令和5年(2023年)12月議会(第6回定例会)一般質問
知多市議会議員 川脇裕之
「知多市の小中学校における水泳授業及びプール施設について」
(1) 小学校における水泳授業及びプール施設について
①水泳授業の授業時間について
②各小学校のプール施設の建築年度及び改修状況について
③令和6年度からの水泳授業について
④水泳指導業務及びバスによる送迎業務を一括で健康増進施設の施設運営者に委託する計画の検討経緯について
⑤健康増進施設の温水プールでの水泳指導に移行することに関する児童保護者への周知について
⑥各小学校のプール施設の今後の取扱いについて
(2) 中学校における水泳授業及びプール施設について
①水泳授業の授業時間について
②各中学校のプール施設の建築年度及び改修状況について
③水泳指導業務の外部委託の検討状況について
④各中学校のプール施設の今後の取扱いについて
◆質問
皆様、こんにちは。先の通告に基づきまして「小中学校における水泳授業及びプール施設について」質問いたします。
2023年10月公表の第6次知多市総合計画第5次実施計画(令和6年度~令和8年度)において、次代の担い手を育む教育環境づくりの主な取組として、「学校水泳授業委託化」が示されました。
その内容は、来年度の2024年度から順次、小学校でのプール授業を取りやめて、水泳指導業務を健康増進施設「アクアマリンプラザ」の温水プールで実施するというものですが、複数の小学校の保護者の方から、本年2023年の夏頃に、学校だよりでその事実をはじめて知った。小学校のプール授業はどうなるのか、具体的な内容がわからず心配である。との相談をいただきました。
本市では、以前より、学校プール機能の集約化が方針としては示されていたものの、令和5年9月28日公布の「知多市条例第20号:知多市営プールの設置及び管理に関する条例を廃止する条例」で「新田プール」と「岡田プール」について、2023年度末に廃止することが決定された以外、市内8小学校の水泳授業と学校プール施設については、何ら詳しいアナウンスがなされておりません。
そうした中、市民や当事者である児童とその保護者に、意見聴取等のヒアリングや説明等がされず、具体的な計画も示されないまま、水泳指導業務とバス送迎業務を一括で委託するという重大な決定に至り、学校だよりの一部分でようやくその情報が知らされるという事態に重大な懸念を抱いております。
先ずは本市がこれまでに公開している情報を基に、学校プールについて時系列で整理します。
2017年/平成29年2月策定の「知多市公共施設等総合管理計画」(P45)では、
各校のプールが老朽化し、維持管理費用が増大していることから、プール機能の集約化等を検討します。とあります。
2018年に公表された「東海市・知多市健康増進施設基本構想(案)」に対するパブリックコメント提出意見と、東海市及び知多市の考え方」(※1)では、
「小中学校のプール廃止には反対です。これが事実だとすれば、学校の授業形態は崩れてしまいます。」という市民の意見に対して、「将来、小中学校のプールをどのようにするかについては、東海市・知多市がそれぞれ検討してまいります。」と市は回答。
また、「学校授業での活用は、どのようなイメージか明らかにし、多くの意見を聞いてほしい。」という市民の意見に対して、「いただいた意見につきましては、今後の学校授業での活用のあり方の検討の参考とさせていただきます。」と市は回答。具体的なことは何も示していないことがわかります。
次に、2019年/平成31年2月策定の「知多市公共施設再配置計画」(P31)では、
学校教育系施設の管理については、「個別施設計画として実効性を持った「知多市学校施設の長寿命化計画」の方針に沿って進めることとし、目標耐用年数は、予防保全型管理を前提として全ての公共建築物で80年とします。」とあります。
この中で参照されている同年2019年/平成31年3月策定の「知多市学校施設の長寿命化計画」(P14)では、
各校のプールが老朽化し、維持管理費用が増大していることから、プール機能の集約化等を検討します。とされました。
また、2021年/令和3年2月の宮島市長による「令和3年度施政方針」では
「温水プールを備えた健康増進施設の建設を東海市と進め、学校利用も共同で行っていく予定」とされました。
そして、2023年/令和5年2月改訂の「知多市公共施設等総合管理計画」(P47)では、
「新田プール」「岡田プール」は、健康増進施設の運営開始に併せて、2023年度末に廃止します。とされました。
このように、2023年2月に「知多市公共施設等総合管理計画」の改訂が示されるまでは、岡田小学校と新田小学校の学校プール施設及び学校プール授業についても、具体的な内容や計画が市民だけでなく、当事者の児童やその保護者にも示されませんでした。これが昨年度までの経緯です。
