◆知多市の朝倉駅周辺整備事業の問題点と考察(朝倉駅再開発は現行計画を見直して機能と費用対効果を再考すべき)◆
◆「朝倉駅前ロータリー整備」は7.5億円を投じて「混雑・利便性・安全性」のいずれも改善しない不適切事業-事業見直し提案◆
令和元年(2019年)12月議会(第5回定例会)一般質問
知多市議会議員 川脇裕之
1.「朝倉駅前ロータリー整備について」
(1) 事業内容について
① 目的及び効果について
② 施設規模及び詳細について
③ 基本設計及び詳細設計について
(2) 事業スケジュールについて
① スケジュールの詳細について
② 新庁舎整備の設計前にロータリー整備を先行して実施する理由について
(3) 事業費について
① 内訳及び積算根拠について
② 財源の内訳について
◆登壇質問
皆さん、こんにちは。先の通告に基づきまして、朝倉駅前ロータリー整備について及び学校施設環境の充実についての2件の質問をいたします。
地方自治体の役割は、住民の皆様の意見、要望を伺い、地域の課題に対して具体的な解決策を提示していくこと、そしてより充実したサービスを提供していくことであると考えます。そして、地方自治法第2条に定められているとおり、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければなりません。一般質問を通じて、本市の現状と課題について認識を共有させていただき、各種行政サービスの改善に向けた取り組みの一助としていただきたく存じます。
それでは、1番目、朝倉駅前ロータリー整備について質問します。本件は、朝倉駅周辺整備事業の一部ですので、まず経緯について整理します。
2016年、朝倉駅周辺整備計画調査検討会議が設置され、計5回の検討会議を実施。2017年8月、朝倉駅周辺整備計画調査検討報告書を公開。2018年3月、朝倉駅周辺整備基本構想を公開。そして2019年11月、朝倉駅前ロータリーが新しく生まれ変わりますと記者会見報道発表。2019年12月、朝倉駅前ロータリーの改良工事に令和2年度から着手しますとあさくらニュース19号にて情報発信。この間、議会では、2018年、平成30年3月の全員協議会で、朝倉駅周辺整備基本構想について報告。2019年、平成31年3月の全員協議会で、朝倉駅周辺整備事業の実施方針の考え方について報告。ここまでが事実関係の整理です。
朝倉駅周辺整備基本構想は、計2回の協議会報告があったのみで、基本構想の内容については、一切審議がされておりません。全員協議会は議案の審議・審査は行わず、市長などの執行機関から説明を受けたり、意見を述べたりする場でしかありません。情報公開されることはなく、広報ちたに議題さえ掲載されません。
私は、2017年の朝倉駅周辺整備計画調査検討報告書の検証がないままに、朝倉駅周辺整備基本構想が策定されたことに懸念を抱き、そして基本構想のあまりの品質の悪さに危機感を覚えたことから、これまでも一般質問で事業について問題提起を行い、平成30年度知多市一般会計予算、平成31年度知多市一般会計予算及び関連委託業務に反対してきました。同様に、朝倉駅周辺整備について、議会で審議すべきとの問題意識を持たれた市民の方の要望を受け、2018年、平成30年第1回定例会にて、朝倉駅周辺整備計画特別委員会の設置を求める請願を紹介議員として提出いたしましたが、ここにおられる議員を含む多くの反対により、請願は否決されました。市議会が市政の重要な事柄を審議せず、一体何の役割を果たすというのでしょう。
そして、朝倉駅前ロータリー整備について、7.5億円の予算をかけて来年度に工事着手すると突然の情報発信がなされたのが、2019年12月現在の状態です。駅前広場の整備方針は、基本構想の6章3項、48ページと49ページのたった2ページが記載されたのみです。議会で審議もせず、規模や内容について精査されたとはとても思えない、7億5,000万円にも上る巨大事業が、整備内容、スケジュール、事業費等の詳細情報の公開のないままに、1枚ぺらの報道発表と、ニュースで進められようとしております。
このように、朝倉駅前ロータリー整備については、基本構想以降の情報が市民に公開されておらず、我々議員にも情報提供されておりませんので、事業の詳細を伺いたく、質問いたします。
1点目、事業内容について
①つ目、目的及び効果について
②つ目、施設規模及び詳細について
③つ目、基本設計及び詳細設計について
2点目、事業スケジュールについて
①つ目、スケジュールの詳細について
②つ目、新庁舎整備の設計前にロータリー整備を先行して実施する理由について
3点目、事業費について
①つ目、内訳及び積算根拠について
②つ目、財源の内訳について
以上をお伺いし、壇上からの質問といたします。答弁、よろしくお願いいたします。
◆答弁
◎市長(宮島壽男)
9番 川脇裕之議員の御質問にお答えします。
御質問の1番目、朝倉駅前ロータリー整備についてでございますが、基本構想では、駅前ロータリーについて、現状における課題を踏まえ、有識者や市民ワークショップ等で提案されたアイデアをもとに、整備方針を掲げています。この整備方針をもとに県公安委員会を初めとした関係機関と協議の上、設計を進めており、来年度は工事着手をしてまいりたいと考えております。
御質問の1点目から3点目につきましては、都市整備部長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の1番目、朝倉駅前ロータリー整備についての1点目、事業内容についての1つ目、目的及び効果についてでございますが、まず広報への掲載がないとの御指摘ですが、事業全体につきましては、広報ちたの平成30年4月1日号で基本構想の策定、31年4月1日号で朝倉駅周辺整備事業の実施方針の考え方、7月号で新庁舎・新子育て支援施設・新図書館の基本計画の策定を掲載し、同時に、あさくらニュースを発行することで、市民への広報に努めています。
また、基本構想を踏まえ、平成30年度には、建設経済委員会の所管事務調査において、計5回にわたり、公民連携手法などについて、委員の皆様に調査研究を行っていただきました。そこでいただいた御意見を実施方針に反映することとしています。
駅前ロータリーにつきましては、平成31年3月議会の施政方針で、市長から令和2年度からの工事着工に向けて作業を進めていることを公表し、その後も折に触れ、市民にお伝えしています。
駅前ロータリーの整備は、基本構想の中で現況の課題として、一般車及び公共交通の安全な動線確保、交通需要に対応した施設量の見直し、歩行車滞留空間の導入を挙げています。これらの課題を克服し、駅周辺がにぎわいの交流拠点となるよう整備を実施してまいります。
整備方針では、ロータリーと分離して通過交通を円滑にする道路を整備することとしています。また、現況の交通需要に対応した施設量として、公共交通と一般車を分離したロータリーを駅舎前面に配置します。さらに、くつろぎ空間の確保、バリアフリー化の推進を行うこととしています。これにより、交通結節点としての機能向上、駅利用者の利便性確保が効果として得られるものと考えています。
次に、2つ目、施設規模及び詳細についてでございますが、施設規模につきましては、バス等の運行状況を解析し、乗降場等の施設量を見直した上で、交通事業者、県公安委員会等の関係機関と協議を進め、現況の面積約9,500平方メートルから約8,100平方メートルに縮小する予定です。
公共交通ロータリーにつきましては、路線バス、コミュニティバス、公立西知多総合病院のシャトルバス及び臨海部企業の送迎バスの乗降場並びにタクシーの乗降場を確保しています。一般車ロータリーにつきましては、公共交通ロータリーとは別に、出入り口を設けた上で、駅舎出入り口に近い場所に障がい者用の乗降場を確保しています。
次に、3つ目、基本設計及び詳細設計についてでございますが、昨年度実施した基本設計では、道路構造令等の技術基準に準拠した整備案を作成しました。この段階から整備案を交通事業者に示した上で、意見聴取を行い、同時に県公安委員会と協議を進めてまいりました。特に県公安委員会との協議は10か月以上にわたり、安全に配慮した構造となるよう協議を続けてきたところです。県公安委員会からは、法令に基づく交通の安全性・円滑性が担保されているとの同意を10月に回答いただいたことから、整備案としてまとめ、今回速やかに市民の皆様へ公表したものです。
今年度の詳細設計では、基本設計をもとにして、平面設計、縦横断設計等の詳細な検討を行っており、今年度末までには工事発注に向けた図面の作成を行ってまいります。
次に、2点目、事業スケジュールについての1つ目、スケジュールの詳細についてでございますが、工事は県の基準に基づく標準工期に照らし合わせ、適正な工期を確保することから、工事区域を分割し、整備を進め、令和4年度に供用開始する予定です。
次に、2つ目、新庁舎整備の設計前にロータリー整備を先行して実施する理由についてでございますが、ロータリーは道路構造令など土木事業として国が定める基準等に基づき整備する必要があり、民間事業者の創意工夫を発揮する領域がありません。加えて、県公安委員会や都市計画変更に向けた県との協議については、民間事業者が直接行うことができないことから、直営により整備を行うこととしています。
また、工事は駅利用者の利便性確保にできるだけ配慮し、仮設の道路や乗降場等を設置しながら施工する必要があります。まず、道路の位置を定め、市庁舎の建設予定地を活用しなければ工事ができないことから、市庁舎等の設計が行われる前にロータリー整備を行うものです。
次に、3点目、事業費についての1つ目、内訳及び積算根拠についてでございますが、内訳につきましては、駅前ロータリーの歩道、シェルター、植栽等の整備に要する経費と道路の整備に要する軽費です。また、事業費の積算根拠は、県の積算基準及び歩掛表等をもとに積算しています。
次に、2つ目、財源の内訳についてでございますが、駅前ロータリー等の整備に要する費用につきましては、国の交付金や起債等を最大限活用し、財源を確保したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
◎市長(宮島壽男)
先ほどの私の、議員の質問に対する答弁の中で「有権者や市民ワークショップ等で提案された」と申し上げましたが、有識者と申し上げるべきところを有権者と申し上げましたので、おわびして訂正をさせていただきます。よろしくお願いします。
◆9番(川脇裕之)
答弁ありがとうございます。ただ今お答えいただいた内容について再質問いたします。
【再質問①】
最初に、設計情報や図面が情報公開されておらず、イメージ図では対象場所が定かではないため、再質問の1件目、朝倉駅前ロータリー整備の対象地区は、基本構想39ページのキス・アンド・ライド需要の現状のA及びDの乗降場が対象でしょうか、お伺いします。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、県西側の市所有地で、それら乗降場を含んだ区域を対象としていますので、よろしくお願いいたします。
【再質問②】
次に、施設数について確認いたしたく、再質問の2件目、バス乗降バース数、タクシー乗降バース数、一般車乗降バース数の計画数についてお伺いします。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、バス乗降バースは、現況9台分に対し計画8台分、タクシー乗降バースは、現況・計画とも2台分、一般車乗降バースについては、現況3台分に対し計画8台程度の停車に対応した施設量を確保し、現在ない障がい者用乗降場を1台分確保する予定としていますので、よろしくお願いいたします。
【再質問③】
現在、正規とする一般車の乗降場の施設量は3バースですが、再質問の3件目、整備対象地区ピーク時の乗降場の一般車の利用台数についてお伺いします。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、基本構想における需要の解析で、午前6時30分から7時台がピークとなっており、10分間の集計で23台が利用していますので、よろしくお願いいたします。
【再質問④】
