★財務省福田事務次官の「セクハラ」報道から考える日本社会の既得権益の闇とダブルスタンダード★

セクハラ

 

◆福田事務次官のセクハラ発言は問題だが,マスコミや野党の正義面にはウンザリする.詫びるべきは被害者に対してであり,保護すべきは女性社員.女性がセクハラに遭わない仕組みづくりを日本は社会として考えていくべきではないか? 腐った既得権益と日本の歪んだダブルスタンダードについての考察◆

 

 

福田事務次官のセクハラ問題について,財務省とマスコミを筆頭に,登場人物や組織のすべてが酷すぎて,これは日本の社会慣習と既得権益の闇という構造的欠陥なのでは? と考えたので少しだけ綴ることにしたい.

 

 

→テレ朝女性社員、週刊新潮へのリーク理由は「セクハラが黙認される危機感」)等の情報から事実関係を簡単に整理すると,

  • 4月12日発売の「週刊新潮」が女性記者へのセクハラ発言疑惑を報道.新潮側は音声データも公開.
  • 福田事務次官氏は財務省の調査に対して「自分の声かわからない」「女性記者とやりとりはない」などと全面否定.→18日に辞任.
  • 財務省が「福田事務次官との間で週刊誌報道に示されたようなやりとりをした女性記者の方がいらっしゃれば、調査への協力をお願いしたい」などとする文書を報道各社に配布し,調査への協力を求めた.
  • 4月19日午前0時テレビ朝日が記者会見を実施し,週刊新潮へのリークはテレ朝社員が実施したものである旨を発表.

このセクハラ問題報道の推移に,いまの日本社会と既得権益の腐った現状が見えてくる.

 

 

●福田事務次官について.不適切なセクハラ発言は問題だがマスコミ報道のあり方には問題がある.

 

福田事務次官のセクハラ発言の糾弾については,新潮をはじめ様々なマスコミで散々叩かれているので,私はどうこう言うつもりはない.セクハラ発言について擁護するつもりは欠片もなく,これだけ証拠を突きつけられてしまったのであるから,弁解の余地はないだろう.それでも,恥ずかしい科白を全国にさらされて,半強制的に辞任をさせられて,十分に罰を受けたのではないだろうか.

 




 

個人的な感想としては,なんの脈絡もなく「おっ○い触っていい?」とか聞いちゃうところに笑いを堪えられない.発情期の男子中学生のようだw 冗談はさておき,このセクハラの醜聞以前に,記者相手に露骨なセクハラ発言を連発して録音されるような人物(迂闊な人間)が事務次官にまで登りつめることが出来たことに驚いた人も多いのではないだろうか? 

 

とはいえ,本件は職務中の出来事ではなく,プライベートな時間の飲み屋でのやり取りである可能性も大いにあるので,マスコミは状況証拠を積み上げて,推定無罪のスタンスで報道をするべきではないかと考えている.

 

私は「新約聖書」(ルカによる福音書)の「罪の女」の教えである「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が まず この女に石を投げなさい」という教えを常に意識していて,被害者女性には責める権利があるし,保護と補償をされるべきだが,関係のない第三者が溺れた犬は棒で叩けとばかりに正義を振りかざすのはどうも好きになれない.

 

ハラスメントは最低の行為で許しがたいけれども,(優良顧客かもしれないが)仕事の上下関係のない酔っぱらいのおっさんが,女性記者を口説いているかもしれない件で,ここまで徹底的に責められるのは不憫でならない.

 

そして,財務官僚の方に求めるのは清廉潔白性なのか? 聖人君子なのか? 能力があり仕事ができて自分の部下には適切な指導ができているとするならば,プライベートで中二みたいなエロトークをしたところで,誰が損をするというのだろう?

 

というのも,研究不正を告発した研究員を解雇して,セクハラした教授にお咎めなしだった国立大学の例を挙げるまでもなく,日本の様々な組織や現場や仕事で,パワハラをしたり,セクハラを強要する糞みたいな人間はごまんといて,彼らは糾弾されることもなく,もっと悪い奴がいくらでもいるのにダブルスタンダードで許されてしまう.だから彼だけを見せしめに私刑(リンチ)をして社会的制裁を下すのは,いかがなものかと思う.

 

 

※追記:日本屈指のコラムニストである小田嶋隆氏の記事が大変に秀逸であったので転載する(→能力が高すぎた福田事務次官の“悲劇”-日経ビジネスオンライン-).また,本コラムのコメント(レビュー)を見ると,教科書が読めない子どもたちで指摘された通り,どれだけ世間に文章が読めない方が多いのか,マルチタスクどころか,シングルタスクのスペックにさえ事欠く方が少なくないことわかる点も興味深い.