そして本年度、2023年8月3日開催の「令和5年第8回知多市教育委員会定例会」において、突如、次の内容が示されました。(※2)以下会議録から抜粋します。
●「小学校水泳指導委託について」
水泳指導委託では、令和6年4月1日から小学校の水泳授業に健康増進施設のプールを利用するとともに、水泳指導を民間委託することにより、児童の泳力向上と学校プール施設の維持管理に係る教員の負担軽減を図ります。
~(中略)~
スケジュールについて、令和6年度からは、新田小、旭北小、つつじが丘小、岡田小、佐布里小の5校、7年度から旭南小、南粕谷小の2校を追加して7校、8年度から八幡小、新知小、旭東小の3校を追加し、市内全10校の小学校の水泳事業委託を実施いたします。
会議録では、以上のような説明がなされております。つまり、
2024年度からの学校プール授業及び学校プール施設について、
「小学校の水泳授業に健康増進施設のプールを利用すること」
「水泳指導を民間委託すること」
「令和6年度からは、新田小、旭北小、つつじが丘小、岡田小、佐布里小の5校」
「7年度から旭南小、南粕谷小の2校を追加して7校」
「8年度から八幡小、新知小、旭東小の3校を追加し、市内全10校」を対象とする。
という具体的な内容が示されたのは、この2023年8月3日開催の「令和5年第8回知多市教育委員会定例会」が初めてであると認識しております。
その後、2023年9月27日に可決された「議案第37号:令和5年度知多市一般会計補正予算(第4号)」では、水泳指導委託料を債務負担行為として追加することとされました。内容は、「小学校の水泳授業を健康増進施設で実施するため、水泳指導を教員とともに行うインストラクターの配置及びバスの送迎を委託する」 期間は令和5年度から令和8年度まで。限度額は7300万円と定める。というものでした。
2024年度からの学校プール授業及び学校プール施設について、「令和5年第8回知多市教育委員会定例会」で示された内容は、これまでに本会議や委員会で示されたこともなく、市民や児童保護者にも知らされていないと認識しております。
近年、全国的にも学校プールの維持・管理が問題となっていることから、廃止・集約化等も含めた議論が進められておりますが、県内の他自治体の例としては、蒲郡市が計54ページの「蒲郡市学校プールのあり方」という報告書を取りまとめ、子細な調査検討の内容を公表するなど、施設のあり方や施策方針が示されることが一般です。しかし、本市では市民及び当事者をないがしろにした稚拙かつ乱暴な施策の進め方をしていると言わざるを得ません。
そこで「小中学校における水泳授業及びプール施設について」伺います。
(1) 点目、小学校における水泳授業及びプール施設について の
①つ目、水泳授業の授業時間について
コロナウィルスによる授業等への影響がなかった2019年度の実績についてお願いします。
②つ目、各小学校のプール施設の建築年度及び改修状況について
③つ目、令和6年度からの水泳授業について
④つ目、水泳指導業務及びバスによる送迎業務を一括で健康増進施設の施設運営者に委託する計画の検討経緯について
⑤つ目、健康増進施設の温水プールでの水泳指導に移行することに関する児童保護者への周知について
⑥つ目、各小学校のプール施設の今後の取扱いについて
伺います。
次に(2) 点目、中学校における水泳授業及びプール施設について
先に挙げた「令和5年第8回知多市教育委員会定例会」会議録では、「中学生についても、外部委託に向けて検討を進めています」と記載されております。そこで、中学校における水泳授業及びプール施設について確認いたしたく、
①つ目、水泳授業の授業時間について
コロナウィルスによる授業等への影響がなかった2019年度の実績についてお願いします。
②つ目、各中学校のプール施設の建築年度及び改修状況について
③つ目、水泳指導業務の外部委託の検討状況について
④つ目、各中学校のプール施設の今後の取扱いについて
伺います。
以上、壇上からの質問といたします。答弁、よろしくお願いいたします。
◆答弁
◎市長
御質問の1番目、小中学校における水泳授業及びプール施設についてでございますが、小中学校における水泳授業については、プール施設が老朽化しており、維持管理費及び維持管理に関わる教職員の負担が増加しております。
そのため、維持管理に係る負担軽減と子どもたちがよりよい環境で水泳授業を受けられるように、令和6年度より小学校の水泳授業を順次健康増進施設アクアマリンプラザで行ってまいります。
御質問の1点目及び2点目につきましては、教育部長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。
