★酷暑対策に日本版サマータイム導入は誤報では?(→まさかの導入検討へ)低緯度の日本で時計を2時間前倒しする愚策★

 

“日本版サマータイムという結構な愚策”

 

 

以前,節電のためにサマータイムを導入する!と効果に関する科学的な根拠もないままに目標がぶち上げられ,馬鹿じゃないの? と一蹴されたのが日本のサマータイム議論だと記憶しているけれども,本日のニュースで再び日本にサマータイムを導入する案がまことしやかに議論され,サマータイム導入の方向で進んでいるらしい(酷暑対策でサマータイム導入へ 秋の臨時国会で議員立法).

 

 

「酷暑対策にサマータイム導入?」

 

 

何を言っているのかまったく意味がわからない.たまに日本経済新聞が「飛ばし記事」でごめんなさいをするけれども,どっかの議員がいった妄想をネタに憶測で書いてしまうという誤報を産経新聞がやらかしてしまったのではないだろうか.

 

 

朝日新聞のような悪意のある記事ねつ造(慰安婦報道問題)とは違って,本件は笑えるネタで,新聞社なんだから情報の裏取りしろよ!という苦情くらいしかないのだけれども,もしも本当にサマータイムが導入されるとなれば,先日の「東京医科大学の不正入試の件」といい,日本は権力のある意思決定者がどこもかしこも馬鹿過ぎる由々しき事態なんだと思う.

 

 

サマータイムは緯度の高い国や地域で導入して,初めて意味のある制度であり,日本で導入してもメリットは少なく,投資対効果が低いどころか社会システムに対してマイナスになりかねないデメリットばかりの施策だ.日本のライフスタイルにも適さないと考える.もしも,日の出日の入りに合わせた方が自然だとか節電に効果的であると考えるのであれば,時計を弄るのではなく,時間を変えれば良いだろう.例えば,9時~17時勤務を8時~16時勤務にすれば良い(やりたい人間にやらせとけば良い).

 

 

早速,頭が良い人たちがサマータイムの弊害を面白おかしく指摘してくれているし,それで議論が盛り上がってやっぱりサマータイム導入は百害あって一利くらいしかありませんと撤回されることを願っている.

 

 

 

 

そもそも,サマータイム導入は突然の議論で(久々過ぎて),結構な人がサマータイムがどのような制度であるのか忘れているように思うので,サマータイム導入により生活がどう変わるのかを簡潔に整理しておきたい.

 

 

8時始業の学校が6時始業になる.よって,7時に起床していた子どもは5時に起床しなければならなくなる.9時間睡眠を確保するためには,22時に就寝していた子どもは20時に寝なければならない.イッテQが見られなくなる.冗談はさておき,20時に寝れるか? 結局,夜更かしすることにならないか? 夜更かしをする=寝不足になる悪影響を考えているのか?

 

 

6月になって日が長くなったから明日から20時就寝ね!と言われてすぐに身体が対応できると思うのか? その他にも労働時間が長くなるなどの指摘があるけれども,そんなことよりも,残業時間と残業代をカットされて,17時帰宅が15時帰宅になったら,日本の家庭も社会もクラッシュするケースが増えると思う.

 

 

ちなみに,私はこの論文「中学校と高校の開始時間を遅らせることで学生の健康とパフォーマンスを向上させる(米国睡眠医学アカデミー)」に肯定的であり,世の中の諸々の時間は後ろ倒しすれば良いのにと思っている.興味のある方はご覧になっていただければ思う.

 

 

日本は居酒屋での井戸端会議レベルの政策が国政・県政・市政で実行されることが多々あって,野党も非科学的で情緒的で期待できないので,政権や政党の支持を「人柄が信頼できないから」などと定性的な議論をするのではなくて,おかしな政策には何がおかしいのか声高に主張して,馬鹿や無能には税金の運用や国の運営は任せられないという議論になれば良いなと思っている.

