★「学校空調」健康で快適に学習できる小中学校の空調環境について(学校へのエアコン導入)★

◆健康で快適に学習できる小中学校の空調環境について(学校へのエアコン導入)◆

学校エアコン

 

●小中学校エアコン導入についての問題意識と課題(小中学校の空調環境)

  • 「小中学校へのエアコン設置は民間市場価格と同等の金額で整備すべき」

  • 「公共事業は最少の経費で最大の効果を挙げるよう努めるべき」

  • 「知多市の小中学校へのエアコン設置計画を検証する」

 

 

●質問の背景

 

真夏日や猛暑日の教室は、学習に適した環境とは言えず、健康に害を及ぼしかねない環境である。その状況に対して、本市が中学校普通教室に加え、小学校普通教室へのエアコン設置を前倒しして来年度に実施する方針を示したことは、評価する。

 

健康で快適に学習できる小中学校の空調環境の整備は重要な課題であり、小中学校へのエアコン導入については賛成の立場である。一方で、全国の公立学校へのエアコン導入においては、コストパフォーマンスが高く賢い支出に取り組んでいる自治体と、市場価格よりも相当割高に調達してコスト意識が低いと言わざるをえない自治体もあり、その整備費用に大きな差が出ている。

 

公共事業だから予算を計上すれば良い、高くても良い、いくらかけても良い、というわけではない。原資が税金である以上、経費を下げるコストリダクションの取り組みが欠かせない。今回の市内小中学校へエアコンを設置する事業については、費用便益における便益の部分の「必要性や効果」は明確であることから、費用の部分の「効率的な執行と透明性の確保」が事業実施に向けた最重要課題であると考える。

 

そこで、小中学校へのエアコン設置について「製品の精査」、「設計、工事、調達の最適化」をすることにより「コスト節減」を図り、民間市場価格と同等の金額で整備することが重要であると考え「健康で快適に学習できる小中学校の空調環境について」質問する。

 

 

Q1.普通教室の室温について

 

1-① 室温の記録:

  • 小中学校では、学校環境の安全管理の一環として、毎日、各教室の室温を測定している。
  • 2018年の測定記録では、最高気温が7月に35度を記録。最低気温は1月に2度を記録。

 

1-② 冬季の暖房環境:

  • 教室の暖房はガスストーブまたは灯油ストーブを使用。暖房器具使用の目安は学校環境衛生基準に基づき、室温が10度以下となった場合を基本としつつ、児童生徒の健康状態を観察しながら、状況に応じて、教師の判断で使用。
  • 2018年4月月に学校環境衛生基準が改正され室温の下限が17度となった。今後はこれを暖房器具使用の基準として運用する。

 

 

Q2.エアコン整備計画について

 

2-① 事業計画:

  • 2018年現在基本設計を行っている。設置工事に向けた実施設計を今年度中に行う。
  • 2019年度(平成31年度)に小学校210室、中学校91室の合計301の普通教室等へのエアコン設置工事を実施する。

 

2-② 全体と1教室あたりの導入経費と運用経費:

  • 概算経費として、小中学校全体の導入経費は、現状で約8億4,100万円を想定。1教室当たりでは平均導入経費は約280万円。
  • 運用経費は、年間約1,810万円、1教室あたりの運用経費は年間約6万1000円と想定している。

 

2-③ 事業の財源と国の補助金を活用する考え:

  • 一般財源の他に市債と国の補助金を考えている。
  • 8月に国からの空調設備に対する交付金の追加調査に際し、本市も中学校に加え小学校の交付金も要望した。国の交付金を得られるよう強く働きかけていく。

 

 

Q3.遮熱・断熱対策等の省エネルギー対策について

  • 学校施設では、屋上防水改修工事、外壁改修工事等の改修時には、遮熱効果の高い材料を使用するなど、施設内部の温度の上昇を抑えられるよう配慮している。
  • エアコン設置後においても、冷暖房の効率が高まるよう、天井扇風機やカーテンを活用する。
  • また、児童・生徒の省エネルギーに対する意識を高めるとともに、効率的な利用を図り、運用経費の削減に努める。

 

 

Re-Q①:実施設計の具体的な内容は?

