答弁ありがとうございます。ただ今お答えいただいた内容について再質問させていただきます。1点目の知多市社会福祉協議会についての答弁で、社会福祉協議会の育成・強化を図るため、運営費等の経費を対象とし、市から社会福祉協議会に補助金を交付しているとのことですが、再質問の1点目、過去2年度及び本年度の社会福祉協議会への補助金額について伺います。

 

◎福祉課長(花井佳世) 

 御質問の件につきましては、社会福祉協議会補助金は令和元年度9,038万2,355円、2年度9,189万6,722円を交付しております。本年度は、9,044万9,300円の交付決定をしておりますが、年度末の実績報告により、交付額の変更もありますので、よろしくお願いいたします。

 

◆9番(川脇裕之) 

 次に、同じく1点目の知多市社会福祉協議会の委託事業について伺います。再質問の2点目、過去2年度及び本年度の生活困窮者自立支援事業の委託金額について伺います。

 

◎福祉課長(花井佳世) 

 御質問の件につきましては、生活困窮者自立支援事業委託金は、令和元年度1,775万2,977円、2年度1,781万1,523円です。本年度は、1,930万5,000円で委託しておりますが、実績により変更する場合もありますので、よろしくお願いいたします。

 

◆9番(川脇裕之) 

 次に、同じく1点目の社会福祉協議会についての答弁では、毎月、市と社会福祉協議会の自立生活サポートセンター及び関係機関で生活困窮者支援調整会議を開催し、情報を共有し、対応を協議しているとのことですが、再質問の3点目、生活困窮者支援調整会議での報告事項及び調整事項について伺います。

 

◎福祉課長(花井佳世) 

 御質問の件につきましては、生活困窮者支援調整会議では、市からは福祉課長と生活保護担当者が、社会福祉協議会からは主任相談支援員と家計改善支援員、その他プラン作成に関わる関係者が参加しています。支援員から個別ケースについて報告を受け、そのプランが本人の課題解決及び目標の実現に向けて適切であるか検討、判断するなど、生活困窮者の生活再建のために必要な事項の協議を行っていますので、よろしくお願いいたします。

 

◆9番(川脇裕之) 

 次に、質問の2点目と3点目で、緊急小口資金と総合支援資金の実績について答弁いただきましたが、再質問の4点目、緊急小口資金及び総合支援資金の情報共有について伺います。

 

◎福祉課長(花井佳世) 

 御質問の件につきましては、市と社会福祉協議会では、障がい者福祉、高齢者福祉、地域福祉等に関し、情報共有とその対応を検討するため、毎月、市・社協連絡調整会議を開催しており、その中で社会福祉協議会から緊急小口資金及び総合支援資金の申請件数と相談件数の報告がありますので、よろしくお願いいたします。

 

◆9番(川脇裕之) 

 次に、社会福祉協議会補助金は、新型コロナウイルス感染症が社会経済に悪影響を及ぼす前の令和元年度から、2年度も本年度も、補助金額が約9,000万円とほぼ同額で推移しております。そこで、1点目の1つ目の市からの支援及び連携に関連して、再質問の5点目、本年度補正予算や来年度予算で社会福祉協議会への補助金額を拡充する考えについて伺います。

 

◎福祉課長(花井佳世) 

 御質問の件につきましては、緊急小口資金及び総合支援資金については、県社会福祉協議会から市社会福祉協議会へ事務費相当分の委託料が支払われていると聞いておりますので、市から補助する考えはございませんので、よろしくお願いいたします。

 

◆9番(川脇裕之) 

 次に、4点目の住居確保給付金と5点目の新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金についての再質問です。

 

 住居確保給付金は、令和2年度中に新規申請して受給を開始した方の再支給の申請期間が令和3年9月末日まで延長となりました。新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金も申請期間が令和3年11月末日まで延長となりました。新型コロナウイルス感染症の終息が見通せず、緊急事態宣言等で経済活動が制限される中、住居確保給付金の申請者並びに新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金の対象者の増加が今後予想されます。

 

 そこで再質問の6点目、市の準備体制について伺います。

 

◎福祉課長(花井佳世) 

 御質問の件につきましては、申請者は増加傾向にありますが、引き続き、現在の体制で迅速に対応してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 

◆9番(川脇裕之) 

