★西知多総合病院への新たなあいあいバス路線の設置を求める請願について(知多市請願)★

 

佐布里、梅が丘、にしの台、つつじが丘、清水が丘の住民の皆様より、「西知多総合病院への新たなあいあいバス路線の設置を求める請願」について御相談があり、請願趣旨と請願事項に賛同するものであったため、紹介議員として署名して賛成討論いたしました。反対議員多数の議決により不採択となりましたが、引き続き地域公共交通の改善に向けて尽力して参ります。

 

【請願説明@総務委員会(12月16日)】

 

請願第2号「西知多総合病院への新たなあいあいバス路線の設置を求める請願書」について、請願趣旨と請願事項、紹介議員となった経緯を申し上げ、説明といたします。

 

・請願者は、知多市にしの台の安井様 ほか365名。

 

・請願趣旨は別添記載通り(※朗読)。

 

・請願事項は別添記載通り(※朗読)。

 

・紹介議員となった経緯は、2021年11月18日に安井様御一行が市役所を訪問され、本請願の請願紹介議員になって欲しいとわたくしに御相談と御説明がありました。請願趣旨と請願事項が賛同する内容であったため、11月19日に紹介議員として署名いたしました。請願趣旨と請願事項を御理解いただき、賛同いただきますようお願い申し上げます。

 

【賛成討論@本会議(12月22日)】

 

請願第2号「西知多総合病院への新たなあいあいバス路線の設置を求める請願書」について、採択すべきとの立場から賛成討論を行います。賛成理由は次の3点です。

 

第一に、本請願が、第6次知多市総合計画の施策に沿う内容であることです。

本市では、第6次知多市総合計画(令和2年度~令和11年度)の基本計画の1つに「暮らしを支える地域公共交通ネットワークづくり」を掲げています。主な施策は「地域公共交通ネットワークの構築」と「地域公共交通の利用促進」であり、市民・地域等ができることとして、移動手段の確保を地域の課題として捉え、地域公共交通のあり方について検討する。としています。(※1)

 

重要業績評価指標の2019年の基準値のうち、「地域交通(バスなど)により市内の移動が便利であると思う市民の割合」は22.0%です。この数値は前回調査の2013年(平成25年)5月時点の26.9%、前々回調査の2010年(平成22年)5月時点の33.4%から悪化しており、本市のバスなどの地域交通の利便性は著しく低いと言わざるを得ません。西知多総合病院への新たなあいあいバス路線の設置を求める本請願は「地域公共交通ネットワークの構築」を求めるものであり、366名の請願者数がいることは、利用促進にも繋がるものであると考えます。

 

第二に、本請願は、地域住民の移動手段を確保するために地方自治体等が運行するバスである「コミュニティバス」の形態で移動手段の確保を求めるものであります。本市が来年度の実証実験を計画している「地域バス導入支援」について、令和3年度第1回地域公共交通会議の「主な質疑、意見等」では、安全性の担保や地域の方々と交通事業者にとって相応しい形、全体としてのバランスが重要という意見(※2)が出ていますが、本請願は、その課題解決に資する内容であると考えます。

 

第三に、本請願は、費用対効果の観点から、予算をつけて実施すべき事業であると考えることです。

令和2年度知多市決算においては、「地域交通事業費」として、「コミュニティ交通負担金」の約6100万円と「路線バス運行補助金」の約2400万円の計8500万円を負担金/補助金として事業者に支出しています。本市の令和2年度の一般会計歳入総額は、382億751万円であり、これに対して、コミュニティ交通負担金と路線バス運行補助金の計8500万円が占める割合は0.22%です。

 

昨年度は新型コロナウィルス関係で歳入歳出が膨らんだため、令和元年度の一般会計で計算すると、歳入総額の約287億円に対する割合は0.3%程度です。この比率は他の自治体に比べて特別大きいものではありません。

 

本市が令和3年2月に知多市緊急財政改善プランを策定し、財政状況が厳しい状況であることは認識しておりますが、問題はこれまでの行財政運営全般にあり、地域交通事業関連の負担金や補助金が財政難に直結しているものではないと認識しています。

 