私も朝倉駅が最寄り駅ですので、利用しており、夕方に最大12台の一般車停車を目にしたことがあります。混雑時は平均10台程度の一般車の停車があると認識しております。ピーク時は10分間に23台が利用しているという交通実態調査の結果も出ています。そこで、再質問の4件目、整備によりこの状況がどのように改善すると考えているのか、お伺いします。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、一般車の送迎については、施設量を拡充するとともに、新たに中街区南側にキス・アンド・ライド施設を設置することから、改善するものと考えていますので、よろしくお願いいたします。
【再質問⑤】
通常、ロータリー整備は渋滞解消や安全性の向上など、現状の課題に対する改善・解決を目的に実施します。私は、現在の朝倉駅ロータリーは一般車の利便性等に改善の余地はあるものの、右左折交錯はなく、安全性には問題の少ないロータリーであると認識しております。そこで、再質問の5件目、現状の安全性の評価について定量的に伺いたく、事故件数、ヒヤリハットの発生件数について伺います。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、警察の所管する業務であるため、市で把握していませんので、よろしくお願いいたします。
【再質問⑥】
現行計画のイメージ図では、一般車ロータリーの出口右折車両と直進する公共交通、タクシー車両及び南に通り抜ける一般車両が交錯して事故発生の危険が発生すると考えます。そこで、再質問の6件目、計画の危険性の認識と対策の考えについて伺います。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、駅前ロータリーは道路構造令の技術基準に基づいて設計しており、県公安委員会と協議の上、同意を得たものです。そのため、安全な道路計画となっていますので、よろしくお願いいたします。
【再質問⑦】
一般的に、一般車と公共交通のロータリーを分けることは、その分、面積を必要とします。そして、分離式ロータリーを導入している事例では、駅前のバスロータリーが交通渋滞を起こし、バスがロータリーに入れない等の状況が発生するなど、バスが頻繁に行き交う駅でその改善を目的に整備する設計であると考えます。にもかかわらず、本市では、分離案ありきで整備が進められようとしております。
そこで、再質問の7件目、朝倉駅周辺整備計画調査検討会議において、駅前広場配置を当初の6案からB②案(分離案)が望ましいと、どのような科学的、定量的な検証を実施して現行計画の結論に至ったのか、検証内容と評価結果についてお伺いします。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、導入施設を想定した上で必要となる広場面積を算定し、車両動線、施設配置及び歩行車動線を検証しました。評価に当たっては、車道を横断することなく、歩行者、特に車椅子、高齢者の方々が安全に移動でき、誰もが使いやすい便利な配置と思われるものが選ばれ、提案されていますので、よろしくお願いいたします。
【再質問⑧】
施設規模が基本構想の1万1,000平方メートルを整備するという方針から約8,100平方メートルの整備に変更された理由及びどのような手順を踏んで進められ、公開されたのか伺います。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、施設規模の1万1,000平方メートルは基本構想で設定した目安の数値であり、バス等の運行状況を解析し、乗降場等の施設量を見直した上で、交通事業者、県公安委員会等の関係機関と協議を進め、約8,100平方メートルで計画しました。また、関係機関との意見調整がおおむね完了したことから、11月に完成予想図を公表したものですので、よろしくお願いいたします。
【再質問⑨】
次に、スケジュールについて、基本構想の7章、事業化の方向性と今後のスケジュール等では、2021年度から2027年度までに、道路、駅前広場の基盤整備を実施すると記載されておりました。
そこで、再質問の9件目、2020年度に工事着手、2022年度に供用を開始すると、今回突然計画を前倒しするに至った経緯と理由について伺います。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、基本構想のスケジュールでは、2020年度以降に事業着手としていることから、来年度の工事着手は計画を前倒しするものではありません。また、事業全体のスケジュールから、ロータリーの整備を進めた後、順次、市庁舎等を整備するスケジュールとしているため、2020年度の工事着手が必要と考えていますので、よろしくお願いいたします。
【再質問⑩】
再質問の10件目、事業費用について、整備施設項目ごとの費用詳細について伺います。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、整備施設項目ごとの費用詳細につきましては、今年度発注業務である詳細設計で検討を行っており、今年度末までには整備施設項目ごとの費用の算出を行ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
【再質問①】
再質問の11件目、朝倉駅前ロータリー整備の計画を策定するに当たり、ほかの自治体の調査内容及び調査事例数と参考事例についてお伺いします。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、他の自治体の駅前ロータリーの調査内容につきましては、安全な交通動線と円滑化の確保に向け、広場内への通過交通進入の排除方法や、自動車交通動線の単純化・円滑化、人と車の動線の分離などの視点から調査を行い、設計に反映しています。
調査事例数につきましては、愛知県内の同程度の施設規模を対象とし、10件程度を調査しています。参考事例としましては、安全な交通動線と円滑化の観点から、三河田原駅前や東岡崎駅南口など、信号交差点を介さず進入できる出入り口や、横断歩道を使用しない駅舎までの歩行者動線の確保、バス・タクシー待機場のロータリー内の配置などの工夫がされた配置計画を参考に設計いたしましたので、よろしくお願いいたします。
【再質問⑫】
近年の近隣自治体の駅ロータリー整備事例では、東海市が駅東側の駅前広場約8,700平方メートルを開発したのが類似の事例であると考えますが、再質問の12件目、東海市の事業費用について伺います。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、東海市の駅東側の駅前広場は、区画整理事業も同時施行しており、その区分も明確ではなく、事業費も公開されていないことから、把握しておりません。
なお、事業費は、本市と同様に県の積算基準及び歩掛表等をもとに積算されていると思われますので、差異はないものと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
【再質問⑬】
これまでに基本設計と詳細設計を外部発注で委託してきておりますが、再質問の13件目、基本設計及び詳細設計を公開する考えについてお伺いします。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、基本設計の一部である完成予想図を記者会見、ホームページ、広報等を利用し、公開しています。
詳細設計をもとにした完成予想図につきましても同様に、工事発注までには完成予想図として公開したいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
【再質問⑭】
再質問の14件目、朝倉駅前ロータリー整備の実施計画を策定して公開する考えについてお伺いします。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、一般的な土木事業に関しては、基本設計、詳細設計を順次行い、工事発注を行うことから、その単体事業ごとに計画は作成していません。
なお、施工計画に関しましては、工事箇所の図面や工程表等を駅利用者等に周知するとともに、ホームページや広報により随時情報発信してまいりますので、よろしくお願いいたします。
【再質問⑮】
次に、再質問の15件目、朝倉駅前ロータリー整備について、市民から意見や情報を聴取する考えについてお伺いします。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、基本構想は市民ワークショップ等で得られた意見やアイデアを踏まえ、またパブリックコメントを行い策定していることから、これをもとに進めるロータリーの設計は、市民の意見や情報を反映しているものと考えています。今後、事業実施に当たり、特別に意見を聴取する予定はありませんので、よろしくお願いいたします。
【再質問⑯】
詳細設計の成果物納品前の段階で、朝倉駅周辺整備の基本計画も実施計画も策定しないまま、低品質な基本構想に基づく稚拙なロータリー整備計画が今回報道発表で初めて示されました。現行計画は、現状の課題解決をせず、新庁舎との動線も示さず、利便性改善のメリットは少なく、莫大な経費が無駄になるリスクが大きいと考えます。
そこで、再質問の16件目、来年度はロータリー整備の詳細設計の評価・検証に充て、新庁舎整備の具体化に合わせてよりよい整備計画策定に資するべく、ロータリー整備のスケジュール、事業内容、費用を見直す考えについてお伺いします。
◎都市整備部長(安永明久)
御質問の件につきましては、土木工事は、先ほど申し上げましたとおり、基本計画や実施計画等は策定せず、基本設計から着手し、詳細設計を経て、工事に着工する流れが一般的です。
今回の駅前ロータリー工事の着工までの手順は、一般的な土木工事の手順と異なり、まず朝倉駅周辺整備基本構想で交通計画を策定しています。その後、この交通計画をもとにして昨年度に基本設計を行い、今年度は詳細設計を実施しているなど、通常の手順よりもより丁寧に進めています。基本構想内で策定した交通計画は、現在の道路網や駅前ロータリーの現況及び課題を抽出した上で、整備方針を定め、交通動線や配置計画をお示ししています。議員からは稚拙な計画との御指摘がありましたが、この交通計画を含む基本構想は、名城大学の大野教授を座長に迎え、コミュニティや各種関係団体の方々の御参画をいただいた朝倉駅周辺整備計画調査検討会議での意見・提案をもとに作成したものであり、我々が自信を持ってつくり上げた計画です。
ロータリー整備は、駅前としての交通機能を維持しつつ行う必要があること、また市庁舎等の建設予定地を利用しなければ工事ができないことから、ロータリーの整備を進めた後、順次、市庁舎等を整備するスケジュールとしています。
費用につきましては、県の積算基準及び歩掛表等をもとに積算しています。
これらのことを考慮し、整備のスケジュール、事業内容、費用につきましては、見直すことは考えていませんので、よろしくお願いいたします。
◆9番(川脇裕之)
それぞれの答弁ありがとうございました。それでは、答弁いただいた内容を踏まえ、要望を申し上げます。
◆要望
まず、私は、朝倉駅ロータリー整備について、ファクトに基づき、基本構想では2ページしか記載されていないことを問題視しておりました。中ではきちんと議論がされていて、自信を持った計画とおっしゃいますが、それが情報公開されていないことは問題ではないでしょうか。
答弁によって次のことがわかりました。一般車8台のバース整備であること。これは、現在発生している非正規と位置付ける停車車両数と同等程度であり、混雑の改善が期待できないこと。安全性の評価について整備対象地区の事故数、ヒヤリハットの発生件数すら把握していないこと。ロータリー整備の分離の設計案が、誰もが使いやすい便利な配置と思われるものという曖昧な評価で選定されていること。ロータリー整備施設規模の8,100平米は、報道発表で初めて公開された数字であること。詳細設計の成果物を検収する前の整備施設項目ごとの費用の算出を行っている段階で、7.5億円という巨額事業費を投じる計画を立てていること。ロータリー整備を計画するに当たり、県内たった10件程度の事例しか調査していないこと。東海市のロータリー整備の事業費を把握していないこと。朝倉駅前ロータリー整備について、市民からの意見や情報を特別に聴取する予定はないこと。
私ひとりがチェックをしただけで、幾つもの問題があることがわかります。朝倉駅前ロータリー整備は、進め方と事業内容に問題があると考え、申し上げます。