 

 

●日本版サマータイム導入が面白くもない冗談の段階から政策検討段階に入っている狂気(追記)

 

 

タイトルにサマータイムは誤報では? と記載したのは,日本版サマータイムが議論をする価値もないくらいの愚策であり,どこかの馬鹿な権力者が思いつきで言ったことを新聞社が拾っただけで,頭の良い代議士や官僚や学者が,日本でサマータイム導入は難しいです!と申し訳なさそうに(心の中では馬鹿にしながらも)具申してサマータイムはお蔵入りすると考えていたからだ.だから否定的な理由も詳しく書かなかったし,便所の落書き程度のつもりで愚痴っただけだ.

 

 

しかしながら,驚くことに,日本版サマータイム導入を真剣に議論する流れのようだ(サマータイム自民が論点整理へ首相指示).アンビリーバブル! 様々な議論があることは良いことだけれども,日本の絶望的な生産性というのは,改善や改良に向けての議論ではなく,何の付加価値も生まず,損失(ロス)が発生することがほぼ確実に予期される内容を,時間をかけて検討することに起因する.と考えているのだが,日本版サマータイムもそれにあたり,これから結構な稼働とカネが調査だの検討に使われることが確定した.

 

 

どうせ「サマータイム最高!」「日本にサマータイムを是非導入すべき!」という結論ありきで調査報告書を書かせるのだ.リサーチャーはカネさえ貰えればなんでもやるだろうけれども(データのねつ造や組み合わせなんてやろうと思えば簡単にできるし,割が良い仕事だ),そんな不毛な仕事を指示しなければならない関係者の皆様には同情するというか,自分がその立場になったらと思うと吐き気がする.どうせ権力争いとかバーター取引なんだぜ? 気持ち悪い.

 

 

苦々しく思っている人は与党にも官僚にもいるはずなのに,その方々の意見は,特定の既得権益の一時的な利益のためだけの愚策にかき消されてしまうのだろう.日本は損失に対する責任が甘すぎる.(決して肯定するわけではないが)中国だったら大きな収賄や汚職は死刑だったりする(汚職のレベルも規模も違うが).

 

 

不毛なことで語るのも馬鹿馬鹿しくなってきたので(繰り返すが日本へのサマータイム導入は議論する価値もないくらいに悪手),大多数が不幸になる日本版サマータイムの趨勢を遠目でウォッチしていきたい.

 

 

●サマータイム導入のメリット&デメリット.北海道サマータイム導入事例が時差勤務と混同されて紹介された件(追記)

 

 

8月9日のWBSの放送でサマータイム導入のメリット&デメリットを紹介していて,どうやら日経新聞グループ(テレビ東京の親会社)はサマータイムに肯定的な立場をとっているようで頭が痛くなった.

 

 

●サマータイムを時差出勤と考えている現場の理解の浅さ

 

 

まず興味深かったのは,2006年に実証実験を導入した北海道サマータイムについてインタビューについてである.北海道の町役場の職員がサマータイム導入によるメリットの一つとして,「就業時間が早くなり余暇を楽しめた(具体的には)野球のナイターを試合開始から観戦できた」と答えていた.小学生の感想文としては良かったねとの評価をあげたいけれども,導入側がサマータイム制度をまるで理解していないことの一端が明らかになった.

 

 

サマータームを時差勤務と混同しており,時計を変更することの意味をわかっていないのだ.18時からの野球観戦に間に合ったのは,役所が独自で時間差勤務を実施したことにより,勤務が

「始業8時30分~終業17時 → 始業7時30分~終業16時」

になったからである.サマータイムを導入するということは,標準時を動かすということなので,すべての時計が変更されるということだ.

 

 

予定されている通り2時間時計をずらせば,これまでの8時は6時になるし,18時は16時になる.18時に開始されていたプロ野球は,まだ陽の明るい16時からスタートになる.8時に通勤している人は,6時に通勤することになる.小学生の理科で教えるようなこんな最低限の仕組みが伝わらないのか?

 

 

実際に導入した側も勘違いしているのか,笑わせようと冗談を言ったのかはわからないけれども,2020年の6月1日から2ヵ月は会社も学校も6時スタートに変わる!という事実が共通認識として持たれていないようなので,こんなわかりきったことを説明するのも馬鹿らしいのだけれども,声を大にして伝えておきたい.