「国土交通白書2020」(第3章第3節)によると地方圏においては人口減少に伴い、地域鉄道・営業用バスともに輸送人員が減少傾向にあります。この結果、交通事業者の経営は厳しい状況にあり、全国のバス事業者は約7割が赤字、特に地方圏においては約9割が赤字です。(※3)

 

2000年5月の道路運送法の改正等もあり、バス路線の廃止や減便が進んだことで、移動手段を確保することが困難な地域住民が増加し、地方社会経済活動の衰退が進むといった深刻な問題が各地方で発生しました。

 

本市でも、2003年にコミュニティ交通あいあいバスの運行が開始され、2010年2月に、地域の実情にあった運送サービスの実現に必要となる事項を協議するため、道路運送法の規定に基づき「知多市地域公共交通会議」が設置されました。

 

「国際交通安全学会誌」Vol.37,No.1「乗合バスにおける生活路線の維持と協議会の果たす役割」では、小型バスの車両購入費が1台1,400万〜2,000万円、年間運行経費は1台1,200万〜1,300万円と予想されるのに対し、乗車定員が10人以下のジャンボタクシーでは、車両購入費が1台200万〜400万円、年間運行経費が1台500万〜900万円と試算され、費用削減が期待できるとされており(※4)、コミュニティバスも経営努力により収支を改善することが可能であると考えます。

 

地域の交通を充実させることはその地域住民の生活の質(Quality of life)を高めるという研究も複数報告されており(※5)、地域特性や実情に応じた最適な生活交通ネットワークの確保・維持が可能となるよう、生活交通の運行やバス車両の更新等について、従来活用していた「地域公共交通確保維持事業」や「地方バス路線運行維持費補助金」等の活用も目指し、バスなど地域交通による移動の利便性を改善すべきであると考えます。

 

この3点に加えて、私は、これまでに、2015年(平成27年)9月定例会、2016年(平成28年)12月定例会、2017年(平成29年)9月定例会の一般質問で地域公共交通やあいあいバス路線について、問題提起し課題を挙げた上で解決策を提案してきました。

 

具体的には、南北を縦断する縦系ルートとしてマックスバリュ様、イトーヨーカドー様、フィール様をつなぎ、西知多総合病院へのシャトルバスの乗り継ぎを可能とする経路も提示しております。現状、あいあいバスは、知多市新知のイトーヨーカドー様から西知多総合病院まで、一日5便、約50分であり、南北の縦系ルートを設置することは、市内の移動の利便性と、西知多総合病院へのアクセスを改善するものであると考えます。

 

以上、本請願は、請願者366名他、該当地域に住む方の課題解決を願う切実な思いが詰まった要請であり、経路地域全体にとって有益である内容であることから、採択すべきと考えます。皆様の賛同をお願い申し上げ、討論を終わります。

 

【参考資料】

(※1)第6次知多市総合計画

https://www.city.chita.lg.jp/docs/2018020900093/files/sougoukeikaku_2.pdf

 

(※2)令和3年度第1回地域公共交通会議要旨

https://www.city.chita.lg.jp/docs/2014020300086/files/r3-1-youshi.pdf

 

(※3)令和2年版国土交通白書

https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r01/hakusho/r02/pdf/np103300.pdf

 

(※4)「国際交通安全学会誌」Vol.37,No.1

https://www.iatss.or.jp/common/pdf/publication/iatss-review/37-1-07.pdf

 

(※5)日本大学経済学部経済科学研究所 紀要第50号(2020年)

http://www.eco.nihon-u.ac.jp/center/economic/publication/journal/pdf/50/50-07.pdf

 

【質疑応答@総務委員会(12月16日)】

 

Q.久野議員:請願に至った経緯について→参考人回答

 

Q.久野議員:移動する手段としては、あいあいバスにこだわるのか→参考人回答

 

Q.泉議員:財政難の中、あいあいバス、知多バスの補助金を市が拠出している現状をどのように考えているか伺います。

 