まず、進め方についてです。私が情報公開を重要であると考え、強く求める理由は、複数の人間の目に触れることでチェック機能が働くからです。立案能力は個人差がありますし、完璧な政策は存在しません。そして、利害調整が発生します。公共の利益にかなうものが、公共の利益に反するが自己の利益にかなうという事態も往々にして発生します。そして、コンサルティング会社は、自治体を顧客にしている企業が一流であることは、まずありません。だからこそチェック機能をできるだけ多く働かせることで問題点を洗い出し、少しでもよいアウトプットに向けてブラッシュアップをしていくことが必要なのです。
先進自治体では、基本構想、基本計画、実施計画を立てて、その都度公表し、事業を進めております。基本構想の後、どうして工事着手計画にショートカットされるのでしょう。調査したところ、滋賀県草津市や奈良県桜井市は、駅前広場整備の検討段階で本市の基本構想よりもずっと詳細な調査をしております。
このように本市の基本構想2ページに基づく朝倉駅前ロータリー整備は、進め方に問題があり、これは朝倉駅周辺整備基本構想も同様であると申し添えておきます。
次に、事業内容についてです。答弁にて三河田原駅整備を参考にしたとのことですが、私の調べた限り三河田原駅は、乗降客数約3,000人/日の朝倉駅の半分以下の乗降客数の駅です。三河田原駅を否定するつもりはありませんが、利便性やその他の機能にたけた駅ロータリーであるようには思いませんし、分析した記事や論文は見つけられませんでした。そして、このロータリーはバスと一般車の混合型ロータリーです。朝倉駅の分離型ロータリー案がどうして導き出されるのでしょう。
全国で数百から数千の駅ロータリー整備が実施されている中で、成功事例をまねることこそ失敗を避ける最良の手ではないでしょうか。税金を原資とする公共工事であれば、なおさらです。私が調査した事例の中では、宮崎県日向市駅、茨城県牛久駅の整備が朝倉駅の規模では非常に参考になると考えます。なお、事例で挙げたロータリーは全てバスと一般車の混合型ロータリーです。
答弁では、ロータリーは民間事業者の創意工夫を発揮する領域がないとのことですが、グッドデザイン賞を受賞している熊本駅西口駅前広場は、公開コンペを開催して、民間設計会社の設計に基づき整備を実施しておりますし、日向市駅前広場整備は、JR九州と宮崎県、日向市が合同で駅を中心とする地区全体を一体でデザインしたプロジェクトです。民間事業者を活用できないというのは、本市だけの勝手な思い込みではないでしょうか。
特に日向市駅前広場整備は、構想計画段階から実行まで非常に綿密に進められております。国交省の報告書には次のように記載されております。28程度の委員会等が設置され、検討を実施。全ての委員会等にて市民、地域住民が参加。計画検討の段階から使い方等を含めて検討を実施。幅広い意見を聞き、検証を行い、必要に応じて検討案の変更を実施。専門家がフィールドサーベイを徹底的に行った上で、デザイン検討を実施。本市も見習うべき姿勢と取り組みではないでしょうか。
朝倉駅前ロータリー整備については、朝倉駅周辺整備計画調査検討会議の段階では良質な議論もされており、特に地区の現況課題整理は適切になされていると考えます。具体的には、駅前広場は名鉄線西側だけに設置されており、朝夕の送迎時には、朝倉駅、朝倉インターチェンジ、臨海部企業に向かう通勤交通等が朝倉線に集中し、交通渋滞が発生。道路アクセスは脆弱なことから、円滑な交通アクセスの確保等、駅周辺の交通処理機能の向上を図る必要があるという点です。
そして、市役所南交差点付近は通勤ラッシュで交通が集中するため、駅への動線が2通りあると交通処理にとって望ましい。コミュニティ道路へ一般車両を誘導する動線は、駅舎の近くへ車を寄せることができ、利便性が高いという有用な意見も出ております。
問題は、知多市役所東交差点から知多市役所南の交差点の渋滞であり、これを解消することです。私は、コミュニティ道路の一方通行を変更して、南に車両を流すべきだと考えますし、以前も申し上げました。冷静な現況課題整理がされている一方で、基本構想は分析、整備方針、交通計画が非常に稚拙なものとなっております。これは、政策形成段階において問題定義や調査の段階は機能していたものの、分析と考察、政策立案の段階で誤った結論を出してしまうという箱物行政が失敗に陥りがちの典型的なケースであると考えます。
この原因は、さきに述べたとおり、チェック機能が働いていないことにあります。朝倉駅は太田川駅の半数程度の乗降客数です。太田川駅と同等規模の整備が必要でしょうか。太田川駅は駅舎を変更しましたが、朝倉駅は現行ロータリーがあり機能しております。
費用に関しては、例えば鳥取駅周辺再生事業では、駅南ロータリーにバス6台、タクシー12台、一般車21台の待機場を分離して再整備した事業費が1.1億円とされております。今あるものをできるだけ有効に活用すれば、このように低コストで整備が実施できると考えます。送迎車両の利便性に問題を抱える駅は、古見駅、新舞子駅、巽が丘駅などほかにもあります。朝倉駅への集中投資が妥当でしょうか。
そして、朝倉駅周辺整備事業の中心は、新庁舎を中心とする公共公益的施設です。新庁舎や新図書館への動線を最適にしなければならないのに、新庁舎の敷地概要、建物概要、配置計画、平面計画等が決まっていない段階でロータリーを先行して整備するのは、デメリットが非常に大きいと考えます。私はリフレーション派ですので、必要な公共事業は積極的に投資をすべきだと考えますが、穴を掘って埋めるような公共事業には反対です。ほかに改善すべき公共施設と公共サービスが幾らでもあります。
以上、朝倉駅前ロータリー整備は問題を多数抱える事業であり、2020年度に工事着工というのは無謀な計画であると考え、事業スケジュール、事業内容、事業費用について抜本的な見直しを求め、1番目の質問を終わります。
◆朝倉駅周辺整備事業について抜本的な見直しを要求◆
令和2年(2020年)6月議会(第2回定例会)一般質問
知多市議会議員 川脇裕之
③「朝倉駅周辺整備事業について」
(1) 実施方針公表以降の状況について
(2) 朝倉駅前ロータリー整備について
◆10番(川脇裕之)
続きまして3番目、朝倉駅周辺整備事業について質問いたします。朝倉駅周辺整備事業については、実施方針等が定められ、2020年3月25日に公表されました。皆様御承知のことと存じますが、実施方針公表以降のスケジュールは次のとおりです。
4月1日から4月14日、実施方針等に関する質問・意見の受付、4月3日、現地見学会の実施、5月7日から5月13日、募集要項公表前の個別対話の実施、5月11日、実施方針等に関する質問・意見の回答の公表、ここまでが実施された事項です。
そして、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、民間事業者の応募準備が困難な状況にあるとの判断により、5月29日に予定されていた募集要項、要求水準書等の公表を延期するとの報道発表が5月21日にありました。
朝倉駅周辺整備事業の問題点については、これまで一般質問等で議会において何度も申し上げており、今後も厳密にチェックしてまいりますが、本日は、これまでの進捗状況と今後について確認いたしたく、質問の1点目、実施方針公表以降の状況について伺います。
次に、朝倉駅周辺整備事業は、実施方針が対象とする市庁舎の設計、建設、維持管理、運営業務及び図書館施設の設計、建設、開業準備、維持管理業務からなるPFI法に基づく特定事業及び民間提案施設の整備及び運営とは別に、公設公営の朝倉駅前ロータリーの改良工事が計画されており、本年度から工事着手する予定で進められております。
そこで質問の2点目、朝倉駅前ロータリー整備について伺います。以上、答弁よろしくお願いします。
◆答弁
◎市長(宮島壽男)
御質問の3番目、朝倉駅周辺整備事業についてでございますが、朝倉駅周辺整備事業は、駅周辺の市の所有地を活用して、市の玄関口にふさわしい、にぎわいの交流拠点を整備するものであります。やむを得ず事業者公募を延期しましたが、新型コロナウイルス感染症の動向や経済状況を注視しながら、にぎわいを創出し地域の活性化を先導するためにも、本事業を推進していく必要があると考えております。
御質問の1点目及び2点目につきましては、都市整備部長から答弁させますので、よろしくお願いします。
◎都市整備部長(鈴木宏式)
御質問の3番目、朝倉駅周辺整備事業についての1点目、実施方針公表以降の状況についてでございますが、本事業に関する市の考え方をまとめた実施方針に加えて、市庁舎、図書館施設及び民間提案施設の要求水準書を案として、令和2年3月25日に公表しました、この実施方針等の内容についての質問、意見を4月1日から14日まで受け付け、その回答を5月11日に公表するとともに、民間事業者との個別対話を実施して、実施方針等についての質疑や意見交換等を行いました。こうした対話の中で、新型コロナウイルス感染拡大の影響により民間事業者が在宅勤務等を実施したことで、グループを組織して事業提案するための調整が難しいなどの意見が複数出されました。これを受け、5月29日に予定していた募集要項等の公表を延期することとしたものです。
今後の予定としては、現時点では未定ですが、新型コロナウイルス感染症の動向や経済状況を注視しながら、募集要項等の公表時期を検討してまいります。
次に2点目、朝倉駅前ロータリー整備についてでございますが、現在の駅前ロータリーは、基本構想で課題としているように、歩行者滞留空間の導入、一般車・公共交通の安全な動線の確保、交通需要に対応した施設量の見直しが求められています。これらの課題を踏まえ、安全で円滑な交通結節点を確保するため、駅前ロータリーの整備を実施するものです。
整備の考え方としては、市民がくつろぎ、歩行者が滞留できる空間の確保、公共交通と一般車の交錯の解消による安全と利便性の確保、障がい者や高齢者、子ども連れの方に配慮したバリアフリー化を推進することとしています。工事は全体を分割して、令和2年度から4年度まで順次実施することとしており、今年度は南側に当たるバス・タクシー乗降場や待機場周辺を施工してまいります。これにより既設のバス・タクシー乗降場や待機場が使用できなくなることから、現在、関連工事として仮設のバス・タクシーの乗降場や待機場を整備しています。
今後も令和4年度の供用開始を目標に、駅前ロータリーの利用者の安全性を確保しつつ工事を進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
◆再質問
【再質問①】
◆9番(川脇裕之)
答弁ありがとうございます。ただ今お答えいただいた内容について、再質問をいたします。
質問の1点目に関して、新型コロナウイルス感染拡大の影響により民間事業者の対応が困難ということで、募集要項等の公表を延期したことは適切であったと評価いたします。一方で、5月11日に公表された実施方針等に関する質問・意見の回答を確認すると、事業の根幹に関わる重要な質問に対して募集要項等の公表時に提示しますとの回答が多く、これは質問に対する答えになっておりません。100室以上のホテルを求める無謀な要求や600台以上とする大規模な駐車場の整備、そして市庁舎及び図書館施設を対象とするPFI事業と民間収益事業を一括提案させるという、公共事業と民間投資をごちゃ混ぜにした事業スキームの根本的な問題もあり、朝倉駅周辺整備事業自体が欠陥と問題を多く抱えています。
そこで再質問の1件目、実施方針等を修正する考えについて伺います。
◎都市整備部長(鈴木宏式)
御質問の件につきましては、頂いた実施方針等への質問及び意見については、全てにわたり市の考え方を回答しています。このうち募集要項等の公表時に提示すると回答したものは、募集の公平性を担保する必要があるもの等について公表時に提示することとしたもので、今後、募集要項等に適切に反映させてまいります。
また、本事業ではPFI事業と民間収益事業を合わせた一体的な整備をするため、事業者公募を一括で行うこととしています。これは、他自治体でも採用されている手法であり、これにより魅力的なまちづくりを進めてまいります。
なお、今後、実施方針等の見直しの必要性が生じた場合は、適切に対応してまいりますのでよろしくお願いいたします。