◎教育部長
(1)小学校における水泳授業及びプール施設について
①水泳授業の授業時間について(コロナ禍前の2019年度)
学習指導要領及び知多地方教育計画案により各学年10時間です。
各学校の合計時間数は、
八幡小学校は230時間、
新知小学校は190時間、
佐布里小学校は160時間、
新田小学校は210時間、
岡田小学校は190時間、
旭北小学校は200時間、
旭南小学校は130時間、
つつじが丘小学校は130時間、
南粕谷小学校は70時間、
旭東小学校は70時間です。
②各小学校のプール施設の建築年度及び改修状況について
旭北小学校は昭和54年建築、平成11年に改修、
南粕谷小学校は昭和54年建築、平成12年に改修、
つつじが丘小学校は昭和54年建築、平成23年に改修、
佐布里小学校は昭和56年建築、平成24年に改修、
旭南小学校は昭和56年建築、平成10年に改修、
新知小学校は昭和57年建築、平成14年に改修、
旭東小学校は昭和58年建築、平成20年に改修を実施しています。
③令和6年度からの水泳授業について
6年度から、佐布里小学校、新田小学校、岡田小学校、旭北小学校及びつつじが丘小学校の5校、
7年度から、旭南小学校及び南粕谷小学校の2校が加わり、
8年度からは、市内10校の予定です。
④水泳指導業務及びバスによる送迎業務を一括で健康増進施設の施設運営者に委託する計画の検討経緯について
学校プールの老朽化による改修費用及び維持管理に係る経費の削減を図るため、学校プールの集約化を検討してまいりました。その後、温水プールを含む健康増進施設を東海市とともに建設し、学校利用を東海市と共同で進めることになりました。
また、体育科の授業をするにあたり、インストラクターを配置し、専門的な指導を受けることで、児童の泳力向上を図ることとしました。
事業者へヒアリングをしたところ、「授業スケジュールとバス運行スケジュールの管理等を円滑に行える」、「水泳指導業務とバス送迎業務を一括にした方が費用面でも合理的である」との意見が出されました。
このような結果をもとに検討を重ね、水泳指導業務とバス送迎業務を一括ですることが妥当であると判断し、委託しました。
⑤健康増進施設「アクアマリンプラザ」の温水プールでの水泳指導に移行することに関する児童保護者への周知にについて
保護者に向けては、健康増進施設で水泳授業を実施すること及び施設まではバスで移動し、授業はインストラクターと監視員を配置して行うことを、6年から実施する5校のうち、新田小学校は11月号、岡田小学校は10月31日発行の学校だよりにて通知しており、残り3校についても順次、周知することにしています。
⑥各小学校のプール施設の今後の取扱いについて
健康増進施設(アクアマリンプラザ)での水泳授業を開始した後は、老朽化が進んでいることから、学校プールを廃止していく予定です。
(2)中学校における水泳授業及びプール施設について
①水泳授業の授業時間について(コロナ禍前の2019年度)
学習指導要領及び知多地方教育計画案により各学年10時間です。
各学校の合計時間数は、
八幡中学校は200時間、
知多中学校は170時間、
旭南中学校、東部中学校及び中部中学校は、それぞれ130時間です。
②各中学校のプール施設の建築年度及び改修状況について
知多中学校は昭和53年建築、平成10年に改修、
旭南中学校は昭和55年建築、平成11年に改修、
東部中学校は昭和59年建築、平成8年に改修、
中部中学校は昭和61年建築、平成9年に改修を実施しています。
八幡中学校は平成17年建築、これまでに大規模な改修は実施していません。
③水泳指導業務の外部委託の検討状況について
各中学校のプールが老朽化し、維持管理費用が増大していることから、プールのあり方について検討しています。
④各中学校のプール施設の今後の取扱いについて
既にプール配管からの漏水があり、プール本体の塗装等の改修を実施すべき年数を経過しているため、中学校のプール施設のあり方を検討していく中で決めていきます。
◆再質問
答弁ありがとうございます。それでは、(1) 点目の「小学校における水泳授業及びプール施設について」再質問いたします。
●再質問①件目:学校プールの老朽化による改修費用及び維持管理に係る経費の削減を図るため集約化をするとのことですが、各小学校プールの年間維持費用及び改修又は改築する場合の費用について伺います。
◎教育部長
維持費用は、小学校1校あたり年間約150万円、八幡小学校、新田小学校及び岡田小学校を除く7校で1,050万円です。
改修費用は、プール本体の防水改修に約1,500万円、プールサイドの改修には約1,300万円、ろ過機やポンプ等の機器更新に約1,500万円かかる見込みです。