令和2年度知多市決算において

地域交通事業費

コミュニティ交通負担金:約6100万円

路線バス運行補助金:約2400万円

計8500万円を負担金/補助金として事業者に支出しています。本市の令和2年度の一般会計歳入総額は、382億751万円であり、コミュニティ交通負担金と路線バス運行補助金の計8500万円に対する割合は0.22%です。昨年度は新型コロナウィルス関係で歳入歳出が膨らんだため、令和元年度の一般会計で計算すると、歳入総額の約287億円に対する割合は0.3%程度です。

この比率が他の自治体に比べて特別大きいとは考えておりません。また、本市が令和3年2月に知多市緊急財政改善プランを策定し、財政状況が厳しい状況であることは認識しておりますが、問題はこれまでの行財政運営全般にあり、地域交通事業関連の負担金や補助金が財政難に直結しているものではないと認識しています。

 

「国土交通白書2020」(第3章第3節)によると、地方圏においては人口減少に伴い、地域鉄道・営業用バスともに輸送人員が減少傾向にある。この結果、交通事業者の経営は厳しい状況にあり、全国のバス事業者は約7割が赤字、特に地方圏においては約9割が赤字です。

 

2000年5月の道路運送法の改正等もあり、バス路線の廃止や減便が進んだことで、移動手段を確保することが困難な地域住民が増加し、地方社会経済活動の衰退が進展するといった深刻な問題が各地方で発生しました。本市でも、2003年にコミュニティ交通あいあいバスの運行が開始され、2010年2月に、地域の実情にあった運送サービスの実現に必要となる事項を協議するため、道路運送法の規定に基づき「知多市地域公共交通会議」を設置されました。

 

地域特性や実情に応じた最適な生活交通ネットワークの確保・維持が可能となるよう、生活交通の運行やバス車両の更新等について、従来活用していた「地域公共交通確保維持事業」や「地方バス路線運行維持費補助金」等の活用も目指し、地域交通(バスなど)による移動の利便性を改善すべきであると考えます。

 

泉議員泉:該当地区には、あいあいバス、路線バスが運行されており、市内では比較的バスが運行されている地域と思われますが、公立西知多総合病院への新設コースを他地区に優先して求める理由についてお伺いします。

 

該当地区以上に地域交通(バスなど)による市内の移動が不便である地域があることは承知しておりますが、現路線の経路や運行ダイヤに対して、請願者の方々が請願趣旨に記載の通り、西知多総合病院へのアクセスが不便であると認識されています。本請願は、第6次知多市総合計画の「地域公共交通ネットワークの構築」と「地域公共交通の利用促進」にも関連する内容であることから、西知多総合病院から南北を縦断する縦系ルートとして、知多市八幡のフィールアストリー様、知多市新知のイトーヨーカドー様、知多市新知のマックスバリュ様を繋ぐ新路線として運航することが、該当地区並びにバス停車地域全体にとって有益であり、経路居住人口が多いことから利用者が見込めると考えます。

 

Q.古俣議員:現在、当該地区を経由する北部循環コースを利用すれば乗り換えることなく西知多総合病院に通院できるが、請願趣旨にある朝倉駅でシャトルバスに乗り換えなければ西知多総合病院に通えないとの表記は、事実と相反するものと考えるがいかがか。

 

あいあいバスの北部循環コースは、例えば、知多市新知のイトーヨーカドー様から西知多総合病院まで、一日5便、約50分かかります。同等程度の移動距離である朝倉駅から西知多総合病院へのシャトルバスの所要時間が約10分であることと比べて、当該地区及び請願者の方々の西知多総合病院への現実的な移動手段となっていないと状況を示したものであると考えます。よって、請願趣旨の表記が事実と相反するとの指摘にはあたらないとの認識です。

 

Q.古俣議員:超高齢社会を迎える中で、交通手段確保の重要性は十分理解できるが、あいあいバスの運行負担金と民間路線バスの運行に対する補助金を合わせ、令和2年度決算ベースで8千万円以上支出している。今後、新たに路線を新設するとさらなる費用負担が見込まれる中、今回、署名された方のうち何人くらいが利用される見込みなのか。

 

署名された方のうち何人が利用する見込みなのかは、コースルートや時刻ダイヤなど具体的なプランがない現状では試算しかねますが、経路居住人口が多いことから利便性の高いバスが運行されれば366名の請願者以外にも多くの利用者が見込めると考えます。