【再質問②】
◆9番(川脇裕之)
同じく質問の1点目に関して再質問します。
事業実施方針等を見直す場合も、事業スケジュールを後ろ倒しして事業を再開する場合も、4月1日から4月14日に行われた実施方針等に関する質問・意見の受付とコロナ禍で影響のあった事項を再実施して事業主体となる民間企業の意見を丁寧にヒアリングするべきであると考えます。
そこで再質問の2件目、実施方針等に関する質問・意見の受付を再実施する考えについて伺います。
◎都市整備部長(鈴木宏式)
御質問の件につきましては、3月25日に公表した実施方針等に関する質問・意見の受付を再実施する考えはありませんが、事業者公募を再開するに当たっては、民間事業者との対話を行い、適切に対応してまいりますので、よろしくお願いいたします。
【再質問③】
◆9番(川脇裕之)
次に、質問の2点目に関して伺います。
朝倉駅周辺整備事業が新型コロナウイルスの影響を受け延期となり、事業実施の妥当性が問われる中、朝倉駅前ロータリーの改良工事が進められております。朝倉駅前ロータリー整備の問題点は、令和元年12月定例会の一般質問で述べたとおりですが、整備内容、スケジュール、事業費等の検証もなく、主にレイアウトを変更する工事に約7億5,000万円もの事業費を投じる費用対効果が不透明な事業です。加えて朝倉駅前ロータリー詳細設計委託が2019年度内に完了せず本年度に繰り越されたため、委託成果の検証期間が短く不十分です。朝倉駅前ロータリー詳細設計の内容について、市民への公開もありません。これまでも市役所新庁舎の敷地概要、建物概要、配置計画、平面計画等が決まっていない状態で、駅前ロータリーを先行して整備するのは順序がおかしいと申し上げましたが、朝倉駅周辺整備事業が延期される中、朝倉駅前ロータリーの改良工事を当初計画どおりに進めるのは妥当ではないと考えます。
そこで再質問の3件目、朝倉駅前ロータリーの整備を見直す考えについて伺います。
◎都市整備部長(鈴木宏式)
御質問の件につきましては、整備内容につきましては基本構想や県公安委員会等との協議、またバリアフリー基本構想策定協議会で頂いた意見を踏まえ設計しており、安全で円滑な交通結節点としての検証が行われていると考えています。
スケジュールについては、仮設の道路や乗降場等で市庁舎等の建設予定地を活用しなければ工事ができないことから、市庁舎等の設計が行われる前に整備を行うものです。事業費については、県の積算基準及び歩掛り等を基に積算しており、適正であると考えています。
いずれにいたしましても、駅前ロータリーの整備は市民が安全で快適に利用していただくためのものであることから、当初の計画に沿って進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
◆要望
◆9番(川脇裕之)
先ほどの再質問の3件目の中の私の発言で、平成元年12月定例会の一般質問と申し上げましたが、令和元年12月定例会の一般質問の誤りですので、おわびして訂正をさせていただきます。
それぞれの答弁ありがとうございました。それでは、答弁いただいた内容を踏まえ要望を申し上げます。
朝倉駅周辺整備事業は、市役所新庁舎と図書館を中心とした公共公益的事業、ホテルや商業施設を中心とした民間収益事業の大きく2つに分類できます。そして、この2つの仕様や設計が示されていないにもかかわらず、朝倉駅前ロータリーの改良工事が先行して進められております。
私は、ベン・バーナンキが提唱したヘリコプターマネー政策を支持しておりますし、ケインズもニューディール政策も肯定します。ですから金融緩和政策と併せた財政政策の1つの出口として、公共事業そのものに反対ではありません。
しかし、公共事業は公共の利益に資するものでなければなりませんし、最少の経費で最大の効果を上げるために費用対効果を追求すべきです。本事業に導入が予定されているPFI方式は、公共施設等の建設、維持管理、運営等に民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用する手法であり、民間の資金、経営能力、技術的能力を活用することにより、国や地方公共団体等が直接実施するよりも効率的かつ効果的に公共サービスを提供できる事業について実施するものです。市の玄関口にふさわしいにぎわいの交流拠点という曖昧な目的で、民間事業で収益の見通しが立たない事業に莫大な税金を投じることを正当化するものではありません。
そして、本市の事業全体を一括で提案させるスキームは責任の所在が不明確になり、無駄金が投じられる懸念があります。過去に議会で申し上げてまいりましたが、朝倉駅周辺を整備するのであれば、市役所新庁舎と図書館の整備は市が責任を持って実施すべきです。提案型プロポーザル等、PFI以外にも民間事業者のノウハウを活用する方法はあります。
また、土地の有効活用を望むのであれば、市有地を無償貸与するなり開発事業者に補助金を投じるなり、条件つき土地売却をマイナスの予定価格で実施するなど、ほかに有効な手法があります。そして、朝倉駅前ロータリー整備では利用者の利便性を第一に考え、新たな施設への動線を最適にすることが重要です。現行の計画は、無理、無駄、むちゃがあり過ぎます。
以上、公共公益的事業と民間収益事業を分けること、そのために朝倉駅周辺整備事業実施方針と朝倉駅前ロータリーの改良工事を見直すことを要望申し上げ、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
◆朝倉駅周辺整備事業におけるホテル誘致事業について◆
令和4年(2022年)6月議会(第4回定例会)一般質問
知多市議会議員 川脇裕之
「②朝倉駅周辺整備事業におけるホテル誘致事業について」
(1) 公募型プロポーザルの手続を進めてきた経緯について
(2) 公募型プロポーザルが延期に至った経緯について
(3) 今後のホテル誘致に向けた取組について
◆10番(川脇裕之)
続きまして、2番目「朝倉駅周辺整備事業におけるホテル誘致事業について」質問いたします。
市長は令和4年度施政方針にて、朝倉駅周辺整備事業について、ホテル事業を他の事業から分離して、夏頃を目途に募集を開始することを表明しました。そして、2022年3月に開催された全員協議会において、「朝倉駅周辺整備事業におけるホテル誘致事業について」を報告し、新型コロナウイルス感染症収束後を見据え、着実に駅前のにぎわいづくりを進め地域の活性化に資するため、旧西部浄化センター跡地を候補地としてホテル事業者を募集すると説明しました。(※1)
時系列で事実関係を整理すると、本市では「朝倉駅周辺整備事業」について、2020年10月に事業者公募の延期を報道発表しました。その内容は、朝倉駅周辺の市有地を活用して、市の玄関口にふさわしいにぎわいの交流拠点を整備するとして計画していた朝倉駅周辺整備事業について、新型コロナウイルス感染症の影響により、民間事業者の応募準備が困難な状況にあると判断して、事業者公募を3年間延期したものです。 (※2)
これまでに幾度も問題提起してきた通り、「朝倉駅周辺整備事業」自体が様々な問題を抱えておりましたので、事業者公募を延期したことは、妥当な決定でありました。それが、同事業のうち「ホテル誘致事業」のみ先行して実施すると2022年2月に突然に方針転換が表明されたのです。その後、2022年6月にホテル誘致事業の公募を延期すると発表がありました。
議会への報告や報道発表以外では、令和4年1月7日開催の知多市教育委員会定例会において「ホテル事業について先行して募集することを検討しているそうです」との報告があった以外は、公開記録はないと認識しております。(※3)
内々に検討され、内々に実施が計画され、公募すると公式に発表してからわずか4か月後に延期となった「ホテル誘致事業」について、住民の方からもホテル誘致はいつどのように決まって、なぜ中止されるのか?と事業内容以前に事業の進め方についての質問をいただくことがあります。そこで「ホテル誘致事業」の意思決定の過程や根拠について伺います。
質問の1点目は「公募型プロポーザルの手続を進めてきた経緯について」です。
市長が令和4年度施政方針で「ホテル誘致事業」の先行実施を発表したのは2022年2月24日でした。2月時点で、ロシアによるウクライナ侵攻により社会経済情勢がこれ程悪化するとは予測不可能でありました。未来のことは誰にもわかりません。
一方で、新型コロナウィルスの影響によるホテル事業者の経営難は、ホテル事業者の決算報告や専門家による分析を子細に検証しなくても、新聞や経済誌の見出しを読めば容易に把握できる情報であったと認識しております。
しかし、本市は「ホテル誘致事業」を先行実施すると2022年の2月に発表していました。「朝倉駅周辺整備事業」の事業者公募延期を決定していたのにも関わらずです。
公募にあたっては、市場調査や事業者ヒアリングを実施した上で計画を立案したことと存じますが、ホテル誘致について、どのような調査/分析を実施して事業を進める決定をしたのか、その意思決定のプロセスについて確認いたしたく、質問の1点目を伺います。
次に質問の2点目は「公募型プロポーザルが延期に至った経緯について」です。
地方自治法 第1条の2第1項に規定されている通り、「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」のが自治体の役割です。これを踏まえ、朝倉駅周辺整備事業については、住民の福祉の増進に結びつかない点や、最少の経費で最大の効果を挙げる努力を怠り、経済合理性に著しく欠ける点で、私は従来より異議を唱えてきました。
一方で、ホテル誘致事業については、2022年3月の全員協議会において申し上げた通り、「市有地を貸し付けて公募で民間事業者のホテル誘致を実施することには反対ではありません」。ホテル誘致自体は市が特段のリスクを負うことなく、市有財産を有効活用する一つの戦略であり、その方針には妥当性があったからです。
しかしながら、先ほど申し上げた通り、新型コロナウィルスによる経済不況により、ホテル事業者の経営環境が悪化していたことは顕著でした。ですから、朝倉駅前に施設規模の条件として客室100室以上を求めることの妥当性や根拠が不明瞭であること、募集要項案及び要求水準書案の公表がないこと、事業者ヒアリングの予定がないことを問題視して、次の通り全員協議会で指摘しました。
>事業の収支計算等リスク評価は事業者側が負うが、どれくらいの規模がビジネス的に望ましいのかは、事業者が検証して提案する事項であると考える。100室以上を市が求めるのであれば、客室数を審査の加点要素とするなど、公募型プロポーザルで工夫が可能であり、100室に満たなくともレストランや日帰り客の利用が可能な大浴場など、事業者の提案も期待でる。募集要項の事前公表と事業者ヒアリングの予定はないとのことだが、事業者の提案の自由度を上げるため、かつ、利用者に魅力的な施設となるようにヒアリング等実施の再検討をお願いする。
現に、今回のホテル誘致事業公募が延期されたのは、指摘した懸念や事業推進の稚拙さが招いた結果であると考えて、質問の2点目を伺います。
次に質問の3点目は「今後のホテル誘致に向けた取組について」です。
2022年5月27日の全員協議会の「朝倉駅周辺整備事業におけるホテル誘致事業の公募について(報告)」では「改めて市場調査を行い、事業スキームの再検討を含めた見直しを行う」としており、6月1日の知多市報道発表資料でも、今後の予定として、ホテル事業者から広く意見を得るための市場調査等を実施し、募集条件や支援策を再検討する。としております。
そこで、どのような市場調査を実施するのか、事業スキームの再検討とはどのような計画を候補として考えているのか確認いたしたく、質問の3点目を伺います。以上、答弁、よろしくお願いいたします。
◎市長(宮島壽男)
御質問の2番目、朝倉駅周辺整備事業におけるホテル誘致事業についてでございますが、朝倉駅周辺整備事業は、地域の活性化を先導する本市の核となるプロジェクトであり、かつ市民にとって有益であるよう慎重に進めていく必要があります。
今回は、ホテル誘致事業の事業者公募を延期いたしましたが、にぎわいを創出し、地域の活性化を先導するためにも、本事業を着実に進めてまいります。
御質問の1点目から3点目までにつきましては、都市整備部長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。