 

 つい昨日、ある知人との対話の中で、この時の福田氏の会話の不思議さが話題になった。

 

 「どうしてこんなに能力の高い人が、これほど支離滅裂なんだろうか」

 

 というのが、その時のとりあえずの論点だったわけなのだが、私は、その場の思いつきで、以下のような仮説を開陳した。

 

 「思うに、福田さんは、事務次官という官僚の頂点に相当する地位に就いていることからも想像がつく通り、本来は猛烈にアタマの良い人で、仕事もできるはずです」

 「だから、こういう人のアタマの働き方を、われわれみたいな凡人と同じ基準で評価してはいけません」

 「おそらく、異様なばかりに高いポテンシャルを備えた福田さんの脳みそは、助平な思考のためのスレッドと業務用の思考のスレッドをふたつ別々に立てて、その両方をまったく相互に支障なく両立させることができるはずで、だからこそ、助平な福田さんと有能な福田さんという二つの別々の人格を同時並行的に機能させつつ、その二人の腹話術的複合人格の福田さんとして振る舞うことが可能だったのだと思います」

 

 「なんだよそれ。どういう意味?」

 

 「だからつまり、われわれみたいな凡人は、助平なことを考えると全然仕事ができなくなっちゃうし、一方、大真面目に仕事に集中すると助平な妄想を持ちこたえられなくなるわけで、要するに、単能なのですよ、われわれは。で、その、同時にひとつのことしかできない能力の低さゆえに、わたしたち普通の男は、仕事中にセクハラをせずに済んでいるわけです。ということは、われわれは特に清潔な人間であるわけではなくて、単に能力が低いということです」

 

 「ははは。ってことは、福田氏みたいな能力の高い人間は、たとえばエロビデオ見ながらでも論文書けちゃったりするわけか?」

 

 「ぜんぜん書けると思いますよ。ついでにスマホでエロ動画見ながら会議資料用のパワポの編集しつつ通りかかった女性官僚に向けて6秒間に4回のセクハラ発言をカマすことだって朝飯前だと思います。だからこそ次官になれたんですよ」

 

 「ははは。オレもそういう人間になりたかった」

 

 もちろん、この話は、基本的にはジョークだ。

 が、あらためて振り返ってみるに、福田氏のセクハラ発言に「能力」という視点から光を当ててみた発想そのものは、そんなに的外れではなかったのではなかろうかと思っている。

 

●一番性質が悪くて腐っているのは「テレビ朝日」.放送局(テレビ局)全体の構造的問題では?

 

今回の福田事務次官のセクハラ報道の件で一番腐っているのはテレビ朝日だと思う.セクハラを受けたと訴えた被害者女性の告発を,日本社会で一番発信力と影響力があるテレビ(放送局)の最大手のキー局の一つが握りつぶそうとしたのだ.ジャーナリズムだの公平な放送だの標榜している放送局が,自社に都合の悪いことはダブルスタンダードで隠そうとした.最悪な対応であると思う.

 

私は綺麗ごとを言うつもりはなくて,女性記者から仕事先でセクハラがあったからといって,全社をあげて財務省告発に臨むべきだなどとは言わない.女性記者がセクハラの被害を申し出たのであれば,福田氏に女性記者を取材させるのはヤバいと判断して,直ちに男性記者に担当変更をするのも選択としてあった.財務省との関係を壊してくないというのは,損得勘定としても,経営判断としても理解できる.放送局なんてただの営利企業であり,彼らに正義やフェアネスなんて期待するのがそもそもの間違いだ.

 

それでも,福田次官からたセクハラを受けていたとの自社社員の訴えに対して,テレビ朝日の経営幹部は隠蔽を選んだわけであり,それに納得できず他社(週刊新潮)にネタを渡した女性記者に対して,倫理違反だの遺憾だのと,どの面下げて表明できるんだ? と思う.財務省から情報を取れなくなるのは自社にとって都合が悪いからセクハラ被害を握り潰した癖に,後だしじゃんけんで「テレビ朝日はセクハラ行為を看過できない.財務省に厳重に抗議するとともに徹底的な調査と結果の早急な公表を求めた」って腐っている以外の言葉が出てこない.

 

そもそも,セクハラされるのがわかっていながら,女性記者は福田次官と1対1で飲みに行き,1年以上の付き合いがあっただの,ツギハギして持ち込んだ音声録音など,この女性記者がどうこうではなくて,テレビ朝日は記者にどんな仕事をさせているんだ? という点も疑問である.まともな取材もできないような企業が放送免許という最強の既得権益で好き勝手に報道しているなんて実に恐ろしい.

 

事実確認(ファクトチェック)なきままの憶測交じりの報道が各所で見られて,本件も被害者が不明のまま,不法行為を認定されることがまかり通ると冤罪だらけになってしまう.セクハラも忌々しき問題であるが,痴漢冤罪のような言ったものがちの社会は許されて良いはずがない.

 

 

●財務省の「被害者名乗り出ろ」は最悪の愚策.