建設後40年を経過し老朽化しているため、給排水設備等の更新や、プールの付属施設である更衣室やトイレの改修も必要であり、全面的なプール改築には、1校あたり約2億円かかる見込みです。
●再質問②件目:水泳指導業務とバス送迎業務を一括で委託するとのことですが、各小学校から健康増進施設(アクアマリンプラザ)温水プールまでの移動方法及び移動時間について伺います。
◎教育部長
各小学校から健康増進施設(アクアマリンプラザ)へはバスで移動します。移動時間については、
片道、
八幡小学校、新知小学校及びつつじ小学校は10分、
佐布里小学校、岡田小学校、旭北小学校、旭南小学校及び旭東小学校は20分、
新田小学校及び南粕谷小学校は30分、
を想定しています。
●再質問③件目:地方自治法第222条は、歳出予算は、債務負担と債務履行の両権限を付与されるのであるが、債務負担行為は、債務負担の権限のみを付与されるにすぎない。債務負担行為として予算で定めた案件については、あらためて、義務費として歳出予算に計上することになる。と新自治用語辞典では説明されております。(※4)
水泳指導業務とバス送迎業務を一括で委託したとのことですが、壇上からの質問で述べた通り、水泳指導委託料については、債務負担行為として2023年9月27日に議決されました。しかし、本年度に支出が発生しないため歳出予算には計上されておらず、契約内容について、本会議や委員会等で一切の審議・審査がなされておりません。そこで、契約先、契約方法、委託内容及び。委託費用の詳細について伺います。
◎教育部長
契約先は、株式会社西知多健康増進パートナーズの構成企業である「株式会社アクアティック」で、契約方法は、随意契約です。
委託内容は、移動を含めた2時限続きの授業を各学級5回実施します。授業実施時には、インストラクターを各学級1人配置し、教職員とともに水泳指導にあたります。また、授業実施時には、1人以上の監視員を配置することとしています。
委託費用は、令和6年から令和8年までの3年間で6,805万400円です。
委託費用の詳細について、授業実施回数は、6年度は小学校5校でのべ430回、
7年度は小学校7校でのべ530回、8年度は小学校10校でのべ780回を想定しています。
バスの各小学校から健康増進施設までの往復回数は、佐布里小学校は130回、新田小学校は170回、岡田小学校は125回、旭北小学校は95回、つつじが丘小学校は90回、旭南小学校は95回、南粕谷小学校は50回、八幡小学校は180回、新知小学校は140回、旭東小学校は50回を想定しています。
●再質問④件目:ここまで御答弁いただいた内容がこれまで一切公開されていない中、水泳指導委託を来年度から実施するとのことですが、各小学校プールにおける水泳授業を取りやめ、水泳指導業務を健康増進施設(アクアマリンプラザ)温水プールで実施することについて、どのような調査検討を実施したのか、その調査の内容及び結果の詳細について伺います。
◎教育部長
平成28年度に「健康増進施設のあり方検討会」において1年をかけて検討しました。この時は、「現状維持」、「1か所に集約」、「中学校プールに集約」の3案で検討を進め、小学校は健康増進施設等の1か所に集約することが望ましいと結論付けています。
●再質問⑤件目:平成28年度に「小学校プールは健康増進施設等の1か所に集約することが望ましいと結論付けた」とのことですが、その経緯や検証の内容が示されていないと認識しております。そこで、こうした結論に至った検討内容を示す報告書等の資料はあるのか、またその情報は公開されているのかについて伺います。
◎教育部長
報告書等のとりまとめた資料はないため、公表していません。
●再質問⑥件目:それでは、小学校プールは健康増進施設等の1か所に集約することが望ましいとの結論に至る根拠資料もない中で、本市が各小学校プールにおける水泳授業を取りやめ、水泳指導業務を健康増進施設(アクアマリンプラザ)温水プールで実施することについての具体的な検討内容について伺います。
◎教育部長
現状1校1プールを維持していく「現状維持」、温水プール等を利用した1か所で通年利用する「1か所に集約」、各中学校1か所に設置し、それを小学校も利用する「中学校プールに集約」の3案について、維持管理費、温水プール建設費及び温水プール維持管理費等と水泳授業の実施体制について比較検討しました。その結果、小学校においては、現状の1校1プールを維持していくことは現実的ではなく、移動方法を考慮しなければならないが、全天候型の温水プールに集約した方が良いと結論付けました。