◎都市整備部長(鈴木宏式)
御質問の2番目、朝倉駅周辺整備事業におけるホテル誘致事業についての1点目、公募型プロポーザルの手続を進めてきた経緯についてでございますが、ホテル事業者を募集する検討をするため、令和3年度に実施した事業者ヒアリングでは、朝倉駅周辺でのホテル事業への進出意欲や条件等を確認しています。
また、前年度にオープンしたフットボールセンター知多では、大会や合宿による県外からの誘客が見込まれることや、積極的な企業誘致による新南地区や大興寺地区の工場立地により、将来的な宿泊需要の高まりも期待されます。このことから、コロナ収束後を見据えて、着実に駅前のにぎわいづくりを進めるため、他の事業からホテル事業を分離し、令和4年6月下旬にホテル事業者の公募を開始する準備を進めてきました。
次に2点目、公募型プロポーザルが延期に至った経緯についてでございますが、ホテル事業者とのヒアリングの中で、昨今の原油価格や建設資材の高騰に加え、ウクライナをめぐる情勢の長期化及び悪化による景気動向の先行きが不透明であること、コロナ禍からの景気の回復が遅れていることから、新規投資に慎重になっているとの意見が出されております。そこで、ホテル事業者と市がお互いにメリットのある事業スキームを見極めるための時間が必要と判断し、ホテル事業者の公募を延期することといたしました。
次に3点目、今後のホテル誘致に向けた取組についてでございますが、今後は、着実に本事業を進めるため、改めてホテル事業者から広く意見を求める市場調査の実施を考えております。市場調査では、事業者との対話による意見交換を通じて、事業者がより参加しやすくなる条件を把握し、募集条件や支援策を再検討してまいりますので、よろしくお願いいたします。
◆10番(川脇裕之)
答弁ありがとうございます。ただ今お答えいただいた内容について、再質問をいたします。
1点目の、公募型プロポーザルの手続を進めてきた経緯について、事業者ヒアリングを実施したとのことですが、再質問の1つ目、何社に対してどのようなヒアリングを実施したのか、その調査結果についてどのような分析をしてホテル誘致を先行すると意思決定したのかについて伺います。
◎都市整備部長(鈴木宏式)
御質問の件につきましては、令和3年度に本事業への応募意向を有する7社とヒアリングを行い、朝倉駅周辺でのホテル事業への進出意欲や条件等について調査し、ホテル事業者の動向や考え方を確認してきました。その結果、臨海部企業の出張需要や将来的な宿泊需要の高まりが見込まれ、ホテル事業の実現可能性が十分あるだけでなく、複数のホテル事業者の進出意欲が高かったことから、地域の活性化に資するため、先行公募を検討し、準備を進めていたものですので、よろしくお願いいたします。
◆10番(川脇裕之)
次に、2点目と3点目に関連して、そもそも今回のホテル誘致事業の手続では、スケジュールに募集要項案や要求水準書案の公表もなく、事業者ヒアリングも予定しないとされておりました。私は募集要項の検証や事業者ヒアリングの機会がなければ、公正で適切な事業推進が担保されないことを問題視して、2022年3月の全員協議会でヒアリング等の実施を再検討するよう申し上げたわけです。
今回、ウクライナ情勢の悪化や急激なインフレ等、ホテル誘致事業に向かい風が吹く事態は予測困難ではありました。しかしながら、今後の事業を推進する際には、これまでのように密室、非公開の水面下で調査や調整を実施するのではなく、調査の経過と事業者ヒアリングを公開すること及び募集要項案や要求水準書案は公募前に公開して、事業者が意見を表明する機会を設けることなどにより透明性を確保すべきです。そのためには、国交省発表の地方公共団体のサウンディング型市場調査の手引き(※4)等を参考に、丁寧に進めることが必要であると考え、再質問の2つ目、実施要綱の作成公表の際には十分な情報提供や事前相談への対応をする考えについて伺います。
◎都市整備部長(鈴木宏式)
御質問の件につきましては、市場調査では、事業者がより参加しやすくなる条件を把握するため、情報提供や事前相談への対応に留意するものと考えていますので、よろしくお願いいたします。
◆10番(川脇裕之)
同じく、2点目と3点目に関連して、再質問の3つ目、事業者との対話等の結果の公表まで、公平性・透明性に留意して事業を推進する考えについて伺います。
◎都市整備部長(鈴木宏式)
御質問の件につきましては、国土交通省が示す手引きを参考にしながらこれまでも事業を実施してまいりましたが、ホテル誘致に係る市場調査等については、民間事業者からの提案内容や独自ノウハウが多く、知的財産の観点から、情報保護が必要とされていることにも留意しつつ、丁寧に進めてまいりますのでよろしくお願いいたします。
◆10番(川脇裕之)
答弁ありがとうございました。それでは、答弁いただいた内容を踏まえ、要望を申し上げます。
民主主義に必要なことは、政治・行政的決断を透明にし、説明することです。そのためには、決断に至った行動の根拠をできる限り示して、それを伝達することで理解を得られるように努めねばならないと考えます。
本事業に限ったことではありませんが、事業実施の際には、どのように検討し、どんな議論があって結論に至ったのか、経緯、議論の内容を全て記録に残し、後で検証できるようにすることが重要です。きちんと記録を残し、次に同じようなことが起きたときに活かす。それを常に意識して、地域行政を担っていただきたく存じます。
ホテル誘致の計画自体は、市が特段のリスクを負うことなく、市有財産を有効活用する一つの有効な戦略であります。住民の福祉の増進に結びつく事業を公平性・透明性に留意しつつ、最少の経費で最大の効果を挙げるべく推進するのが地方公共団体のミッションですので、事業再開に向けては、求められるがままに補助金や支援金を支給するのではなく、経済合理性を考慮して検討していただきますようお願い申し上げます。以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
●参考資料
(※1) 令和4年度施政方針
https://www.city.chita.lg.jp/docs/2022022400048/
(※2) 朝倉駅周辺整備事業における事業者公募の延期について
https://www.city.chita.lg.jp/docs/2016100500010/files/20201106_houdouhappyou.pdf
(※3) 知多市教育委員会定例会会議録
(※4) 地方公共団体のサウンディング型市場調査の手引き(概要)
https://www.mlit.go.jp/common/001236939.pdf
◆朝倉駅周辺整備事業及び新庁舎整備について◆
令和4年(2022年)12月議会(第7回定例会)一般質問
知多市議会議員 川脇裕之
「朝倉駅周辺整備事業及び新庁舎整備について」
(1) 朝倉駅周辺整備事業の今後の進め方について
①朝倉駅周辺整備事業実施方針等の情報を市公式ホームページから削除した理由及び時期について
②要求水準書市庁舎編(案)の位置付けについて
③現庁舎の耐震工事を実施した時期及び当該工事による建物寿命の延伸効果について
④延期となった朝倉駅周辺整備事業の問題点の総括について
⑤中街区(A-1)に限定して新庁舎を建設するという方針の理由及び根拠について
⑥概算費用8億5千万円程度とされる立体駐車場を新たに中街区(A-1)に建設する理由及び根拠について
(2) 新庁舎整備の進め方について
①延床面積増を検討する理由及び根拠について
②具体的な整備手法について
③新庁舎の供用開始時期を令和9年度予定とする理由及び根拠について
◆質問
皆様、こんにちは。先の通告に基づきまして「朝倉駅周辺整備事業及び新庁舎整備について」質問いたします。
先の2022年11月2日、全員協議会が開催され、「朝倉駅周辺整備事業の今後の進め方について」「朝倉駅周辺整備事業における新庁舎整備の進め方について」の2つについて、報告がありました。本日はこの2件の内容を中心に伺います。そこで、まず「朝倉駅周辺整備事業」のこれまでの経緯について整理いたします。
「朝倉駅周辺整備事業」は、朝倉駅周辺を整備するとして、2016年10月の第1回 朝倉駅周辺整備計画調査検討会議により調査検討が実施され、その後、5回の検討会議や3回のワークショップ等を経て、2018年3月に整備の基本的な考え方を示す「朝倉駅周辺整備基本構想」が策定されております。
その後、2020年3月に「実施方針等」が公表され、朝倉駅周辺整備事業を実施するとの意思決定が示されたのち、2020年4月に「実施方針等に関する質問・意見の受付」や「現地見学会」が行われました。
そして、2020年5月に「募集要項公表前の個別対話の実施」「実施方針等に関する質問・意見の回答の公表」を実施するとしていましたが、2020年5月21日に「2020年5月29日に実施予定であった募集要項、要求水準書等の公表を延期する」と報道発表が行われました。その後、2020年10月に朝倉駅周辺整備事業の本格的な開始時期を2021年度から3年間延期するとの方針転換が公表されております。
さらにその後、2022年2月には、同事業のうち「ホテル誘致事業」のみ先行して実施すると方針転換が表明されたものの、2022年6月にホテル誘致事業の公募を延期すると発表されました。唐突な方針転換と稚拙な計画変更を繰り返す、朝倉駅周辺整備事業のホテル誘致事業については、2022年6月議会(第4回定例会)一般質問にて問題を指摘した通りです。
朝倉駅周辺整備事業に関して、わたくしはこれまで、一般質問や一般会計予算の質疑討論等で問題提起してきましたが、現庁舎の老朽化状況等に鑑みて、基本的には新庁舎整備に賛成の立場です。機能や利便性など、市民の利益に資する市役所新庁舎を整備するべく慎重に進めていただきたいと考えております。そのために、市がどのような方針で新庁舎整備に予算を編成するのか、整備内容や規模は妥当であるのか、コスト節減努力を怠り過剰な予算を投じて税金の無駄遣いに繋がることをしないか等をチェックして、今後も一般質問や議案審議時に問題点を指摘し、建設的な議論を実施していきたいと考えています。
冒頭で述べた2022年11月2日開催の全員協議会で実施された報告では、新庁舎と立体駐車場の整備を進めるという意思決定が、A3用紙2枚の資料で説明されました。従来から何度も問題を指摘してきたにも関わらず、最適な手法であると繰り返し主張されていたPFI事業、民間収益事業による整備から大きく方針を転換し、新庁舎整備という数十億円の投資を要する事業でありながら、を実施する計画について、根拠資料の提示や説明もございません。民間企業では根拠や投資対効果の数字を示さず投資の意思決定をすることはあり得ないことですし、他の自治体と比べても、稚拙で乱暴な進め方です。
そこで「朝倉駅周辺整備事業及び新庁舎整備について」現状を確認し、効果的な事業の推進を求めて質問いたします。
(1) 点目「朝倉駅周辺整備事業の今後の進め方について」
①さきの全員協議会で全員協議会での報告を受けるにあたって、私は、2020年3月公開の「朝倉駅周辺整備事業実施方針」「朝倉駅周辺整備事業要求水準書共通編」「朝倉駅周辺整備事業要求水準書市庁舎編」に関して、紙で配布されていた資料を精読したのち、チェックした部分をPDF資料に反映しようと知多市公式ホームページにアクセスしたところ、これらの3点の資料を含めた関連する資料の情報が全て削除されていることを確認しました。公開されていた新庁舎の移転を含む大規模整備の情報が丸ごと削除されていることに驚いております。
そこで質問の①つ目、朝倉駅周辺整備事業実施方針等の情報を市公式ホームページから削除した理由及び時期について伺います。
②次に、2022年7月に「知多市新庁舎整備事業検討委員会」を設置し、要求水準書の見直しや今後の進め方に関する検討を行っているとのことですが、削除された情報の中には、新庁舎整備に向けた、要求水準書市庁舎編(案)も含まれておりました。
そこで質問の②つ目、要求水準書市庁舎編(案)の位置付けについて伺います。
③以降、2022年11月2日開催の全員協議会資料「朝倉駅周辺整備事業の今後の進め方について」に基づき質問いたします。「課題点の整理」として「市庁舎の老朽化による災害発生時のリスクは年々増加」を挙げられておりますが、