 

テレ朝と同様に酷いのが財務省の対応だ.こともあろうか,被害者に協力をお願いしたいとの要請.これは被害者のプライバシーを侵害する恐れがあり,圧倒的な権力がこんなメッセージを発信すること自体が理解に苦しむ.そもそもの意識に問題があり,リスクマネジメントの欠如ではないか?

 

 

●セクハラ問題は日本社会の既得権益と旧態依然の組織の闇

 

ダブルスタンダード

 

私は今回のセクハラ問題は,事件としては財務省官僚トップの不適切な発言というだけの比較的些細な事件であるが,それと同時に,セクハラが日本社会と既得権益に蔓延る闇だと考えている.#MeToo のような社会正義の話をしたいわけではない.日本(に限ったことではないかもしれないが)は,セクハラは許さないとか,多様性が大切だと表面上はフェアネスを気取りながら,裏では女性という武器を有利に使わせようとする企業や組織で溢れている.

 

女性本人が女性というセクシャリティを自身の武器や魅力の一環として使うのは本人の自由であるし,人間は生まれつき不公平につくられているので,綺麗な女性が就活だけではなく,仕事などの様々なフェーズで得をするというのは事実としてある.それはさておき,企業や社会が女性という武器を使わせて利潤を稼ごうとする魂胆が,社会システム全般に組み込まれてはいないか? ということだ.

 

生命保険会社や証券会社の営業,製薬会社のMRなど,企業や社会の仕組みに,女性を武器として使うよう暗黙のプレッシャーをかけているケースが少なくないと考える.パソコンでワードが使えるかどうかも怪しく,営業もマーケティングも他に何のスキルもないまったく使えないおっさんが,若い女性にプレッシャーをかける.

 

営業の女性社員が優良顧客のおっさんにセクハラをされたとして,見て見ぬふりをしたり,そんなこともあるとか,セクハラを致し方がないものとして,前提条件としてはいないか? セクハラ被害を言い出せるような環境か? セクハラ被害を訴えた女性を適切に保護する体制が整っているか? 今回の財務省トップのセクハラ問題は,日本社会全体に蔓延る闇の部分が露呈されただけなのでは? 日本の根本的に歪んだ社会システムにあり,それをダブルスタンダードして通そうとするから性質が悪い(→伊藤詩織さん事件).

 

 

●野党が正義面して与党や財務省を糾弾しているが,彼らの無能さも相当に酷い.

 

私は正直に言えば,誰がセクハラに遭ったとか,次官の辞任がどうだとか,そんなことより少子高齢化による生産人口減や,まったく返ってくる見込みのない年金,維持できるはずのない社会保障や健康保険,我らロストジェネレーション世代を筆頭とした非正規雇用 等々,重要な問題がいまの日本には溢れていて,そっちを騒げよと思う.

 

そして,待機児童問題一つ改善もできないような政治と,既得権益で壮大な無駄遣いをしている旧態依然のハコモノ行政など,自民党政権にも大いに懐疑的であるが,野党は腐っているだけでなく,狂っているくらい異常であると考えている.

 

G20への出席を止めろと言ったり,毎日のように官僚を呼び出しては取り調べ.恫喝まがいの行為を繰り返している.こんな事が日本の為になるのか? 政権が憎いということだけが彼らの生きがいであり,否定や批判をするだけで通常業務が滞るよう邪魔している野党に存在価値はあるのだろうか?

 


 

福田氏のセクハラ問題はそうとして,政府与党の管理責任を問うのか? こんなネタで政権を揺さぶり1日3億もの国会運営費が浪費される事態にため息がもれる.

 

なんとも脈絡のない投稿になってしまったけれども,いまの政治や既得権益には懐疑的で「自分が真実から目をそむけて子どもたちに本当のことが語れるのか」という宮沢賢治のメッセージと,「世界のどこかでなにか不正が犯されたならばいつでも強く感ずるようになりなさい」というエルネスト・チェ・ゲバラの科白を胸に刻み,まっとうな仕事をしていきたいと考えている.

 

 

●日本の放送局(テレビ)は酷い.電波オークションを実施して既得権益を潰して競争を導入すべき.

 

最後に根本的なマスコミの問題について.

 

私は日本のマスメディアは,ニュースバリューの重みづけや,報道のあり方が根本的に歪んでいると思っているため,テレビ東京の経済番組以外は自宅でテレビを見ることはない.それでも外食をする昼食時や夕食時に,ワイドショーやニュースが視界に入ることが多々あり,ニュースでさえ見るに堪えないくらいの酷い報道をしている.アメリカも報道のあり方について問題になっているけれども,日本の報道と放送は比べ物にならないくらいヤバい.端的に言うと↓このような点が大問題であり,

 

1.公安及び善良な風俗を害しないこと。
2.治的に公平であること。
3.報道は事実をまげないですること。
4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

 

上記の放送法第4条は有名無実化し,違反の罰則もなく,日々公共の電波で偏向報道が流されている.そろそろ国民は怒り声を大にして,日本の報道を良くなる方向へ仕向けるべきではないだろうか?