 最後に、全体として伺います。知多市社会福祉協議会では、NPO法人と協力して、市内の低所得の方などに一時的な食品の提供、援助を行うフードバンク事業を行っています。それでも、緊急小口資金や総合支援資金は、申し込んでから入金までそれなりの日数がかかりますし、貧困に関する報道や調査を見ると、日々の食事も満足に得られない方が一定数存在していることが分かります。まさに食うに困る方々へ、食糧や食事の支援を迅速かつ手厚く実施することが現在の情勢では求められていると思います。そこで、再質問の7点目、食糧支援等の生活困窮者支援を充実させる考えについて伺います。

 

◎福祉課長(花井佳世) 

 御質問の件につきましては、食糧支援については、自立生活サポートセンターにおいて緊急に食糧支援を必要とする生活困窮者の方に企業、個人から寄せられた食品を無料で提供するフードバンク事業により支援を行っています。そのほか、生活困窮者に対して、相談支援員が困り事を整理し、自立に向けた個別プランを作成する自立相談支援事業、家計改善支援員が家計収支の見直しなど、暮らしの再建に向けた支援をする家計改善支援事業なども行っています。今後も引き続き、社会福祉協議会と連携して、生活困窮者に対する支援を行ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

 

◆9番(川脇裕之) 

 それぞれの答弁ありがとうございました。それでは、答弁いただいた内容を踏まえ、要望を申し上げます。

 

 新型コロナウイルス感染症による影響により、ワクチン接種に対応されている健康推進課や保健センターなどの現場と同様に、福祉の現場は非常に多忙な状況にある中、詳細な数字を報告いただいた社会福祉協議会の皆様と一般質問に対応いただいた福祉部の皆様に感謝を申し上げます。

 

 新型コロナウイルスによる社会経済への深刻な打撃が明らかになり始めた1年少々前、あしなが育英会会長の玉井義臣氏が日経ビジネス2020年6月22日のナンバー2046号の寄稿記事で、次のようにつづられておりました。

 

 引用始め。新型コロナの問題が起こる前から、我々に支援を求める奨学生は増えていました。表に出る経済統計だけでは分からない底辺の崩壊が徐々に進んでいると感じています。引用終わり。

 

 私は、国や調査機関のレポートを長年ウオッチしておりますが、近年の格差拡大と若年の貧困層の深刻さの報告には衝撃を受けることが多く、玉井氏の指摘に真摯に耳を傾けて対策を打たねばならないと強く思い、危機感を共有いたしたく存じます。

 

 そして、私が今回の一般質問で生活困窮者への支援を取り上げた背景には、現場のリソースが足りていないのではないかという問題意識があります。さきに紹介したとおり、国としては、かつてない規模の支援を実施しており、充実した予算や政策が組まれています。にもかかわらず、困窮者に支援が届いていないケースが散見されるのです。私は、日本の社会福祉制度やその他行政手続が申請主義であることを否定するつもりはありません。困っている人を一人残さず救うのが理想ですが、理想を掲げるよりも、公共の福祉の観点から多数の希望をかなえた上で社会全体として最大公約数的な選択を行うのがベストであると考えているからです。

 

 ですから、休業された方や失業された方、生活に困窮されている方から個別に相談をいただいた場合は、厚生労働省や経済産業省の支援内容を紹介し、本人が抱えている困りごとに対して、どのような社会保障や経済支援が使えるのかをレクチャーすることで活用していただく手助けをします。そして、最後は申請者本人が窓口に問い合わせたり、足を運び、保障や支援を使いたいので申請しますと自ら行動してもらいます。そんな中、生活福祉資金貸付制度を申請しようとしたら窓口で断られたという話や、申込みに必要と明記されている書類以外の情報を求められたという話を耳にしました。いわゆる不受理の対応が現場で起きていることを懸念しております。

 

 さきに紹介したとおり、愛知県から愛知県社会福祉協議会に改善の指導があり、令和3年3月には、厚生労働省から生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付の運用に関する問答の事務連絡が出ておりますので、改善を願っておりますが、本年度に入ってからも申込みに必要な書類以外の情報を求めるケースを耳にしております。具体的には、総合支援資金の申込みに必要な7つの書類、1、借入申込書、2、借用書、3、重要事項説明書、4、収入の減少状況に関する申立書、5、住民票、6、通帳またはキャッシュカードの写し、7、本人確認書類、以上以外に生活費の収支明細や同居人が要る場合には世帯が別であっても、その関係を示す戸籍や、同居人の収入の証明を求めるといった事例です。

 

 生活福祉資金貸付制度は、国と社会福祉協議会が実施している事業であり、社会福祉協議会は市とは別の団体ですが、共に福祉を担う現場で何が起きているのかを知り、そこから学んで活かしていただきたいと考えて申し上げます。