 

 

●サマータイム導入のメリットとデメリットの考察

 

 

ワールドビジネスサテライト(日本経済新聞社が全面的に制作・取材に協力)では次のように紹介していた.

 

  • サマータイム導入メリット:「消費約7,500億円増(第一生命経済研究所),犯罪減,株式市場存在感アップ」
  • サマータイム導入デメリット:「鉄道や信号などのシステム改修に1,000億円以上,残業増,健康への影響,家庭での電力使用量は増える」

 

経済効果などの細かい数字の検討は有識者や専門家に期待することとして,サマータイム対応システム改修が1,000億円以上というこの

ざっくりとした数字が実に気持ち悪い.2,000億円でも5,000億円でも1,000億円以上であるし,7500-1000=6500.差し引き6,500億円がプラスの経済効果として期待されるため導入するという根拠に使われかねない.

 

 

このサマータイム導入による7,500億円消費増の効果も実に懐疑的であり,誰が計算したのだろう?と確認したところ,第一生命経済研究所の永濱利廣(永浜利広)首席エコノミストの試算によるものらしい.どこかで見た名前だと思ったら,以前からのサマータイムは経済効果が大きいと主張しているエコノミストであり,2005年にサマータイムによる経済効果は約1兆2,000億円と算出していた方だ.

 

 

もっと言えば,永濱氏は内閣府経済財政諮問会議政策コメンテーターも務める政権に近いエコノミストであり,プレミアムフライデーの経済効果についても消費拡大効果は最大1236億円~135億円と試算していた.私は試算を検算する能力は持たないけれども,試算根拠は明確にするべきだと思う.そしてプレミアムフライデーのような,結果に幅のある試算は説得力があるけれども,サマータイムの経済効果が7,500億円以上というのはどうも疑問に残る.

 

 

いずれにしても,経済効果や消費への影響なんて数字は適当な数字を組み合わせればいくらでも大きく見せられるので信頼性に欠ける.それに対して,システム改修などのサマータイム導入により対応しなければならない投資や稼働については数字の積み上げであり,ほぼ正確な金額が算出できるはずだ.レガシー!レガシー!と馬鹿の一つ覚えのようにオリンピック関連の投資は正当化されるけれども,将来にわたり利益や便益を生む投資は価値があるものの,負の資産となってしまうものには投資の妥当性は一切ないと考える.

 

 

ばら撒きは誰かの収入になるのでそのすべてを否定するつもりはないけれども,無理やり仕事をつくって,中間搾取側がガッポリ稼いで,現場は薄利の労働だけが強いられることが繰り返されているので,そんな無駄な投資をすることよりも,もっと価値ある投資があるだろうと考える次第である.サマータイム消費拡大効果7,500億円という楽観的な数字と,サマータイムシステム改修1,000億円以上という根拠不明瞭な適当な数字が出てきたことを忘れずに記憶しておきたい.

 

 

そして,家庭の光熱費が上がることにより可処分所得は目減りして,電力需要は逼迫し,猛暑とのダブルダメージで計画停電を実施!などという笑えない事態が起きないことを願っている.

 

 

●サマータイム導入イメージ.時計の時刻が変わること&変えることを理解しているか?(追記)

 

 

サマータイム導入の議論が明らかにしたのは,我々のリテラシーの低さと想像力のなさではなかろうか.サマータイムの仕組みや制度を正確に理解せずに賛成や反対の議論をしているケースが驚くほど多い.もちろん,日本では初めての試みであるから,知られていないのは仕方がないけれども,ググれば出てくる情報を読んで自分の頭で理解できている人は残念ながら多くない.私は絵が描けないので,サマータイム導入初日のシーンを出来るだけ簡潔に記す.