※エアコンは規格が決まった工業製品であり、詳細設計と施工を一括発注する「詳細設計付工事」の入札を実施することも、コストリダクションと納期短縮に向けた一手であると考える。

  • 実施設計は、基本計画で選定したエアコンの動力方式により、来年度の教室の配置を想定し、工事発注に必要な図面や設計書を作成する。
  • 小中学校のエアコン設置工事に関しては、基本計画で動力方式が選定されていることもあり「詳細設計付工事」の採用は考えておらず、従来の「設計・施工分離」による入札を考えている。

 

 

Re-Q②:エアコン形状など空調機の想定スペックは?

  • エアコン形状は天井吊型エアコンを想定し、スペックは標準的な教室において5馬力を想定。

 

 

Re-Q③:1教室あたりのエアコン導入経費 約280万円 の内訳は?

※高圧受変電設備の改修が必要な場合があるにせよ、著しく高い金額である。例えば有名メーカーの5馬力の天井吊型エアコンは、定価が120万円~130万円程度、市場実売価格は約30万円。工事費が同等額かかり、諸経費や管理費がかかったとしても、民間事業所であれば100万円あれば設置が可能な仕様である。

  • 空調機器代は1教室あたり約93万円。
  • 設置工事費、諸経費は1教室あたり約91万円。
  • 外部ガス配管工事、高圧受変電設備工事等を1教室あたり約96万円と想定。

 

 

Re-Q④:今後のコスト見直しの考えは?

※現行の想定は、空調機器が市場価格の約3倍の水準、工事や諸経費も民間調達価格よりも著しく高い金額である。施工方法・工程調整・調達方法などの見直しによるコスト削減が必要であり可能であると考える。

  • 実施設計において、エアコン設置教室の集約化による配管経路の詳細設計、平日工事の実施による工期短縮、機器調達のスケールメリットを考慮した入札方法等の検討を行い、コストの見直しに努める。

 

 

Re-Q⑤:調達プロセスの予定は?

※入札に向けて、それぞれの学校ごとに契約を分けたり、空調機器購入と設置工事と高圧受変電設備工事の発注を分けるなど、最適な手法の検討が必要だと考える。

  • 実施設計を進める中で、小中学校を一括して発注する場合や、エアコンの動力方式や工事場所の距離等を考慮して工事の分離発注を行う場合等を検討し、最適な方法を採用できるよう努める。

 

 

Re-Q⑥:学校へのエアコン設置と併せて、遮熱・断熱対策を実施する考えは?

※学校は建設から何十年もの年月が経っており、暖まりやすく冷えやすい、熱効率が良くない環境であるとの指摘もある。エアコンの効率的な利用を図ることも重要だが、現場に電気代の抑制などを求めると負担が大きくなる懸念もある。現場の対症療法に限らない省エネルギー対策が重要。

※鹿児島大学の論文では、窓に付属する日射遮蔽物の断熱性能に関する研究において、ブラインドやスクリーンなど各種遮蔽物が建物の断熱性能の改善に効果的であるとの報告がある。

※民間企業の論文でも、窓用遮熱・断熱フィルム貼付により断熱効果が確認されたとの報告がある。

※屋上断熱や窓をペアガラスや樹脂サッシに改修するには多額の経費がかかるが、断熱ブラインドやフィルムであればリーズナブルに導入でき、1教室あたりの平均運用経費の約6万1,000円の節減に対しても費用対効果があると考える。

  • 遮熱・断熱対策が有効であると考えているが、エアコン設置に合わせて改修を行うことは予定していない。今後の大規模改修の施工においては、資機材の調達にあたり、遮熱・断熱対策も検討項目に加え、検討していく。

 

●健康で快適に学習できる小中学校の空調環境整備に向けた要望と提案(学校エアコン導入)