質問の③つ目、現庁舎の耐震工事を実施した時期及び当該工事による建物寿命の延伸効果について伺います。
④次に、同資料の「今後の進め方」に「本事業の必要性は変わりません」「事業手法や事業者公募の方法を再度検討」と記載されておりますが、従来の「朝倉駅周辺整備事業」実施方針では、PFI事業、民間収益事業という2種類の事業方式を導入し、新庁舎は一括事業請負後譲渡方式(BTO方式)で整備して、契約上流に位置させるとする特別目的会社(SPC)が新庁舎建設後に所有権を移転させるというPFI方式を掲げておりました。
しかし、11月2日報告の「朝倉駅周辺整備事業の今後の進め方について」及び「朝倉駅周辺整備事業における新庁舎整備の進め方について」では、新庁舎と立体駐車場の整備について、市が起債や交付金等により資金調達し、施設の建設と運転業務及び維持管理業務を行う公設公営方式で実施する計画であるように見受けられます。
このように事業の進め方が根本的に変わる内容変更でありながら、延期発表後の振り返りもなく、同資料には事業の必要性は変わらないため、事業手法や事業者公募の方法を再度検討するとのみ記載されております。朝倉駅周辺整備事業構想後の約2年間の取り組みや、公募延期に至った経緯等の検証は一切なされておりません。
そこで、質問の④つ目、延期となった朝倉駅周辺整備事業の問題点の総括について伺います。
⑤次に、同資料の「今後の進め方」に「基本方針」として「北街区と中街区を分割し、中街区の整備を先行して進めます」とあり、また、「中街区に先行整備する施設について」の項目に「市庁舎をA-1に建替え」と記載されておりますが、朝倉駅周辺整備事業では計画対象地区は北街区と中街区、南街区の3つに分かれています。
市役所新庁舎の建設場所については、北街区である現庁舎職員駐車場、中街区の旧朝倉駅前駐車場(A-1)、中街区の警察署北隣(A-2)、南街区の旧保健センター跡地一帯といった複数の候補が考えられます。機能や利便性など、市民の利益に資する市役所新庁舎を整備するためには、立地や建築様式、来庁者の動線等を慎重に検討していかねばならないと考えますが、報告では中街区(A-1)に新庁舎と立体駐車場を建設する方針が決定事項として記載されております。
そこで質問の⑤つ目、中街区(A-1)に限定して新庁舎を建設するという方針の理由及び根拠について伺います。
⑥次に、同資料の「駅前駐車場」の項目に「当地における民間の独立採算による立体駐車場整備、運営は困難」「市が駐車場を整備し、維持管理、運営」「想定規模3層4段300台程度」「概算8億5千万円程度」と記載されております。
知多市公共施設再配置計画では、本市が保有する公共施設の延床面積を2017(H29)年度から 2046(H58)年度までの 30年間で 20%以上縮減することを目標に設定しているにも関わらず、現市役所庁舎にもない立体駐車場を多額の予算をかけて整備するという上位計画と整合性のとれない計画に驚きを禁じ得ません。
そこで質問の⑥つ目、概算費用8億5千万円程度とされる立体駐車場を新たに中街区(A-1)に建設する理由及び根拠について伺います。
次に(2) 点目「新庁舎整備の進め方にについて」
①以降、2022年11月2日開催の全員協議会資料「朝倉駅周辺整備事業における新庁舎整備の進め方について」に基づき質問いたします。
「基本計画策定時の延床面積9,300平方メートル」から「面積及び事業費の増加を見込みます」と記載されておりますが、知多市新庁舎整備基本計画では、新庁舎は現庁舎の延床面積を20%削減した8,630平方メートルを目標値、9,300平方メートルを適正規模と設定しておりました。しかし、資料には「面積及び事業費の増加を見込みます」との記述があり、その要因については一応の説明があるものの、根拠となる具体的なデータや検証経緯は示されておりません。
そこで質問の①つ目、延床面積増を検討する理由及び根拠について伺います。
②次に同資料の「整備手法」の欄に「整備手法は従来方式を予定」と記載されておりますが、私が確認した限り、他の自治体では、新庁舎基本構想や新庁舎基本計画を策定する際に、事業の進め方について、企画立案、発注形式、公募方法、選定方法、契約形式、資金調達、管理運営をどのように実施するのかの説明や補足が市民や民間企業にわかるように記載されております。しかし、本市の同資料では従来方式の用語説明として、市が設計委託と工事を個別に発注して契約する事業手法との脚注が記載されているだけであり、具体的な内容を計りかねます。
そこで、質問の②つ目、具体的な整備手法について伺います。
③次に同資料の「想定スケジュール」の欄に令和9年度:新庁舎供用開始と記載されておりますが、昨今の建設資材の高騰や労務のひっ迫等に鑑みて、柔軟なスケジュールとすることが予算や施工管理の観点から望ましいと考えます。
そこで、質問の③つ目、新庁舎の供用開始時期を令和9年度予定とする理由及び根拠について伺います。
以上、壇上からの質問といたします。答弁、よろしくお願いいたします。
◆答弁
◎市長
ご質問の1番目、「朝倉駅周辺整備事業及び新庁舎整備について」でございますが、
朝倉駅周辺整備事業は、市の1丁目1番地の施策であり、地域の活性化を先導する、重要なプロジェクトであります。
本事業の事業者公募につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、令和3年度からの3年間、事業者の公募を延期しておりましたが、コロナ禍以降続く不安定な社会経済状況の影響を踏まえ、事業手法や事業者公募の方法を再度検討し、当初予定していた北街区と中街区の事業者一括公募から、街区を分割して整備を行うことで、事業を着実に推進することといたしました。
ご質問の1点目の1つ目及び4つ目から6つ目までにつきましては、都市整備部長から、1点目の2つ目及び3つ目並びに2点目につきましては、総務部長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。
◎都市整備部長
ご質問の1番目、「朝倉駅周辺整備事業及び新庁舎整備について」の1点目、「朝倉駅周辺整備事業の今後の進め方について」の1つ目、「朝倉駅周辺整備事業実施方針等の情報を市公式ホームページから削除した理由及び時期」でございますが、
朝倉駅周辺整備事業は、駅周辺の市の所有地を活用して、市の玄関口にふさわしいにぎわいの交流拠点を整備するもので、令和2年3月に実施方針等を公表し、事業者公募の準備を進めておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により民間事業者の応募準備が困難な状況にあると判断し、募集要項等の公表の延期を2年5月に発表いたしました。
こうした中、実施方針等に関する情報につきましては、市民の皆様や民間事業者への情報提供及び民間事業者との意見交換を目的として、市公式ホームページに掲載してきたところですが、2年11月に事業者公募の延期を決定し、これらの情報の掲載を取りやめたものです。
◎総務部長
②「要求水準書市庁舎編(案)の位置付けについて」でございますが、
「要求水準書市庁舎編(案)」は、本市が、新庁舎整備を、朝倉駅周辺整備事業の一つとして一括してPFI方式で実施するに当たり、PFI事業者の公募手続において、選定事業者に要求する業務の水準を示すものとして市庁舎に特記する事項について規定したものです。
今後の対応としては、整備手法をPFI方式から従来方式に変更したことに伴い、令和2年公表時の要求水準書(案)に代えて、次年度以降進めていく設計業務の中で仕様書等を作成してまいります。その際、要求水準書(案)の考え方を踏まえ、感染症対策、自治体DXの推進、カーボンニュートラルの推進など、コロナ禍以降に発生した社会状況の変化に対応するために必要な事項を盛り込んでいくなどの対応をする予定です。
③「現庁舎の耐震工事を実施した時期及び当該工事による建物寿命の延伸効果について」でございますが、
耐震工事は、平成16年3月に完了しました。この工事は、大地震発生時にも構造体の大きな補修を行うことなく建物が使用できるよう実施したものであり、建物自体の寿命を延ばすものではありません。このため、市庁舎の耐用年数は、耐震工事の前と後とでは、変更ありません。
◎都市整備部長
次に4つ目、「延期となった朝倉駅周辺整備事業の問題点の総括について」でございますが、事業者公募の再開につきましては、令和3年度からの3年間、事業者の公募を延期しておりましたが、その間も事業を推進するため、様々な民間事業者との対話を継続的に実施し、事業手法などについて検討を進めてきました。
この対話を踏まえ、コロナ禍以降の不安定な社会情勢において、民間事業者の活動が慎重になっていることを考慮し、事業スキームを見直すことで、事業を着実に推進することとしたものです。
次に5つ目、「中街区(A-1)に限定して新庁舎を建設するという方針の理由及び根拠について」でございますが、
朝倉駅周辺整備基本構想では、中街区に整備する施設として、「市庁舎」、「ホテル」、「駐車場」といった施設の導入を示していました。
さらに、新庁舎の整備に当たっては、新庁舎整備基本計画において、人にやさしく、市民にひらかれ、安心・安全で効率性・機能性の高い庁舎を目指すこととしています。
それらに対応するには、建物だけでなく敷地内に駐車場を確保するなど、十分な敷地面積を確保する必要があるため、中街区の中でもA-1区画に市庁舎と立体駐車場を整備することとしたものです。
次に6つ目、「概算8億5,000万円程度とされる立体駐車場を新たに中街区(A-1)に建設する理由及び根拠について」でございますが、
従前の市営駐車場は、駅利用者等のために必要となる駐車場として、中街区のA-1区画に設置され、令和3年3月まで、市民の皆様にご利用いただいておりました。
現在は、駅前ロータリー等の整備に伴い、南街区へ暫定的に移転させているところですが、この駐車場機能を市庁舎と併せ、再度中街区のA-1区画に整備するものです。
基本構想では、土地の高度利用を図りながら、現況の駐車場を確保することを基本としており、必要となる規模を限られた土地の中で確保するため、立体駐車場を整備することとしたものです。
◎総務部長
②「要求水準書市庁舎編(案)の位置付けについて」でございますが、
延床面積増を検討する理由及び根拠についてでございますが、
基本計画では、現市庁舎面積に20%の削減目標を加味し、約8,630㎡を算出しました。これに防災関連機能、交流機能等の増加分を積み上げ、9,300㎡の延床面積を算定しました。今回は、基本計画策定後に発生した社会状況の変化に対応するために必要な機能の増加分として、さらに約1,700㎡の追加面積を見込むもので、基本計画における面積の積み上げに基づく新庁舎の想定面積の考え方を踏まえて検討したものです。
②具体的な整備手法についてでございますが、
設計の段階で、社会状況の変化に柔軟に対応できる、従来方式といたします。
この方式は、市が設計委託及び工事を個別に発注して契約する手法です。なお、設計委託についての事業者の選定は、技術提案を競わせるプロポーザルにより実施することを想定しています。
③新庁舎供用を令和9年度開始予定とする理由及び根拠についてでございますが、
庁舎は多くの市民や事業者、職員が利用し、かつ大規模災害の発生時には、迅速な災害対応のできる防災・災害対策拠点としての機能が求められるものであり、施設の安全性や業務継続性を確保することは、喫緊の課題です。
このため、他自治体における従来方式での新庁舎整備の事例等を基にスケジュールを検討した結果、設計業務から工事完了までの期間を4年程度と見込み、令和9年の供用開始としたものです。
答弁ありがとうございます。ただ今お答えいただいた内容について再質問いたします。
◆再質問
●再質問①
「朝倉駅周辺整備事業実施方針」等ついて、公開されていた整備事業の全体に関わる重要な情報について、資料を含めて一括削除するという行為はあってはならないことであると考えます。
そこで、再質問の①点目、「朝倉駅周辺整備事業実施方針」等の2020年11月に削除した資料及び情報を知多市公式ホームページに再掲載すること、及び今後は履歴保持しながら修正版等を追記する形式で情報更新する考えについて伺います。
◎都市整備部長