 

 

「2020年6月1日からサマータイムです.5月31日の夜は家中の時計を2時間進めてから寝てくださいね.いま5月31日の24時だから6月1日の2時になります.普段6時起きなら明日は4時=6時ですから4時間後です.繰り返しますが,すべての時計を忘れずに進めてください.スマホやパソコンの時計も自動設定していない方は手動で変えてくださいね」

 

 

すべての電子機器とシステムを2時間時計を進めるプログラムを走らせることがどれだけ難しいのか? 少しだけイメージして欲しい.メリットやデメリットの話や賛成や反対の議論はそれからだ.だから良識のある専門家が,

 

 

「システム対応が困難だからサマータイムの導入は止めた方がいい.ロスとリスクとディスアドバンテージがメリットを遥かに上回る」

 

 

と声高に警告を出しているのだ.エコノミストの希望的観測は当たろうが外れようがどうでも良いけれども,システム導入は失敗すると事故が起きる.誰が責任を取るのだろう? 思いつきのサマータイムという政策が導入される危機.私は現場で多く直面しているけれども,税金を使う側は信じられないくらいに無責任になるこの現実のシステムをぶっ壊してしまいたい(★「学校へのエアコン設置」小中学校にエアコンがなぜ導入されないのか?★

 

 

<参考資料>

 

 

最後に有益な情報を紹介して締める. 

 

●サマータイムで日本中の電波時計がゴミになる(かも)という話

→日本標準時刻のシステム(仕様)でエラーが起きかねないらしい.サマータイムのメリットやデメリットを語る前に,システム対応をどうするか? が考えられない人間に政策を考えさせたらいけないことを教えてくれる.NiCTにサマータイム導入できる? と報告して貰えばわかることを誰もしていないのではないか?(NiCTには昔,仕事でよく行った.遠かったw 懐かしい).

 

 

●サマータイム制度と睡眠(PDF)

→良い論文であると思う.

 

  • 日本国民はサマータイムの負の影響を受けやすいと考えられ、特に健康弱者には辛い制度
  • 長時間労働者が多数存在する日本を考慮すると、サマータイム制度は労働災害を増加させる可能性が高い
  • サマータイム制度による健康障害、労働災害、コンピューター事故対策などの経済損失を考慮すると、サマータイムはむしろ増エネに繋がりかねなく、地球温暖化防止策としては疑問ある制度
  • サマータイム制度を導入していないアジア諸国との交流を考えたとき、余分な時差を生み出すサマータイムは、近隣諸国との交流に水をさす可能性がある制度

 

 

 

●サマータイムが愚策である10の理由

→コンパクトにまとまっており,大変にわかりやすい.

 

 

●「2020年にあわせたサマータイム実施は不可能である」(立命館大学情報理工学部 上原哲太郎教授

→素晴らしい資料.ただし,サマータイムの仕組みを理解している? というそもそも論からはじめないと,この資料を読める人は,おそらく多くない(小学校の算数や理科を忘れて,かつ文字は分かるが文は読めない大人がたくさんいる),それが根本的な問題なのだと思う.

※PDFはWEB埋め込みが一番見やすいと考えているので以下iframeで表示.官公庁の資料もすべてiframe化して埋め込めば見る者に親切だがその簡単な取り組みも期待できない.技術者やシステムは最先端でもユーザリテラシーが後進国の日本.

 

 

 

●新聞社からもサマータイム問題を指摘する報道が増えてきた件(追記)

 

 

日経新聞グループは,当初日本版サマータイムを検討するに値する政策として報道していたように思うが,産業界からの突き上げがあったのか,だだでさえ朝の早い新聞記者から朝4時に起きるのは嫌だ!との悲鳴が漏れたからか,夏時間の問題を冷静に指摘する記事が増えてきたので評価したい.

 

 

時計を動かす夏時間制度を日本人の大半はほとんど理解していないことが明らかになったけれども,夏時間導入のシステム的な課題や社会の負担を説明しても,サマータイムをわかっていない人には届かないので,原点に立ち返り,欧州の主要国のほとんどよりも低緯度な日本では夏時間は必要ないし,欧州でも夏時間のロスとデメリットが議論になっていると説明すれば,少しくらいは伝わるのではないだろうか?

 

 

政権が憎すぎるのか,事実報道よりも解釈報道に終始して,読むと頭が悪くなりかねないイデオロギー論争を繰り広げる一般新聞とは違い,まともな報道が期待できる日経新聞には引き続き頑張っていただきたい.飛ばし記事はご留意いただきたく!