●再質問⑦件目:往復の移動時間が40分程度かかる小学校が5校、60分程度かかる小学校が2校あることから、移動方法についての懸念があります。こうした懸念がある中で、各小学校プールにおける水泳授業を取りやめ、水泳指導業務を健康増進施設(アクアマリンプラザ)温水プールで実施することに関して、児童・保護者・学校教諭に意見聴取等ヒアリングを実施したのかについて伺います。
◎教育部長
児童・保護者については、ヒアリングを実施していませんが、教職員にヒアリングを実施しました。
●再質問⑧件目:教職員に実施したヒアリングの内容と結果について伺います。
◎教育部長
水泳指導を実施する上で考慮してほしいことや問題点、課題について、ヒアリングを実施しました。ヒアリング結果については、移動に時間がかかること、授業時間割の編成が困難であるという問題点があげられましたが、維持管理に係る負担軽減や泳力の向上を図れるため、概ね賛成を得られました。
●再質問⑨件目:次に、各小学校プールにおける水泳授業を取りやめ、令和6年度に5つの小学校、令和8年度までに全10小学校の水泳指導業務を、送迎業務と併せて外部委託するという具体的な計画の情報公開履歴についてうかがいます 。
◎教育部長
情報公開していません。
●再質問⑩件目:新田小学校と岡田小学校の児童保護者には学校だよりで案内しているとのことですが、水泳授業をバス送迎と併せて外部委託で実施することについて、具体的な実行計画を来年度から開始予定となっている他の3小学校の児童・保護者へ周知・説明する考えについて伺います。
◎教育部長
佐布里、旭北、つつじが丘小学校については、今年度中に学校だよりで周知します。
詳細内容については、現在、各小学校の授業スケジュールを調整しているため、スケジュールが決定しだい保護者へ周知します。
●再質問⑪件目:小学校プールを廃止していく予定とのことですが、令和6年度以降の学校プールの維持管理及び施設廃止の具体的計画について伺います。
◎教育部長
令和6年度以降は、学校プールで水泳授業を行う小学校のみ、プール使用に必要な維持管理を行います。
施設廃止については、解体工事だけでも多額の費用がかかるため、具体的な計画はありません。
●再質問⑫件目:温水プールでの水泳指導業務の課題や改善点を確認するために、令和6年度のプール授業実施後、児童保護者にヒアリング等の調査をして検証する考えについて伺います。
◎教育部長
今後検討する予定です。
続いて、 (2) 点目の「中学校における水泳授業及びプール施設について」再質問いたします。
●再質問①件目:部活動等の水泳授業以外での利用状況について伺います。
◎教育部長
水泳授業以外では、部活動で学校プールを利用しており、今年度は、知多中学校では、5月から9月までの平日5日及び土日のどちらかに3時間、夏休み期間については週5日、中部中学校では、5月から9月までの平日3日及び土日のどちらかに3時間、夏休み期間については平日4回、利用しました。
●再質問②件目:各中学校プールの年間維持費用、及び改修又は改築する場合の費用について伺います。
◎教育部長
維持費用は中学校1校あたり年間約210万円、5校で1,050万円です。改修又は改築する費用については試算していません。
●再質問③件目:中学生の水泳授業を外部委託する場合の費用の試算について伺います。
◎教育部長
試算していません。
●再質問④件目:「令和5年第8回知多市教育委員会定例会」会議録で「中学生についても外部委託に向けて検討を進めています」とありますが、改修費や改築費、委託費を試算することなく、何を検討しているのか伺います。
◎教育部長
中学校のプールは、現在、部活動での利用があり、学校部活動の地域連携・地域移行と併せて検討を進めるため、情報を収集しているところです。
●再質問⑤件目:中学校における水泳授業及びプール施設について、中学校プール施設の改築も候補の一つとして、ヒアリング等も含めた調査検討を実施する考えについて伺います。
◎教育部長
今後検討します。
◆要望
答弁ありがとうございました。それでは、答弁いただいた内容を踏まえ、提案と要望を申し上げます。
先ず、答弁から判明したことの要点を整理します。
・2016年度の「健康増進施設のあり方検討会」にて、小学校プールは健康増進施設等の1か所に集約することが望ましいと結論付けた。しかし、その経緯を取りまとめた報告書等の資料はない。資料がないので公表もしていない。こと。
・コロナウィルスによる影響がなかった2019年度に、市内10小学校で計1580時間の水泳授業が行われていた。学習指導要領で必修となっている水泳について、各小学校プールにおける水泳授業を取りやめ、水泳指導業務を健康増進施設(アクアマリンプラザ)温水プールで実施することに関して、児童・保護者にはヒアリング等の意見聴取を実施していない。こと。