ご質問の件につきましては、市の公式ホームページでは、情報を正確かつ迅速に提供するため、最新の情報を随時反映させ、常にわかりやすいホームページ作りに取り組んでいるところです。
市の公式ホームページの情報が削除されているとのご指摘ですが、ご覧になられている皆様に誤解を招く可能性があることから、最新の状況に更新しており、実施方針等の再掲載や履歴保持しながら追記する予定はありません。また、本事業の過去の取組につきましては、市民の皆様方に十分ご理解いただけるよう、「あさくらニュース」の発行及び市ホームページへの掲載をしてきたところであり、さらにわかりやすく充実してまいりたいと考えております。今後も情報の更新を必要に応じて行い、適宜適切な情報発信に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
●再質問②
私は何度も繰り返し、朝倉駅周辺整備事業とPFI事業の進め方に疑義を呈してきましたが、本市はPFIを実施するとして、多くの時間と予算を投じてきました。事業の進め方や内容の問題はさておき、実施方針等策定に向けた取り組みや資料は本市の経験であり資産です。
そこで、再質問の②点目、本市は朝倉駅周辺整備事業者公募支援委託料への累計支出額について伺います。
◎都市整備部長
ご質問の件につきましては、
平成31年度及び令和2年度に委託業務を発注しており、委託料の総額は、2,380万9,500円ですので、よろしくお願いいたします。
●再質問③
削除された資料の中には、「朝倉駅周辺整備事業実施方針」等に関する民間事業者からの意見等の貴重な情報もありました。
そこで、再質問の③点目、実施方針等に関する質問・意見の件数について伺います。
◎都市整備部長
ご質問の件につきましては、実施方針112件、要求水準書(案)130件の合計242件ですので、よろしくお願いいたします。
●再質問④
公式ホームページから削除されたということは、外部からは見られませんし、職員が閲覧できない状態であると認識しています。そこで再質問の④点目、削除した実施方針等の情報及び質問意見の回答については職員にどのように情報共有されているのか伺います。
◎都市整備部長
ご質問の件につきましては、実施方針等の情報については、関係部・課で共有していますので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑤
閲覧者に誤解を招く可能性があるため、「朝倉駅周辺整備事業実施方針」等の情報を削除したという理由が理解に苦しみますが、公開した情報及び資料を隠蔽するように削除することは断じてあってはならないことであり行政への不信を生みます。
実施方針等は、朝倉駅周辺整備構想に基づき、職員の多くの時間と稼働、公募支援委託など2300万円を超える経費、ならびに民間事業者の質問や意見242件などを含む、本市にとって重要な情報です。その資料等が公開情報から削除されているだけでなく、限られた職員しか閲覧できない状態というのは異常であると言わざるをえません。誤解とは、意味をとりちがえること。まちがった解し方をすること。であり、実施された事項や公開した情報を再度掲載する行為に誤解が生じる余地はないと考えます。
そこで再質問の⑤点目、2020年11月の公募延期を実施した旨等を加筆して、市公式ホームぺージから削除した「朝倉駅周辺整備事業実施方針」等一式の資料を再掲載する考えについて伺います。
◎都市整備部長
ご質問の件につきましては、ご覧になられている皆様に誤解を招く可能性があることから、最新の状況に更新しており、実施方針等の資料一式を再掲載する予定はありませんので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑥
次に、延期するとされていた朝倉駅周辺整備事業は、PFI事業、民間収益事業という2種類の事業方式を導入し、新庁舎は一括事業請負後譲渡方式(BTO方式)で整備して、事業期間を30年と定めた上で、契約上流に位置させるとする特別目的会社(SPC)と新庁舎建設後に所有権を移転させるというPFI方式を前提としておりました。しかし、11月2日の全員協議会で報告した内容は大きく内容や事業スキームが異なるものです。そこで再質問の⑥点目、PFI事業で整備するとした実施方針を見直す考えについて伺います。
◎都市整備部長
ご質問の件につきましては、実施方針とは、市がPFI導入を積極的に検討していることを表明するもので、民間事業者への情報提供及び民間事業者からの意見受け付けを目的として公表し、事業者公募に向けた準備を進めてきたところです。こうした中、社会経済状況の変化を踏まえ、着実に事業を推進するため、実施方針を見直し、街区を分割して中街区の整備を先行して進めることとしたものです。また、他の街区につきましても、一番効果的な方法を再検討し、前へ進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑦
次に、私は2018年12月議会の一般質問にて、計画対象地区の用途地域変更が必要ではないか?と伺い、計画対象地区の土地利用計画を踏まえ、県と協議し、中街区は商業地域に、北街区と南街区は近隣商業地域にそれぞれ変更する手続を進めたと認識しております。
そこで、再質問の⑦点目、北街区、中街区、南街区の建ぺい率及び容積率、高さ制限について伺います。
◎都市整備部長
北街区及び南街区は、建ぺい率80パーセント、容積率300パーセントで、中街区は、建ぺい率80パーセント、容積率400パーセントです。高さ制限につきましては、建築基準法により、建物の一定部分の高さを制限する斜線制限がありますので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑧
次に、2018年12月議会の一般質問にて、朝倉駅周辺整備事業は全体の概算事業費用が85億円、内、市役所新庁舎については約45億円と試算されていると伺いましたが、これは「基本計画策定時の延床面積9,300平方メートル」を想定した費用であると認識しております。
そこで、再質問の⑧点目、新庁舎整備の概算事業費について伺います。
◎総務部長
ご質問の件につきましては、今後、設計を通じて新庁舎の詳細を決定していく中で、精査してまいりますので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑨
次に、再質問の⑨点目、現市役所の庁舎、職員用駐車場及び来庁者用駐車場の建築面積について伺います。
◎都市整備部長
ご質問の件につきましては、市庁舎は約5,620平方メートル、職員用駐車場は約6,640平方メートル、来庁者用駐車場は約3,770平方メートルですので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑩
次に、再質問の⑩点目、中街区(A-1、A-2)と南街区の面積について伺います。
◎都市整備部長
ご質問の件につきましては、
現況測量による面積確定前のため、参考ですが、中街区A-1の面積は約13,000平方メートル、南街区の面積は約5,300平方メートル、現況測量を終えたA-2の面積は2,933.73平方メートルですので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑪
全員協議会の「朝倉駅周辺整備事業の今後の進め方について」の報告では、新庁舎と立体駐車場を中街区(A-1)に整備するというのが決定事項のように記載されております。改めて過去の資料の確認をいたしましたところ、2018年3月策定の「朝倉駅周辺整備基本構想」では、P23には、
「○市役所の移転は、老朽化によるものであるため、今回の再開発と時期が同じになると、事業効率がよい
○ 多くの市民が利用する場所であるため、駅前への建替えがよい
○ 朝倉駅周辺の再開発は市役所の建替え事業が肝である
○ 計画対象地区は埋立地であるため、地盤が弱いのではと不安に思う人もいると思う」
との記載がありますが、中街区には市役所(本庁舎機能)が施設のイメージとして記されているだけであり、中街区に新庁舎を建設する方向性は示されているものの、中街区に新庁舎と立体駐車場を建設するという根拠が示されておりません。
また、2019年6月策定の「知多市新庁舎整備基本計画」では、「新庁舎は、多くの市民が利用する場所であるため駅前への建替えが好ましいとして計画対象地区内の「中街区」を予定しています。」と基本構想に基づいたざっくりとした方針が記載されているのみです。
そこで、再質問の⑪点目、新庁舎の整備場所として、北街区の現職員用駐車場やA-2、南街区を検討したのかについて伺います。
◎都市整備部長
ご質問の件につきましては、
新庁舎の整備場所については、基本構想策定時において実施したポテンシャル分析、市民ニーズ等を踏まえ、中街区といたしました。
加えて、基本構想の検討段階で行った、朝倉駅周辺整備計画調査検討会議や市民ワークショップでは、市庁舎について、「多くの市民が利用する場所であるため、駅前への建替えがよい」とのご意見も多数いただきました。
これらを踏まえ策定した基本構想では、中街区に新庁舎を配置することとしておりますので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑫
駅前への建替えがよいとの複数の意見があったという曖昧な根拠で中街区に新庁舎を配置することに決めたというのは、根拠や理由に乏しく、妥当性についてしっかりと検証を実施すべき事項であると考えます。先ほどの答弁から、
現在の職員用駐車場の土地面積は約6,640平方メートル
北街区の建ぺい率80%、容積率300%で計算すると
最大で建築面積:5,312平方メートル、延べ床面積:19,920平方メートル
中街区(A-2)の土地面積は2930平方メートル
中街区の建ぺい率80%、容積率400%で計算すると
最大で建築面積:2,344平方メートル、延べ床面積:11,720平方メートル
南街区の土地面積は約5,300平方メートル、
南街区の建ぺい率80%、容積率300%で計算すると
最大で建築面積:4,240平方メートル、延べ床面積:15,900平方メートル
と、いずれの区画でも、新庁舎整備基本計画で想定していた延床面積:9300平方メートル、また今回増床を検討するという延床面積:11,000平方メートルを満たす土地面積があるように見受けられます。
そこで、再質問の⑫点目、新庁舎及び駐車場を、北街区の現職員駐車場やA-2、南街区に整備することが不可能な理由について伺います。
◎都市整備部長
ご質問の件につきましては、
基本構想のイメージでは、中街区は、北街区にある老朽化した市役所の建替え地として、市民サービスの向上に資するとともに、高齢者も含めた全ての市民が憩い・交流できるような快適で、利便性の高い空間を確保することとしております。
また、中街区は交通結節機能を担うこととしており、円滑な駐車環境に配慮した駐車容量を確保することが必要であり、市庁舎及び駐車場を中街区以外の街区で実現することは、困難と考えておりますので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑬
次に、新庁舎整備に先行して朝倉駅前に立体駐車場を整備する方針が示されましたが、再質問の⑬点目、新たな朝倉駅前立体駐車場の利用想定者及び300台程度とする理由について伺います。
◎都市整備部長
ご質問の件につきましては、
駅前の立体駐車場の規模として300台程度としている理由につきましては、コロナ禍の影響を受け、公共交通機関の利用者の急速な回復が見込めない状況にあるのは朝倉駅も例外ではありません。
現在の駅前駐車場の利用状況については、コロナ禍による電車等の公共交通機関の利用者の減少から回復しきれていない状況にありますが、朝倉駅の利用状況がコロナ禍以前まで回復した場合、定期利用及び時間利用でおおよそ240台から250台の利用が見込まれます。
これに加えて、市内の軽乗用車や普通乗用車の登録台数が増加傾向にあることや、3万人を超える市民の方々が市外へ通勤・通学されていること、朝倉駅東側への新たな駐車場の立地が困難な状況にあることを踏まえ、駅西側において新たなパーク・アンド・ライドのニーズを吸収する必要があることから、300台程度としたところですので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑭
次に、基本構想ではP38に(1)道路網の現況・課題として、市役所南交差点付近の交通負荷軽減を図ることが必要と記載されております。中街区に新庁舎と立体駐車場を建設することは大きく交通流を変えることになりますが、再質問の⑭点目、中街区に新庁舎と立体駐車場を整備することによる市役所南交差点付近への影響について伺います。
◎都市整備部長
ご質問の件につきましては、
市役所南交差点の交通処理については、朝倉駅前ロータリーの設計段階において、県公安委員会との協議が完了し、中街区の施設配置を決定しており、特段問題のない交差点であると考えていますので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑮
次に、再質問の⑮点目、旧保健センター跡地である移転後の市営駐車場の敷地面積、駐車可能台数、現利用状況について伺います。
◎都市整備部長
ご質問の件につきましては、
移転後の市営駐車場については、敷地面積は5,166.34平方メートルで、駐車可能台数は201台です。
現利用状況については、1か月単位で貸し出す定期駐車と1時間単位で貸し出す普通駐車があり、いずれも延べ台数でありますが、
3年度の実績は、定期駐車が1,664台、普通駐車が9,434台、
4年度は、10月末現在までの実績で、定期駐車が966台、普通駐車が7,591台ですので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑯
次に、再質問の⑯点目、新庁舎来庁者用駐車場と職員駐車場は別に整備する計画であるのか、どこに整備する計画であるのか伺います。
◎総務部長
ご質問の件につきましては、
来庁者用駐車場は、新庁舎と同じ区画内に整備し、職員用駐車場は新庁舎の近隣に必要数を確保する方向で検討していますので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑰
次に、再質問の⑰点目、現在の市庁舎の職員用駐車場数、来庁者用駐車場数及びそれぞれの利用状況について伺います。
◎総務部長
ご質問の件につきましては、
職員用駐車場数は約310台、来庁者用駐車場数は154台です。いずれも、気象条件や庁舎内での会議開催等の有無により変動がありますが、必要数は確保されている状況ですので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑱
次に、再質問の⑱点目、立体駐車場の建設コスト試算は、どのように計算したのか。その根拠と維持費用について伺います。
◎都市整備部長
ご質問の件につきましては、
駐車場の規模を300台程度、3層4段と想定し、先進事例などを参考に経費等を試算しています。
維持については、駐車場の管理運営のノウハウを持っている民間事業者も多いことから、それらの事業者との対話を通じて、市としてメリットのある手法について検討中ですので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑲
次に、再質問の⑲点目、新庁舎の整備を計画するに当たり、他自治体の新庁舎建設の事例をどれくらい調査したのかについて伺います。
◎総務部長
ご質問の件につきましては、
平成29年度以降、先進自治体の視察として14団体を視察いたしました。また、調査表の送付による調査を合計22団体に実施するなど、情報収集に努めてまいりましたので、よろしくお願いいたします。
●再質問⑳
繰り返し確認しましたが、朝倉駅周辺整備事業は、実施方針等の公表内容から大きく内容が変更されます。基本構想と実施方針では、PFIで民間事業者に提案させるとしていたことから、新庁舎の立地の検証が実施されておりませんし、規模については、基本計画から増床するとしております。職員用駐車場数、来庁者用駐車場の配置案も示されておりません。他の自治体では新庁舎整備基本構想や基本計画でこれらの案や検証が実施されているのは一般的なことであり、必要不可欠な事項であると考えます。
たとえば、2021年に新庁舎を竣工した常滑市では、5回の市民会議や2回の職員ワークショップが開催され、駐車場の規模、候補地の詳細及び評価、そして事業費と財源、整備方式の検討が実施されて、その内容が常滑市新庁舎基本構想に記載されております。しかし本市ではPFI事業にて民間に新庁舎建設を提案させるとしていたことから、これらのあってしかるべき情報や検討が知多市新庁舎整備基本計画には欠けております。
そこで、再質問の⑳目、新庁舎整備基本計画を見直す考えについて伺います。
◎総務部長
ご質問の件につきましては、新庁舎整備基本計画の基本的方針に変更はないため、見直す考えはありませんのでよろしくお願いいたします。
●再質問㉑
次に、本市は以前PFI方式で実施するとして、実施方針や要求水準書等を策定して公募したわけですが、新庁舎を整備する際には、様々な自治体で整備手法が議論されて検証されております。
・設計施工を分離するいわゆる従来方式
・設計、施工業務を同時に一括発注し契約する(Design-Build-Operate)方式。
・施設の設計段階より建設事業者がかかわる(Early-Contractor-Involvement)方式、
・⺠間資⾦を利用して設計、施工、管理運営業務の全てを⻑期契約するPFI方式 等です。
そこで、再質問の㉑点目、新庁舎の整備に当たり、従来方式を予定する根拠及び他の方式を検討しないのか伺います。
◎総務部長
ご質問の件につきましては、
コロナ禍を経て不安定な社会経済状況にある現在、新庁舎整備を前に進めていくためには、他の方式との比較検討を行った結果、設計の段階で、社会状況の変化に柔軟に対応できる、従来方式が最適であると判断したものですので、よろしくお願いいたします。
●再質問㉒
次に、先に申し上げた通り、他の自治体では、新庁舎基本構想や新庁舎基本計画を策定する際には、検討委員会や市民会議が開催され専門家や市民の意見の集約を図る取り組みが実施されております。しかし、本市では朝倉駅周辺整備計画にて調査検討会議が開催されたものの、新庁舎整備基本計画では検討会議や市民会議による検討や検証がされておりません。
そこで、再質問の㉒点目、新庁舎の整備に当たり、有識者を含めた検討委員会もしくは市民会議を設置し、立地、規模、構造、配置、機能等の検討を実施する考えについて伺います。
◎総務部長
ご質問の件につきましては、
本市の新庁舎整備は、朝倉駅周辺整備事業の中で進めており、朝倉駅周辺整備計画調査検討会議や市民ワークショップなどにおいて、有識者や市民からの意見をお聴きしています。また、新庁舎整備基本計画を策定する過程で、庁舎利用者アンケート及びパブリックコメントを実施し、市民の皆さんからいただいたご意見を計画づくりに反映してきたことから、改めて有識者を含めた検討委員会若しくは市民会議を設置し、立地、規模、構造、配置、機能等の検討を行う考えはありませんので、よろしくお願いいたします。
◆要望
答弁ありがとうございました。それでは、答弁いただいた内容を踏まえ要望を申し上げます。
「朝倉駅周辺整備事業」について、公募を中止し、3年間凍結とせざるをえなくなったのは、新型コロナウィルス感染症の影響により市の財政見通しが立たなくなったからだけではありません。
根本的な問題は、当初の基本構想の策定時から何度も指摘した通り、整備計画の手法と内容に著しく問題があったためであり、経済合理的に欠ける品質の悪い整備事業計画書に基づき事業を実施しようとした結果、ゼネコン等の企業が公募に参加する見込みが立たなかったからであると、削除された質問意見からも伺えます。
「朝倉駅周辺整備事業実施方針」等の情報が削除されている中では、何を実施しようとしていたのか、過去にどのような方針が示されていたのか、どのような質問や意見があったのか、市民の方は情報を確認することもできません。本件に限った話ではありませんが、市民への情報公開の観点や行政の継続性の観点等から、市の公式ホームページに掲載した情報を安易に削除する運用は問題であると考えます。特に本件は事業が中止や取りやめになったわけではなく、3年間延期するとされた事業であり情報削除は不適切です。特定の事業者との水面下で非公開の調整を実施したホテル誘致のように密室で実施するのではなく、民間事業者からどのような意見があったのか職員が学び、今後提案を実施する民間事業者の情報収集のために、削除した公開情報を再掲載することを求めます。
市役所新庁舎整備については、冒頭で申し上げた通り、私は新設移転に反対するものではありません。そして、移転先は市が保有する十分な土地があり利便性の高い場所である朝倉駅周辺整備基本構想の計画対象地区以外に現実的な候補はないものと理解しておりますが、その計画対象地区で精緻に検証を実施しなければならないと考えます。
朝倉駅周辺整備基本構想以降、最適な手法であると繰り返し主張されていたPFI事業、民間収益事業による整備から大きく方針が転換され、基本構想27ページ以降で示していた街区別整備方針の北街区を商業・交流・賑わい拠点とする中核の民間商業施設の見通しはまったく立たず、南街区の新たな定住拠点とする方針もなかったことにされております。
図書館の移転計画も見通せません。中街区の整備方針の施設のイメージとして「市役所(本庁舎機能)」としか記されていないものを、新庁舎整備場所は中街区であると決定事項として扱うのは適切ではないと考えます。
市役所新庁舎だけ先行して整備するということであれば、立地、規模、構造、配置、機能等の概要案を提示し、市民や有識者からの意見を幅広く聞いていただきたく存じます。庁舎整備基本計画で結論づけた延床面積9,300平方メートルから増床する根拠の具体的な説明も必要です。
現市役所庁舎の職員用駐車場には新庁舎を移転する十分なスペースがありますし、中街区の駐車場最大化を目指すのであれば、立体駐車場を建設せずとも、耐津波性能の高いピロティ建築形式なども候補に挙がるのではないでしょうか。設計前に企画コンペを実施して民間企業に競わせることも考えられます。
朝倉駅東側に民間駐車場が多く提供され、在宅勤務等の社会経済変容もある中、昨年度と今年度10月末時点の定期駐車が月140台程度で推移している実績を見ても、駅利用者のための3層4段300台程度規模の市営立体駐車場を整備することに経済合理性があるとはとても思えません。これに加えて150台程度の来庁者用駐車場と300台程度の職員用駐車場を別で整備するというのは、明らかに駐車場過剰です。
加えて、市役所南交差点の交通処理について、特段問題のない交差点であると考えているとのことですが、検討会議の際から、朝倉駅、朝倉インターチェンジ、臨海部企業に向かう通勤交通等が朝倉線に集中し、交通渋滞が発生と指摘されております。300台程度の職員用駐車場の場所も示していない状態で、現在、北街区に位置している市役所の来庁者用駐車場を中街区に移して、基本構想に示した駅周辺の混雑解消に向けた交通環境の整備が実現されるのでしょうか? 職員通勤時の最大300台の交通流を変えて、どのように市役所南交差点付近の交通負荷軽減を図るのでしょうか? 問題のない交差点であるというのは大いに疑問であり、具体的なデータを示し検証を実施すべきであると考えます。
基本構想で掲げられた、土地の高度利用をすることや、円滑な交通アクセスの確保、駅前広場や駐車・自転車駐車機能等、駅周辺の交通処理機能の向上を図ることに、駅利用者のための立体駐車場が寄与するとは思えませんが、常滑市では立体駐車場と市役所が連絡通路で連結されておりますし、東海市のラスパ/ドン・キホーテも立体駐車場は店舗と連結されております。需要と利用者の利便性があればこその立体駐車場です。
質問を通じて、新庁舎整備に向けた様々な課題が明らかになってきたと考えます。来年度から新庁舎整備にかかる設計等を実施するとの計画が示されております。市民と職員にとってふさわしい市役所とはどうあるべきか、住民の福祉の増進に努め、最少の経費で最大の効果を挙げることを重視して検討いただくとともに、市民や有識者の意見を反映させる機会を作っていただくことをお願い申し上げて、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
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