  • 基準温度と児童・生徒の状況に応じて、夏の冷房運用だけでなく、冬の暖房も適切に使用して、健康で快適に学習できる環境を維持していただきたい。
  • エアコン設置経費について、1教室あたりの平均導入経費の約280万円は著しく高い金額であり、コストの見直しを重要課題として捉えて実施していただきたい。
  • 民間企業ではコスト節減はもっとも重要な取り組みの一つであり、知恵と工夫を凝らしている。中部国際空港の建設事例が有名であるが、民間出身の社長が就任してコスト節減を徹底させ、当初予算の総事業費を2割少ない金額に着地させた。公共工事が甘い見積もりをベースに進められているケースは枚挙にいとまがない。
  • 調達について、エアコンのように規格が決まっており市場価格も明確な工業製品は、機器調達と工事を分けることが一般的である。300台を超える空調機器を購入するのですから、ボリュームディスカウントを活かし、市場価格と同等以下の調達を目指していただきたい。
  • 製造メーカーや販売会社など複数の企業へ見積もりを依頼して精査いただきたい。職員の皆さまも、自宅のエアコンを購入する際にはスペックや価格などを検討されるだろう。税金だから浪費しても良いという考えではなく、コスト意識を持っていただきたい。
  • 一括発注や分離発注の方針を決定する前に、しっかりと精査していただき、コストマネジメントとプロジェクトマネジメントの徹底をお願いしたい。
  • 省エネルギー対策について、多額の投資をせずとも少額で対策できることは多くある。効果的な省エネ対策を実施することができればこの経費を節減することができる。教室の環境を踏まえ、エアコンをどうしたら効率よく運用できるのか、リーズナブルな対策手法について調査・研究いただき、費用対効果の高い省エネ対策について取り組んでいただきたい。

 



 

◆知多市の学校エアコン整備は、民間市場価格、及び他の自治体の事例とかい離した高額な予算が問題である◆

 

2018年12月議会で学校教室への空調設備整備工事費が補正予算として議案上程されましたので、本予算の問題点を洗い出すべく質問をいたしました。

 

 

Q①:エアコンの形状とスペックについて

  • エアコンの形状は天井吊型エアコン。スペックは5馬力。

 

Q②:設置台数及び動力ごとの1教室あたりのエアコン導入経費と内訳について

  • 小学校に214台、中学校に99台の合計313台。
  • 電気エアコン導入経費:約250万円(内訳)空調機器代:約71万円、設置工事:約90万円、その他の工事:約89万円。
  • 都市ガスエアコン導入経費:約330万円(内訳)空調機器代:約110万円、設置工事費:約110万円、その他の工事:約109万円。
  • LPガスエアコン導入経費:約290万円(内訳)空調機器代:約107万円、設置工事費:約91万円、その他の工事:約92万円。

 

Q③:電気、都市ガス、と動力方式がそれぞれの学校で異なる理由と積算根拠について

  • 基本設計において、既存の受変電設備の容量、ガス供給管の設置状況、配管経路等を考慮し、設置コスト及び運営コストの合計を比較し、動力方式を決定。
  • 積算根拠は、愛知県の建築工事設計積算参考資料に準じて、標準単価等の採用や見積徴収を行い、積算を行った。

 

Q④:調達プロセスの詳細について

  • 短期間で多くの教室に空調機器を設置することから、調達から施工までの工事を円滑に行うため、管工事による一括発注を想定。
  • 契約単位等の詳細につきましては、実施設計の結果により、最適な方法を検討している。

 

Re-Q①:空調機器購入と設置工事、その他工事を一括して契約して分けない理由について

  • 調達から施工までの工事を円滑に行うため、また、機器購入と工事を分けた場合、交付金の対象事業とならないおそれがあるため、一括して契約することとした。

 

Re-Q②:学校ごとに契約を分ける等の具体的な契約単位について

  • 電気とガスの動力源ごとに、数校単位で契約を想定している。、具体的な契約単位は、実施設計の結果により、工事規模等を考慮し検討していく。

 

学校教室空調設備整備工事事業は小中学校と幼稚園の教室にエアコンを設置する工事であり、事業の必要性や効果は明確であることから、事業実施については賛成するものの、費用便益の費用部分について、予算の精査が不十分で不適切であることから問題点を指摘して反対いたしました。

 

「地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」。にも関わらず、経費の使い方がめちゃくちゃ(まったく精査ができていない浪費のような価格)であることは由々しき事態であり、問題であると考えます。

 

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コメント: 1
  • #1

    市民 (水曜日, 06 3月 2019 03:20)

    どうして議員に受注側の業者がいるのでしょう?
    業者が議員となり、平然と入札に参加している。
    本当に知多市議会は腐っていると思います。
    徹底的なコスト削減を期待しています。