・来年度の2024年度から水泳指導業務を送迎業務と併せて外部委託する。という具体的な計画の情報公開履歴はない。来年度から実施する5つの小学校についても、新田小学校と岡田小学校の児童保護者へは2023年の9月以降に学校だよりで通知したのみ。2023年10月末時点で旭北小学校、つつじが丘小学校、佐布里小学校の児童保護者への説明や案内はされておらず、今年度中に案内を実施すること。
以上のことが確認できました。
これは、文部科学省が地方の教育行政において重視する「保護者や地域住民の意見も聴く」という観点や、行政の説明責任の観点から見て、義務教育の第一義的責任を有している市が、これらをないがしろにしていることを示しています。
学習指導要領で必修とされている水泳を、水泳指導業務を送迎業務と併せて外部委託することについて、本市の4000人を超える児童とその保護者に対して、意見聴取や事前説明もないというのはあってはならないことです。懸念と抗議の意を表明し、本市の行政運営と事業の進め方について改善を求めます。
その上で、以下の4件を提案要望いたします。
①件目、各小学校プールにおける水泳授業を取りやめ、水泳指導業務を健康増進施設(アクアマリンプラザ)温水プールで実施することに関して、スケジュール、移動時間など、水泳指導委託の詳細を児童・保護者に説明すること。を求めます。
例えば、近隣自治体の常滑市では、小学校プールを全廃とする方針について、(※5)
2017年度の検討開始以降、同年に校長会にて教育委員会より各学校に説明、意見聴取。
2018年度に、議会説明、各学校に方針説明、市営プール見学を実施。
2019年度より2小学校の市営温水プール利用、2小学校の他学校プール利用を開始。
以上のような経過をたどっております。意見聴取や説明など、小学校プールの廃止について3年かけて施策を開始しており、本市でも実施に向けて丁寧な説明が必要であると考えます。次に
②件目、温水プールでの水泳指導業務の課題や改善点を確認するために、令和6年度のプール授業をひととおり実施した後、児童保護者にヒアリング等の調査をして検証すること。を求めます。
これに関しては、1点目の再質問⑫に対し、今後検討する予定との答弁がありましたが、先に挙げた「蒲郡市プールのあり方」では、学校外施設での水泳授業について
「移動にかかる時間の要件については10分程度とする」
「移動にかかる時間が長くなるほど、水泳授業に充てる時間が減少し、授業の効果が下がる」
としており、
「移動時間が目安の10分以上要する学校が多くあることから、学校外プール施設のみで、水泳授業をカバーすることは難しい」
との検証結果を示しております。
本市では児童保護者へのヒアリング等の意見聴取も実施しないまま、小学校プールは健康増進施設等の1か所に集約することが望ましいと結論付けており、その検討検証内容を示す資料もありません。
健康増進施設(アクアマリンプラザ)温水プールまで往復で40分から60分の移動時間がかかる小学校については、着替えや準備等を考慮すると、学校プールで実施できていた10時限の水泳授業が5時限程度に半減してしまう恐れがあります。往復40分~60分の移動時間と、それにより水泳の授業時間が実質的に短縮されてしまうことについて、児童保護者の理解と納得が得られているのかの確認と検証を実施願います。次に
③件目、中学校プール施設の改築も選択肢として、「小中学校における水泳授業及びプール施設」のあり方について、再度、検討検証して方針を示すこと。を求めます。
これに関しては、2点目の再質問⑤に対し、今後検討する予定との答弁がありましたが、中学校プールについては、建築から40年以上、改修から25年以上経過するプール施設があります。安心・安全に水泳授業を実施するためには、施設の老朽化などのハード面における対応が求められます。それにも関わらず、本市では中学校プールについて改修又は改築する費用の試算も行われていない状態です。
常滑市では、
・小学校プールは全廃し、既設の市営温水プールまたは中学校プールに集約。
・中学校プールは計画的に改修し維持存続。
という方針を示し、中学校プールの改築を複数年かけて実施しております。
蒲郡市では
・3エリア(3拠点)のプール拠点、水泳事業実施プラン
の方針を示しております。
また、他県の事例になりますが、神奈川県の厚木市立小・中学校の水泳授業及びプールの在り方に関する基本方針では、(※6)
中学校の市民プール等の活用のデメリット・課題として、
「移動に掛かる時間が多くなる(授業時間における移動時間の割合が高くなる。」
「移動に掛かるバス代等の経費が高額となる。」
「他教科との時間割の調整等の難易度が高い。」
「学校プールを部活動で利用している学校がある。」
等の理由から、中学校については、これまでどおり、1校1プールを維持する。としております。