 

 職員の皆様は、日々の業務において、各種の行政活動においてそれぞれの根拠法律や根拠条例に従って事務を執行されていることと思います。そのため、重々承知のことかと存じますが、行政手続に関する通則法として、行政手続法があります。これに関して、日本の法学者で元東京大学大学院教授、現最高裁判所判事の宇賀克也氏が、自治実務セミナー641号に掲載された地方公務員と行政法という論文で次のように指摘されています。

 

 引用始め。行政庁は、申請がその事務所に到達したときは、遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならないことである(7条)。申請が到達しても、受理しなければ審査義務が発生せず、受理するか否かは行政庁の裁量に委ねられるという前提の下で、申請を長期間放置したり、受理前の行政指導により申請内容を変更させたりする運用が、国・地方公共団体の双方において広く見られた。行政手続法は、かかる運用が国民の申請権を形骸化させているという認識の下に受理概念を否定し、申請の到達主義を明確にした。したがって、申請が郵送されてきたり、窓口に置いておかれたりして、物理的に行政機関の事務所に到達すれば、その時点で申請の審査義務が発生し、申請がないものとして扱うことは許されない。しかし、実際には、この点の理解が十分に浸透しておらず、到達した申請書を本人の意思に反して返戻し、申請がされていないものとして扱う運用が、なお少なからず見られる。引用終わり。

 

 生活保護申請の不受理、自粛勧告等の行為が違法とされた判例でも同様の指摘がなされておりますが、故意または過失を問わず、申請権を侵害する行為はしてはなりません。動機は、組織や上司の指示、担当者の使命感、正義感などそれぞれでしょうが、申請権を侵害する行為をした場合には、職務上の義務違反として、これによって生じた損害について賠償する責任が問われる可能性があります。

 

 社会に必要不可欠な職業に従事しているエッセンシャルワーカーの方々が社会的地位や収入が不安定な立場にあることは、世界的にも問題となっています。日本の行政の現場では、公的扶助制度の被対象にいつなるかもしれないと不安を抱える非正規雇用の臨時職員の方々が福祉の相談や申請の対応をしているという社会の歪みは、根本的な解決が望まれますが、その臨時職員に指示を出す職員の皆様も、行政手続法を遵守し、コンプライアンスを常に意識して職務に当たっていただくようお願いいたします。

 

 また、緊急小口資金及び総合支援資金については、県社会福祉協議会から市社会福祉協議会へ事務費相当分の委託料が支払われているとのことですが、令和2年度から緊急小口資金の申請が激増しております。さらに、3年度の総合支援資金の相談と申請の件数が、その2年度を上回るペースであることやそれに対応する事務局職員数が限られていることは、現場のリソース逼迫が今ここにある危機として起きていると認識するに十分な情報であると考えます。

 

 現在の雇用調整助成金の特例措置が続く限りは、緊急小口資金や総合支援資金の申込みが今以上に急増するという事態は起こらないと思いますが、特例措置が終了し、雇用のセーフティーネットから外れることになれば、公的扶助制度を頼らざるを得ない方々が増加することも懸念されます。自治体として、困窮者やその不安を抱える方々の相談や問合せ内容を分析して、正確に状況を把握することで、地域福祉を切れ目なく担っていただきたく存じます。

 

 最後に、本市では食糧支援については、自立生活サポートセンターにおいてフードバンク事業により支援を行っておりますが、より充実した食糧等支援を要望いたします。全国の自治体では、民間企業と連携し、弁当券の配布を実施した兵庫県尼崎市の事例や、子ども食堂と教育委員会が協力し、食材提供を実施した千葉県船橋市の事例など、参考になる取組が多数ございます。

 

 今後、国の補正予算が以前の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のように、自治体に裁量のある予算として成立した場合、フードバンクへの支援拡充や、食事や食事券等の支援拡充をお願い申し上げます。本市には、活発に活動されているNPO法人もあり、中間支援組織へのバックアップも有効な政策になると考えます。どの部署が担当するのかという視点ではなく、経済的・社会的弱者をできるだけ多く支援するには、どのような対応が必要なのかという視点で、必要であれば行政の縦割り組織の垣根を超えた横断プロジェクトを立ち上げるなどの検討もしていただきたく存じます。以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。

 

◆参考資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/20/index.html

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/03.pdf

https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.html

https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000768521.pdf

https://www.chunichi.co.jp/article/215277

https://www.mext.go.jp/content/20200514-mxt_kouhou01-000004520_3.pdf

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00113/00080/