中学校の学校外プール利用については、事例に挙げた自治体だけではなく、同様のデメリットや課題を指摘する報告書がほかの自治体からも示されています。そのため、本市においても中学校プールの改築の検討を実施願います。
併せて温水プールまで往復40分から60分の移動時間がかかる小学校や、中学校が近接している小学校の水泳授業について、学区内中学校での水泳授業の実施を想定した場合の効果や課題などを整理し、児童生徒保護者の意見や要望も考慮して「小中学校における水泳授業及びプール施設」のあり方の検討検証を願います。
そして、小学校プールの維持費用は、1校あたり年間約150万円程度とのことですので、検証結果が出るまでの間、温水プールへの移動時間が長い小学校については、設備に不具合が起きていない限り、2024年度以降もプール使用に必要な維持管理を実施願います。最後に、
④件目、本市の小学校水泳授業を健康増進施設(アクアマリンプラザ)温水プールで実施すること、及び小学校プールを廃止することについて、スケジュール等の具体的な情報を市HPや広報ちたで周知・案内すること。を求めます。
小学校プールの廃止は公共施設管理における重要な事項であると考えますし、各小学校プールにおける水泳授業を取りやめ、小学校の水泳指導業務を送迎業務と併せて外部委託することは、小学校就学前の子どもを持つ保護者や市民にとって重要な情報であると考えます。
また、小学生水泳指導の実施スケジュールは、健康増進施設(アクアマリンプラザ)温水プールを利用する一般の方が事前に認識しておくことが望ましい情報であると考えますので、来年度の水泳指導業務がはじまる前にわかりやすく周知していただきたく存じます。
以上、提案要望を申し上げましたが、新しい温水プールを複数学校で共同利用することにより、各学校のプール施設の整備・維持が不要となることから、コスト削減効果が見込まれることや、教員の負担が軽減されること。天候に左右されないこと。などのメリットは認識しております。
一方で委託費の設定によっては、学校プール施設減によるコスト削減効果が相殺される可能性もありますし、移動時間は児童にとって完全なタイムロスであり負担も少なくありません。そして何よりも児童や保護者の理解や協力を得る努力をすることが不可欠であると考えます。提案要望した4件を実施していただくことを切にお願い申し上げて、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
【参考資料】
●(※1)「東海市・知多市健康増進施設基本構想(案)に対するパブリックコメント提出意見と東海市及び知多市の考え方」
http://www.nishichita-aichi.or.jp/kenkou/schedule/koremade/kousou4.pdf
●(※2)2023年8月3日開催「令和5年第8回知多市教育委員会定例会」
https://www.city.chita.lg.jp/docs/2014020702057/file_contents/050804-kaigiroku.pdf
●(※3)「蒲郡市学校プールのあり方」
https://www.city.gamagori.lg.jp/uploaded/life/301491_486529_misc.pdf
●(※4)新自治用語辞典
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/407920.pdf
●(※5)学校施設の 集約化 ・ 共同利用 に 関する 取組 事例集
https://www.mext.go.jp/content/20221212-mxt_sisetuki-000026367_1.pdf
●(※6)厚木市立小・中学校の水泳授業及びプールの在り方に関する基本方針
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/material/files/group/64/poolkihonhoushin.pdf
●国民に対する行政の説明責任(アカウンタビリティ)の徹底
www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/
●地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律について
www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2015/02/05/1349283_07_2.pdf
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